アシュタロスが葛の葉と西郷との顔合わせをしてから数ヶ月の時間が経過していた
その間アシュタロスが行った事は、数回に分けて葛の葉が飲み込んだ”魂の結晶”と葛の葉の魂を結びつける供給ラインを設ける心霊手術を行った事である
何故かというと、葛の葉の来世である美神の霊力面での強化の為である
アシュタロスは葛の葉が飲み込んだ自分用に調整した”魂の結晶”が有する膨大なエネルギーを、彼女の来世である”美神令子”がある程度使えるようにし、未来での戦いを幾らかでも有利にする事を考えた
その為には、彼女が転生する前であり、しかも”自分が創造した存在”で”自分と似たような波長を持った魂”であるメフィストの魂に手を加える必要があったからだ
又同時に、時間を掛けることでその力が馴染み易いようにする目的もあった
(この世界では通常、上級魔族が下級魔族を創造する時、核となる物に自分の魔力で力を与えているので、その下級魔族の魂は親ともいえる上級魔族と似たような波長を持つ事が多い)
その結果、葛の葉の霊力は、その手術のおかげで優秀な術者が多く存在していたこの時代においても、間違いなく上位の物となっていた
(最強といっても良い)
同時にその人間としては余りにも高すぎる霊力を制御する術も、アシュタロスは葛の葉に授けていた
そして西郷は葛の葉がアシュタロスに手術と力の制御の方法を教わっている間に”式”で葛の葉の不在を世間の目から誤魔化していた
その結果、西郷は”式”の創造技術の向上と、その式の持続時間を長時間行うことで自然と霊力の持続時間の延長(霊力のスタミナの向上)ができるようになっていた
そして、更に数ヶ月の月日が流れていった・・・・・
<アシュタロス>
「葛の葉に西郷殿、話がある。」
アシュタロスは何時ものように、葛の葉に霊力の制御と知識を授け、西郷には時間が許す限りの術式の手ほどきを行った後にそう告げた
「父上、お話とはなんでございましょうか?」
葛の葉と西郷がアシュタロスの前に座り尋ねる
この数ヶ月間で、アシュタロス葛の葉の絆は確実に父娘の物に変わってきていた
初めてアシュタロスが”父上”と呼ばれた時、喜びのあまり魔力の制御を忘れた為、一寸した地震が起こったり、晴天なのに何故か雷が鳴り響いたという天変地異がおきたのは余談である
「うむ。実は私は明日にでもこの国を暫く離れるつもりだ。」
アシュタロスがそう告げると
「師匠、どちらに行かれるのですか?」
と西郷が尋ねる
「大陸の方に行く。
探さねばならない人物がいるのでな。」
アシュタロスが答えると葛の葉が
「探さねばならない人物ですか?一体何方です?」
とアシュタロスに茶を出しながら聞き返す
「お前達の来世で関わりのある人物とだけ教えておこう。」
茶を飲みながらアシュタロスは答えた
「戻ってこられるんですよね?」
と葛の葉が心配そうな顔をして言う
「ああ。未だこの国でやっておかなければならない事が結構あるからな。
一応、滞在先から異空間を通じて時々戻ってくるつもりではいるが。」
心配そうな娘に微笑を浮かべながらアシュタロスが答えた
「なら、何も申し上げることはございません。
未来の為に必要な事なのでしょう?
いってらっしゃいませ。」
葛の葉が微笑を浮かべてアシュタロスに言った
「しかし、どのようにして大陸まで行かれるのです?
今は大陸の方まで行くのは難しい事だと思うのですが・・?」
西郷が不思議そうな表情を浮かべアシュタロスに聞いた
「・・・・西郷殿・・・・。
忘れているのかもしれんが、私は一応”魔神”なのだが・・・・。
大陸に行くだけなら、異界を通じていけば直ぐにでも行けるし、空を飛んで行くことも簡単なのだが・・・・?」
とアシュタロスは後頭部に大きな汗を垂らし西郷に答える
「「「・・・・・・・・・。」」」
そういえばそうでしたねと西郷もアハハと笑いながら同意した
かなりアシュタロスはこの2人に馴染んでいるようだ
-魔神としての威厳はどうした?という質問は受け付けないらしい-
「それで、2人に渡しておく物がある。」
そう言うとアシュタロスは2人に巻物を一つずつ渡した
「これは・・・・?」
と疑問の声をあげる葛の葉
「私が作った来世に知識だけを継承する巻物、名づけて”来世に知識と技術を伝える君”だ。
まぁ、”知識継承の巻物君”でも良いが。」
と”ぱんぱかぱ~ん”とファンファーレが鳴りそうな勢いで説明した
「これはな、お前達が魂に取り込む事で、それまでに身に着けた技術や知識と、これから身に着ける技術と知識のみを刻み込み、来世で魂がその技量に達した時にその内容が来世の存在に伝わるという優れものだ。
が、あくまでも継承できるのは”知識と技術”のみだ。
お前達と来世のお前達は全くの別人だからな。
お前達の記憶は継承はされないから影響は無い。」
”どーだすごいだろう?”と言わんばかりに胸を張るアシュタロス
「つまり、来世の私達に記憶以外の知識と技術を伝える道具なのですか?」
とその様子を無視し、尋ねる西郷
ウンウンと首を縦に振るアシュタロス
「それを胸にあてたまえ。」
指示に従い巻物を胸に当てる二人
すると巻物が何の抵抗も無く体内に吸い込まれる
「これで、お前達の知識と技術は来世に引き継がれる事だろう。
これからも頑張って知識と技術を身につけるが良い。」
2人は”はい”と頷きながら答えた
その後暫く3人は話をした
そろそろアシュタロスが帰る時間になると
「さて、戻るとするか。
ああ、それとすまないが、隠れ家のヤタの様子を時々見に行ってやってくれ。
一応、ハニワ兵にもお前達の事は伝えておこう。
ハニワ兵をつけているから問題はないと思うが、寂しがると可哀想だからな。
あの掛け軸にでも異空間の扉を設けておくからよろしく頼む。」
と2人に頼むとアシュタロスは隠れ家に戻っていった
「お父様って、本当にヤタが可愛いのね・・・・。」
と葛の葉
「そのようだな・・・・。」
と西郷も苦笑いを浮かべ同意するのであった
あとがき?
ども。零式っす。
ご無沙汰してます。
忙しいっす。暑いっす。
どーにかして;;
今回のお話いかがだったでしょうか。
一応、”魂の結晶”をある程度(人間の肉体が絶えられる程度)まで葛の葉と美神が使えるようにすると言う事と、西郷の技術面の強化の方法の話にしたんですけど。
”魂の結晶”については、悩みました。
はっきりいって反感をもたれる方も大勢いらっしゃると思います。
でも、一応メフィストが結晶を飲み込んだ後、その力をアップさせて、道真の悪霊を真っ二つにしてましたし、ある程度創造主であるアシュタロスと魂の波長で似た所があったから使えたのかなと。
(加工前の魂だったり、残りかすをつかっていると言う話もありすが・・)
だったら、結晶の方ではなく、メフィスト=葛の葉の魂にある程度手を加えることで使用可能にするのもありかな~と思ったわけです。^^;
あ、もちろん最初から”小竜姫”並とかにはしません。あくまで人間の耐えられる限界程度ということで。
西郷については、処刑のとき使った美神・横島・ヒャクメの式の精密さと優秀な霊能者が大勢いたにも関わらず騙し通せたその技術の強化を主にしていこうかなと思った訳です。
この2人のパワーアップが未来でどのような影響を与えるのかは今後の展開次第ということで、勘弁してください。
さて次回ですが、原作ではあんりぱっとした所がなかった、あの”ヨーロッパの魔王ことドクター・カオス”を出す予定です。
どーなるんでしょうねー。私にもわかりません^^;
ところで、約千年前のカオスの年齢って100歳から120歳位だと思ったんですけどどーなんですかね?
何方か教えてください。
ではレス返しでっす。
BLESS様
何時も本当に有難うございます。
一応、和解はさせました。
本当は、葛の葉=メフィストを極度のファザコンにしようかなとも考えていたのですが・・・。一寸暴走しそうなので止めました。
印税(そんなのあるのかな?)に関しては、キーやんは”母”に没収され、サッちゃんはギャンブルかな・・・?
案外人間界で2人とも遊んでたりして^^;
気にしたら負け?ひょとして?
かなりあ様
ありがとうございます。
この話が良い物になるように頑張ります。
何か提案がありましたら教えてください。
よろしくお願いします。
皆様、暑い日が続いていますが体調に気をつけて下さい。
では、次回の更新で^^