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「GSユータロー極楽大作戦五話(GS)」

ミアフ (2006-09-27 18:21/2006-09-28 09:05)
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五話『ばっと・ごっど・ふぁーざぁー・機

「こ・・・・・・この世界まーたいていのことはなんでもアリだが・・・・・・信じられんな―――!!」
と洩らすのは唐巣和宏。
さえない中年に見えるが一応、令子とピートの師匠である。
幼児化したれーこを連れ、唐巣神父の教会に駆け込んだ優太郎達。
おキヌのたどたどしい説明では、令子はピエロのような魔族に襲われ幼児となったらしい。
霊能力のない助手だけで事務所に留まるのは危険と判断した優太郎は安全な所で情報を整理する必要があると判断し、ここ一番頼りになりそうな知り合いの元に庇護を求めたのである。
「やー!れーこ、遊園地にいくのー!よこちま連れてけー!!」
「ああもう、わがまま言わないでくださいよ美神さん。後でかならず連れて行ってあげますから」
れーこを抱っこしながら横島は約束する。
幼児になったれーこのお守り役には子供の扱いが一番上手かった横島が引き受けた。
世話されているれーこも満更ではないらしく、横島にとても懐いていた。
「本当?」
人差し指を口にあて、れーこは小首を傾げる。
その気のある人間ならそくお持ち帰りされかねない可愛さを醸し出している。
その様子の令子の師である唐巣は呟いた。
「まさか、子供の頃の美神君がこんなに可愛かったなんて・・・・・・誰があんな風に育てたんだ?」
「同感です」
優太郎はお札を扇のように広げて、高笑いする令子の顔を思い浮かべ、唐巣の意見に賛同した。
守銭奴で傲慢で世の中舐めきって、そんな人間にもこのように可愛らしい時代があったとは。
時の流れは極めて残酷である・・・・・・
「あーやっぱり美智恵君の教育が悪かったのかな〜」とブツブツ呟く唐巣。
れーこの顔を見ながらその母親の事を思い出す。
そして薄くなった自分の髪に手をあて、さめざめと泣いた。
いろいろと話が脱線しているのに気づいたピートがおキヌに訊ねた。
「ええと、美神さんがこうなった事について、一からきちんと説明してもらえないかな?」

「はい、美神さんがあんなことになったのは昨日の夜の事でした・・・・・・」
おキヌの説明に一同は耳を済ませる。
「なんでもみょーじんざんでの修行の後、なんでもしゅーふくひが予想以上にかかったって美神さんが言ってました。
それに横島さんやユータローさんがいないのもあって、二人が戻ってくるまで、赤字の補填もかねて国連から懸賞金がかけられている大物の魔族を退治する準備をするって、いろんなところに電話をかけてました」
その言葉に密かに安堵する優太郎。
(どうも妙神山の工費はケチらなかったみたいだ。流石も美神さんも神罰は怖かったのかも)
小竜姫と一緒に心配していた欠陥工事についてはモーマンタイのようだ。
「で昨日、その魔族を退治するための道具が届いたそうです」
そう言ったおキヌの言葉の反応して、れーこはポシェットから小さい針を取り出した。
「これで遊園地いってあいつをやっつけるんのかやー!」
れーこが握り締めているのは長さは五センチほどの純金製の古びた針。
それを見た唐巣は目を細めた。
一見すると単なる針のように見えるのだが、内包されている魔力はとてつもなく強大だった。
それなりに鍛えた霊能者ならその針に秘められた魔力の大きさに恐れを抱くだろう。
「それは金の針かね・・・・・・?それに美神君の子供化、国連の指名手配の魔族・・・・・・まさかッ!?」
温和な表情から一変、超一流のGSの顔になった唐巣はおキヌに訊ねる。
「もしや、美神君が退治しようとしていた魔族は、『ハーメルンの笛吹き』悪魔パイパーではないのかね!?」
「えっと確かそんな名前を美神さんが言ってたと思います」
「つーか、パイパーってなんすか?」
横島の問いに唐巣は真剣な表情で答える。
「悪魔パイパー。その昔ヨーロッパを荒らしまわり、国連が懸賞金をかけて世界中のスイーパーに抹殺を呼びかけている悪魔族の一匹だ!!」
唐巣は教会の片隅にある戸棚から、一枚の指名手配書を取り出した。
古びた写真には禿げたピエロの格好の悪魔が写っていた。
その下にはデットオアアライブ(生死を問わず)と赤い字で書かれている。
「パイパーの能力は笛の音で人間の年齢を奪い取り、対象を子供に変える、いや戻すという。
童話、ハーメルンの笛吹きの元になったとも言われている魔族だ。
数百年前にとある僧侶に敗れて魔力の源を奪われて以来、あまり表には出てこなかったというが・・・・・・」
「・・・・・・危険な相手なんですか?」
「・・・・・・一流のGSが束にならないと、相手にならないだろうな」
唐巣の言葉で重苦しい沈黙が教会の中に広がっていく。

ちゅらちゅらちゅららら〜〜〜♪♪♪
どこか間抜けなラッパの音がどこからか流れてきた。
重苦しい雰囲気が一転、緊迫した空気に変わる。
硬直していたメンツの中いち早く行動したのは唐巣だった。
「いかん!!みんな逃げろ!!」
懐から精霊石を取り出し、己の霊感に従ってそれを投げる唐巣。
眩い光が教会を照らし、侵入した悪魔の笛を中断させる。
「ふふふ、いい勘してるじゃないか。おいらの存在に気づくなんて」
見ればステンドグラスから半透明のピエロが顔を覗かせている。
ハーメルンの笛吹き、パイパー。
そのままステンドグラスをすり抜け、唐巣と対峙する。
「ほっほっほ。昨夜はそこのガキにしてやられたが、今度こそおいらの金の針を返してもらうよ!」
ニヤニヤと嫌味な笑いを浮かべながらパイパー。
見ればれーこの持つ金の針を凝視している。
「貴様が悪魔パイパーか・・・・・・美神君の仇は師である私が討つのが筋だろう。ピート君、れーこ君達を守ってくれ」
「は、はいっ」
唐巣は聖書を片手にパイパーに立ち向かう。
「ほう、下等な人間が!?おいらに刃向かうなんて生意気なんだよ!」
片手を突き出し、唐巣に向かって魔力砲を発射するパイパー。
だが、唐巣は懐から銀細工のロザリオを取り出して祈る。
「主に災い為す荒野の悪魔の力よ!主と精霊と父の名において命ずる!!退け!!!」
ロザリオを中心とした結界に魔力砲が遮られた。
このロザリオは唐巣が自作で作った精霊石内蔵の除霊用ロザリオである。
もっとも効率よく周囲からの霊力を吸収し、開放すること目的として彫られている。
これをフルパワーで使用すれば、中級神魔族の一撃にも耐えうる結界を展開できるのだ。
「へぇ。さえない見た目の割りにはなかなか強いじゃないか?」
その一言に唐巣の額に井マークが張り付く。
自分の枯れた風貌に思うところがあったからだ。
「・・・・・・見た目で判断するとは三流のやること。侮ってもらっては困るなパイパー」
「言うねぇ!」
互いにジリジリと距離を詰め、霊力と魔力がぶつかり合う。
両者の放つ緊迫した雰囲気にギャラリーと化した優太郎達もつばを飲む。
「へっ、まともに戦うのはおいらの趣味じゃないんでねッ!」
「なに!?」
突然、パイパーは天井近くまで大きく飛びのき、手に持っていたラッパを構える。
「おいらの目的はあくまで金の針なのさ。お前達に構っている暇はないのさ!」
ちゅらららららら♪♪♪
笛の音が再度教会に鳴り響く。
パイパーの笛の音を中断させようと唐巣は懐に手を突っ込む。
が。
(しまった・・・・・・精霊石のストックがない!?)
万年金欠病の唐巣には精霊石を買う金など滅多にない。
さっき使ったのはヴラドー島でもしもの時に備えて用意していた一品。
思わず自分の財政事情を嘆く唐巣。
「先生ッ!」
「ピート君!?」
師匠のピンチに傍観していたピートが飛び出す。
唐巣の前にピートが立ちはだかるのと同時にパイパーの笛が吹き終わる。

「・・・・・・ヘィッ!!」

「神父!ピート君!」
優太郎の叫びも虚しく、唐巣とピートは煙に包まれ・・・・・・

「ち、やってくれるじゃないかクソ悪魔・・・・・・」
それは誰も聴いたことのない声だった。
「「「「へ?」」」」
煙が晴れた瞬間、優太郎、横島、おキヌ、ついでにパイパーが戸惑いの声を上げた。
幼児化したピートはまだわかる。
パイパーの笛をもろに喰らって、幼児化したのだろう。
だが。
「お、おまえは一体何者だ!?おいらの笛はまぎれもなく、あの神父を子供化したはず!?」
信じられないものを見るかのようにパイパーはわなわなと震えていた。
そう、唐巣がいたと思われる場所には予想外の人物がいたのだ。
唐巣とは比べるもないふさふさとした黒髪。
斜に構えた精悍な面構えと鋭い眼光。
口には厭世的な笑みを浮かべ。
引き締まった身体はブラックのタートルネックのシャツと同色のスラックス。
右手には聖書が無造作に握られ。
年齢は20代後半だろう。
どことなくダークな雰囲気の美形の青年である。
ああん、とその青年はパイパーを見上げた。
ゾクリ、とパイパーの背筋に冷や汗が走る。
「どういうわけか知らんが、私は中途半端に精神と肉体年齢を奪われたらしいな・・・・・・まあ、感謝しとこうか悪魔パイパー」
聖書をパイパーに突きつけながら青年は宣言する。

「このゴーストスイーパー唐巣が、貴様を冥府(タルタロス)へ叩き込むぜ!」

「「「「ええええぇぇぇぇ〜〜〜〜!!!!」」」」
その言葉にいろんな意味で周りの人間とパイパーは驚きの声を上げた。

その頃。
「魔力レーダーに反応あり、か。近いな」
上空をカオスフライヤーカスタムで飛行していたカオスは呟く。
自分達の計画ではとあるものが絶対に必要なのだ。
強大な魔力を秘め、金の属性を持ち、針の形をしている・・・・・・悪魔パイパーの金の針。
「待っていろ、パイパー。金の針は断じて貴様には渡さんぞ」
くつくつとカオスは笑い、カオスフライヤーCを飛ばす。
目指すは唐巣の教会。
窮極の目的のために錬金術師は自ら動く。
飽くなき探究心が身体を突き動かしているのだ。

あとがき

あれ?
カオスが戦闘に加わってないぞ?
予定じゃもうGSチームに加わっていたはずなのに。
あとヤング唐巣がスポット参戦。
どうして在りし日の唐巣になったのかの説明は次回で。
しかし、毎回優太郎と横島は目立たない。
一応、このシリーズの主役なのに。

レス返し


azumaさん

カオスよりヤング唐巣の登場が先になりました。
ちょっとガラの悪い不良神父が活躍します。


内海一弘さん

優太郎、横島、西条はある意味三竦み状態です。
一子相伝の暗殺拳な展開はないので。


ZEROSさん

重要といえば重要なアイテムです。
でもなくてもイベントが進められるので、あったらいいな程度に第三勢力は動いております。

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