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「GSユータロー極楽大作戦七話(GS)」

ミアフ (2006-10-05 22:29)
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七話『ばっと・ごっと・ふぁーざー掘


食事を終え、優太郎達は取っておいた部屋へと移動する。
部屋への道すがら、カオスと唐巣は会話を交す。
「一応、パイパーの分身は倒したからな、今晩のところはもう襲撃はないだろう」
と、自信満々にカオスは言う。
どうやら教会で倒したパイパーは本体が操っていた分身らしい。
「Drカオス。あなたはパイパーの本体の居場所が分かっているのか?」
「ああ、もちろん分かっているとも!」
懐から懐中時計っぽい外見の謎の機械を取り出し、カオスは皆に見せ付ける。
液晶らしい画面には地図が映し出されており、とある一点が真っ赤に点滅していた。
「それは?」
「カオス式多目的魔力レーダー日本仕様!対象の魔力の残滓を取り込むことで、その魔力を衛星軌道上にあるカオス式スパイ衛星から観測、リアルタイムで目標の位置を捕捉するという自慢の一品だ。
既存の中継アンテナを通じてインターネットにも繋げられるのが売りだ。
最近作ったばかりでな、しばらく精度調整してからオカルトGメンにでも売り込もうと思ってる」
レーダーにはN県の地図が表示され、とある山中の一角に光点が輝いている。
それを優太郎は覗き込んだ。
「バブルランド遊園地・・・・・・?」
光点はとある遊園地を示していた。
「ほう、建設が中断された大型テーマパークか。ここからなら、車で一時間で着くな」
カオスはレーダーを操作し、インターネットでバブルランド遊園地の詳細な情報を引き出していく。
「う〜ん、私にはインターネットとかはまったく縁がないから、凄いことだけはわかるんだが」
レーダーを操作するカオスの姿に感心する唐巣。
唐巣の教会にはパソコンなどというものは存在しない。
精々、普通の家電製品(それも一昔前の型)があるくらいだ。
かなりアナログな人間の唐巣は携帯電話すら持っていない。
いや、ただ単に教会の電話代も支払えないことも多々あるので、携帯電話を買っても維持することが出来ないと解りきってるだけなのだが・・・・・・全て貧乏なのが原因である。

部屋に付いた一行は、対パイパー戦のために現在の装備を確認し合う。
まずは優太郎と横島。
「僕達は一応、令子さんの除霊道具を一式持ってきましたが・・・・・・」
横島がいつも背負っている大荷物から、霊力のない一般人でも使える道具を幾つか取り出す。
「精霊石が4つに破魔札が約100枚、吸印紙が30枚、霊体ボーガンが一丁、矢は20本か。
あとは簡易結界が幾つかと見鬼君が一台、霊視ゴーグルが一つッス。
あとは美神さん用の神通棍やボディアーマー、あと特殊弾を込めた拳銃とかが何丁かあります」
「君達はその装備を使ってれーこ君やピート君の護衛を頼む。パイパーがこの子達を人質として狙う可能性もあるし、霊能力の無い人間には魔族との戦闘は厳しい。私とDrでパイパーは引き受けるつもりだ」
唐巣も聖書とショルダーバックにしまっていたある物を取り出した。
べたべたと聖書のページを貼り付けられた、大型銃器のような物体。
大きさは1m50Cmくらいで、やたらと重そうである。
一枚一枚、聖書の封印を剥がしながら唐巣は言う。
「これの封印を解くのも10年振りか・・・・・・」
封印から出てきたのは紅い色をした業務用削岩機の様な道具だった。
「ほう、聖堂教会の退魔用パイルバンカーか?」
「ええ、とある司祭が使っていた概念武装の量産コピーです。重量が80kgもあるんで、体力が落ちてきたここ10年は使ってなかったんですが
・・・・・・どうやら使用できるみたいだ」
唐巣は懐かしそうに杭打ち機(パイルバンカー)を手に取った。
これは炸薬式で、毎秒15発のダマスクス製ステークを打ち出す凶悪な一品だ。
しかも、ステークの下には聖なる力を直接相手に流し込む、チューブアンカーも内臓されている。
本体はチタン合金製で、盾がわりにも使える頑丈な代物。
「随分と重々しい武器ッスね〜」
横島はパイルバンカーを持ち上げようとするが、
「うぉッ!滅茶苦茶重いぞコリャ!?」
持ち上げられない。
それを見た唐巣は苦笑した。
「ああ横島君、霊力で筋力強化でもしないと、そのパイルバンカーは重すぎて使えないんだ。
まあ、そのためにこのパイルバンカーは一部の人間にしか使われなかったんだがね」
軽々とパイルバンカーを持ち上げる唐巣。
パイルバンカーを肩に担いだり、腰だめに構えたりして、使い勝手を確かめる。
「思ったよりも身体が動くな。しかも疲労も感じないか・・・・・・やはり肉体も全盛期まで若返ってる
影響が大きいみたいだな」
自分の身体能力を把握するのも一流の霊能者の条件。
唐巣はまるでバトンでも扱うかのようパイルにバンカーを振り回す。
華麗な体捌きに視線が集まる。
「あんな重そうな物をああも簡単に扱うなんて!」
「すっげー」
優太郎と横島が唐巣の姿に感嘆の声を上げた。
「健全な肉体には健全な精神が宿るというからね。これを使っていた頃は結構鍛えていたのさ。
聖書による洗礼ばかりしていたが、勘の方は鈍っていないらしい」
と、どこか誇らしげに唐巣は語る。

「さて、私の方はこのステッキと魔銃、あとは800年前使った対パイパー用のアイテムを一つ持ってきている」
カオスはステッキを軽く振る。
シャンと音が鳴り響き、石突から浄銀の錐が飛び出した。
教会でパイパーの分身を仕留めた武器である。
ステッキの外側にはルーン文字が刻まれており、使い手が魔力を込めることで強度や攻撃力を高めることができる。
魔銃の方はレトロな外見の短銃だが、霊体を現世に固着化させるイブン・カズイの粉薬を込めた弾丸をセットしていた。
「私は魔族と殴りあうのは不向きな性質なのでね。この魔銃で唐巣君の支援に徹することにしよう」
「それより、対パイパー用のアイテムってなんです?」
「これだよ」
と、優太郎の言葉に答え、ある物を取り出すカオス。
ババン〜!!!っとカオスあ手にしたものを見て、優太郎達の眼差しが冷たくなった。
カオスが持っているものは白い猫耳カチューシャとクリップでとめる猫の尻尾。
一見、デジャブーランドで売っているお土産にしか見えなかった。
ジト眼で横島は言う。
「これをまさか付けろって言うんじゃないよな?」
「いや、普通に付けるのだが・・・・・・それがどうかしたか?」
真面目くさった表情のカオス。
何かすごいものがでると期待していた一同はがっくりと肩を落とした。
どんな錬金術の粋を尽くした代物がでると思ったら猫耳である。
肩透かしもいいところだ。
「いや、お主ら、この猫耳、ただのおもちゃだと思っているのか!?」
皆思っていた。
頷く一同に慌てたカオスが猫耳を握り締めて力説する。
「この猫耳は私が錬金術の粋を込めてつくったマジックアイテムだ。
これを装備したものは猫の持つ魔力をその身に宿すことが出来るというアクセサリだぞ。
先天的な属性にネズミを持っているパイパーにはうってつけのアイテムなんだ!」
いい大人が猫耳を握り締めて熱弁を振るう。
なかなかにシュールな光景だ。
「そもそもこのアイテムは800年前、パイパーを討伐する騎士達も愛用した一品だ。
この猫耳をそんじょそこらの猫耳と馬鹿にするでないわ」
猫耳を装備した騎士の一団を想像した一同。
これ以上無いほど、シュールな光景だ。
「これには開発に半年をかけたんだぞ。対ネズミ用のアクセサリとしては最高の品だ」
そんな熱弁を振るっている最中、おキヌと遊んでいたれーこが横島に近づく。
「ねぇよこちま、この絵本読んで!」
ホテルに来る途中に買った白雪姫の絵本を横島に押し付けるれーこ。
一瞬、横島はおキヌの方を見るが、ちょうど彼女はピートを寝かしつけていた最中だった。
いいかげんカオスの猫耳理論を聞くのも馬鹿らしかったので横島は頷いた。
「白雪姫か・・・・・・まあ、いいけど」
いそいそと横島の膝の上に座るれーこ。
にこにこと嬉しそうに笑うって、早く呼んでと催促する。
「・・・・・・そうだ!そこの嬢ちゃん、ちょっとこれを付けてみてくれ」
「なによ?」
れーこに猫耳と尻尾を取り付けようと迫るカオス・・・・・・いろんな意味でビジュアル的に怪しい。
れーこに猫耳と尻尾がセットされる。
どういう訳かピクピクと耳と尻尾が動く。
完全に猫娘である。
猫耳モードになったれーこは言った。
「このこのへんしつしゃ!にゃにするのかにゃ!」
「ふははは!完璧を期すため、装備者の語尾に『にゃ』を付けるオプション機能もついてるのだ!
どうだ凄いだろう?私に抜かりは無いのだよ!」
高笑いするカオス。
その様子に優太郎は思った。
(天才と何は紙一重というが。なんて無駄な技術なんだ・・・・・・しかし、猫耳でにゃんこ語で喋る騎士団、考えるだけで寒気がするぞ)
このやりとりで優太郎の中でカオスへの評価がかなり下った。

「・・・・・・白雪姫と王子様は幸せに・・・・・・」
そこまで絵本を読んでいた横島は気づいた。
膝にちょこんと座っていたれーこがすぅすぅ寝息を立てていることに。
「寝ちゃったか」
よっこらしょ、と横島はれーこを優しく抱きかかえ、ピートとおキヌちゃんが寝ているベットへと運ぶ。
れーこの安らかな寝顔に唐巣は言った。
「いい夢が見られますように・・・・・・」
タオルケットをれーこに掛けた。
「横島君、芦君、私はソファで寝るから、君達がベットを使いたまえ」
「いいんですか?」
「一応、パイパーの襲撃に備える人間が必要だからね。私とDrで万一に備えよう」
TVを見ていたカオスが振り返って頷いた。
「3時間交代で仮眠を取る事にするか、唐巣君」
「ではお言葉に甘えさせてもらいます」
「じゃ、お休みッス」
芦と横島は二人の言葉に甘えて、ベットへと潜り込んだ。
二人はほんの数分で眠りに落ちた・・・・・・

いつのまにか優太郎と横島は暗闇の中にいた。
「んぉ?真っ暗なのに、芦の姿が見えるな?まるでうっすら光っているみたいに」
「横島君か?あれ、おかしいな、僕は寝ていたはずなんだがな?」
突然、訳の分からない空間に放り込まれて二人はそろって頭を悩ませる。
が、その疑問はすぐに解消された。
「二人共、落ち着きなさい。ここは貴方達と私の夢を繋いだ空間なのよ」
暗闇のぼぅっと令子が浮かび上がる。
れーこではなく、大人の令子である。
「脳が子供になっちゃたんで、詳しいことは話せなかったんだけど、魂を繋いだこの空間なら直接話しができるわ」
「テレパシーという奴ですか」
優太郎がなにやら納得したような表情で頷いた。
その様子に令子は満足したように微笑む。
「理解が早くて助かるわ芦さん。横島君とは大違いね。そう長く、この空間も維持できないから、手短に話すわよ」
突如、三人の前に遊園地の映像が浮かび上がる。
まるでCGのように精密なホログラム。
「貴方達が妙神山に行っている間に、バブルランドの改修工事を行っていたスタッフが全員、子供の姿で発見される事件がおこったわ・・・・・・で、業者からウチの事務所に依頼が来たの。
目撃証言と事件の内容から、パイパーの仕業と私は判断して金の針を取り寄せておいて、二人が帰ってきてから仕事に取り掛かろうと思ってたのだけど・・・・・・」
映像が切り替わる。
パイパーが令子の事務所に出現した時の光景だ。
金の針を調べていた令子の所にパイパーが急襲を仕掛ける。
笛を吹きかけたパイパーに対して、咄嗟にイヤリングについていた精霊石を投げつける令子。
「危ないところだったけど、なんとかそれで撃退できたわ・・・・・・こっちも記憶と経験の一部を奪われ、子供にされちゃったけど」
たはは、と苦笑気味に令子が笑う。
「子供にされちゃった時はどうなるものかと思ったけど、この分ならなんとかなりそうね。
若くなった唐巣先生も予想外だけど、あのDrカオスまで手を貸してくれるなんて」
「あの人、本当に頼りになるんですか?僕はイマイチ、あの人を信用できないんですが・・・・・・?」
優太郎が猫耳バンドを自慢げに語る錬金術師のことを思い出す。
「大丈夫よ。私も噂でしか聞いていないけど、Drカオスと言ったら、今よりオカルト技術が高かった中世では、その名を知らないものはいないって言うくらいに活躍していた人よ・・・・・・それに全盛期の唐巣先生がいるから心配しなくても大丈夫!」
「そんなに神父って強いんスか?今の神父は無茶苦茶、強そうだけど」
横島の言葉に美神は微塵も心配ないと言った顔をした。
自分の師匠を信頼しているのだろう。
「若い頃の唐巣先生は、真祖の吸血鬼を相手に互角で戦えたって言うわよ。
人を子供に変えるようなちんけな魔族なんて目じゃないわ」
ゆっくりと令子の姿が薄れていく。
「もう時間みたいね・・・・・・今回は二人にもお礼を言っとくわ。子供にされた時、本当にピンチだったしね。それに・・・・・・」
ほとんど見えなくなっていく令子の姿。
「横島君、絵本読んでくれてありがと。嬉しかったわ」
「え!?」
どこか照れたような表情を浮かべ、令子の姿は完全に消えた。

「おい、起きろ。だぞ。坊主共」
寝ていた優太郎と横島はその声で覚醒した。
カオスがなかなか起きない二人を起こしたらしい。
「・・・・・・さっきの会話は夢か?」
「いや、俺も同じ夢を見たぞ」
起き立ての二人は互いにれーこを見た。
幸せそうに眠っている。
その腕には白雪姫の絵本が大事に抱えられている。
「朝食を摂ったら、バブルランドに向かうよ。君達も用意しなさい」
唐巣が引き締まった表情で言う。
「敵もそろそろ動く頃合だろう。こちらから先手を打って仕留める」
静かにパイルバンカーの引き金に手をかける。
闘志全開、やる気十分、不敵に笑う唐巣。
・・・・・・パイパーとの決戦はもう数時間後に迫っていた。


あとがき

次回でパイパー編は終了。
唐巣の装備は巨大杭打ち機に決まりました。
元ネタは型月でなく、ディグ○グです。
ぷくぷくポンっと逝っちまいな!な武装です。
はじめは黒鍵とか魔力を封じる円盤とか考えていたのですが、もう使われているようなので。
闘う神父って意外と少ないですね。


レス返し


名無さん

引力で髪が抜けていくことも考えてましたが。
ハレルヤで最強の高校生ロックバンドを思い出しました。
彼の使った武器をだそうか迷ってます。

azumaさん

今の唐巣はこのまま生きていくと将来そうなるかが分かってます。
今のうちから髪を守る努力をすればきっと大丈夫です!
杭打ち機です!でも唐巣は分の悪い賭けはしないのです。
主役はしばらくモブ扱い(ヒド!


内海一弘さん


風船どうしましょう?
若唐巣は一発ネタだったからなぁ。
まだ扱いが決まってないんですよ。


meoさん

いや〜筆者が杏仁豆腐好きじゃないんで。
マーボーは好きなんですけど。
運命の神父はある意味唐巣と対極にいる存在だと思います。


スケベビッチ・オンナスキーさん

修正しました。
ロザリオが爪でたぐって使うのは知りませんでした。
こちらの不勉強です。
あと主役二人は霊能力に開花するまで目立ちません。
しょっぱい漫才がメインですね。


HEY2さん

堕天ですか?
唐巣神父がダークサイドに染まると、某マーボー神父になっちゃうような?
唐巣がれーこを養女にしちゃうと物語が進まないので書けませんよ(汗

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