沈み行く夕日をバックに、お互いの武器の先端部分が、接触した状態で対峙する忠夫と唐巣神父
「…まさかこの技がこんな形で防がれるなんてね…。」
沈黙を破ったのは唐巣神父であった
そう言うと神父は毛奴・有流々漢を解除し忠夫に歩み寄る
「へへへ…。まぐれっすよ…。」
忠夫は蒼棍を解除し、歩み寄ってくる唐巣神父の姿を見ながら答えると“ガクッ”と力尽きたかのように前方に倒れこんでいく
「戦士・横島君!?」
唐巣神父は忠夫のその様子を見て、慌てて駆け寄り受け止めそっと大地に横たえる
「「「「「忠夫殿(さま)(横島さん)(ヨコシマ)!!」」」」」
そして、当然のように千姫・幸姫・タマモ・姫子・芽衣の5人も忠夫の側に駆け寄る
心配そうに忠夫を見つめる6人
「…だいじょうぶっす…。ちょっと疲れただけっすから…。」
そう言いながら上体を起こし、腕で支えた格好で唐巣神父を見ると“ハッ”としたような表情になり、彼のただ一点を見つめる
その様子に気付いた、女性陣5人も忠夫の視線の先を追うと…
「「「「「!!!!!」」」」」
その先に有ったのは見事なまでに“波○カット”状態に近づいた神父の頭部があった
その変わり果てた姿を認め
― 1人は視線を逸らし、口元を押さえ涙が落ちるのを堪え(リトルドラゴン)
― 1人は後ろを向き、お腹を抱えて体を震わせ(アイ)
― 残りの3人はお互いに顔を見合わせ、なんとも言えない表情を浮かべている(ほか3名)
「し、神父…。その……」
忠夫は涙が出るのを必死に堪え、唐巣神父に話しかける
「…何も言わないでくれたまえ…。戦士・横島君…。」
後悔の表情を浮かべて、自分に話しかけてきた将来有望な(いろんな意味で)少年の言葉を遮り、何処までも穏やかな微笑を浮かべ
「君のような若者の為だったら、…私の………も満足だろう…。」
そう言いながら忠夫の肩に手をのせ、大きく頷く
その様子に“だー”っと涙を流す忠夫・千姫・幸姫・タマモ・姫子・芽衣
そして、遂に忠夫は行動を起こす
「…くっ!千姫!!幸姫!!!…力を…力を貸してくれっ!」
忠夫のその呼びかけに頷き、慈母のような微笑を湛えながら無言で、忠夫の左手に自分達の右手を重ねる千姫と幸姫
「ありがとう…。」
そう忠夫は2人に礼を言い、唐巣神父を見つめ
「…唐巣神父。これから俺がすることは決して他言しないで貰えますか?」
と“きりり”とした表情で言うと、その真剣さが伝わったのだろうか唐巣神父は
「…判ったよ…。神に否、髪に懸けて他言しないことを誓おう…。」
右手で十字を切りながら、その求めに応じた
「有難うございます…。じゃあ、早速いくぞ!千姫・幸姫!」
「「はい!」」
そう言いながら文珠を作り出すべく、右手に精神を集中する忠夫
その額には大量の汗が流れ出し
「くっ!!」
と辛そうな声を上げる忠夫
イメージするのは
― 豊かな草原
― 流れる清水
― 風に揺れる大木の枝と、その大元たる根
≪ キィィィィィィィィィィィィィィン… ≫
淡い光が、忠夫と千姫・幸姫を包み込む
文珠を生成している時に出る音も、何時もより優しい音色を奏でる
そして忠夫の右手には、7人以外からは見えないように、細心の注意を払いながら、6個の文珠が創り出された
文珠に刻まれた文字は…
【毛】【根】【復】【活】
の4文字と
【育】【毛】
の2文字
先ず“毛根復活”の文珠を発動させ、続けて“育毛”の文珠を間をおかずに発動させる
忠夫と千姫・幸姫を包み込む光と同じような光が、唐巣神父の頭部を中心に輝きだす
この光景を見つめる全ての視線の中
― そして“奇跡”は起こった ―
唐巣神父の頭部がまるで、運動をした後のように赤くなり、それと同時に頭に熱と痒みを訴えだす
その直後、その死に絶えた大地のようだった頭部から、まるで草木の芽を出すように次々と毛髪の頭が生えてきた
それは豊かな草原のようになり、次に森のようになり、最後に清流の流れる川のようなウエーブを持った髪の毛へとなる
その姿を認めた忠夫は、満足そうな微笑を浮かべ満足したように
「よかった…。」
と呟きそのまま気を失った…
その後、忠夫達は唐巣神父の勧めで(翌日が丁度休日だったと言う事もあり)そのまま教会に泊まる事となった
(百合子には千姫が連絡をし、唐巣神父と数分間会話をした後、了承をとっている。その間、残りの4人は中継の後始末をしたりしていた)
忠夫が目を覚ましたのは、丁度夕飯の支度が整った時であった
その後も何事も無く?(忠夫の隣を誰が座るかで揉めたりしたが)夕食も済んでから風呂に入り、そのまま与えられた部屋で其々が眠りに着いた
― その頃・魔界のとある洞窟の奥 ―
人間界からの中継を見終えた、長い髪とでかい乳を持った美女(?)が1人、魔界特産の酒を入れたグラスを片手に、中継された戦いを思い出しながら、何か面白い玩具でも見つけたように微笑んでいた…
「暇つぶしのつもりで見ていたけど…面白いねぇ…。あの人間…。確か横島とか言う名前だったねぇ…。
人間の癖にあれだけやれるなら…。ふふふ…。」
妖艶な笑みを浮かべながら1人、今後の計画に考えを巡らせていた
― 翌朝 ―
「ぎゃあああああああああああああああああ!」
唐巣神父の教会を揺るがすような、大きな悲鳴が響き渡る
― ドタバタ ―
その悲鳴で目を覚ました唐巣神父・千姫・幸姫・姫子の4人が、悲鳴の発生源である忠夫の部屋になだれ込む
「どうしたんだい!?横島君!?」
と毛髪が復活し、何処と無く幸せそうな唐巣神父
「ど・ど・ど・どうしたんですかっ!?横島さん!?」
と何故か目の下に立派な、クマができている姫子
「忠夫殿っ!?大丈夫ですかっ!?」
と千姫
「忠夫さまっ!?どうしたんですか?」
と幸姫
「「「「…………。」」」」
そして目の前の光景を見て、言葉を失う4人
目の前には…
芽衣に抱きつかれ、気を失った忠夫の姿があった…
― 数十分後 ―
頭の上に団子状に重ねた、4つのタンコブが間抜けな姿の芽衣を含めた全員で、ささやかな朝食を摂る
「全く。芽衣ったら…。」
ギロリと芽衣を睨みながら姫子が言う
「本当に…。」
と其れに続く千姫
「芽衣の癖に…。」
ジト目で芽衣を見つつ、幸姫も続く
「堪忍なのね〜。(汗)」
その視線に耐えかねたのか、唐巣神父と忠夫に、助けを求めるような視線を送る芽衣
それに対し
「「はははは…。」」
と力の無い笑いで返す忠夫と唐巣神父
と、其処に…
― カラン・カラン ―
来客を知らせる音が鳴る
「おっと。お客様のようだね…。」
助かったとばかりに、その来客を迎えるべく席を立つ唐巣神父
数分後
唐巣神父が案内してきた来客が、一同の前に現れる
それは、2人の美しい女性であった
「……皆、紹介するよ。
私のGSの弟子の“美神 美智恵”君と、その娘の“美神 令子”君だ…。」
何処か諦めたような声で2人を紹介する唐巣神父
その2人を呆然と見つめる忠夫達
「(何故!?何故、隊長と美神さんが一緒に!?)」
混乱する忠夫
それは、嘗ての未来の事を知る者達にとって共通の疑問であることは言うまでも無かった…
≪ 忠夫達と、美神母娘遭遇す ≫
― 追伸 ―
唐巣神父を除いた6人は、呆然としながらもシッカリと見ていた…
神父の毛髪が、窓から爽やかな朝の風が吹き込んでくる度に、“サラサラ…”と飛んで逝くのを(悲)
あとがき?
どぉもぉ〜。零式です。
よんじゅうはちかいめのれんぞくとうこうです。
前回は、一寸ネタに走りすぎたかなぁ?と反省している今日この頃です。
さて…。
“祝・唐巣神父!髪の毛復活!!”
と言う訳で、唐巣神父の現在の髪の毛は、若かりし頃と殆ど変わりません。
…もっとも、すぐ原作の状態まで進行しそうですが(笑)
せめて一時だけでも夢をね…。
そして遂に!原作の一応のヒロイン?である美神令子とその母・美智恵が登場しました
彼女達は、ある事件の元を持って唐巣神父の教会を訪ねてきたのです。
ある事件とは果たして?
待て次回以降!
で、レス返しっすよ?
いりあす様
こんばんは^^
…悲しい必殺技ですねぇ…。ほんと;;
忠夫君が直ぐに倒れた為、男○一号生の解説好きな面々ネタはできませんでした;;
かなりあ様
お久しぶりです^^
喜んでいただけて光栄です。
ゲイ○ルグネタは他の方のSSで結構やってましたので^^;
今回はこれで^^
内海様
まいど^^
必殺技の読み…。私も涙が…しんぷぅぅぅぅっ(ノ_・、)シクシク
横島は強いですが、体力と精神力(集中力)のバランスが上手く取れていないので消費が激しいのです。
登場したのは、美神母娘でした。
whiteangel様
こんばんはー^^
そうです。月○の技です。
格好良くて好きなんですよ。あの技。
文珠はカメラ位置?などを考えて映らないようにしているので今の所バレテイマセン。
唐巣神父に対する説明は次回以降にする予定です。
秋桜様
どもー^^
ほんと…。代償は大きいモノデシタ。
復活したけど長続きしそうに無いな…。哀れ神父
登場したのは美神母娘です。
槍で考えたらでてきました。
そーです。そのとうりです。
BLESS様
まいどぉ^^
涙流しつくしてミイラになってください(笑)
ちょっと、混沌としてきたので一寸整理してみようかな〜と思ってたり…。
ア・デ・ランスの効果?
毛の様に細い物を分断します。
当然血管もね…。
喰らってみますか?(ニヤリ)
meo様
どもぉ^^
ああwランスネタかんがえとかないとっ!
おそらく、めいど・いん・混沌&紫魔神?
美香様
こんばんは^^
前回はちょーっとやりすぎたかなぁと思ってましたが。
一応、軌道修正は少しずつしていきますんで^^;
盗猫様
まいどっ!
唐巣神父の今回の技と魔装術は性質が違う設定ですので。
その辺は作中のにて…。
なんか、あの作品頭からぬけないんですよ…。不思議ですね?
意外と名作だったりして。
アイク様
どんもー^^
復活させましたが、直ぐもとの状態になりそうです(笑)
DOM様
こんばんは^^
なんか、神父がかっこよすぎな気が…。
ネタ技喜んで頂けてよかったですが。
ちょっとやりすぎですかね?
すんません。クウガみなかったんです。色々つごうがあって。
出てきたのは、美神母娘です。
ぶろ蔵様
他の作品のネタに関しては徐々に色々と修正していくつもりですので。
当初の予定通りに行くようにしたいですね。
なんとか。
と、
50話のレス返し一件抜けていましたので今此処で。
kamui08様
いつも有難うございます。
そーですね。頼もしいですね。
それだけなら…。(うふふ)
以上です。
さて次回以降で、原作で起きた事件の前倒しが起こります。
どのような事件でしょうか?予想していて下さい。
では、次回更新でオアイシマショウ^^