ブラドー島からの帰国後、俺とヒャクメは唐巣神父の教会を尋ねていた。
「それで修行の方はどうだったかな?」
「はい、色々教えていただきました。」
俺は唐巣神父に修行の報告をした。
「へぇ、横島さんは色々な人に教わってきたんですね。」
ピートはあの後来日し、正式に唐巣神父に弟子入りしている。
「そうなのね〜。おかげで横島さんは基礎に関しては問題ないレベルまできてるのね〜。後はそれを慣らしていくのがいいと思うのね〜。」
「そうですね。たしかに以前より霊力が安定しています。横島君、がんばったようだね。」
「いえ、お世話になった皆さんのおかげです。」
お世辞ではなくそう思う。色々あったがその教えは確かに役立つものばかりだった。
「いや、確かに教えは的確でもそれをものにしたのは君の努力の賜物だよ。」
「そうねのね〜。横島さんはがんばったのね〜。」
神父とヒャクメがそう言う。正直・・・照れる。
「さて、横島君、これを見てほしい。」
神父は4つの書類を俺に手渡した。
「これは?」
「きみを正式に弟子にしてもいいと言ってきた書類だよ。まあ、きみの弟子入りしたところ全てがそう言っているんだけどね。」
「はぁ。」
俺はそう言うと書類へと目を向けた。
「わたしにも見せてほしいのね〜。」
わたしはそう言いながら横島さんといっしょに書類にを見る。
まずは一枚目。
美神令子除霊事務所
契約金、給料、危険手当・・・なし。
その他手当て・・・徐霊作業時に限り交通費、食事有り。
業務内容・・・除霊助手
補足・・・食事は当事務所に勤務するおキヌの手作り。
「これは・・・どう言っていいのかわからないのね〜。」
「う〜ん、結構魅力的だな。」
「ええ!?どこがなのね〜!?」
「いや、食事が・・・」
「食事ぐらいわたしが作ってあげてるのね〜。」
「だって食事が付けば食費が浮くし。」
あ・・・確かに作るのはわたしでも、食費は横島さんのだったのね〜。
「まあ、とりあえず保留かな?」
そう言って横島さんは次の書類を手に取る。
六道家
契約金・・・要相談
給料・・・日給3万円
危険手当・・・あり
その他手当て・・・要相談。
業務内容・・・除霊助手
補足・・・ヒャクメ様の同行可。
「・・・・」
「・・・・」
「保留・・・かな?」
「そうなのね〜。」
思い出したくもないのね〜。次〜。
OGASAWARA GOHST SWEEP OFFICE
契約金・・・なし
給料・・・要相談
危険手当・・・あり
その他手当て・・・要相談
業務内容・・・徐霊助手。(ガード)
補足・・・特になし。
「エミさんのところは普通だな。」
「そうなのね〜。でもガードだから危険の度合いはあがるのね〜。」
「そうだな。でも美神さんと違ってちゃんと危険手当がついてるな。」
「そうなのね〜。」
「とりあえずここも保留だな。」
闘龍寺
契約金、給料、危険手当・・・なし
その他手当て・・・特殊手当あり
業務内容・・・内弟子
補足・・・ヒャクメ様同行可。
「却下なのね〜!!」
「いや・・・」
「却下なのね〜!!」
「ちょ「却下!!なのね〜!!」はい。」
特殊手当ってなんなのね〜!?それに、内弟子!?つまり住み込みなんて何考えてるのね〜!!もう少し仏罰を下す必要がありそうなのね〜!!
「どうだい?決まったかい?」
「いえ、少し悩んでます。」
一通り目を通すと唐巣神父が声をかけてきた。
「そうかい。ああ、一応私の所も候補に入れておいてくれないかな。そういう約束だったしね。ただ、ほかと違って給料とかは出せないけどね。」
神父は苦笑しながらそう言う。
「ああ、給料なんかは正直いいんですけど、どこが自分にあってるのかなって。」
俺が何に悩んでるかを神父に話す。
「ふむ。確かにそうだね。横島くんはまだ基礎をある程度収めただけだから、これから自分にあったやり方を見つけていくんだが・・・」
「はいは〜い!いい事思いついたのね〜!!」
神父が言葉を切るとヒャクメが手を上げながら声を上げる。
「なんだ?いい事って?」
「横島さんの弟子入り先なのね〜。」
「ヒャクメ様はどこがいいとお考えになったんですか?」
「全部なのね〜!!」
「「「はっ!?」」」
俺たちはヒャクメの言葉に呆れてしまう。
「それができたら苦労はせんわーーー!!」
「そうですよヒャクメ様。いくらなんでも・・・」
「まあ聞くのね〜。弟子入りで思い出したんだけど、横島さんはすでに小竜姫の直弟子なのね〜。でも、小竜姫はGSじゃないし、横島さんもGSになりたいわけじゃないから、とりあえず唐巣神父預かりにして、美神さん、エミさん、冥子さんのところには出稽古に行くという形を取れば問題ないはずなのね〜。」
闘龍寺は普通にシカトしやがった。
「いや、そりゃそうだけどいくらなんでもそれは。そうですよね?」
俺はそういいながら神父へと視線を向ける。
「唐巣神父?」
そこには以外にも真面目に考え込む神父がいた。
「いや、確かに問題はないですね。ただ、相手が了承すれば、ですが。」
「それはしょうがないのね〜。それで、唐巣神父はどうなのね〜?」
「わたしに異存はありませんが。横島君はどうだい?」
二人とも俺に視線を向ける。
「いえ、俺も問題ありませんけど、本当に大丈夫なんでしょうか?」
「それは相手次第だけどね。なに、断られてもうちにくればいい。」
そういって神父は人のいい笑顔を見せる。
「お手数ばかりおかけして申し訳ありません。それなら俺もその線でいきたいと思います。」
「よし、決まったね。相手には私から尋ねて見るからまた明日にでも来てくれるかな?」
「はい。わかりました。よろしくお願いします。」
俺はそういいながら神父に頭を下げた。
横島さんはわたしの考えに賛同してくれた。
彼はGSという危険な仕事に関わる・・・
それはとても危険なこと。相手に手を上げることができない彼ではそれはなおさら・・・
わたしは文官。彼に戦うすべを・・・心を教えることはできない。
しかしそれを教えてくれる者に心当たりはある。
神であるわたしが人間のためにほかの者に頭を下げる・・・
誇りも何もあったものじゃない・・・
でも誇りがなにになる?わたしのそんなちっぽけなもので彼が少しでも救えるなら安いものだ・・・
わたしは願う。これからの道筋に彼の幸せがあることを・・・
わたしは再び誓う。これからの道筋で彼を幸せにすることを・・・
あとがき
横島くんの弟子入り先決定でした。と言っても今までとあんまり変わりませんけどね。次は・・・もしかしたら予測できた方もいるかと思いますので内緒で。お楽しみに〜。
レス返し
初めにご意見、ご感想を寄せてくださった皆様に感謝を・・・
甲本昌利様
バイパーはやるかわかりません。やったとしてももう少し後です。その場合はどうしましょうか?う〜ん、悩むな〜。
EVE様
この頃シリアスが少ないような気が自分でもします。次こそは多少シリアスなところが入ると思います。
内海一弘様
おキヌちゃんのとりつきかたはご想像の通りです。嫉妬の部分で思いついたのがそこだったので・・・
ゆん様
ブラドーとの関係が見抜けなかったのは一部力が使えなかった為です。やっぱりヒャクメは・・・
亀豚様
今回はあんまりギャグありませんでした。次もあんまりないかもしれませんが、久しぶりにあの方を出す予定。
SS様
ツッコミの半分は優しさで出来てます。(意味不明)やっぱりボケだけは寂しいですよね。
うけけ様
このご意見はおそらく次に使わせていただくと思います。ご意見ありがとうございます。
寝羊様
おキヌちゃんはあんまり出てこない分出てくるとなにかしらしてくれます。私おキヌスキーですから・・・
ローメン様
うけけ様同様、次回使わせていただくと思います。ご意見ありがとうございます。
kamui08様
あのシーンは正直なやみました。仲間にするか、友にするか、それともヒャクメ個人にするか。ヒャクメ個人にするとヒャクメに完璧にフラグが立ちそうだったのでボツに。現時点で一番しっくり来るのが仲間という括りでした。