インデックスに戻る(フレーム有り無し

▽レス始

「心の声が みそじあまりよっつ目(GS)」

寿 (2006-09-28 02:12)
BACK< >NEXT

夏休みも後数日を残すのみとなった。

エミさんはあれから妙神山に泊り込んで修行を続けている。

俺はこの限られた期間の修行の仕上げに入り、それも何とか形になってきた。

そして今日もヒャクメ、エミさんと共に小竜姫様のもと、修行を行っていた。

「ん?小竜姫〜、上から誰か来るのね〜。」

「え?そんな話は聞いてませんよ?」

ヒャクメの突然の呼びかけに小竜姫様は訝しげに答えた。

「ヒャクメ、上ってなんだ?」

「ああ、神界の事なのね〜。」

「それじゃあ神界からだれか降臨してくるワケ?」

「そうなのね〜。でも事前になんの連絡もないなんていったいどうしたことなのね〜?」

俺たちの疑問に答えた後、ヒャクメも少し考えるような態度をとった。

「まあ正規のルートからの降臨ですから単に連絡ミスでしょう。ヒャクメなんかは連絡なんてしませんしね。とりあえず見てきますから皆さんは修行を続けてください。」

「「「はい。」」」

小竜姫様は俺たちにそう言い残すと修行場を出て行った。

その数分後。

ドタドタドタドタ!!!

小竜姫様が似つかわしくない慌ただしい足音と共に戻ってきた。

「そんなに慌てていったいどうしたのね〜?って・・・この霊気はもしや・・・」

「み、皆さん!!今日の修行は中止です!!」

ヒャクメの問いかけには答えずに小竜姫様がそう普段より大きな声で言った。ヒャクメも何かに気がついたらしく少し顔を引きつらせている。

「りゅ、」

「「りゅ?」」

「竜神王陛下がご降臨なさいました!!」

「やっぱりなのね〜!?」

慌てふためく二人を見ても俺とエミさんは特に動じなかった。

だって関係ないし。

天龍の親父さんで竜族の王。そんな人が俺たちにようがあるわけが無い。

だが俺のそんな考えは小竜姫様の言葉で打ち砕かれる。

「横島さん!!手早く身を清めてきてください!!メドーサの件でのご降臨と言う事で、横島さんにもお話があるそうです!!」

「な、なんですとーー!?」

俺は小竜姫様の勢いに押されて訳も分からずうろたえ出した。

「・・・少し落ち着くワケ。」

一人蚊帳の外で落ち着いているエミさんのため息と共に言った言葉は俺達の耳には残念ながら届かなかった。


突然の竜神王陛下のご降臨から数十分後・・・

小竜姫、わたし、横島さんの三人は竜神王陛下、そして天龍童子殿下の御前にいる。

竜神王陛下。

神界に属する竜族の王にして上級神族。

普段ならお目通りのかなわないお方が今目の前にいる。

そのお姿は威厳に満ち溢れ、竜燐の鎧を纏い、たくましい髭をたくわえ、頭からは竜族の力を現す立派な角が生えている。

「ふむ。皆楽にしろ。今回の降臨は公務でもあるが私用でもある。そのように畏まらずともよい。」

「「はっ!!」」「・・・はっ、はい!」

わたしと小竜姫がその言葉に返事を返すが楽になど出来るわけが無い。横島さんは陛下から発せられる威厳と霊気のおかげで何とか返事をするのがやっとだ。

「父上、霊気を抑えてくだされ。横島は人間なのじゃ。父上の霊気はちときついようです。」

「おお、それはそうだ。」

陛下は殿下の言葉に思い出したように霊気を抑えだした。それによって当たりに満ちていた緊張感がいくらか晴れた。ふぅ、これでなんとか息が出来る。

「それで陛下、このたびのご降臨はいかようなご用件で?」

小竜姫も幾分楽になったのかそう問いかけた。

「うむ。先日の天龍を狙ったメドーサの件でな。まずは皆に礼を言いたい。よくわが子天龍を護ってくれた。」

「!!そのような恐れ多いお言葉、われらは当然のことをしたまででございます。」

小竜姫は慌ててそう言った。

「そう言うな。此度の件は天龍のわがままがそもそもの原因。礼ぐらいは言わせてくれ。」

陛下の言葉に殿下がばつの悪そうな顔をした。陛下はそれを少し見ると言葉を続けた。

「そしてこれが公務なのだが、このたびのそなた達の活躍に褒美を出すことになった。まずは小竜姫。」

「はっ!」

「メドーサを討ち取れこそしなかったが此度の戦い見事であったと聞く。そこでそなたを今後人界で活動する神、魔族の罪人に対する件においてその責任者に命ずる。今後再びメドーサのような者がなにかたくらむやもしれん。よろしくあたられよ。」

「はっ!!竜神小竜姫の名において、しかと承ります。」

小竜姫に与えられた褒美は早い話が昇進。

小竜姫は嬉しそうだ。昇進が、ではない。再びメドーサと戦えることが、だ。

わたしもそうだがあれだけのことをしてくれたメドーサだ。自分たちで決着をつけたい。

「次にヒャクメ。」

「はっ!」

「突然のこととは言え、よくぞ天龍を保護し、導いてくれた。そこでそなたには小竜姫の副官に任ずる。おのが力を活かし、小竜姫と共によろしくあたられよ。」

「はっ!!神族調査官ヒャクメ、しかと承ります。」

わたしも小竜姫と一緒。まあわたしの場合、今までと立場的にはたいして変わらない。

「そして・・・横島殿。」

「はっ、はい!!」

最後に横島さんが呼ばれた。横島さんは相変わらす緊張しているようで上ずった声で返事をした。

「まずはそなたには天龍の父として礼を言いたい。よくぞ己が命をかけてまで天龍を護ってくれた。そなたのおかげで天龍は無事だった。それだけではなく天龍は大きく成長することが出来た。そなたにはまこと世話になった。心から礼を言う。」

「「!!」」

わたしと小竜姫は仰天した。陛下が頭を下げたのだ!!人間に!!

わたしの様な下級神族や、小竜姫のように人間に多く関わってきたものならいざ知らず、上級神族、まして竜族を率いる王が言い方は悪いが唯の人間に頭を下げた。前代未聞だ。

「そ、そんな!!頭を上げてください!!俺、いや、私は小竜姫様の教えに従っただけです!!」

横島さんかなり慌てふてめいてそう言った。

「へ、陛下!!どうか頭をお上げください。」

小竜姫は横島さんの言葉で立ち直ったらしく慌ててそう言った。

「いや、わしも子を待つ親。わが子を救い、更なる高みへと導いてくれた者に下げる頭を持たぬほどうぬぼれてはおらん。」

「・・・父上・・・」

陛下の言葉に殿下は驚いたような顔を一瞬見せたが、すぐに立ち直り、その瞳をまっすぐ父親に向けた。

それは王ではなく、ただの父親の姿。

殿下はそれに気がついたようで、その光景をまぶたに焼け付けんとただ一心に見つめた。

「・・・竜神王様、その言葉だけで十分です。ですからどうか頭を上げてください。」

横島さんのその静かな言葉により、ようやく陛下は頭を上げた。

「・・・横島殿、そなたの心遣いに感謝を。そして小竜姫、良き弟子を持ったな。」

「はっ!ありがたきお言葉。」

「うむ。さて、小竜姫、ヒャクメよ。そなたらに最上級機密を言い渡す。」

「「!?はっ!!」」

陛下は王の顔に戻ると私たちにそう言った。

「此度の件は内密にな。特に老師や我が両親には・・・な?」

陛下はそう顔を崩しながら言った。

わたし達は顔を見合わせると、笑顔になり、

「「はっ!!」」

そう承諾の返答を返した。

「うむ。最後に横島殿、此度のそなたの活躍に対して褒美を出したいと思う。そなたの望む物があれば申してみよ。竜神王の名に掛けてそなたの望みに答えよう。」

「「!!!」」

陛下の言葉にわたし達はもう何度目か分からない驚きを覚えた。

竜神王の名に掛けて。その言葉の意味するものはどのような望みでも叶えると言うこと。

それこそ、金、力、女、なんでもだ。・・・もっともそれらを横島さんが望むとは思えないが。

「いえ、先ほどの言葉だけで十分です。」

横島さんはその申し出を断った。

陛下と殿下は驚いたような顔をしたが、わたしと小竜姫は特には驚かず、むしろ納得してしまった。

ふふふ、横島さんらしい。

「いや、そう申すな。先ほどの事は父親として礼を言ったまで。これは王として言っている。遠慮はいらん。なんでも申してみよ。」

「そうじゃぞ横島。余をあれだけの活躍をした家臣の労を報わぬ主君にしたいのか?」

陛下と殿下は横島さんに再び問いかける。

横島さんは困り顔。陛下はともかく子供に弱い横島さんは殿下にそう言われて本当に困っている。

横島さんはしばらく思案した後、なにかを思いついたような顔をした。

「本当に何でもよろしいのですか?」

「おお、なんでも申してみよ。」

「それでは・・・」

横島さんが望んだことは陛下と殿下に驚きを、わたし達に笑顔をもたらした。


夏休みの最終日。

俺たちはとある場所に来ていた。

そこは多くの人で賑わい、かわいらしいマスコットが迎えてくれる夢にあふれた場所。

その名は・・・デジャブーランド。

「おい、横島!!次はあれに乗るぞ!!」

天龍ははしゃぎながら俺の手を取り駆け出す。

その顔に笑顔をあふれさせながら。

俺があの時望んだこと。それは天龍との約束を果たさせてくれること。

竜神王様は驚いた顔をした後、笑顔でそれを承知してくれた。

そして今日この場所に来ている。

メンバーは俺、ヒャクメ、小竜姫様、天龍、唐巣神父、ピート、おキヌちゃん、そして正式に神界で役人に復帰することが出来たイームとヤームと鬼門の二人。

あの事件に関わったメンバー。・・・そして、なぜかエミさんと・・・竜神王様。

エミさんはピート目当てらしい。いつの間にか二人の姿は見えなくなていた。

そして竜神王様は本人いわく、天龍の護衛らしいのだが・・・

行楽地に来て家族サービスするお父さんにしか見えません。はい。

さっきまで熱心にカメラの使い方を神父に聞いていたと思ったらそれで天龍を取りまくっている。あっ、肩車した。

イーム、ヤームは天龍の後をしっかり付いていっている。その顔は以前見たときより明るく見える。

小竜姫様と鬼門は周りの警戒に余念がない・・・と思ったらそうでもない。

なんでも流石に護衛はいるらしい。それも小竜姫様より強い神様が。

とはいえ流石に走り回る天龍をいつでも護れる位置を常に取っている。

まあ傍目から見れば弟の世話をするお姉さんと怪しい大男にしか見えんが。

ちなみに小竜姫様は普段とは違う服装をしている。青い襟のついた落ち着いた感じのするオレンジ色のTシャツ、そしてその上に薄での白い上着を身にまとっている。下は動きやすさを意識してかジーパン。そして鬼門の二人は黒いスーツ姿。でかすぎてそれぐらいしかなったのだが。

ちなみに服のお金は俺が出しました。お袋が俺に使えといって残しておいたお金が百万あったので。百万残す親も凄いがこの場合は素直に感謝を。

「横島さん、どうかしたんですか?」

おキヌちゃんは俺の肩から離れようとしない。

久しぶりに会ったとき泣かれました。心配かけちゃったな。

「いや、元気だなって思ってさ。流石に俺もへとへとだよ。」

「ふふ、天龍様は元気いっぱいですからね。」

そう言っておキヌちゃんは笑顔になる。

「ほらほら!横島さん、どうしたのね〜?若いんだから疲れてないでもう少し楽しむのね〜!!」

「・・・ヒャクメ・・・お前ははしゃぎすぎだ。」

ヒャクメはデジャブーランドのマスコットキャラのマニーキャットのTシャツを着て、頭にはマニーの耳。そして手にはポップコーンを持ってマッキーキャットの顔を模したポシェットをかけている。

早い話が・・・おのぼりさんスタイルだ。

「そうなのね〜?まあ気にしちゃ駄目なのね〜。それよりほら、殿下も呼んでるのね〜。」

確かに少しはなれたところで天龍が俺に手招きしていた。

「ふぅ、休ませてくれないのか。まあヒャクメの言うとうり、楽しむとしますか。」

俺の言葉にヒャクメとおキヌちゃんはとびっきりの笑顔で答えてくれた。

そして俺たちは楽しんだ。

アトラクションに乗り、ヒャクメとおキヌちゃんが用意してくれた弁当に舌鼓を打ち、全員で記念写真を撮り、日が落ちると幻想的な花火に見入った。

楽しい時間はあっという間に過ぎ去り、天龍ははしゃぎすぎて帰り道の途中で寝てしまった。

それを父親の顔をした竜神王が背中におぶって二人は神界に帰っていった。

そしてみんながそれぞれの帰路に付き、俺は久しぶりに自分の部屋に帰ってきた。

「一ヶ月ぶりか。さて、明日からまた学校だし今日はとっとと寝るとしますか。」

と、一人事を言いながら就寝の準備に入ったとき・・・

スッ・・・

「こんばんは〜なのね〜!!」

突然押入れの扉が開くとヒャクメが飛び出してきた。

「な!?ど、どうしたんだよいきなり!?つーかなんで押入れから飛び出したんだ!?」

「まあ落ち着くのね〜。」

ヒャクメは楽しそうな顔でそう言った。

「ヒャクメ、夜も遅いのですから少しは静かにしなさい!」

そして小竜姫様も押入れから姿をあらわしました。

「な!?なんで小竜姫様までここに!?」

「あ、横島さんこんばんわ。夜も遅くに失礼しますね。」

小竜姫様は落ち着いた様子で挨拶をしてきた。

「はぁ、それはいいんですが・・・いったいどうしたんです?」

「あ、はい。つい先ほど竜神王陛下から連絡がありまして、やはり褒美があれでは申し訳ないとの事で、このような許可が下されました。」

そこで小竜姫様はうれしそうな顔になった。

「まずはこの部屋と妙神山をつなぐ許可が。と言っても横島さんにも都合があるでしょから週の半分だけですけどね。まあ妙神山からは出入り自由なんですが。これでこれからも横島さんの修行を見て上げられますね。」

そう言って小竜姫様は楽しそうに笑顔を見せる。

「わたしは正式に横島さんのサポートを仰せ付かったのね〜。これまでとあんまり変わらないけど、前よりはおおっぴらに動けるのね〜。」

・・・今までもおおっぴらに動いていたと思いますが?

俺の考えをよそにヒャクメも嬉しそうに笑顔を見せる。

「まあほかにもあるんですが、それは後のお楽しみです。」

小竜姫様はそういうが俺は頭の中を整理するので精一杯だった。

しかしそんなこんがらがった頭も二人の笑顔を見ていると一つの結論をはじき出した。

二人が楽しそうにしている。

二人が笑顔でいる。

それにこれからも楽しそうな二人の顔が見れるのなら、みんなの笑顔が見れるのなら。

「横島さんどうしたのね〜?」

「ん?いや、少し考え事をな。わかりました。小竜姫様これからもよろしくお願いします。」

「はい。任せてください。」

俺はまず師である小竜姫様に頭を下げた。

「む〜〜。わたしには言うことは無いのね〜?」

「すねるなよ。まあ、なんだ。これからもよろしくな?」

俺は少し照れながら言うと、

「ふふふ、任せるのね〜!!」

ヒャクメはいつもの満面の笑みで返してくれた。

俺がはじき出した答え。それは・・・

こんな笑顔が見れるなら・・・俺はこの現状を喜んで受け入れよう。

そして、二人の神竜の親子に感謝を・・・


あとがき
今回は少しほのぼのでした。まああんまりどころかギャグはないですが。今回は半オリキャラ、竜神王を出しました。今後あんまり出ませんが。一応今回の竜神王にはモデルがいます。ヒントは『大人の童話』。分かった人はかなり凄いです。そして小竜姫様の格好もモデルありです。ヒントは『せつなさ炸裂!!』。これは分かる人いそう。まあ大して意味はありませんし、「は?どこが?」と言われても反論しようがありません。私はファッション弱いんです。とりあえず今回は竜の親子がメインです。そして久しぶりに下界編です。以前から言っていたタイガーを少し出します。あくまで少し、ですが。

レス返し
始めにご意見、ご感想を寄せていただいた皆様に感謝を・・・

万魔殿様
ヒャクメですからね〜。今回はあんまりヒャクメらしくないかもしれません。さすがにお偉いさんのまえで「のね〜。」の語尾は躊躇われたので。

零式様
今回はおのぼりさんスタイルでした。まあコスプレではないんですが、そういったのが似合いそうなんで。しかし苦し紛れくさいですね〜。我ながら。

究極超人あ〜○様
絶対にいつかそれはやります。しかし今回はよく考えるとお仕置きも無しでした。職場のヒャクメはちょっと違う。みたいな感じです。

内海一弘様
ご意見は大歓迎なので気にしないで下さい。今回はヒャクメのコスプレはかなり弱め。正直に言えば小竜姫様の格好の描写の方が苦労しました。うう、服は着れればいいんです。自分が好きなのを着ればいいんです。うわーーん!!

寝羊様
あんまりほのぼのしませんでした。しいて言えば最後少ししたぐらいかな?しかし事実としてコスヒャクネタがつきかけてます。というかその場にあったコスプレが難しいです。うう、でももう少しがんばりますよ〜。好きなんで。

うけけ様
今回居るのにエミさん台詞少ないです。でもかなり久しぶりにエミさん連続登場です。まあ美神さんも出てませんが。それ以前に弓さんもそろそろださねば・・・

亀豚様
今回はギャグがほとんど無しです。そのかわり小竜姫様にすこしおしゃれさせました。うまく想像してくださいね。うう、しかし元ネタありの格好とはいえその描写も難しいです。

への様
ご意見ありがとうございました。エミさんと戦ってからもう少し横島君は強くなってます。それは今後少しずつ書いていきますが・・・エミさんが横島君に一撃加えられなかったことを美神さんが知ったら大笑いしそうですね〜。

BACK< >NEXT

△記事頭

▲記事頭

yVoC[UNLIMIT1~] ECir|C Yahoo yV LINEf[^[z500~`I


z[y[W NWbgJ[h COiq O~yz COsI COze