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▽レス始

「式神作製師横島!その5(GS)」

yata (2006-10-16 18:37)
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*注*これは複数回逆行を繰り返した横島強めな作品です。
   こういった作品が苦手な方は避けるようお願いします。


「何見てんだよコラぁ! 見せモンじゃねーぞ!」


横島はその少女を知っていた。
おキヌちゃんのクラスメイトになる霊能不良少女、一文字魔理である。


  式神作製師横島! 第5話


「……いやぁ、我流にしてはなかなかやるな〜って思ってね」

「なっ、あんたも霊能者か!?」

「俺は横島忠夫、高1で来月から六道冥子除霊事務所の助手をやる予定だ」


掴み掛からんばかりの勢いで近づいてくる魔理に、
両手を軽く挙げて敵意の無いことを示しつつ横島が自己紹介した。

ふと、一回目のとき魔理と恋人だったタイガーを思い出す。
タイガーは高校卒業後にGS試験に合格しエミの事務所で正社員となり、
魔理はGSにはならずに大学へ進んで、教員となって母校に戻り就職した。
二人は知り合いの中で一番初めに結婚したカップルになった。

『奥様は女子大生→奥様は女教師』という嫉妬に駆られるコンボだったのでよく覚えている。
そういったことを思い出すと、その当時の嫉妬も蘇ってくる。

(許せ今回のタイガー、今度は俺が魔理しゃんいただく!)


「あたしは一文字魔理、中3だ。六道ってあの六道女学院の六道か?」

「あぁ、冥子ちゃんは理事長の娘さんだよ。中3ってことは霊能科を受験する気?」

「頭使うの苦手だけど喧嘩は得意だから、この目覚めた力でやっていこうと思ってさ」


横島がそんなことを考えているとは露知らず、
魔理は少し恥ずかしそうに進路について話す。


「そうなんだ? 見たところ霊的格闘と霊波砲が主体みたいだね。
 でも、変な癖とか付く前にちゃんとした師匠を探した方がいいよ?」

「師匠かぁ、あたしの知り合いの霊能者なんて一人しかいないし、
 そいつの下に付くっていうのはイヤなんだよ」


的確と思えるアドバイスをして、警戒心を無くさせる。
余裕があるなら文珠で【友】か【好】あたりを使いたいが、
19体も式神を作るので、多分必要になるだろうから我慢である。


「嫌いな人なのかい?」

「別に、別に嫌いじゃねぇよ。すごく努力してるのは知ってるし尊敬もしてる」

「…ふむ、尊敬しているからこそ対等でありたいと?」

「あぁ、まだ全然あたしの方が弱いけど、いつかなれると信じてる」


魔理が話しているのは、弓かおりのことではないかと横島は予想した。
おキヌちゃんが、二人を仲良くさせようといろいろ頑張っていたのを思い出したのだ。


「…なるほど、青春だね〜」

「ばっ、茶化すんじゃねぇよ!」

「HAHAHA♪ 照れるな照れるな」


横島は愛子の台詞を真似つつ、魔理をからかう。
顔を赤らめ怒る姿は萌えである。


「あ、あたしの事ばかりじゃなくてアンタのことも教えろよ!」

「ん、俺? 俺は一応陰陽師だよ。操鼠、自来也」

「ピッカー」「ゲゴ〜」

「うわっ!」


話題を変えようと魔理が話を振ってきたので、式神たちも紹介しておく。
いきなり出てきた式神に驚き、魔理は少し後退る。


「六道といえば式神使いの大家だ。冥子ちゃん直属の俺が式神を使えるのは当たり前だろ?」

「そういやそうだけどよ。式神なんて初めて見たからさ」


そういうと、魔理は近づいてきた操鼠を怖々としながら撫でる。
それが気持ちいいのか、操鼠は目を細めて甘受している。
横島はそれを聞いて、何かを企むように考え込む。


「魔理ちゃん、ちょっと質問していいかな?」

「なんだい?」

「信仰してる宗教は?」

「特に無いね。無宗教ってやつかな? でも、お盆には墓参りするから仏教といえば仏教か?」

「体力とやる気に自信はある?」

「ま、まぁ体力には自信あるけど、やる気って何のやる気だよ?」

「なるほど、じゃあ明後日ヒマ?」

「はぁ? ヒマといえばヒマだけどよ……まさかナンパってやつか!?」

「ナンパじゃないよ。魔理ちゃん、式神使いになってみないかい?」

「はぁぁぁぁぁあ!?」


いきなりの提案にマチ○マチャみたいな声を上げる魔理。
ここが押しどころと思い、横島はまくし立てる。


「いやね、六道さんに頼まれて式神作ることになったんだけど、他人用って作ったこと無いんだよね」

「それで、試作用に2体、俺用に2体、量産型15体作るんだけど、
 試作用を魔理ちゃんに使ってもらおうと思ったんだ」

「試作といっても、量産型とほとんど同じだし、成長次第では強力になるよ」

「い、いきなりそんなこと言われても……」


急な話の展開におろおろする魔理に横島が切り札を切る。


「それに式神使いなら師匠にアテがあるよ?
 六道直属の弟子なら六道女学院には推薦枠があるしね」


つまり、横島は魔理に冥子を紹介して弟子にしてもらえるように口を利くというのである。
六女への推薦は魔理としてはかなり欲しい。学力での入試はかなり絶望的なのだ。

横島にとっての一回目の世界では入学できたが、
学力面では落ちこぼれていたし、魔理にも普通入試で入れる自信がない。


「式神使いだからといって霊的格闘が出来なくて良いわけじゃないから、
 格闘訓練も出来るし、式神と連携して戦うスタイルもあるからさ」

「まぁ、急な話で混乱するだろうから明後日の夕方またここに来てくれないか?
 そのときには答えを聞かせて欲しい」

「……わかったよ。とりあえず明後日はココに来るよ」

「そっか、それじゃまた明後日ね」

「あぁ」


横島は駄目押しをしつつ、答えを先送りさせた。
明日一日中考えても魔理にとって具体的なデメリットがないのでまず問題ないだろう。
冥子のぷっつん癖を知らなければ途轍もない好条件なのだから……。

二人は再会を約し、各々の帰路へと付いた。
帰宅してから横島は今日の訓練をサボったことに気づいた。


明けて翌日、朝早くからスーパー銭湯で禊を済ませた横島は築土神社に来ていた。
神田明神でもいいのだが、ここは平将門を祀っている。
横島はここで平家ガニを式神化するつもりである。

平家ガニは平清盛に従っていた平家の武士達が基になっているのだが、
横島としては坂東平氏も伊勢平氏も同じ桓武平氏だという認識である。
わざわざ厳島神社にいく時間もないのでここで済ませようというのだ。

神社に入ると横島は手水舎で水を汲み、社務所でお守りを購入した。
勝守を赤1つ青9つ、力石御守を赤1つ緑9つ、築土神社木札を大1つ小9つ買った。
結構な出費だが、最低750万円をより高額にするための投資なのだから仕方ない。

横島は拝殿の近くで儀式を行うことにし自来也を呼び出した。
あまり人は居ない時間帯であるが、気を配って社務所からも見えない位置で行う。

勝守を赤1つ、力石御守を赤1つ、築土神社木札を大1つを重ねて用意し、
平家ガニを封じたお札と共に手水舎で汲んだ水に霊気を込めつつ振り掛ける。

神社全体に満ちている神気も相まって、邪気が払われる。
平家ガニの存在が無属性かつ不安定な状態へ変化し、お守りや木札が平家ガニに吸い込まれる。
すかさず自来也が水を操り、平家ガニを閉じ込める。


「願い申し奉る、願い申し奉る、将門公に伏して願い申し奉る!」

「この者をその庇護の下、護りたまえ! 導きたまえ! 力を与えたまえ!」

「名は【朱羅】! 紅き鎧を纏いて万難より主君を守るもの也! 封魔転身!!」


横島の【封魔転身】の掛け声と同時に自来也は水のコントロールを解除し、朱羅を解き放つ。
朱羅の姿はシオマネキに似ている。右の鋏が大きく肥大化して体の半分を覆う。
大きさは19インチのディスプレイ程度で、厚さは30cmほどある。
甲羅は真紅に染め上がっており、その堅さは鋼に匹敵するだろう。


「よろしくな、朱羅」

『シャキーン!』


横島が声を掛けると朱羅は鋏を鳴らして答える。
横島の霊力の消費を抑えるため、朱羅はすぐに影へと入っていく。


「…ふぅ、とりあえず将門公の力は借りられたな。あとはどうやって他人用にするかや」


横島は2つある案を問題点と照らし合わせつつ考える。

他の人間に封魔転身の術を教えて式神を作らせるのは不可である。
簡単に術の胆となる部分を教えると無差別に式神を作る者も出てくるだろう。

横島としては式神化するのは人間に敵意がある妖魔だけで、
美衣やケイ、愛子やタマモなどの基本的に善良な妖怪は式神にしなくていいと思っている。

封魔転身の術は自分の思想をしっかりと受け継いだものだけに伝えるか、
誰にも伝えずに失伝させるかのいずれかになるだろう。


真名を付けないで仮名で済ませるのはどうだろう?

定義づけは式神として転身するのに必須だが、
真名は主人となる使役者との繋がりとして必須である。

横島が仮名で式神化したものを札に封じ、使役者の血でもって真名を書く。
仮名から真名に改名し、血による繋がりを利用して使役者との絆を強める。

この方法でいけるかもしれない。
そう考えて横島は次に魔理用になるであろう試作式神を作る準備をする。

勝守を青1つ、力石御守を緑1つ、築土神社木札を小1つを重ねて用意し、
平家ガニを封じたお札と共に手水舎で汲んだ水に霊気を込めつつ振り掛ける。

あとは先程と同じ要領で儀式をする。


「願い申し奉る、願い申し奉る、将門公に伏して願い申し奉る!」

「この者をその庇護の下、護りたまえ! 導きたまえ! 力を与えたまえ!」

「仮初の名は【蟹1号】! 鎧を纏いて主君を守るもの也! 封魔転身!!」


生まれた蟹1号は朱羅の1/3ほどの大きさで、モスグリーンの甲羅をしている。
一瞬失敗かと思ったが、朱羅が生まれた時より横島の霊力が減っていない。
真名でないことが影響しているのだろう。蟹1号はすぐに吸印札へ封じられた。
ともかく成功である。


「よっしゃー! この調子で残り8体一気にいくでぇ」


横島は勢いに乗ったまま蟹2号から9号までを生み出した。
途中で霊力が枯渇してきたので【回】【復】の文珠で霊力を回復させながらであったが。

すべてを終え、横島は改めて築土神社木札の中を2つ買った。
朱羅を強化する分と魔理へのプレゼントである。


自宅に帰ると横島は【浄】の文珠で蟇大明神の神域に近くなった部屋の空気を一端リセットした。
帰って来る途中に買った海洋深層水のミネラルウォーターとメロウが封じられた札を用意する。
西向きに正座し、息を整え儀式を始める。


「オン アハン ハタエイ ソワカ!」

「願い申し奉る、願い申し奉る、十二天が一柱、水天に伏して願い申し奉る!」

「オン アハン ハタエイ ソワカ!」

「この者をその庇護の下、護りたまえ! 導きたまえ! 力を与えたまえ!」

「オン アハン ハタエイ ソワカ!」

「名は【飛魚丸】! 大海原より出でし敵を切り裂く刃なり! 封魔転身!!」


横島の【封魔転身】の掛け声と共に、飛魚丸が生まれる。
大きさは50cmほどで色は白銀、その形はダツの体にトビウオのヒレが付いたみたいである。
口先はレイピアのように鋭く、ヒレも研ぎ澄まされたナイフのようである。

魚なのに水中じゃなくても大丈夫なのかと思うが、
ふよふよと空中を泳いでいるので問題ないだろう。


「よろしくな、飛魚丸」

『トス♪』


横島が声を掛けると、嬉しそうに飛魚丸は横島に飛びつく。
そして見事に横島の額へと突き刺さる。


「んぎゃーーーーーーーーーーーーー!!」


慌てて飛魚丸をどけると、不用意につかんだため手も切れる。
ピューピューと傷から血を撒き散らしつつ、横島は急いで【治】の文珠を使うのだった。


「ゼーッ、ゼーッ、ゼーッ、………と、とりあえず、鞘を注文しないとな。
 悪りぃけど我慢してくれよ?」


血を止めた後、飛魚丸のヒレをガムテープではさみ、切れない状態にした。
飛魚丸もシュンとしつつも納得してくれたようである。
血で汚れた部屋を掃除して、飛魚丸を影へと収め、試作型の作製に入る。


「オン アハン ハタエイ ソワカ!」

「願い申し奉る、願い申し奉る、十二天が一柱、水天に伏して願い申し奉る!」

「オン アハン ハタエイ ソワカ!」

「この者をその庇護の下、護りたまえ! 導きたまえ! 力を与えたまえ!」

「オン アハン ハタエイ ソワカ!」

「仮初の名は【魚1号】! 海より出でし刃なり! 封魔転身!!」


生まれた魚1号はダツというよりサンマに近いサイズであった。
ヒレも飛魚丸より数段小さいし、全身の色も青味を帯びているがちゃんと式神になっている。
1号を札に封じると、横島は万年床と化している布団に横になった。

さすがに一日で12体も式神を作ると体力も限界である。
飛魚丸の時に血を流しすぎたせいもあるだろうが、横島は泥のように眠った。


翌朝、空腹で目が覚めた横島は昨日の夜何も食べていないことに気づき、
近くの吉野家で牛丼大盛り2杯(ツユだくとネギだく)を食べた。
逆行を繰り返すと豚丼じゃなく牛丼が食べられるというのは横島にとって大きな得なのである。

残りの7体も式神化すると、約束の時間まで朱羅と飛魚丸の訓練をすることにした。
昼過ぎに約束の河川敷まで着くと、早速2体を呼び出す。
攻撃の的としてスチールの空き缶を用意する。


「飛魚丸、GO!」


指示に従い、飛魚丸は空き缶へ突撃する。
先端とヒレに霊気を纏わせ、3本並んだ空き缶の両端2本をヒレを広げて切り裂き、
中央の1本を先端で貫く。今の実力だとちょっとした霊刀程度の威力だろう。


「朱羅、行くぞ!」

『シャキーーン』


横島が一声掛けると、朱羅は鋏を鳴らして返事をする。
横島が少しだけ霊気を纏わせた小石を朱羅へと投げつける。

朱羅は霊気を纏った肥大化した鋏でそれをはじく。
すぐさま2発目が少し高めに来るが、赤いサイキックソーサーを使い防ぐ。

飛魚丸は攻撃に、朱羅は防御に特化した式神となるだろう。

飛魚丸はアンチラとシンダラを参考にしているし、
朱羅はビカラに近い式神になるだろう。

成長しても飛魚丸はシンダラほど速くはなれないだろう。
朱羅はビカラより防御力は高くなるだろうが、攻撃力は低くなりそうだ。

今までの除霊では自来也と操鼠のコンビネーションがうまくいっていたが、
今後はもう少しフォーメーションの研究もしなければならないだろう。
横島は様々なことを考えつつ、訓練を続ける。


そして夕方、魔理が現れる。


「決まったかい? 魔理ちゃん」

「………あぁ、あたし、あたし式神使いになりゅにょ!」


あれ? 噛んだ??


 あとがき

どもyataです。

今回は『魔理ちゃん勧誘大作戦!』『式神誕生大作戦!』でした。
新しい式神達ですが、ちょっとした作成秘話があります。
メロウは確かナイフで攻撃してたな→魚でナイフ→太刀魚?!
と本来は太刀魚な式神でしたが、ちょっとひねってダツな式神になりました。
刺さると痛いらしいですね。夜の海で要注意な魚らしいです。
朱羅は赤にこだわりました。他の蟹より赤くて3倍強くなるはずですw

ではレス返しです。

>ミアフさん

感想ありがとうございます。
幸せの代わりに出番が増え……アレ、涙が止まりません。


>ZEROSさん

感想ありがとうございます。
横島がGS界に入ればその時点で負けは決定してますw
なんとかタイガー救済措置を…取らなくてもいっかw


>にのまえ かずやさん

感想ありがとうございます。
横島の式神ですが、誰にでも使えるというほど便利ではないものになってます。
説明は次回か次々回あたりの本文中で致します。
また南部グループのような状況にならないように横島自身も気をつけてするでしょう。


>kntさん

感想ありがとうございます。
攻略候補については腹案がありますが、ノーコメントでw
式神は攻撃型と防御型になりました。
次回も頑張ります。


>シヴァやんさん

感想ありがとうございます。
神父の髪は薄くないはずがありませんw
初夜ですが、美神やエミに渡したときと同じ状況にするんじゃないでしょうか?


>夢識さん

感想ありがとうございます。
GSとまったく関係ない職業につけば勝てないまでも負けはしない!(不戦敗)


>零式さん

感想ありがとうございます。
やはり専用機と量産機はロマンですよねw
こちらも次回更新期待してます。


>アイギスさん

感想ありがとうございます。
今の師匠ですが、私はたぶん六道傘下のGSが名義貸しをしてると思ってますw


>俊さん

感想ありがとうございます。
あくまで最低ですから雑霊に負けるようなヘロヘロでも50万という最低限の保障なので、
実際はもっと高額になる予定です。


>米田鷹雄(管理人)さま

削除ありがとうございます。
管理大変でしょうが頑張ってください。


>happyさん

感想ありがとうございます。
冥子の教育は次回以降の大きなテーマになると思います。
ご期待ください。


>山の影さん

感想ありがとうございます。
犬神ですか。勉強不足でした。しかし舟幽霊をどう式神にすればいいのか考え付きません^^;
あと、アニメ公式設定と原作設定で冥子の年齢が違うので出来るだけ原作設定でやろうと思ってます。


>ゆんさん

感想ありがとうございます。
一文字さんですが、横島の弟子と冥子の弟子どちらにしようか迷ってます。
まぁ、どちらにしても死なばもろともですがw


>甚六さん

感想ありがとうございます。
今回手に入れた式神は横島は1体ずつでしたが、今後もそうとは限りませんよ(ニヤリ
六道当主はムテキですから勝てません。
FFとかDQとかでストーリーの展開上絶対に負けなきゃいけないときくらい強いですからw

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