「お、お前はほんとに神族かーーーーー!?」
「ひーーん!ごめんなのね~~!」
そう言いながらもヒャクメはこちらに攻撃を仕掛けてくる。
「エミ、あんたそれでも霊能者!?どこまでドジなのよっ!!」
「うるさいわねっ!!ふいをつかれたんだからしょーがないでしょっ!!」
バン!!
窓の開く音がするとそこから吸血鬼と化した住民らしきひとが飛び込んできた。それが合図だったかのように部屋に大量の吸血鬼がなだれ込む。
美神さんは神通棍を手に奮闘している。マリアは格闘。俺は・・・
「だーー!!何で俺を狙うんだよ!?」
「しらないのね~!!体が勝手に動くのね~!!」
ヒャクメから逃げ回っていた。
「横島さ~ん、がんばって~!」
おキヌちゃんは応援。お願いですから助けてください。
「敵の数が多すぎるわ!!脱出口は!?」
「小娘!!こっちじゃ!!地下室がある!!一時退避じゃ!!」
気絶した冥子ちゃんを抱えたカオスが呼びかける。
「精霊石よ!!」
美神さんがイヤリングにしていた石を手に叫ぶ。
カッ!!ババ!
辺りが強い力をもった光で照らされる。俺たちは吸血鬼たちがひるんだ隙に地下室へと向かう。
「どうします?何時までもここに居る訳にはいきませんよ?」
「そうね、もって五分ってとこかしら。次の手を考えないと・・・!!」
「こっちです!!早く!!」
俺たちが次の手を考えているとそう呼びかける人物がいた。
その頃上では・・・
「こざかしいまねを!!ヒャクメ!!戸を破るのよっ・・・てどうしたワケ?」
「目が、目がぁぁなのね~。」
多くの目を持つヒャクメが予想以上にダメージをくらっていた。
「はぁ。二番煎じはいただけないワケ。」
もっともだ。
「逃げられただと!」
「申し訳ありません。」
私たちの目の前にいるのはブラドー伯爵。
容姿は一言で言えばピートさん。これはピートさんの関係者と見て間違いなさそうだ。
今ブラドー伯爵はなにやら子供の落書きのような世界地図の前で演説をうっている。
その間にわたしは現状を整理する。
先ほども考えた事からおそらくピートさんは吸血鬼。もしくはそのハーフ。それならブラドーを噛んで自分の支配下に置くことを考えるはず。そうするとおそらく美神さんたちは吸血鬼の力が一番発揮される夜、早ければ今夜にでも襲撃をかけてくるはず。
ふむ。幸いわたしは操られているとはいえ体だけ。流石に神族を完璧には操れないようだから何とか誘導してブラドーとピートさんの一騎打ちに持ち込ませたほうがいいか。
わたしはある程度考えをまとめるともう一度ブラドーを見る。
「あえて言おう、カスであると!!」
そんな言葉で演説が締めくくられると周りの操られている住人たちが一斉に声を上げる。
「・・・ジーク・ジ○ンなのね~。」
わたしはとりあえずそんなことを口走った。・・・横島さん、早く来てほしいのね~。ボケだけでは苦しいものがあるのね~。
ドォォォォォォン
城から少し離れた所で突然爆発が起きた。
「来おったか!!全員行って仕留めてこい!!」
「はっ!」
「あらほらさっさ~なのね~。」
わたしはとりあえず言われるままに体を動かそうとした。その時
「お待ちくださいブラドー様!これは陽動作戦かも・・・」
エミさんがそう進言した。む~余計なことしないでほしいのね~。
「エミさん余計なこと言っちゃだめなのね~。」
「しょうがないでしょ!!わたしはあんたと違って完全に操られちゃってるワケ。」
結局わたしたち二人は城に残り警戒の任に付くことになった。
「とりあえず、こうなっちゃったからにはわたしはピートを頂きたいワケ。ついでに令子も頂いてわたしの下僕にするワケ。」
「エミさん、染まってるのね~。」
バゴッ!!
「エ~ミ~!図に乗ってると心臓に杭ぶちこむわよ!!」
私たちの後方の壁が破壊され、そこから美神さんたちが侵入してきた。
「美神さん!まってたのね~!!」
「令子!!ふん!!できるもんならやってみるワケ!!」
私達がそう言う間に唐巣神父、ドクター・カオス、ピートさん、美神さんが奥へと向かい始める。
「ちょ、令子待つワケ!!逃げんじゃないワケ!!」
「あんたの相手なんてしてらんないのよ!!横島くん!マリア!ここは頼んだわ!!」
「イエス・ミス・ミカミ。」
「早く終わらせてくださいよ!!」
そういいながら横島さんとマリアが私たち二人に向き合う。
「私もいますよ~。」
・・・おキヌちゃんもふよふよ浮いている。
「横島さん!?いくらなんでも無茶なのね~!!」
「俺もそう思うが時間稼ぎぐらいはしてやるわい!!」
「いいからこいつら蹴散らしてさっさといくワケ!!」
エミさんは横島さん達に向かって走り出す。
「ノー・ミス・エミ。それはできません。」
進路をマリアに阻まれ、その際に両手を塞がれる。
「きーー、はなしてよこのポンコツ!!」
あれはしばらく動けそうもないのね~。ということは・・・
「横島さん!!逃げるのね~!!」
そういいながらも私の体は横島さんに向かっていく。
「わかってるが少しはなんとかしてくれ!!」
「それができたら苦労はないのね~!!」
横島さんは走り出す。私はそれを追う。
逃げる。追う。逃げる。追う。逃げる。追う。逃げる。追う。逃げる。追う。逃げる。追う。
「まてまて~~なのね~~。」
「うふふ、捕まえてごらんなさ~いって、こんなときでもボケんじゃねぇ!!」
そういいながら私のほうを振り向く。あっ!そんな急に止まったら・・
「あぶないのね~!!」
私のコブシが横島さんを捕らえてしまった。
ボコォ
横島さんが弾き飛ばされる。
「よ、横島さぁぁぁぁぁぁん!?」
ずさぁぁぁぁぁぁ
「ってぇぇぇ、シャレになんない威力だな。」
サイキック・ソーサー・・・・ひやひやさせないでほしいのね~。
それを確認するとわたしの体は再び横島さんへと攻撃を開始する。
「あぶね!!」
横島さんはそれを必死に回避するがついに壁際へと追い込まれてしまう。
「横島さん、やばいのね~!!」
私の体は横島さんに追い討ちをかける。
「わぁっ!!」
「わっ!?」
おキヌちゃんが突然壁から飛び出したため私わたしの体が一瞬ひるむ。
しかしそれも一瞬・・・・ついに私は横島さんを捕らえる。
「横島さん!こうなったら私を攻撃して引き離すのね~!!」
「でっ、出来るかそんなこと!!」
くっ!!横島さんには酷なこととは思うけど・・・
「いいからするのね~!!そうしないと横島さんが!!」
「それでもできないもんはできねえよ!!仲間ぶん殴って助かるぐらいなら吸血鬼にでもなんでもなってやるよ!!」
仲間・・・気持ちは嬉しいけど・・・
「私だって仲間を噛みたくはないのね~!!」
その間にも私の口は横島さんに近づいている。
「・・・わりぃ。それでもおれはヒャクメを攻撃できねぇ・・・」
私はその言葉を聞きながら横島さんに牙を突き立てようとした・・・その瞬間
「わぷ!!」
私の体から力が抜け、横島さんへと倒れこんだ。
「ヒャクメ?」
「あれ?かっ、体が動くのね~!!」
私は手を握ったり開いたりして確かめる。
「それじゃ、ブラドーは!?」
「おそらく倒されたのね~。とりあえず一安心なのね~。」
「そっか、よかった・・・・」
そういいながら横島さんは力尽きたように壁に寄りかかりずるずると沈んでいく。
「横島さん?」
「ああ、流石に疲れた。だからな・・・・」
「だから?」
そういいながらわたしは横島さんに顔を向ける。
「どいてほしいんだが・・・」
わたしの今の状態は横島さんに倒れ掛かったまま。つまり横島さんに抱きつくように覆いかぶさっている。
「いやなのね~。わたしも疲れたから動きたくないのね~。」
「なっ!おい!ヒャクメ!!」
わたしの返事に横島さんはうろたえ始める。
ふふふ・・・わたしは横島さんに抱きつきながら先ほどの事を思い出す。
かたくななまでにわたしに攻撃することを拒んだ横島さん・・・
それは彼が暴力を嫌っただけかもしれないが、わたしはうれしくも思った・・・
わたしのこと少しは大事にしてくれていると感じたから・・・
仲間・・・そう思ってくれていることがわかったから・・・
今は仲間でもいつか・・・・
「む~~~」
「む~~?」
わたしの思考は謎の声により中断される。
「おキヌちゃん?」
「む~~、ヒャクメ様ばっかりずるいです!!」
謎の声の主、おキヌちゃんは頬をふくらましながらわたしにそう言った。
おキヌちゃん・・・怒ってるみたいだけどその顔もかわいいのね~。
その後わたしたちはことのあらましを聞かされた。
ピートさんがバンパイア・ハーフであり、ブラドーの息子であること。
唐巣神父が無事だったこと。
ピートさんがブラドーを噛み、支配下に置くことに成功したこと。
とりあえずブラドー島に平和が戻ったことは確か。それで良しとする。
暴走する冥子ちゃんや、エミさんをからかう美神さんを止めるのに苦労したが。
わたしはいつものように横島さんに目を向ける。
横島さんは唐巣神父とピートさんと話しているがその肩にはおキヌちゃんが・・・
あれ以来おキヌちゃんは横島さんの肩にとりついている。
ふふふ、乙女の嫉妬は怖いのね~。
あとがき
ブラドー編終了です。ごめんなさい。あんまりシリアスにはなりませんでした。ブラドーの戦闘シーンないですし・・・今回は冥子ちゃん喋ってませんし。次はどうしましょうか?予定はあるんですがとりあえず内緒です。お楽しみに・・・
レス返し
初めにご意見、ご感想を寄せていただいた皆様に感謝を・・・
ソティ=ラス様
ヒャクメ=役立たず!!このヒャクメは役に立つ時は役にたちますが・・・役に立たないときはこんな感じです。基本的にギャグ担当ですし・・・
内海一弘様
ブラドーほとんど出番有りませんでした。現状の横島くんではブラドーとのバトルでは役に立ちませんし・・・
亀豚様
ヒャクメ、役立たずとはいえおいしいところを持ってきます。今回は・・・どうでしたでしょうか?
kamui08様
キャラです。しかしやはり違和感を感じましたか。一応完璧に操られていないということでフォローを。これに関連してヒャクメの血を吸ったエミさんが体調を崩すことも考えましたが、話が完全に違う方向のギャグになるため没にしました。
寝羊様
ドロンジヨからヒントをえて少しボケました。たぶんヤッターマンシリーズの返事だと思ったんですが・・・
kou様
ヒャクメクオリティーはこんな感じでした。たまに変わります。ギャグかシリアスかですけど・・・
SS様
ヒャクメは話によって立場が結構変わります。今回は完璧にギャグでしたね。
ローメン様
たまに私も思いますが一応神様です。たぶん・・・おそらく・・・たしか・・・
甲本昌利様
ボケとツッコミは不動です。マリアのUNOはさすがドクター・カオスの最高傑作としておきます。
ゆん様
今回の件での小竜姫様のお仕置き・・・おそらく近いうちに使わせていただくと思います。ああ、次の展開がばれる・・・
うけけ様
そろそろヒャクメは逝くような目にあう予定です。お楽しみに。
への様
恋心かはとりあえずとして横島くんターゲットは使わせていただきました。ご意見ありがとうございました。
スケベビッチ・オンナスキー様
牙の生えたヒャクメ・・・たしかに考えると萌えますね。らぶりー