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▽レス始

「心の声が とおあまりむっつ目(GS)」

寿 (2006-08-02 02:02)
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「横島さん、明日からの連休は暇なのね〜?」

「?ああ、一応唐巣神父のところに行こうとは思っていたけど特に予定はないぞ。」

わたしはいつものように横島さんの部屋を訪れていた。

「それじゃ、明日からちょっと付き合ってほしいのね〜。」

「それはいいが、いったいどこにいくんだ?」

わたしは一人の友人にある頼みごとをしていた。

横島さんのトラウマの一つとも言うべきことを少しでも解消するために・・・

横島さんに戦うすべを・・・心を知ってもらうために・・・

「そ・れ・は・妙神山なのね〜!」


妙神山。

一ヵ月半前に俺に力の制御を教えてくれた場所に俺は再び訪れた。

「小竜姫様、お久しぶりです。」

「ええ、と言っても久しぶりと言うほどではありませんけどね。」

小竜姫様はそう言いながら笑みを浮かべる。

俺は再会の挨拶を済ませると、今までの経緯を話した。

「と、言うことで、数人のGSの下で修行をすることになりました。」

「なるほど、なかなか有意義な時を過ごしたようですね。」

「有意義どころじゃないのね〜。何回か死にかけもしたのね〜。」

ヒャクメが愚痴をこぼす。

「ヒャクメ?あなたには後ほど聞きたいことがあります。吸血鬼のこととか、吸血鬼のこととか、吸血鬼のこととか。」

小竜姫様は鋭い視線をヒャクメに向ける。

「そ、それは勘弁してほしいのね〜。さっきも言ったけど死にかけるような目にもあったからそれでおあいこにして欲しいのね〜!」

ヒャクメは汗をかきながらそう言う。・・・死に掛けたのは冥子ちゃんのところだけだろう?

「あなたには死に掛けるのもいい薬です。それでは横島さん、行きましょうか?」

「?何処にですか?」

ヒャクメの言葉をあっさり切り捨てると、小竜姫様は俺を促すように立ち上がる。

「修行場です。横島さんがどれだけ成長したか見せてもらいます。」

「い、いえ、一ヶ月と少し修行しただけですから、お見せするようなものは何も・・・」

「大丈夫ですよ。いきなりそんなに成長するとは思いませんから。さぁ、行きますよ。」

小竜姫様はそう言いながらも笑みを浮かべる。

「・・・はい。よろしくお願いします。」

俺は素直に小竜姫様に従った。・・・・目が笑っていなかったから。

「ヒャクメも行くだろう?」

俺はヒャクメに声をかける。

「ヒャクメ?」

返事が返ってこない事を不振に思った俺はヒャクメに視線を向ける。そこには・・・

「も〜少しかまってくれても良いと思うのね〜。大体、わたしは小竜姫と違って体を張るタイプじゃないのね〜。」

床にのの字を書きながら拗ねているヒャクメがいた。

「小竜姫は横島さんみたいにツッコミに温かさがないのね〜。もう少し情って物をかけてくれてもいいと思うのね〜。そんなんだから小竜姫は情と一緒で胸も薄くなるのね〜。」

・・・・凄いこと言ってるな。小竜姫様に聞こえたらどうするつもりだ?

俺はとりあえずヒャクメを現実に引き戻すために声をかける。

「おい、ひゃ「ヒャクメ?面白そうなことをほざいてますね?」うわっ!!」

俺の言葉を遮るようにどこからともなく小竜姫様が凄い笑みを浮かべて現れた。

「ひっ!!な、なんでもないのね〜!さぁ、早く修行の成果を見に行くのね〜!!」

小竜姫様の顔を見たとたんヒャクメは修行場へ駆け出す。

「ヒャクメ!先ほどのことも含めて詳しいことは後で聞きますからね!!横島さんも早く修行場に来てくださいね。」

「はい!!」

小竜姫様・・・あなたの笑顔が恐ろしいです。


「それでは、霊力を体に回してください。」

「はい。」

横島さんは小竜姫の指示に従い霊力を体に回す。

「ふむ。それでは霊気の盾、サイキック・ソーサーと言いましたか?それを見せてください。」

「はい。」

これも横島さんは支持に従い展開させる。

「ヒャクメ、あなたはどう見ますか?」

「わたしは良いと思うのね〜。全体のバランスもとれてるし、展開までの時間も順調に短くなってきてるのね〜。」

わたしは小竜姫の質問に素直に答える。

「そうですね。わずかな時間でこれだけ成長すれば文句はありませんね。」

小竜姫はそう言いながら横島さんに一歩近づく。

「横島さん、次はその盾で私に攻撃をしてみてください。」

「え!?」

小竜姫は横島さんに攻撃を促す。

「どうしました?私のことなら心配無用ですよ。」

「いえ、そうなんですけど・・・」

横島さんは戸惑いを隠せないでいる。無理もない。ただでさえ暴力を嫌うのに、更に身内に手を上げろといっているんだ。

「しょうがないですね。・・・防ぎなさい。」

小竜姫はそうつぶやくと横島さんに攻撃を加えるべく神剣を手に駆け出す。

「えっ!?」

横島さんは一瞬何が起きるのかわからない顔をしたが・・・

ブン!!

状況がそれをゆるさない。横島さんは小竜姫の剣をなんとかかわす。

「止めてください小竜姫様!!」

「何時までもそんなことを言ってられませんよ!!」

横島さんは制止を呼びかけるが小竜姫はそれに耳を貸さない。その間にも剣は舞う。

横島さんはそれを避けていたが次第にサイキック・ソーサーで防ぐのが精一杯になる。

小竜姫がかなり手加減しているとはいえ、現時点の横島さんにしてはよく防いでると言える。だが・・・

「ふっ!」

「うわっ!?」

ドガッ!!ズサァァァァァ

ついに横島さんの体が弾き飛ばされ、地をすべる。

「横島さん!?」

「っ・・・・いてぇ。」

わたしは急いで横島さんに駆け寄る。どうやら気を失うまでにはいかなかったようだ。

「横島さん、どうして攻撃しないんですか?」

いつのまにか小竜姫はわたし達の近くにたたずみ、静かに声を上げる。

「それは・・・」

「それは、暴力を、人に危害を加えることを嫌悪するから。ですか・・・」

言葉に詰まる横島さんに明確な答えを告げる。

「・・・・はい。俺は嫌なんです・・・暴力によって心の声が歪むのが・・・その歪んだ声を聞くのが・・・」

横島さんはうつむきながらそう呟くように言う。

「横島さん・・・」

わたしはその姿を見ていると辛い。自分の罪を見せられるようで・・・

「横島さん、立ちなさい。」

「・・・・」

横島さんはうつむいたまま動かない。

「立ちなさい!!」

小竜姫が怒鳴ると、横島さんはうつむいたまま立ち上がる。

「・・・顔を上げなさい。」

横島さんは顔を上げる。でもその視線は小竜姫を見ていない。

がしっ

小竜姫はそれを見ると横島さんの顔をつかみ、強制的に自分の顔を見せる。

「私は武神です。あなたの嫌う力を持つ神です。確かに力は相手を、自分を歪ませるかもしれません。」

小竜姫は静かに語りかける。

「私の目を見てください。どうですか?私の目は歪んでいますか?」

そう言いながら小竜姫はまっすぐに横島さんに目を見る。

「・・・・いえ、小竜姫様の目に歪みは見えません・・・」

横島さんはそう言いながら小竜姫の視線を真っ向から受け止める。

小竜姫はその行動に優しい笑みを浮かべ、横島さんの顔から手を放す。

「あなたの言うとおり暴力という心無い力は相手と自分を歪ませます。でも、その力から救うことが出来るのもまた、力なのです。」

「・・・」

横島さんからの返事はない。ただまっすぐに小竜姫を見つめる。

「相手を傷つける力を嫌うなら、あなたは相手を護る力を手に入れなさい。人を護り、時には相手の歪んだ心を救うための力を・・・」

「・・・俺に・・出来ますか?」

横島さんはそう問いかける。

「大丈夫です!あなたは私の弟子なんですよ?もしあなたの心が歪み、相手の心を歪ませる力を手にしたとしても、私の力があなたの心を救ってあげます!」

「はい・・・よろしく・・お願いします・・」

横島さんは呟くように、震えるような声を出す。

横島さんの瞳からは一筋の涙が流れた。


一筋の涙・・・・

それは横島さんの心に一筋の光が射した証拠に思えた。

それはほんのわずかな光。

わたしの友人はわたしの願いに答えてくれた。

後はわたしの仕事。その光を更に強くするのはわたしのするべきこと。

誰にも譲れないわたしの使命。

それを達成するためならなんでもしよう。

ねえ、横島さん?

わたしも・・・あなたが歪んでしまったらあなたを救うことが出来るかしら?

ふふふ・・・あなたが無理だといってもわたしはあなたを救ってあげる。

絶対に。ね!


あとがき
ひさしぶりの小竜姫様登場です。今回はひとつのトラウマ解決の切っ掛け作りでした。さてさて、次回も妙神山を舞台にしようと思うのですが、原作の時間軸で言うとこの時期に妙神山に訪れるのは・・・もうばれてますね。

レス返し
初めにご意見、ご感想を寄せていただいた皆様に感謝を・・・

甲本昌利様
弟子入り先は正直なやみましたが、オリジナルの話を作りやすくしたかったのでああいう形にしました。現在の横島君に一番向いてるのはガードですから、エミさんか冥子ちゃんのところでも良いとはおもったんですけどね。

秋桜様
出稽古の話はもう少し後になると思います。お楽しみに〜。

EVE様
弟子入り先?は決まったんですが今回は妙神山に来てしまいました。とりあえず、師匠に現状報告と思ってください。

寝羊様
おお、おキヌスキーの同士が!!私もルシオラ好きですよ〜。あとはヒャクメ、小鳩、愛子なんかですね。

亀豚様
美神さんの危険手当なしですが一応理由があったりします。現状の横島君は正直あんまりたいした力を持ってません。特徴を挙げるとしたらガード能力ですが、エミ、冥子と違って美神さんはあんまり必要としません。なので美神さんが望むのはタダで使える労力。つまり荷物持ちです。実践にあんまり出す気がないので危険手当もなしにしました。まあ、金を出したくないから。と考えても問題ないんですけどね。

ゆん様
闘龍寺・・・なにげにギャグ担当になりそうな気もしますが、一応出稽古にはいくかと思います。おそらく・・・たぶん・・・

ローメン様
ヒャクメになにをさせるか。まあ冥子ちゃんの所は実用性を知ってしまってますからね。闘龍寺は・・・なにさせたいんだろう?

meo様
一応落ち着いて話す為に。と思ってください(汗)。ヒャクメか横島くんどっちが目当てか・・・おそらくどちらも。ですかね?

カタリナ様
この頃ギャグに走ってしまいましたから今回で少し軌道修正しました。横島君の心の闇を打ち消すのが目的なんですが・・・本当にギャグばっかりでしたからね〜。

うけけ様
こんな感じになりました。今回はシリアスだったんであんまり突っ込みませんでしたけど、お仕置きの結果は次回です。

内海一弘様
今回は師匠、小竜姫様登場でした。ついでに人界での拠点は唐巣神父のところになると思います。

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