インデックスに戻る(フレーム有り無し

▽レス始

「心の声が とおあまりやっつ目(GS)」

寿 (2006-08-06 01:29)
BACK< >NEXT

横島さんが出した影法師・・・

おそらくあの黒い装束は彼の心の闇・・・そして白い袖は彼の希望の光・・・

わたしが以前見た彼の心を照らす希望の光より多少多く感じる・・・

両手の甲と仮面に現れた眼・・・あれは神装術の影響だろう。

そして何よりわたしが注目したのは道化の衣装と仮面。

仮面はその役になりきるために使うもの。

道化はそれが本性なのか、演技なのかわからない。

つまり彼は常に何かを演じているのかもしれない。

それがなんなのか?

それはおそらく彼が手に入れた力から少しでも逃れるために作った自分。

相手に不快感を持たれないように、相手の心が少しでも穏やかであるように、

そのために作った道化。

なんと悲しく、なんと優しい道化だろうか・・・・

その仮面と衣装、いつかわたしが外してあげる。

そのために、その白い袖が希望の光なら・・・その光と共に得たあなたの心の力・・・

少しでいいからわたしに見せて・・・


「これが俺の影法師・・・」

横島さんはあらためて自分の影法師を見つめている。

「さあ、ぼうっとしている暇はありませんよ!影法師は基本的に自分の思ったままに動いてくれます。はやく助けに行ってあげてなさい!」

「は、はい!頼むぞ!俺の影法師!」

小竜姫の言葉に反応して横島さんは影法師を操る。

わたしは影法師の向かう先、つまり美神さんの影法師に目を向ける。

やはり最初の不意打ちが効いているのか、禍刀羅守から馬乗りのような格好で攻撃を受けていた。

「美神さん!助太刀します!」

そこに横島さんの影法師が走り寄る。

そのままの勢いで体当たりを試みるが・・・

「グケケ!」

察知した禍刀羅守の前足ではじき返される。

あのままの勢いで行けば当たったのに・・・横島さんの影法師はギリギリの所で踏み込むことをためらった。

まだ無理なのか?いや・・・

「横島さん!ためらっちゃだめなのね〜!!護るために振るう力をためらったら誰も護れないのね〜!!」

わたしは声をあげる。横島さんなら出来ると信じているから。

「そうです!あなたは誓ったのでしょう!迷わず己の心を信じて力を振るいなさい!」

「横島さんがんばって!!」

ほら、小竜姫もおキヌちゃんもあなたを信じてくれている・・・

だから見せて・・・あなたの護るための力を!!

「うぉぉぉぉぉぉ!!」

横島さんは雄たけびを上げながら再び禍刀羅守に向かって体当たりを試みる。

「グケェ!」

今度はためらうことなく禍刀羅守に体当たりを命中させ美神さんの影法師を救い出す。

「サンキュー!助かったわ横島君!」

美神さんの影法師は立ち上がるがその姿にはまだダメージを見て取れる。

「美神さん、3分間だけ時間を稼ぎます。その間になにか打開策を!!」

「ちょ、ちょっと!?」

美神さんが声をかけるが横島さんの影法師は気にせず再び禍刀羅守に向き合う。

その次の瞬間・・・横島さんの影法師から神族の霊波を感じた。

「グ、グケケーー!!」

禍刀羅守はその波動を気にも留めず、お返しとばかりに横島さんの影法師に切りかかる。

横島さんの影法師に現れていた両手の甲と仮面の眼がギョロッと動くと、その攻撃を難なくかわす。

「ヒャクメ!あの横島さんの霊波の変化はなんですか!?それにあの眼とあの動き!横島さんは人界でどんな修行をしたんですか!?」

「ふっふっふ・・・あれは神装術!!わたしと契約することによって得た横島さんの新たな力のひとつなのね〜!!」

わたしは小竜姫に自慢げに話す。

「神装術?」

「そうなのね〜。あの両手と仮面に現れた眼によって、相手の筋肉や霊力の流れを知り、行動を先見することができるようになったのね〜!」

「なっ!そんなこと人間に可能なわけないじゃないですか!?どんな過負荷が掛かることか!」

うっ!あっさり見破ってくれたのね〜。

「だから3分なのね〜。」

「・・・3分過ぎるとどうなるんですか?」

「知恵熱出してぶっ倒れるのね〜・・・」

「そっ!」

わたしの答えを聞くと小竜姫はうつむいてこぶしをぷるぷるさせている。

「そんな不完全な力授けるんじゃありませーーーん!!」

「ひーーん、わたしはよかれと思ってやったのね〜。」

「ぜんぜんよくありません!!あなたには後で力の何たるかをしっかり教えてあげますから覚悟しなさい!!」

「仏罰という名のお仕置きは嫌なのね〜!!」

「仏罰じゃありません!!仏の教えです!!」

「いっしょなのね〜!!」

わたしの未来の光が終わりかける会話をしている間も横島さんたちの戦いは続いている。

横島さんに影法師は禍刀羅守の攻撃をかわしていく。

横島さんは攻撃はしない。この場合はそれが正しい。

横島さんがいくら攻撃できたとしてもまだ横島さんにかなう相手ではないし、これは美神さんの修行なので美神さんが倒さなくては意味がない。

とは言ってもそろそろ2分が過ぎる。そろそろどうにかしないとやばいのね〜。

その時・・・

「横島君!!横に避けて!!」

美神さんの声が響き、横島さんは指示したがい影法師を横に動かす。

その瞬間・・・ちょうど横島さんの影法師の後ろにいた美神さんの影法師が躍り出る。

いける!?禍刀羅守は横島さんの影法師の影から突然飛び出してきた美神さんの影法師に反応仕切れていない。

そして美神さんの影法師の槍による下からの打ち上げる攻撃が禍刀羅守に決まる。

禍刀羅守は宙を舞い、ひっくり返る形で地面に落ちる。

決まった!!あいつはあの体制から自分でもとに戻ることが出来ない!!

わたしがそう考えた瞬間・・・

「勝負ありです!!」

小竜姫の声があたりに響いた。


「最後の相手はわたしがやります。」

そう小竜姫様は美神さんにいった。

あの後俺は神装術の影響で知恵熱まではいかなかったが、霊力をほとんど使い果たしてしまったので助太刀は出来ない。

いくら美神さんでも小竜姫様が相手では・・・

俺の不安をよそに試合が始まってしまった。

案の定美神さんは小竜姫様相手に防戦一方。

「美神さ〜ん!がんばって〜!!」

おキヌちゃんは相変わらず応援中。

「おいヒャクメ!なんとかならないのか?」

「う〜ん、正直機厳しいのね〜。」

ヒャクメもいい考えが浮かばないようだ。

「なんでもいい。たとえば弱点とかないのか?」

「弱点?そうなのね〜!」

ヒャクメはなにか思いついたようだ。

「横島さん、昨日わたしが渡したメモはもってるのね〜?」

「?これか?」

俺はポケットに入れたままにしていたメモを取り出す。

「それを読むのね〜!」

「?なんでまた?」

「いいから読むのね〜!!」

俺はとりあえずヒャクメの言葉に従うことにし、ヒャクメの生きた証とやらを開く。

「えっと・・・『小竜姫は豊胸手術に興味がある』っておま「チャキ」へ?」

俺が読み上げた文章に疑問の声を上げようとした瞬間・・・目の前に笑顔の小竜姫さまがいた・・・

「横島さん?なにか言いましたか?」

俺は笑顔で静かに問いかけてくる小竜姫様の迫力に何も言えなくなる。

「やったのね〜!小竜姫が試合放棄したから美神さんの勝ちなのね〜!!」

ヒャクメがそう声を上げる。

「あ、あの・・・試合は・・・」

「試合?そうですね。まあいいんじゃないですか?それより先ほどの質問に答えてくださいね?」

チャキ

お願いですから首筋に神剣を当てないでください・・・

「い、いえヒャクメが・・・」

「ヒャクメ?ふふふ、そう・・・そうなんですね。」

そう言ってうつむきながら笑う小竜姫様。

「そ、それじゃわたしはちょっと出かけて「どこに行くんですか?」・・・きたかったのね〜・・・」

流石にやばいと思ったらしいヒャクメが逃げ出すが・・・回り込まれた。

「昨日といい先ほどの神装術といい、仏の顔も三度までですよ?」

小竜姫様はあくまで静かに聞く。

「今回でまだ三度目だからギリギリセーフなのね〜!!」

「なら二度まででいいです。」

ヒャクメの言葉をあっさりと切り捨てる小竜姫様。

「そんなありもしない情報を流すとは・・・本格的に仏罰を下す必要がありそうですね。」

そう言って神剣に手をかける。

「勘弁なのね〜!大体デマじゃないのね〜!わたしが買ってきた人界の雑誌の広告を興味津々で読んでたの知ってるのね〜!!」

ぷっつん。

俺はそんな音を聞いた気がした。・・・ヒャクメ・・・キジも鳴かずば撃たれまいに・・・

「ふ、ふふふふふふふふ。」

小竜姫様は壊れたように笑い出す。

「ふふふふふふ・・・横島さん?お願いがあるんですが・・・」

「はい!なんなりと!!」

突然小竜姫は笑い止むと俺に声をかける。

「美神さんとおキヌさんを連れてあのドアの向こうで待っていてください。それと向こうに行ったらこのお札をドアに貼ってください。」

「はい!了解しました!!」

「結構です。ああ、それと、私がいいと言うまで決してお札をはがさないでくださいね?」

「はい!!」

俺はあまりの迫力に可能な限りの速さで指示を実行する。

ドアをくぐりお札を貼ると向こうから声が聞こえてきた・・・

「ちょ!背中に手を回してどうするつもりなのね〜!?」

「ふふふ、神の怒りです。」

「げ、逆鱗はいくらなんでもやばいのね〜!!」

「もう遅いですよ?がんばって生き延びてくださいね?」

「ひぃぃぃぃぃぃぃ・・・」

「キシャーーーッ」

これ以降ヒャクメの悲鳴と神の怒りの咆哮、ならびに破壊音が一時間近く続きます。しばらくお待ちください。

その後・・・小竜姫様の指示が聞こえてくると同時にお札をはがす。

出てきたのはすっきりした顔の小竜姫様と・・・黒くこんがり焼けてぴくぴくと痙攣を繰り返すヒャクメ・・・

「さて、次は約束していた仏の教えを教えてあげます。逝きますよ?」

そう言ってヒャクメをずるずると引きずっていく小竜姫様。

小竜姫様?ヒャクメはもう逝ってます・・・・南無〜。


あとがき
今回は前半シリアス、後半ギャグです。いつもと逆になってるだけであんまり変わりません。うう、力不足だ。とりあえずトラウマの克服結果を書きました。と言ってもこの横島君は良く考えたら攻撃方法をあんまり覚えてなかったので体当たりのみですが。次はオリジナルの話か、私の好きな学校妖怪の話のどちらかにするつもりです。

レス返し
初めにご意見、ご感想を寄せていただいた皆様に感謝を・・・

寝羊様
うう、胸は確かに飾りじゃありませんね。夢も詰まってます。希望も。そう!
まだ希望が有るはずなんです!!

内海一弘様
あんまりバトルシーンがありませんでした。神装術も中途半端。でも小竜姫の教えが出来たので自分的には満足。うう、力不足で申し訳ありません。

うけけ様
生きた証ですら小竜姫様をおちょくるヒャクメ。その意思は既に遺伝子にまで行き渡っているようです。

亀豚様
小竜姫様の暴走を逆手にとって?美神さんの勝ちにしてしまいました。強引だったとは思いますが・・・

ncro様
うう、自分で書いていて気がつきませんでした。反省!!

ゆん様
理由を前半に持ってきました。あの書き方で終わることが多かったのと、逆鱗の話を書きたかったのでこうした形に。どうだったでしょうか?

kamui08様
私のイメージでは道化=ピエロでした。内容はタロットカードの『愚者』を参考に。ちなみに英語でTHE FOOLでした。

SS様
今日の一言。芸は身を滅ぼす!!ごめんさい、嘘です〜。バトルはイマイチかもしれません。申し訳ありません。

Aragasago様
うう、そのネタは使いたかったな〜と思いました。まだまだ修行が足りないですけど、これからも読んでみてくださいね。

への様
ちょっとそれも考えたんですが、一応今回は理由も書きました。ハリセンを武器に持たせるというのも考えたんですが、100%ギャグになってしまうので没に。

ローメン様
うう、暴走しまくりです。逆鱗まで使ってしまいました。南無〜。

BACK< >NEXT

△記事頭

▲記事頭

e[NECir Yahoo yV LINEf[^[z500~`I
z[y[W NWbgJ[h COiq@COsI COze