横島がワルキューレの部屋に転がり込んで、一ヵ月半。
ワルキューレがいつものように帰り支度をしていると、何やら紺色の物体を手にした飛縁魔がやってきた。
「あのね〜? ワルキューレ」
「何だ? 飛縁魔」
「これ、もらったのぉ〜」
「スクール水着? なぜ?」
「引っ越し祝いに、ワルキューレにあげる〜」
「え、何で? あ、おい!」
「じゃ〜ね〜」
ワルキューレは、スク水を手に入れた!
謎のスクール水着。
サイズもワルキューレには小さく、季節的にも全然合っていない。ワルキューレにとって、必要性はゼロの代物である。
だが、無意味に見えるものでも、そうでない場合がある。いろいろな意見を聞いてから、ものの価値は判断されるべきなのだ。
帰宅したワルキューレはとりあえず、いきなりもらったスクール水着について、横島に相談してみた。
「というわけで、忠夫。これ、どうしよう?」
「着て下さい」
「は?」
あまりのレスポンスの速さと真剣さに、ワルキューレは唖然とする。
何だこの真剣さと迷いの無さは。
何故そんなに男前な顔をしているのだ。
大体において、夏はもう過ぎてしまったのだ。水着を着るには肌寒いことこの上ない。
それに、これを自分が着ればサイズ不足でぴちぴちになってしまう。着ろと言われても、恥ずかしくて着れるわけが無い。
「いや、おい、ちょっと待て、いきなり着ろといってもだな、サイズが私には一回り小さいから、」
「ならばなおさら着て下さいよ! お願いしますよ! わかってくださいよ!」
ワルキューレの言葉を途中でさえぎり、横島は土下座して頼み込む。
その目からは滝のように涙が流れ、床に水溜りを作っている。
すごい情熱だ。もうちょっと頑張れば、水不足で困る村を救えるかもしれない。
しかし、だからと言って、ワルキューレも「はいそうですか」とスクール水着の着用を承服できるわけが無い。
いくら恋人の頼みとはいえ、そんな常識はずれなことをさせられるのは、まっぴらゴメンだ。
というか、冷静に考えて、なぜわざわざ自分がスクール水着を着なければならないのかがわからない。
「いや、そんなことを言われても……」
「そこを何とか! なにとぞ! なにとぞ!」
冷静な才女と、意味不明な情熱を持った男。
その混沌とした交渉は、ある意味、冷静と情熱のあいだ。
「いや、だから、」
「なにとぞ! なにとぞ!」
「ちょっと待ってくれ、あの」
「待てないんだよ! 俺の人生は! だからなにとぞ!」
こうした押し問答の結果……
…………10分後…………
「こ、これでいいのか……?」
スクール水着に着替えたワルキューレがいた。
サイズが小さいから体のラインがもろに出ており、裸よりも恥ずかしいことになっている。
今にもこぼれ出しそうな胸は言うに及ばず、豊かなヒップのせいで、股間はギリギリの角度しか隠せていない。
「うぅ……恥ずかしい……」
胸と股間を手で隠しながら、ワルキューレは恥ずかしそうに座り込む。
全身に横島の視線を感じる。まるで視線で犯されているようだ。
普通にする時より、数百倍恥ずかしい。
と、不意に横島が黙ってワルキューレを抱きしめた。
「え……?」
突然の抱擁に一瞬とまどうが、ワルキューレは安んじてそれを受け入れる。
もしかしたら、わかってくれたのかもしれない。
もともと優しい男だし、自分が嫌がることは決してしない。
スク水を着ろというのも、ちょっとした冗談のつもりだったんだろう。
そう思ったワルキューレは、甘えるように横島の胸に顔をうずめる。
(ん?)
妙に鼓動が速い。
しかも、呼吸もかなり荒い。
明らかに、おかしい。
不審に思ったワルキューレが、横島に声をかけようとしたとき、それまで沈黙していた横島が口を開いた。
「し……」
「し?」
おもわず聞き返すワルキューレ。
さすがの彼女も「し」と言われただけでは何が言いたいのかわからない。
何が言いたいのかと、ワルキューレが上目遣いに横島を見上げた瞬間、
「辛抱たまらん!」
「きゃっ」
とうとう我慢の限界を超えた横島が、ワルキューレを勢いよく押し倒した。
そのまま、ワルキューレの唇を自らの唇でふさぐ。
「ちょっと、あ、んうっ、くちゅ……ちゅる……じゅぷ……んふっ……」
水音が響き、横島の手がワルキューレの体を這い回る。
その感触に、すっかり開発されたワルキューレの体はすぐにスイッチが入り、熱を帯び始めた。
「んあっ……手つき、エッチだ……ちゅ……」
「お前だって……舌、絡めてきて……ちゅぷ……エロい……」
口の中を蹂躙する恋人の舌が、熱い吐息が、お互いをどろどろに溶かしていく。
快楽を求める本能に従い、自然と二人はお互いの体を擦り合わせ始めた。
相手の体の熱さとやわらかさに、どんどん引きずり込まれていく。
しばらくそうしてもどかしい快楽を楽しんだ後、横島がベルトを外しながら身を離した。
「ワルキューレ、入れるぞ……」
そう言って、もどかしそうにジーンズごとパンツを脱ぎ捨てる。
股間では、肉棒がこれ以上ないほど存在を誇示していた。
「あぁ……凄い……」
普段より大きくなっているそれに、ワルキューレの視線は釘付けになる。
その視線に気づいているのかいないのか、横島は荒い息を吐きながらワルキューレの股間を隠す布をずらし、見せ付けるように秘部にあてがった。
そのまま一気に根元まで挿入する。
「あ、あ、あぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
興奮で性感が昂まっていたワルキューレは、入れられただけで達してしまった。
絶叫を上げて背筋を反らせ、ぴくぴくと痙攣する。
「あへ……ひぃ……しゅごひ……」
涎を垂らしながら、虚ろな目で呟く。
だが、それで終わるはずがない。
横島はしばしワルキューレの膣圧を味わった後、一転して獣のように腰を叩きつけ始める。
ぱぁん!ぱぁん!ぱぁん!
「ワルキューレ! ワルキューレぇ!」
「あ、あ、ただお、ただお、ただおぉ」
肉がぶつかり合う音の中で、お互いの名前を呼び合いながら快楽をむさぼる。
一突きごとに、お互いの名を口にするごとに、体の境界線が溶け出して、一つになっていくような感覚が生まれる。
そんな不思議な感覚の中で、横島が目の前で上下に揺れる、ワルキューレの胸に顔をうずめた。
水着に自分の匂いを染み込ませるように、顔をこすり付ける。
「ひぃあ、そんな、水着ごしにグリグリするなんてぇ!」
普段とは違う愛撫に、ワルキューレの背筋が震える。
きつい水着に締め付けられる感触と、いつもと違う布地越しの愛撫がもどかしく、愛おしい。
たまらずに横島の頭を抱きしめる。
「もっと、もっとしてぇ!」
ワルキューレの求めに、横島はさらに腰を振り、顔をこすり付けることで応える。
横島の、肉棒で突き殺さんばかりの激しい動きが、ワルキューレを再び絶頂に押し上げていく。
「あ、は、あ、あぁ、ひう、くんっ、あっかはぁ!」
その大きな波に意識が呑まれていくワルキューレの口からは、もう意味の無いあえぎ声しか出てこない。
スクール水着から、汗とほのかな塩素の匂いが漂う。
水着を一枚通った相手の肌の感触が、何ともいえない。
いつもと違ういやらしい感覚に、さらに興奮を煽られた二人は、少しの隙もないほどぴったりと絡み合っていく。
「んあ、あぁぁ! い、イク、イク!イクから、いっしょに! いっしょ!」
「ああ、一緒に! 一緒にイこう!」
快楽の嵐に打ちのめされながらも、ワルキューレは懸命に一緒にイこうと横島を誘う。
その健気さに横島の愛情と獣欲はさらに掻き立てられ、さらに激しく肉棒をワルキューレに突き入れる。
そして、ワルキューレが絶頂すると同時に、横島も彼女の中に解き放った。
「あ、あはぁぁぁぁぁ!」
「うぁぁぁぁおおぉぉぉぉぉ!」
ドクッドクッドクッ
横島は射精した後も腰を動かし続け、最後の一滴までワルキューレの膣内に流し込み、胸に抱かれたまま脱力する。
化繊に包まれた、張りのよい柔らかさを頬に感じながら、荒い息を吐き出した。
ちらりと視線だけ頭の上を見やると、ワルキューレも絶頂の余韻に浸りながら、だらしない顔をしている。
自分を包み込んでくれている恋人はそんな顔さえとても綺麗で、淫らで、可愛い。そして、この表情を見てもいいのは自分だけ。横島の中に、誇らしい想いがこみ上げてくる。
幸せな気分でまぶたを閉じて、息を吸い込んだ。塩素の匂いとともに、ワルキューレ自身の香りが横島の鼻腔をくすぐる。
そのまましばらく、恋人の柔らかな胸の心地よさに身をゆだねる。
安心感と満足感、その他もろもろの暖かいものが、眠気を誘う。
夢うつつのぼんやりとした意識の中で、横島の頭に、ふといやらしい思い付きが浮かんだ。
その思い付きを実行すべく、ワルキューレの腕から頭を抜き取り、性器の結合を解く。
ちゅぷっ!
「んあんっ! いやぁ、抜くなぁ!……もっといっしょぉ……」
胎内の喪失感を感じてぐずるワルキューレ。
横島はその頬にキスしてから背中を向け、彼女の顔を膝立ちでまたぐ。
「んっ、忠夫ぉ? 何を……」
「第二ラウンド♪」
突然の横島の行動が理解できず、困惑した声を上げるワルキューレをよそに、横島は手を付いて四つんばいになった。
そして右手で淫液に塗れた肉棒を掴み、スクール水着で締め付けられている胸の谷間にあてがう。
そのまま、さっきワルキューレの秘部に挿入したように、一気に突き入れた。
「あえぁ、やぁん、そんな、おっぱい、おま○こみたいにするなぁ……あぁ!」
ズチュ! ズチュ! ズチュ!
いきなりの責めに抗議の声を上げるワルキューレの言葉は、横島は荒々しいピストンと、肉棒にまとわりついた淫液が起こす卑猥な音で遮られた。
ズチュ! ズチュ! ズチュ!
窮屈なスクール水着に閉じ込められたワルキューレの巨乳が、ガチガチに勃起した横島の肉棒を包み込み、絶妙に圧迫して横島に快楽を与える。横島は、見せ付けるように激しく肉棒を乳房に突き入れて、ワルキューレの淫欲を煽っていく。
目の前で行われる執拗な胸への蹂躙に、ワルキューレは段々と、まるで性器を突かれているような感覚を覚え始めた。
胸を突かれるたびにその感覚は強くなっていき、どんどん体は淫らな熱を帯びていく。
理解不能の、しかし否定しようのない快楽に、ワルキューレはとまどいの声を上げる。
「何でぇ? 何でおっぱいでこんなに感じるんだぁ…?」
快楽のもやのかかった頭では、その答えが出るはずも無い。
そうしているうちにも、胸に横島が肉棒を突き込むたび背筋を走る快楽で、頭はどんどん痺れていく。
混濁していく意識の中で、ワルキューレは、自分が腰を知らず知らずのうちにもじつかせていることに気づいた。
「あ、あ、あぁ?」
股布をずらし、女陰に手をやる。
割れ目をなぞると、電気の走る感覚とともに、新しい淫蜜の感触があった。
こんな風に胸を犯されることに快感を感じているという事実を突きつけられ、まるでもう一人の自分に、ヘンタイと言われたような気分になる。
しかし、そんな罵声も、暴走する体の前では、悦楽へのスパイスにしかならない。
本能剥き出しの肉体が、割れ目をなぞった時の電気が走る感覚を渇望し、女陰をいじる手が止まらなくなった。
貪欲に動く手が、カチカチに勃起したクリトリスをかする。
「あやぁぁぁぁぁぁ!」
一段と高い波が彼女の思考能力をさらっていった。
頭の中が一瞬真っ白になった後、すぐさま肥大した獣欲に制圧されてしまう。
理性が吹き飛んだワルキューレの手つきは、さらに激しさを増していき、最終的に横島に見せ付けるように両手で秘部をかき回し始める。
それを見せ付けられて、横島が昂まらないはずがない。
興奮と比例するように、さらに激しく腰を叩きつける。
ワルキューレはその様子をオカズにして、さらに盛大なオナニーにふける。
横島はそれを見てまた興奮し、もっと激しく肉棒を突っ込み、その動きは再びワルキューレのズリネタになる。
興奮の無限ループに、二人はどんどん深く陥り込んでいく。
「ああ、すげえ! 胸マ○コ使われながらオナニーとか! エロ過ぎ! 最高だ! ワルキューレ! 可愛すぎ!」
「ひゃあ! わたしのおっぱい、忠夫にマ○コにされたぁ! あぁ! でもいい! 胸マ○コ気持ちいい! オナニー気持ちいい! 全部いい! いいのぉ!」
朦朧とした意識の中で口走る淫語が、ダイレクトに脳に染み込み、無限ループに拍車をかける
いつもと違う興奮。
いつもと違う快感。
いつもと違う一体感。
二人は未知の感覚に翻弄され、暴力的なまでの勢いで絶頂に向けて駆け上がる。
「出る! 出すぞ! ワルキューレ! ワルキューレの胸マ○コに射精する!」
「うん! きてぇ! おっぱいマ○コに、いっぱい射精してぇ!」
こみ上げる射精感を感じた横島の言葉に、ワルキューレは秘部をいじる手を一段と激しくしながら応える。
そして、肉棒をワルキューレの胸の奥深くまで突き入れた瞬間、横島は欲望をスクール水着の中に解き放った。
「おあぁぁぁぁぁぁあ!」
どぴゅぴゅるぴゅぱぁ!
「ひゃぁあぁあぁぁぁぁぁぁぁ!」
密着した肉の間で牡の体液が迸るのを感じて、ワルキューレもまた絶頂する。
仰向けの体が弓なりにそり返ったあと、水着の中に閉じ込められた精液を、胸にすり込むように痙攣した。
あまりの射精の勢いに、スクール水着のお腹の部分から、布地を貫通した精液が滲み出る。
「はぁ、はぁ、はぁ……」
「んんうぅ……熱いぃ……」
そのまま二人は力尽きたように結合を解き、床に大の字になって余韻に浸る。
頭の中をめぐるのは、今日知った新しい世界のことだけ。
今日の営みを反芻するたびに、胸に妖しい悦びが甦る。
当然そんなことを考えていれば、身体が快楽を求めて暴れださないはずがない。
「……なぁ……その……忠夫また、下に……欲しい……」
「……ああ……俺も、もっとワルキューレが欲しい……」
そして二人は、再び淫液まみれの姿でまぐわい始めた。
…………翌日…………
『もしもし、私だ』
仕事中のジークのもとに、姉から電話がかかってきた。
「は、はい! 何ですか? 姉上!」
一大事の予感に、思わず背筋を伸ばす。
真面目な姉が仕事中にも関わらず電話をかけてくるということは、かなりの緊急事態であるはずだ。
第二のアシュタロスの出現だろうか? それとも、要人の暗殺計画を掴んだのだろうか?
いずれにせよ、隠密、かつ迅速な行動が必要とされる案件であるのは確実だ。
一刻を争う事態を想定し、緊張しながら次の言葉を待つ。
『頼みがある』
ジークは姉の言葉に息を呑む。
誇り高い姉が、わざわざ自分に「頼む」と言うのだ。
姉にそこまでの覚悟をさせるような、強大な敵が動いていると見て間違いない。
ジークの背中に、冷たいものが走った。
姉にここまでの覚悟を必要とさせる人物など、魔界にはかなり上位の階級の者に限られる。
彼らのうち、誰が敵であっても、一大事件になることは明白だ。
緊張のあまり手が震える。
落ち着くために、傍らにあったコーヒーに口をつけた。
これで、少しは冷静さを保って、姉の話を聞くことが出来るはず……
『ちょっと秋葉原まで行って、体操服とブルマとセーラー服とふりふりエプロンとメイド服とバニースーツと巫女服とナース服を買ってきてくれ。費用は私が持つ』
ぶーーーーーーーーーーー!
聞いてる途中でコーヒー噴いた。
同時に、姉が男と同棲しているという噂を思い出す。
姉に限ってそんなことは無いと鼻で笑っていたが、まさか……。
「あの、それは、何に使うんですか……?」
嫌な予感を振り払うように、恐る恐る聞いてみる。
きっと、潜入捜査に必要なのだ。そうに決まっている。そうですよね! 姉上!
そんな風に祈りながら、答えを待つ。
『………………いいから買って来い』
ツー、ツー、ツー。
一方的に電話を切られた。
言えないってことはつまり、潜入捜査でなくて、夜の生活に使うってことですね? 姉上。
親の合体シーンを覗いてしまったような、嫌な現実が、ジークの目の前に突きつけられる。
「…………幸せって、何かね?…………」
ジークはショックのあまり、あっちの世界に旅立った。
おしまい。
あとがき
お久しぶりです。岐阜海運夢組です。
煌鬼さんが、スク水を書いてるのを見て、やってしまいました。
エロスは人を狂わせます。
調子に乗って書いていたら、どんどんマニアックな方向に進んで行き、最終的にこの倍ちょっとの長さになりました。そんなシーンを削っても、このザマです。さあ、ヘンタイって罵るがいいさ!
でも、夜回り先生のごとく、「いいんだよ」と言ってくれる人がいれば、救われます。別に端麗グリーンラベルのイインダヨでもかまいません。
では、ご縁があれば、また。
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