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!警告!壊れキャラ有り

「一つの可能性 (6) (GS+???)」

ダヌ (2006-07-31 13:33)
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あいも変わらず平和な『美神除霊事務所』。そこにおキヌの驚いたような声が響き渡る。

「えー!!あの近畿剛一が来るんですかー!どうしよう、サインもらわなくちゃ!」
「ま、私は横島君と同い年の子なんて興味ないけどねぇ…」
「ってあんた!めっさ気合は入ってるやんか!」
「まぁまぁヨコシマ…」

気合いの入った服装の美神につっこむ横島を、宥めるルシオラ。おキヌは慌てて、お気に入りの服に着替えようと部屋に戻っていく。

近畿剛一はアイドル出身の若手俳優である。昨年大ヒットした『踊るゴーストスイーパー』で主役に抜擢され、一躍トップ俳優として認識された。TVやCMで彼を見ない日はなく、次回作が楽しみにされている、今が旬の俳優である。

そんな有名人がなんのためにうちに来るのだろう、と横島は疑問におもったが、そのことを質問する前にドアが開き、2人の男が入ってくる。

「おはようございます!近畿剛一です。今日はよろしくお願いします!」

噂の近畿剛一とそのマネージャーである。生の芸能人にテンションが上がる美神とおキヌ。ルシオラはそれほど興味がないのか、さして変わった様子はない。横島は近畿の顔を見て、なにか懐かしい気持ちを感じたのだが、その理由がわからず、傍観している。

「へー。実物もやっぱり美形ね♪」
「あ…あ、あ、あの、サインをお願いします!」

そう言いながら色紙を差し出すおキヌ。近畿は快く応える。

「『おキヌちゃんへ』…だね?」
「はいっ!ありがとうございます!一生の宝物にします!」

軽く成仏しかねないおキヌを置いて、美神がマネージャーに話しかける。

「私が美神令子です。今日はよろしく。ところで、見学の希望ということでしたけど…」
「こちらこそよろしくお願いします。詳しいことは本人から説明させますので…」

マネージャーはそう言って、近畿を促す。近畿は姿勢を正し、説明を始める。

「先日、『踊るゴーストスイーパー』の次回作が撮られることが決定になったんです。ですが、やっぱり続編は観る方の目も厳しくなりますし、実際のGSの除霊を見て、役作りを完璧にしたいんです。俺ちゃんとした役者になりたいから、今できることは少しでもやっておきたいんです!で、今回こちらの事務所に見学を申し込んだわけです。」
「ふーん、結構マジメなのね。わかったわ。ふざけた理由だったら適当にあしらうつもりだったけど、ちゃんとした理由だし、一流のGSの仕事を見せてあげるわ!そうそう、紹介するわね。そこにいる子が横島クン、彼女はルシオラよ。」

その言葉に驚く近畿。横島の方を向き、声をかける。

「横島…ひょっとして自分…横っちか?」
「な…なんで俺の小学校の頃のあだ名を…?」
「俺や!銀一や!」
「ぎ…銀ちゃん!」

「へー横島クンの知り合いだったなんて、世間は狭いわねぇー。」
「美神さん、なんかおばさんくさいわよ…」
「グ…」

こうして横島と銀一は数年ぶりの再会を果たしたのだった。


一つの可能性 (6)


姫路城。1993年に世界遺産に認定された、日本の誇る歴史的構造物である。
現在そこでは、『美神除霊事務所』による除霊作業が行われていた。少し離れた所には、簡易結界の中から銀一が真剣な目でその光景を眺めている。

除霊対象は忍び装束に身を包んだ悪霊である。すでに理性は失われているらしく、その口からは奇声しかでてこない。

「さてと…みんな行くわよ!くれぐれも油断しないように!」

美神の言葉を合図に全員が動き出す。先頭を務めるのはルシオラ。だが、悪霊の攻撃がルシオラに届くギリギリの距離でその姿は消えうせる。ルシオラの幻術にかかり、動揺した悪霊の隙をつき、霊波刀を展開し、接近戦に入る横島。
悪霊の意識が横島に向いた瞬間、ルシオラの幻術で姿を隠していた美神がその横に現れ、神通棍を一閃する。その一撃で、悪霊は霊体の半ばを失い、霊力が弱まる。そして、チャンスとばかりに美神が叫ぶ。

「おキヌちゃん、今よ!」

その言葉におキヌが応える。後方に下がって、銀一たちのガードをしていたおキヌだったが、銀一が目を向けると、おキヌは一つの笛を口にしていた。その笛の音から伝わってくるあふれんばかりの優しさ。悲しみを包みこみ、全てを救ってくれるような音色。
銀一がその光景に感嘆している中、悪霊が成仏していく。先ほどまで、むき出しの骸骨だったその顔は、最期の瞬間に生前の顔に戻る。

銀一はただただその光景に感動していた。


「すごかったです!やっぱ本物みてよかった!」
「まぁ一応うちは一流のGS事務所だからね。」

興奮した様子の銀一に美神が応える。

「けどこんなにあっという間に除霊するなんて!みなさんのコンビネーションは凄すぎですよ!取り寄せた資料にはこんなの写ってなかったですし!」
「まぁうちは全員が一流だからね。しゃくだけど、横島クンの奴もね。けど、どんなに個人の力量があっても、この仕事には危険が付き物なの。だからできる限りチームで助け合って、除霊するのよ。映画を作るのだって一緒でしょ?まぁうちがチームプレイを取るようになったのは最近なんだけどね…」

そう言いながら笑う美神。

「ほんと、いろいろ勉強になりました!ところで、最後におキヌちゃんが吹いた笛はなんだったんですか?」
「あれはネクロマンサーの笛っていって、その音色は、霊を成仏へと導くことができるの。」
「誰でも使えるってもんじゃないんですよね?」
「そうね。世界的にも使える人は僅かね。霊の気持ちが理解できる人でなければ、吹くことすらできないわ。おキヌちゃんは300年も幽霊やってたから、そういう意味じゃネクロマンサーの第一人者ね。」
「さ…300年も…ですか…?」
「そうよ、いろいろあってね。いろんなことがあったけど、明るくて、優しさを失わないいい子なのよ♪」

おキヌについて語る美神の表情は、自慢の妹を誇る姉のような表情だった。

「そう…ですか。ほんとに今日、ここに来れてよかったです。ありがとうございました!」

銀一はそう言うと、向こうからやってくる横島の方に足を向ける。昔馴染みと懐かしい話もあるのだろう。足を向けながら、銀一は確信していた。今日の経験はきっと彼の役者人生に大きな影響を与えることになる、と。


除霊を終え、機上の人となった横島たち。銀一のスケジュールが詰まっていたため、その日のうちに東京に戻るという銀一たちと一緒に横島たちも帰ることにしたのだ。今は横島と銀一に、ルシオラとおキヌも一緒になって昔話に花を咲かせている。美神は、「寝不足は美容の敵」、ということで、少し離れたところで仮眠をとっている。

「へー、やっぱり昔からもててたんですね。」
「そやで。銀ちゃんは昔からモテてモテて…一緒にいた俺がどんなにしんどかったか…!」

血の涙を流しながら回想する横島。そんな横島に、「仕方ないわね」、とばかりにルシオラが声をかける。

「もう…昔のことはいいじゃない。今は私がいるんだし。それとも私じゃフマン?」
「いや、そんなことないぞ!ありがとう、ルシオラ!やっぱ俺にはお前だけやー!」

二人のやり取りに冷ややかな目を向けながら、銀一がおキヌに話しかける。

「全く…横っちはほんと変わってへんな…」
「え!?どういう意味ですか?」
「横っちはな、昔からこうなんや。日頃はバカばっかやってんのに、ここぞという所は持ってくねん!俺なんか、全然知らん子とかにはキャーキャー言われるんやけど、この子!って思った子とはうまくいかないんよな…全く…俺の方がコンプレックスになるっちゅうねん!」
「大丈夫ですよ!いつかちゃんとした人が好きになってくれますって!」
「ありがとう、おキヌちゃん!今度こそうまくいきたいもんやわ…

つぶやく銀一の脳裏には先ほどの情景が浮かぶ。霊を成仏へと導く、慈愛に満ちた表情の少女の姿が。彼の中に芽生えた淡い想いが成就されるかどうかは…神のみぞが知っている。


一行は無事東京に着き、今は別れのあいさつをしている。実は、飛行機が銀一の悪霊ストーカーに襲われるという一騒動があったのだが、こちらはあっさりルシオラが除霊したのだ。ただ、その後の銀一に対する視線には多分の同情がこめられるようになっていたのだが…

「ほんじゃ銀ちゃん、またストーカーに襲われるようなことあったら相談してくれよ。いつでも助けに行くから!じゃ、またな!」
「横っちほんまおおきに!」
「ほんといつでも遊びに来てくださいね。歓迎しますよ。」
「そっか。ルシオラさんは横っちんとこに住んでんやもんな。お言葉に甘えて、近いうちに顔出しにいきますよ。」
「楽しみに待ってるわ。」

銀一は横島とルシオラとの挨拶を済ませると、美神とおキヌの方に顔を向ける。

「今日は本当に勉強になりました!」
「ま、今日の経験を活かすも殺すもあなた次第よ。次回作期待してるわよ?」
「はい!招待券送りますんで、期待しててください!」
「今日はほんとにお疲れ様でした。」
「おキヌちゃんも、ありがとな。で、な…実は…その…なんなんやけど…霊の気持ちっていうのをもっと知りたい…って思うんやけど、その…よかったら…やけど、今度また話し聞きに行ってもいいかな?」
「え!?あ…はい!いいですよ!いつでも来てください♪」

その様子に美神は吹き出してしまう。おキヌは気づいてないみたいだが、美神からすると、銀一の態度はまるわかりだった。

「あははははは…若いっていいわね。ま、頑張んなさい♪」

そう言って、銀一の背中を叩く美神。
引きつった笑みを浮かべる銀一と、きょとんとした表情のおキヌ。
果たして彼は今度こそ幸せをつかめるのだろうか…


そんな彼らを…なぜか夏子(?)が生暖かく見守っていた…


〜おまけ・横島くんの免許合宿〜

ある日突然、横島は美神に呼び出された。

「教習所の手配しといたから、明日はここに行ってね。超短期合宿だから一日で免許が取れるはずよ。てか…私がお金だすんだから…一日でとってきなさい!」

そう言って、渡された地図の場所へと向かった横島。
着いたビルにはこう書かれていた。


『A○E』と…


「俺がお前の教官役の百○鳥創だ。さっそく始めるぞ!」

その言葉と共に、いきなり車に乗せられる横島。

「こ…これはまさか…『今、お前に生命を吹き込んでやる!!』ってやつですか…」
「お前にそんなことできるわけないだろ!とりあえず動かせ!体で覚えろ!午前中にマスターできなかったら…東京湾に沈んでもらうぞ!」

百○鳥の体から滲み出る殺気にその言葉の真偽を悟る横島。彼の中で警報が鳴り響く。この人は美神さんと同じ人種だと…


なんとか午前中で運転をマスターした横島だったのだが、彼に課せられた卒業試験は恐ろしくハードルの高いものだった。
百○鳥の用意した卒業試験は…『一人の走り屋さんとの峠バトル』だった…


ちなみに彼の車の車体にはこう書かれていた…


『藤原豆腐店』と…


「勝てるかー!!!あんた鬼かー!!」


結局横島が免許を取れたのは2日後だったという。


あとがき
タマモより先に銀一を出してしまいました。すいません…おキヌちゃんとの絡みは…ここでは横ルシにしちゃったんで、彼女にも幸せになってほしいと思ってやってみたんですが…2人とも好きなキャラなので、できれば許してください…orz
一応くっつくかどうかはまだわかりません。
悪霊ストーカーは、空飛べるルシオラがいたため、かなり淡白になっちゃったのでカットさせて頂きました。
おまけの相手は…あの方です。ハチ○クに2日で勝つのは無理そうですが…横島ですし。
なんか色々お目を汚したかもしれませんが、楽しんで頂けたら幸いです。では失礼致します。

レス返し
読んでくださった皆さん、ありがとうございます!
○kamui08様
はい。子狐は彼女です。次回こそ登場です。「アーイル、ルシットラー!」
○かなりあ様
そうですね。これからもちょくちょく学校編は出してきます♪
○いしゅたる様
そうですね。頑張って掘り下げていこうと思ってます!
しっ○団大好きです!
○亀豚様
ルシオラ気にいってくれてありがとうございました!今回は出番少なかったですが。
○ローメン様
そうですね。仮面ラ○ダーのような関係になるかもしれません。
○寝羊様
お言葉ありがとうございます。やはりそこを書けなかったのは自分の力不足だと感じています。すいません。
○TA様
おっしゃるとおり、かなり無理な詰め込み方だったかな、と反省しています。もっとルシオラを動かせればよかったのですが…学校でのどたばたはこれから書いていきたいです。
○k82様
おっしゃる通り増えていきます。今回は夏子…同列にすんのはまずかったですかね…

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