本来、祭りで賑わっている筈であった神社から”紅井(あかい)家”のお茶の間へと舞台は移る
各々は其々席に着いた
上座に百合子の父母が座り
その右斜め前方の位置に横島一家が
その対面に話題の中心である千姫・幸姫が座る
先ずは祖父が”コホン”と一つ咳払いをし話しの開始の合図をする
「…え~、ではこれより”第○×回紅井家・横島家合同会議”を執り行う。」
続いてその妻が
「一同礼!」
と言うと姉妹を除いた者達がその場で頭を下げる
呆然とする千姫・幸姫
「ねぇ、おかん?」
「なんだい?忠夫?」
「前来た時も思ったんだけど、このごーどーかいぎ?ってゆーの?
何の為にあるん?」
と母に問う息子
それに頷きながら同意する姉妹
「…ふっ…。
それはね忠夫。
お前がもう少し大きくなったら話してあげるわ…。
その時まで楽しみにしてなさい。」
忠夫を挟んで隣に座る大樹に視線を送ったあと、少し過去の事を思い出すかのような目で視線を少し上に向け”うふふ”と笑う?百合子
「うん!わかった!!楽しみにしとる!!!」
素直な忠夫少年は母のその言葉を素直に受け取る
その隣では大樹が汗をダラダラと流していた
「話が少し逸れた様だが、先程神社で話した事について今後どうするか話を進めたいと思うが、良いかな?」
祖父の言葉で本来の話し合いの目的に入っていく
「先ず、貴方達の封印を解くには強い霊能力者の存在が必要だと言ってたわね?」
祖母が2人を見ながら話しかける
「こう言っては何なんだけど、家…紅井家では先祖や縁者に”霊能者”が居たなんて事聞いたこと無いんだけど…。
大樹さんの方の家系はではどうなのかしら?」
「家の方でもそうですよ。」
と妻の母の問いに答える大樹
その言葉を聞いて千姫が口を開く
「現に主殿は高い霊力をお持ちです。
今迄、どちらの家系でもそういった異能を持った者がいなかったと言う事は、おそらく主殿が”突然変異”で初めて霊能を有し発現させたのでしょう。
何事にも始まりという物はあります。」
その言葉に続いて幸姫が言う
「たぶん、今の世にもそういった能力を有した有名な家系というのが存在していると思うのですが…。
そういった家系は、初めて霊能に目覚めたものを初代として、その能力を練磨し続け大家として存在しているのです。」
その言葉を聞きなんとなくではあるが納得する一同(忠夫を除く)
大樹にしろ百合子にしろ、取引相手でそういった家系を中心とする企業やグループが確かに存在するし、世の中には”ゴースト・スイーパー”という、異能をもって人間と異なる存在と係わり合いを持つ者達がいるのは仕事を通じて知っている
百合子の父母にしても、娘夫婦と似たような知識をもっている他に、自分達は見たことも無いが人間達が”神”と呼ぶ存在や”魔”とつく存在がいるとも聞いたことがある
自分達の身内がそういった存在達と関わり合いを持つ可能性が出てきたのだ
その身内である息子であり孫である”忠夫”を心配そうに見る姉妹を除いた人間達
「…一寸聞いたことがあるんだけど、そういった能力に目覚めた人間を利用しようとしたりする人達がいたりするって。
そしてその逆にそういった能力を持っている者を差別したり迫害する人達も存在するのも…。」
百合子が心配そうに息子を見つめる
その母に対し、今迄の会話に退屈していたのか忠夫がニッコリと微笑む
「まぁ、話を聞くとまだ忠夫はその霊能力?に目覚めたばかりなんだろう?
だったら、忠夫の未来を案じるのも重要だが、忠夫自身やその周りの人間達だけでも間違った方向に進まないように、俺達が考えて行動すればいい。
だろう?」
自分の妻と息子の肩にそれぞれ手を置いて其々を見つめる大樹
― 一応そういった面では、一家の大黒柱らしく頼りになるようだ
その夫の言葉で、”自分が持つ全ての力とコネ”を総動員し忠夫を護る事を誓う百合子であった
そして、祖父母もその言葉を聞き気持ちを同じくする
『どんな事をしても孫を、娘夫婦を護る』
という気持ちを
一方、姉妹達は複雑な心境であった ―
父を通じてではあるが、自分達は知っているのである
自分達の主はその”稀少で優れた能力”を持ってしまった為に、嘗ての未来の世界で人間としての尊厳を同じ人間達に否定され奪われた事を
そしてそれが結局、世界の終焉の原因となってしまった事を
『全ての人達が目の前の人達の様な考えだったら良かったのに…。』
千姫と幸姫はそう思わずにはいられなかった
が、今目の前の人間達が言った事は正に自分達姉妹の存在する意義でもある
千姫と幸姫は顔を見合わせると、すっと立ち上がり今迄座っていた所から少しばかり下がると、正座をし手を床について頭を下げこう言った
「「(かわいいくて○○しい)主殿の事は、我らが命を持って御守します事を誓いますゆえご安心下さい!
…ですから、何卒我らが主殿の側に仕える事をお許し下さい!!」」
その様子をキョトンと見つめる姉妹を除いた者達
「何を言っているの?」
と百合子
「そんなマネはおやめなさい。」
とその父
「あなた達は大昔からこの辺りの人たちを護る為に、ご自分達の幸せを放棄していたのでしょう?
でしたら、この辺りに住む私達全体の命の恩人です。
まして、今回の件で私達家族を救ってくれた命の恩人なんですよ?
それに対して頭を下げなければならないのは私たちの方なのに…。」
続いてその妻である祖母が言う
「その申し出は本当は私たちの方からお願いしなければならない事なんです。
悔しいことですが、他の事では私達の力が幾らかでも及びはしますが、その霊能関係の事となると全然当てにならないのです!
私達が出来ることなら何でも協力します!
ですからどうか、私達の息子を自分の力を制御できるように、誰も傷つく事の無いように護り・鍛えて導いてやって下さい!」
大樹が土下座をし頭を下げながら懇願する
その様子を見て驚く百合子
「(真剣な顔をして土下座するなんて…。
私達の結婚の許可を貰いに此処に来た以来だねぇ…。
しかも、場所まで同じとは…。
偶然とは言えおもしろいねぇ…。)
…あなた…。
私からもお願いします!」
そんな大樹の側によりながら同じく土下座をし頭を下げる百合子
同じように”お願いします”と娘夫婦に続く祖父母
そんな両親や祖父母の突然の様子に状況を殆ど理解できずにオロオロしてばかりの忠夫
(自分が話題の中心であることは何となく判っているらしい)
そんな忠夫の有様よりも更に輪をかけたようにオロオロする千姫と幸姫
― 土下座合戦?は暫く続いたそうな ―
その後、千姫と幸姫の住む所などについて話し合いが進んだ
結局、忠夫を鍛える為にも横島一家と同居する事が決定した
これに喜んだのは忠夫である
実は忠夫は一人っ子だった為、兄弟・姉妹がいる友達が羨ましかったのだ
心の中で欲しがっていた姉(兄や弟・妹でも良かったが)が一気に2人も出来たのだ(しかも美人の)
彼女達の部屋も客間として取っていた部屋を使うことで決着した
その他の事柄も殆ど決まったところで千姫と幸姫が言う
「先程大百足と闘う為に主殿と結んだ契約が仮の物だったので、今後の為にも正式な契約を結びたいのですが。
宜しいですか?皆様?」
と千姫
そういう事ならと同意する一同
「では早速…。
あ、それと一応この契約は契約に関わる者達以外の立会いを禁じますので何処か別室をお借りしたいのですが?
宜しいでしょうか?」
幸姫が言うと”それなら向こうの客間でもある離れをお使いなさい”と祖母が言う
その言葉に従い離れに移動する忠夫と千姫・幸姫
離れにまで行く間
「じゃあ、最初は私からという事で…。」
と幸姫が言ったのに対し
「駄目だ。私からだ。幸は2度も主殿を力いっぱい抱き締めて頬擦りまでしたろう?
それに対し私は主殿を助ける際に抱きかかえた位しかないからな?
最初は私からだ…。」
と千姫が返す
「うにゅう…。でも…。」
といった内容の会話が聞こえたのは気のせいだろう
で、離れに着いた一同
周りに人の気配が無いのを確認すると
結局千姫から契約を開始した
「我、千姫。主と定めた者と契約を交す。主の守護者となり全ての敵を退けその身を護る事を誓い、我、魂にある真名において此処に宣言する…。」
と言いなら忠夫の唇に口付けをした
(直前に自分の唇を舌で舐めたような気がしたが…)
「な、なっな…!!!!!??????」
混乱し顔を真っ赤にして固まる忠夫
同じく顔を真っ赤にしながらも満足げな千姫
そんな様子を唇に指を当て羨ましそうに見ていた幸姫も契約を交わす
「我、幸姫。主と定めた者と契約を交わす。主の守護者となり全ての敵を退けその身を護る事を誓い、我、魂にある真名において此処に宣言する…。」
と言いつつ千姫と同様に口付けをした
(千姫より長めの時間だったようだが…)
混乱していた所に同じような行為をされて正気に戻る忠夫
「(と、とりあえず教えられたとおりにしなくちゃ!!えぇ~と〈汗))
我、忠夫。主として2人を守護者と認定する。今後何事があろうとも守護者が主たる我を守護する如く、我も守護者達を護る事を誓い、我、魂の真名において此処に宣言する!!」
と混乱しながらも事前に準備してもらったメモを見つつ契約の言葉を言う忠夫
すると、仮契約の時のようにお互いに光が絡みつき、強烈な光に包まれる3人
数秒後その光が収まると其処には忠夫と…
忠夫と同じくらいの年齢になった千姫と幸姫(美少女)の姿があった
「ええぇぇぇぇぇ?なぜぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!?」
お互いに指差しながら驚きの声をあげる2人
その声が聞こえた両親と祖父母が離れへとやってきた
暫く驚いた声があがったが、その後その声は…
「きゃ~~~!かわいい!!丁度、最近女の子が欲しかったのよね~♪」
と言い、喜ぶ百合子や祖父母の声と
「うおぉぉぉぉぉ!何故だぁぁぁぁぁ!!
折角、美女2人と同じ屋根の下で暮らせるとおもったのにぃぃぃぃ!!!」
魂の叫びをあげる大樹の声へとかわり
「うぅ…。俺のふぁーすときすと、せかんどきすが…(泣)」
と涙を浮かべ落ち込む忠夫の姿の側で
自分達の胸を触り
「「うう…。胸が…。スカスカにぃぃぃぃ(ですぅぅぅぅ)(泣)!!」
と落ち込みながら泣いている千姫・幸姫の姿があった
追記 ―
― もちろん皆様の期待通りに大樹が百合子にボコボコにされたのは言うまでも無い ― (チャン♪チャン♪)
あとがき?
どうも皆様!頭を坊主頭にして、すっきり・はっきり・ちょっと壊れた状態になった零式っす!!
じゅうさんかいれんぞくっすよ?
このNight Talker 様のトップページが開かなかった時は正直あせりまくりましたがなんとか続いてますよ?
前回?から言っていた通り、一応今回で<現世>は一端終了し再び過去編に移ります。
あのキャラを<現世>で出す為です。
で、前々から考えていた通り次回は初の番外編という形を取りたいと思います。
(あのキャラがどうなっているか、書いてみたくてw<現世>をベースにして。)
しかし、<現世>の最後で一寸とんでもない事したかなぁ?
(非難の声が来るのか?)
千姫・幸姫を子供にしてしまいました。
この後の展開は<現世>が再会された時に明らかに (マテ
で、レス返しいきまーす!!
MASTER様
お初ですか?今後ともよろしくお願いします。
そーです。横島一家入りしました。
それも外見横島と同じくらいで。
これは、前から考えてた決定事項ですので^^
次回以降もお楽しみ下さい(次回は初の番外編ではありますが…。)
kamui08様
こんばんわ^^
そうですか。笑っていただけましたか^^
良かったです。
口調で判らなくても百合子なら判った事でしょう^^;
そのNT的な感で^^
ローメン様
どうもっす^^
今回で13回目逝きました^^
大樹は今の所横島と○ークに代わり摂関のパートを受け持っていただいております。
冥福を祈りましょう 南無w
内海様
まいどっす!!
あはは。確かにいたら赦さんカッタデショウナー。
2人が封印された時代、”パパ”はある事情で存在しておりませんでした。
その理由は作中で明らかになる事と思います。
「お義母さま」発言はマダマダ続きます。
他のキャラにも使わせたいですしね~^^
では、皆様。次回このSS初の番外編〈予定)でオアイシマショウ!!
(ミナサンがキニナッテイルはずのアノきゃらヲカキマスヨ?)