世界に放たれた抑止力・・・
その選ばれし者が真の光を掴み取る時・・・
抑止の名を捨て、新たなる名を授けられん・・・
それは、“真なる正義”の代弁者・・・・そう、“ヒーロー”に・・・
エピソード二 正義を掴む意思
まずいきなりだが、現在の状況を説明しよう。横島たちは今、小竜姫様によって異空間に送られ、ゲーム猿もとい猿神とゲームを行っていた。ちなみに、世界では発売されてないヒーロー無茶苦茶集合系な3-D格闘ゲームである。
「くっそ!!なんで知性が猿なのにこんなつえーんだ!!逝きやがれ“さいどばっしゃー”!!」
「キキー!!」
雪之丞が操る“かいざ”を、アクセルフォームな“ふぁいず”で軽々と避ける。そしてそのまま、赤い渦を纏ったキックで返り討ちにされた。
「ちくしょーーーーー!!」
「今度は僕です!!」
ピートはそう言うと、キャラクター選択画面で“金ぴかの狼の騎士”を選択した。すると、猿神は“意思を持つ龍の剣盾を持った魔弾戦士の神Ver”を選択し、バトルとなる。
「か、神ともなりかねない“龍剣童”なんて反則ですよーーーーー!!」
「キッキッキー♪」
ピートが“がろ”を馬に乗せて疾走するが、龍剣童は“勇気ある獅子”もとい“神なる獅子”を償還し、さっさと返り討ちにしてしまった。
「強すぎますーーーーーーー!!」
「次はワッシがやるですジャ!!」
そう言うと、タイガーは最近リメイクが決定したらしい“獅子の侍もとい風来坊”なキャラを選択した。すると、猿神も対抗してかちょっと前にリメイクされた“鏡の男”を選択する。
「きょ、巨大化するなんて、“みらーまん”はなんでもありですカイノー!?」
「キャッキャキャキャ」
アッサリとぶっ飛ばされる“らいおんまる”なキャラクター。
「頼みの綱はお前だ・・・・頼むぞ横島!!」
「勝ってください!!」
「任せたですジャ!!」
「おっしゃ任せろい!!」
そう言うと、横島は40周年記念な某光の巨人を選択した。すると、それに対抗するように猿神が選んだのは・・・。
「る・・・ルーキーが“きんぐ”の金槌に勝てるかーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
「キャーーーーキャッキャッキャw」
“めびうす”な巨人も、祖父の前では敵わなかった(苦笑)。
「ふ~~~・・・・・暇ね~」
「ですね~」
「ござ~」
「きゅ~ん」
美神&おキヌ&シロタマの四人は、ぐだ~としていた。依頼を軽々とこなしてしまったため、やる事がない状態だったのだ。
そんな中、シロタマの二人の超感覚が、ここに迫る何かを察した。
「美神殿!!」
「何か来るわよ!!」
二人が戦闘体勢に入るが、美神はべ~つにっと言った感じでぐだ~としていた。そして次の瞬間・・・・・・・・・・・・・事務所に突っ込もうとする魔族が何かに引っかかった。
「ギヤアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
「あ、見事に嵌ったわね」
『警備施工は人工幽霊にお任せを』
どっかで聞いたような台詞を呟く人工幽霊。しかし、それすら強引に破って、ボロボロの状態で這い出てきた。
「み・・・・美神令子ーーーーーーーーーー!!」
「誰よアンタ?」
「お、俺はベルゼブブ!!美神令子よ、お前の命貰い受け《ベキ》ギャアアアアアアア!!」
ベルゼブブの台詞が言い終わる前に、美神は用意していた精霊神通棍を頭に向けて振り下ろした。それは見事にヒットし、ベルゼブブは地面を転がる。
「な、何をするーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
「うっさいわね。何が狙いかちゃっちゃと吐いて貰うわよ」
「だ、誰がお前に」
「あら・・・・・・・・アンタ、私を狙おうとしてるんなら無理よ。だって・・・・・・この事務所に入った時点で、アンタの負けだもの」
「何だと!?」
「この部屋ね・・・・・・・・・・結構な額をかけて対魔族装備してるのよ。アンタ位の魔族なら・・・・・・・私が攻撃って心で思う瞬間に消え去るわよ」
それを聞き、唖然とするベルゼブブ。そんな中、精霊神通棍をつよーく握り締めながら、邪笑を浮かべて美神が迫る。その背後には、阿修羅も怖がって逃げそうな“何か”がいた。
「さ~てキリキリ吐いてもらいましょうか。人工幽霊、捕縛」
『分かりました』
美神が人工幽霊に命令すると、突如ベルゼブブの下から拘束具付の椅子が出現し、即座にベルゼブブを拘束したのである。
「な、何!?」
「ちょ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っと地獄を見てもらうわよ」
「嫌あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
それから一時間後、美神の護衛のためにきたワルキューレが見た光景は・・・。
「嫌ーーーーーーーーーーーー!!イモリと玉葱は嫌ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
「ほれほれ~♪」
「霊波刀で足をチクチクするなーーーーーー!!狐火で羽を焦がすなーーーーーー!!」
「ほうほう、これが“S”でござるか」
「勉強になるわね」
「Noooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooo!!」
煩悩少年が本来受けるはずの拷問を受けているベルゼブブの姿だった・・・(ご愁傷様)。
「暇やな~」
「暇だな」
「暇ですね」
「暇ジャー」
横島・雪之丞・ピート・タイガーの四人は、スイカを食べながらボーっとしていた。
「そういやジーク。ここに入ってどれ位経ったっけ?」
「え~と・・・・・・・“二年”になりますね」
「そっか~・・・・・・まぁいいか「よくないわバカ者ーーーーーー!!」どわ!!」
横島が納得しようとした瞬間、突如大きな声が響いた、それにより、皆の精神が乱れ、身体中に痺れが起きる。すると、今までの風景が元に戻り、そこには小竜姫が待っていた。
「小竜姫よ・・・」
「なんですか斉天大聖老師?」
「こやつらはなんなのじゃ・・・・・・・・・・・二年もの間、あの空間でノンビリしてるのじゃぞ!!」
「まぁ・・・・横島さんですから(汗)」
激昂する猿神をなんとか宥める小竜姫。それにより落ち着いた猿神が、四人に問いかける。
「さて・・・・・お主等は今まであの空間で加速状態という付加をかけて生活しておったのじゃ。それにより、お主等の魂は一時的に上昇しておる。ここで力に覚醒するか死ぬか。選択を・・・・・・・聞こうかの?」
猿神が尋ねると、それぞれの思いを四人は述べた。
「俺は強くなりてえ!!強くなる意味と答えを知るために!!」
「僕は強くなりたい!!傷つき悲しむ人々を減らすために!!」
「ワッシも強くなりたいですジャ!!琉朱菜サンや・・・・・・大切な人たちを護るために!!」
三人の言葉が出た後、最後の横島が一呼吸おいて、思いを言い放つ。
「俺は誰も傷つけん!!大切な皆と・・・・・・・・・一緒にいるために!!」
魂の篭もった言葉に、猿神はニヤリと微笑む。
「よかろう・・・・・ならば、行くぞ小僧共!!」
場所が修行場に変わり、そこに立つのはキングコングも真っ青な猿神開放状態。それを見た四人は、それぞれの力を解放する。
「よし、俺からいくぜ!!」
雪之丞はそう言うと、変身を行おうとした。しかし、何故か変身出来ず魔装術しか纏えない状態だった。
「ど、どうなってんだ!?」
「一つ言い忘れておった。霊力又は魔力タイプ以外の後天的な能力は、この空間では使用出来ん。あくまでここで使えるのは、己が本来持つ能力のみ」
「へ・・・・上等じゃねえか!!いくぜ!!」
不敵な笑みを浮かべ、雪之丞が駆け出した。そして、そのまま猿神に霊波砲を放つ。
「ふん!!そんなもの効かぬわ!!」
「やれーーーーータイガー!!」
「何!?」
そう、雪之丞の霊波砲はあくまでフェイク。本命は、タイガーの幻影投射だったのだ。
「喰らうですジャ!!幻影投射最大出力!!」
タイガーの幻影の波動は、見事に猿神を捉えた。それを見て、ピートが走り出す。
「そこだ!!ダンピールフラッシュ!!」
ピートの手から放たれた攻撃は、猿神の身体に直撃する。しかし、次の瞬間・・・。
「ぐああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
聞こえてきたのは、雪之丞の悲鳴だった。幻影が解かれると、そこにはダンピールフラッシュを受けて倒れている雪之丞の姿があった。
「な、何で!?」
「・・・超加速を利用した残像、それをあの小僧と重ね、錯覚を起こさせたんじゃよ」
後ろから聞こえる声に、ゾクリと恐怖を覚えるピート。慌てて霧化して回避しようとするが、その前に猿神の拳が炸裂した。
「がは!!」
「ピートサン!!」
「隙だらけじゃ」
友の名を叫ぶタイガーに向けて、猿神は如意棒を叩き込んだ。しかし、タイガーは衝撃で意識が飛びそうになるのを堪えて、如意棒を掴んだのである。
「何!?」
「今ですジャ横島サーーーーーーーーーーン!!」
そう。今までの攻撃・行動・回避の全てが仕組まれた真の“フェイク”。その隙を突いて、横島が霊波刀を構えて跳躍し、猿神へ振り下ろす。
「喰らえやああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
その攻撃は、間違いなく猿神を捉えていた。そして、直撃と思われたその瞬間・・・・・・・彼の世界が止まった。いや、猿神“以外”の世界が止まった。そして次の瞬間・・・。
「ぐはああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
横島の身体には、無数の打撃の痕が残され、宙を舞った。そして、そのまま重力に引かれ、地面に激突して倒れた。
「な・・・・・・・なん・・・・・で・・・・・」
横島が信じられないといった表情で猿神を見据える。すると、猿神は不敵な笑みを浮かべて今起きた事を話した。
「最近の俗世の番組の劇場版でな、“はいぱーくろっくあっぷ”という能力を使う戦士がおった。今のは、それを真似し・・・・・・いや、複写したのじゃ。超加速を数段階上げたものという感じじゃの」
アッサリと言ってのける猿神に驚く四人。
「さて・・・・・・戦いはまだこれからじゃ・・・・・・・死にたくなければ、足掻いてみせよ!!」
猿神の咆哮が、修行場に木霊するのだった・・・。
「なるほど・・・・なんとなくアンタが言いたいことは分かったわ」
ベルゼブブの拷問を終えた皆(おキヌ含まない)は、落ち着いたのを確認したワルキューレより事情を聞かされていた。
「つまり、私は魔族から狙われているって事ね?」
「そういう事だ。理由は私にも分からないが、お前を血眼になって探している」
「・・・・んで、アンタは私をどうするつもり?」
「護衛するだけだ。仕事にまでは口出ししない。ただ・・・・・相手がベルゼブブならまだいい。ほかの上級クラスが襲い掛かってきたら、お前は護れても、お前の仲間までは護りきれる保障は出来ないのだ」
「・・・・分かったわ。さっき依頼片付けたばっかだし、今回だけはどこかに避難して・・・・ってのもまたなんか嫌ね」
「じゃぁどうするつもりだ」
「ウチの最強の“助手”がいるところへと向かおうと思ってる」
「助手・・・・・・・役に立つのか?」
「いっちゃなんだけど・・・・・・・・事務所最強よ」
「無敵ですよね」
「先生は凄く強いでござる」
「私のパートナーなんだから当たり前よ」
皆の自信満々な態度に、ワルキューレは軽く思考に入ると、フッと薄く笑いながら決断した。
「いいだろう。で、その助手はどこにいる?」
「妙神山よ」
そして、舞台は妙神山・・・・・・戦いの時は近い。
場所は変わり妙神山の修行場。そこには、血だらけの横島たちが倒れていた。肉体には無数の傷が存在し、それは猿神がいかに強いかを示していた。
「老師!!もう止めてください・・・・・横島さんたちが・・・・・死んでしまいますよ!!」
「黙っておれ小竜姫!!こやつ等は・・・・・・・まだ諦めておらん」
そう言って送る視線の先には、ボロボロの身体を引きずりながら、必死に立ち上がる四人の戦士がいた。明らかに瀕死に近い状態だが、その瞳に宿す炎だけは全く消える様子が無かった。そんな戦士たちに、猿神は問いかける。
「お主等は、何故戦う?」
「俺たちは・・・・・・己の弱さを知った」
「大切なものが目の前にいるのに、力に・・・・・なれなかった」
「ワッシらが強ければ・・・・・その大切な仲間が・・・・・命を落とすことは無かったですジャ!!そんな事・・・・・もう二度とごめんですジャ!!」
その不屈の意思で、雪之丞・ピート・タイガーの三人が力の限り吼える。そして、その叫びが、真のヒーローを突き動かす。
「誰も失わずにいる方法はたった一つ!!誰も死なせず、“俺”も死なない事だああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
魂の咆哮と共に、大気が爆ぜた。その光景を見た猿神が言った一言はこう・・・。
「合格・・・・・・じゃ」
猿神の・・・・・・人生で初めてのギブアップだった。猿神は小竜姫にヒーリングを行うように指示させ、皆の身体は一気に復活した。すると、皆は自分の肉体の変化に気づいていた。
「・・・なんか、身体中に力が漲ってくるぜ」
「確かに・・・・・・まるで、今まで出来なかった事が・・・出来る気分です」
「ワッシも・・・まるで今ならいくら幻影投射しても、暴走しそうにないですジャ」
「身体が・・・・・・まるで別物みたいに思える・・・なんじゃこりゃ」
四人が驚く中、猿神は一人ずつ能力を調べる事にした。
「さて、雪之丞よ。お主は魔装術を発動してみよ」
「おう!!」
そう答えると、雪之丞は魔装術を発動した。すると、今までの収束率よりも格段に収束され、顔もフェイスガードで覆えるような状態になった。
「これは!?」
「それが魔装術の極意の一つ【陰】の形態じゃ」
「陰?」
「陰・・・・それは、影なる存在。己が力を影の如く隠した状態。つまり、その状態は相手が真の闇で無い限り、己を覆う事はない。そして、もう一つの極意こそが真髄である【陽】だ」
「陽ってことは・・・・・真の力ってやつか?」
「そうじゃ。己を覆うほどの闇が現れる時、陰なる魔は潜み、全てを照らす光が目覚める。それが目覚めた時、お主に敵はない」
それを聞き、雪之丞は天国で眠っているママに向けて拳を握り締めながら天に向けた。
「次にお主・・・ピートじゃったかの?」
「は、はい!!」
「お主・・・・・試しに聖なる力と魔力を融合してみよ」
「へっ!?無茶ですよ!!明らかに反発する力をうまく使い分けるんじゃなくて、完全に一つにするなんて」
「なんでもよい、やってみせよ!!」
「・・・分かりました」
ピートは一抹の不安を覚えながら、右手に聖なる力、左手に魔力を込めた。そして、それを一つに重ねる。すると、その場に爆発的な力が発生し、ピートの周りを覆う。
「こ、これは!?」
「お主大当たりじゃな。それは中国に伝わる力の応用版じゃ。本来なら、気と魔力を組み合わせる事で、強大な力を得る。じゃが、お主の魂はそれすらも乗り越えた新たなる力を目覚めさせたのじゃ」
「新たな・・・力」
ピートはそう言いながら、己の拳を握りながら見詰める。
「さて・・・・次はお主じゃな。ふむ・・・タイガーとやら」
「な、なんですジャろか?」
「試しに、わしに向けて幻影で虎を作って見せよ」
「わ、分かったですジャ」
タイガーはそう言うと、猿神に向けて虎が襲い掛かる幻影を投射した。すると、驚くべき事にその虎が実体化したのである。
「な、なんですジャこれは!?」
「お主が得た力・・・それは、幻影の実体化じゃ」
「実体化・・・ですカイノー?」
「そうじゃ。己がイメージした偽りの存在を、真実にする事が出来る。ただし、どうも攻撃的な面でした本領は発揮されんようだ。追加していえば、長い時間は持たん」
「なるほど・・・短期決戦向けな能力ジャろうか?」
「そうじゃ。精神をかなり消耗する故に長時間の発動が不可能なんじゃ。それを覚えておくように・・・・そして最後に横島よ」
猿神はそう言うと、横島のほうを向いた。
「お主は・・・・・・・分かっておるじゃろ?」
「なんとなく・・・・だけどな」
「そんなものじゃ、試してみろ」
「おう」
横島はそう言って、右手に霊力を集中し始めた。すると、彼の手のひらにビー玉より少し大きいサイズの丸い玉が数個ほど出てきたのである。
「これは・・・?」
「ふむ、これは珍しいのぉ・・・・文殊に目覚めるとは」
「文殊?」
「そうじゃ。その玉にイメージを表す漢字を一文字入れて凝縮し、解凍すると同時に込められたイメージの力を発現させる力。ハッキリ言って、神界や魔界・・・ましてや人間界でもその能力を持つのは、お主だけじゃ」
「俺だけ・・・」
「そうじゃ。しかし、使い道に注意するんじゃ。使い方を間違えれば、それは大きな厄災になりかねんぞ」
「・・・分かった」
四人の力を見て、満足そうに笑顔を見せる猿神。
≪ドゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン≫
しかし、そんな気持ちは突如の爆発音で吹っ飛んだ。それと同時に、廊下をバタバタと走る音が響く。そして、そこから現れたのは・・・。
「なんとかしなさい横島君!!」
「横島さん、大丈夫ですか!!」
「先生、ご無事でござるか!!」
「ヨコシマっ、大丈夫なの!!」
美神事務所にいた皆だった。
「ど、どーしたんスか美神さん!?」
「この修行場の門の前に、なんか私を狙ってきたっていう魔族が大暴れしてるのよ!!今、私を護衛するっていうワルキューレっていう魔族が、がんばってくれてるけど・・・」
「姉上が!?」
ジークはそれを聞くと、自分の部屋へとすっ飛んだ。そして、そのから布に包まれた何かを持ってきた。
「ジークさん、それは?」
「僕が持てる限りの、最強の武器です」
そう言うと、ジークは巻かれていた布を取り払った。そしてそこから、銅色の刀身で出来た大きな両刃剣が姿を見せた。
「こ、これは!?」
「美神さん、知ってるんですか?」
「知ってるもなにも、これってバルムンクじゃない!?」
「バルムンク?」
「竜殺し【ドラゴンスレイヤー】って呼ばれるほどの魔剣よ。確かにこれなら・・・」
「とりあえず、僕は奴等を「待て!!」・・・!?」
ジークが驚いて振り向くと、そこには不敵な笑みを浮かべる雪之丞の姿があった。
「同じ釜の飯を食った仲だ。助太刀させてもらうぜ」
「僕もです。困っている人がいるのに、黙ってみてはいられません」
「ワッシらはもう仲間ですジャ。仲間を助けるのに、理由なんかないですジャ」
それを聞き、涙ぐむジーク。そんなジークの肩をポンと叩く横島。
「行こうぜ、お前の姉ちゃんを助けに!!」
今、ヒーローが動き出す!!
あとがき
さて、遂に妙神山にて力を身につけた四人。果たしてその力はいかなるものか?そして、美神たちを助けるために戦う戦乙女を救う事が出来るのか!?
・・・運命は、神と悪魔のみぞ知る。
さぁ時は満ちた。挑め、ヒーロー!!