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▽レス始

「妖との仲介人 7件目(GS)」

ラッフィン (2006-07-28 01:34)
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「人狼の里の結界術を教えてもらった?」
「ああ、それで隔離しちまえば人間も妖怪もお互いに手出しできないからな」
「それにしても、横島さん、それに雪蛍さんもなんか疲れとりますノー」
「しかも、雪蛍さんに至っては機嫌悪いですし、何かあったんですか?」
「いや、今朝に一騒動あってな・・・」

今は、昼休み。横島とピートとタイガーは弁当を食べながら人狼の里にいったことを話していたのだが、今朝の騒動の話に変わる。もちろん、人狼の里の話のときに必然的にシロの説明もすることになる。フェンリルの事件を知っているピート達にはそんときにいた人狼の子供だと説明すれば問題なかった。

――早朝――

ドンドンドン!!
「せんせーーーーーーー!!」
ガチャ!
「朝っぱらからやかましいわ!」
「散歩いこ!散歩!!」

まだ、日も昇り始めるころで空は紫がかっているときにシロが横島のマンションを訪ねてきたというか、襲撃?にきた。放っておくと近所迷惑なので出るしかなく、こんな早くに起きるはめになり些か機嫌が悪い。それでも、原因であるシロは興奮していて気付かない。もう尻尾をブンブカ振って散歩に行こうとアピール。そこへ、雪タマも眠い目をこすって起きてくる。雪蛍は枕を抱いて。

「お兄ちゃ〜ん・・・こんな早くになんらの〜?」
「うるさくて〜・・・ねむれにゃいじゃないの〜・・・」

二人とも早過ぎる起床に寝ぼけて呂律がまわっていない。そんな二人に申し訳なさそうに、手を合わせる横島。シロに向き直って言う。

「あのな〜、近所迷惑になるから来るなら静かにこい。それに、ここには俺の他に雪蛍とタマモが住んでいるんだから考えろって・・・」
「雪蛍殿やタマモだけずるいでござる〜!」
「お前は美神さんが預かっているんだからしょうがないだろ!ただでさえ、我侭言って出て来たんだから我慢しろって」
「キュゥウウウン・・・」

横島の説得にうなだれるシロ。それを可哀想に思うも近所のこと、何より雪蛍とタマモのことを考え、心を鬼にしてシロを説得する。

「ほら、俺が事務所にいるときに修行つけてやるから朝は我慢してくれ」
「本当でござるか?」
「ああ、二言はない」
「なら、我慢するでござる!」

以外とあっさり説得できてしまった。シロはそれで帰りその後、寝ようと思ったのだが、思った以上に時間がたっており、中途半端だったためそのまま起きているはめになってしまったのだ。

その話を聞いたピートとタイガーは苦笑しか出来なかった。

――同時刻・学校付近――

「お!あったあった。」

ところどころ破けている汚れた服を着た、いかにも家ないですな男がいた。そこで何かを漁っている。それはゴミ箱ではなく、墓地の近くにあるお地蔵様が祭られている小さな社だった。その男はあろうことかそこにお供えしてある食べ物や賽銭を盗る賽銭泥棒だったのだ。

「ち、饅頭一個かしけてんな〜。まいっか。あるだけでラッキ・・・お?裏に金がおちてんじゃねぇか」

男はその金を拾うために地蔵様をどかすが、その拍子に倒してしまった。だが元に戻すのが面倒と言う理由でそのまま放置し、早々に立ち去った。
これが原因で後に大変なことになるとは知らずに・・・

「ウォオオオオオオオオオオオオオオオオ」


――放課後――

ここは音楽室、数十人の女子と数人の男子が楽器を吹いている。そう、今ここは吹奏楽部が活動しているのである。この愛子が見たら『青春よ!』といいそうな雰囲気がこの直後、阿鼻驚嘆の地獄絵図になろうとは誰も知ることが出来なかった。

「何?」
「う・・・」
「どうしたの?麗奈、瑞希」

まず、最初に異変を察知したのは愛子と仲良しの二人組み、麗菜と瑞希だ。この二人は吹奏楽部に所属していて、担当は麗奈がフルート。瑞希がトランペットである。二人ともなかなかの実力を持っているが、この学校のレベルはそんなに高くないので大きい大会には出たことがない。

麗奈と瑞希が頭を抱えてしゃがみこんだのを心配し、吹奏楽部の女子部員が数名駆け寄るが一人の女子が窓の外を見て動きをとめた。その女子の体が震えている。そんな様子に気づいた人達も視線を追って窓の外を見る。

「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ」

学校の敷地外だが、そんなに離れていないところに霊が集まって霊団になりつつあった。霊感が普通の人より強い麗奈と瑞希だから思わずしゃがみこんでしまったのだろう。

『『『『『『きゃあああああああああああああああああああああああ』』』』』』

吹奏楽部員の悲鳴で霊団がこちらに気付いた。

――教室――

ガタガタン!

今まで雑談をしていた除霊委員(横島兄妹、ピート、愛子、タイガー)が全員立ち上がる。他に教室に残っている生徒はそんな彼らを不思議そうに見ているが、横島達はそれどころではない。

「なんだ、このでかい霊気は?」
「何かが起こっているみたいですね」

『『『『『『きゃああああああああああああああああああああああ』』』』』』

全員がこの高い霊気が発生していることに気付いたのだ。悲鳴が聞こえた瞬間に除霊委員はそこに向かって走り出した。

「悲鳴はこっちからしましたよ」
「こっちって、音楽室のほうからじゃない?」
「音楽室って吹奏楽部がいたんじゃ・・・」
「さっきの悲鳴がそれだろ。くそ、間に合えよ」

――音楽室――

「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ」

悪霊達が部員の悲鳴によってこちらに気がつき向かってくる。麗奈と瑞希は痛む頭を耐え、みんなに指示を出す。

「みんな、とにかく窓から離れて!」

ドアに近かった部員は音楽室を飛び出し、遠かったものはなるべく離れようと端に集まる。が、そのうちの一人が転んでしまう。瑞希と麗奈はその子を助け起こそうと駆け寄るが霊団がすぐそこまで来た。二人は中途半端だった女子の体を突き飛ばし、自分の体を盾にしたのだ。

「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ」

そして、二人は霊団に飲み込まれた。


横島達が音楽室に到着し、ドアを開けると。教室の隅で集まって震えている吹奏楽部員と中央で霊団に飲み込まれる瑞希と麗奈という状況である。そして、その飲み込まれた二人の体から二人の幽体が押し出され、空いた肉体に何体もの霊が入り込んだ。離れた幽体のほうも周りの霊に取り込まれそうになっている。

「っくしょ〜、ピート!タイガー!結界を張って部員を頼む!」
「はい!」「任せてつか〜さい!」
「愛子はピートたちの結界の中にいろ。雪蛍は俺が二人を助けるから、二人の護衛を頼む」
「わかったわ」「うん」

横島は文珠を二つ取り出し、二人に向かって駆け出す。栄光の手で周りにいる霊を払い空いたところに手をつっこむ。そして、二人の幽体に横島の文珠が触れた。

<守><護>

文珠が発動し、二人を取り込もうと周りにいた霊達が弾かれる。その隙に雪蛍は二人を掴みピート達の結界のほうへ向かう。

「ピートさん!」
「こっちだ」

一部を開放し、幽体をつれた雪蛍を招く。霊達もその穴に気付き入ろうと迫ってくる
がタイガーとピートが阻んだ。

「グルアアアアアアアアアア」
「ダンピールフラッシュ!」

タイガーが獣化し精神感応をかけ、ピートがダンピールフラッシュで霊を払う。雪蛍達が入ったのを確認すると結界を再び閉じる。
一方、二人を助けた横島は今度は二人の肉体のほうへと向かい、再び文殊二つを取り出す。

「それはお前らの体じゃない!返せ」

<成><仏>

周りの霊や二人の体の中に入っていた霊を根こそぎ成仏させた。

――麗奈・瑞希――

「肉体ヨコセ肉体ヨコセ肉体ヨコセ肉体ヨコセ肉体ヨコセ肉体ヨコセ肉体ヨコセ」
「喰ワセロ喰ワセロ喰ワセロ喰ワセロ喰ワセロ喰ワセロ喰ワセロ喰ワセロ」

霊団に飲み込まれた二人にはそいつらの意思が流れてきている。もう、自我はなくあるのはただ、肉体が欲しい執念と喰いたいという食欲みたいな怨念だった。

「なんなのよ、なんだってのよ!」
「いや、こないで。私の中に入ってこないでーーーー!!」

霊団に二人の意思は通じない。だんだんと二人の意識が遠のいていく。それは霊に取り込まれることを意味している。

「だ・・・れか、たすけ・・・」
「い・・・や、こな・・・」

二人は意識がなくなる寸前で何か暖かいものに包まれるような感じがした。


「二人はどうだ?」
「危ないです!霊達にかなりの霊気が吸われてしまったらしくて」
「とりあえず、二人を肉体に入れよう」
「はい」

<成><仏>の文珠によって霊を成仏させたが、まだかなりの数が残っていた。
横島は二人の肉体を霊団から取り返しピート達の張った結界の中に入ってくる。
吹奏楽部の部員は外の霊団のことで恐怖に震えていてそれどころではないようだ。横島はピートに麗奈と瑞希の状態を聞くが二人の状態は危ないらしい。横島はすぐさま文珠を取り出そうとするが、これまでにすでに4つ使っていたので、ストックはなく新たに作らねばならなくなった。

「こんなときに!!」
「横島さん、大丈夫なんですか?」
「ああ、3個くらいならだせる。けど、それで終り、この状況を文珠なしで乗り切ることになる。結構キツイぞ」
「でも、二人を助けるためには考えてる時間はないんジャー」
「そうだ。だから、霊団は俺とお前とピート、それから雪蛍が頑張ることになる。いいな?」
「「「もちろん(ジャー)」」」
「よし」

横島は文珠を3つ作る。

<復>×2

『回復』の『復』の文珠を使い二人の霊気を回復させる。愛子はすぐさま二人の容態を見てみたが、どうやら危機は去ったようだ。今はただ眠っている状態だそうだ。
だが、安心は出来ない。何故なら、霊団を払ったわけでないから。この状況ではいつかは結界も突破されてしまう。

「タイガー、精神感応で俺らの姿だけしか見えないようにしてくれ」
「わかりましたケン」
「ピート、雪蛍。いいか?」
「OKです」「いいよ。お兄ちゃん」
「最後に愛子。お前にこれを預ける。みんなを頼むわ」
「ええ、任せて。横島君、死なないでね?」
「縁起でもねぇな。大丈夫だって、ちゃんと帰ってくるさ」

横島は愛子に笑いかけ最後の文珠を渡す。そして、タイガーの合図で一斉に結界から飛び出した。

「いきますジャー」
「「「おう(はい)」」」

「はぁあああああああ」
ゴア!

飛び出した後、まずはピートの霊波砲で霊団を牽制する。

「サイキックソーサー!」
ドドドオオオオオオオオオオン

次に横島がサイキックソーサーを3枚投げ爆破し、爆風で霊団を窓外まで吹き飛ばした。

「いきましょう」
「ああ、音楽室はしばらく使えねぇな・・・」
「後で文珠で直せばいいでしょ?お兄ちゃん」

3人はそのまま窓から飛び出す。ちなみにここは1階ではないのだが、ピートは飛べるのでOK、横島と雪蛍は『栄光の手』と『愛しの氷』を伸ばし無事着地。
タイガーの能力により目標が横島達しか見えなくなった霊団は横島達に目標を変更して襲い掛かる。が、3人も場所を校庭に移し戦いやすくなったおかげで全力を出せるようになる。校庭には人がいなかった。どうやら、逃げ出せた吹奏楽部員が教師に連絡して急遽非難したらしい。

「う・・・」
「ん・・・」

横島達が霊を追い出し飛び出た後、麗奈と瑞希が目を覚ます。吹奏楽部員も霊がいなくなったことで落ち着きを取り戻していたので、二人の意識が戻ったときには喜んでいた。そんな中、愛子は落ち着いて二人に具合を聞く。

「二人ともなんともない?」
「うん、ちょっと体がだるいけど大丈夫よ」
「私も。後、少し頭痛があるかな」

二人は霊気の減少による気だるさはあるようだが、大丈夫のようだ。ここで愛子は初めて安堵するも、今度は横島達の心配で再び顔をしかめる。そこで、二人は目覚める前のことを思い出し、愛子に問い詰める。

「愛子!あの幽霊たちはどうなっての?」
「私達が気を失ってた間、どうなったの?」
「ちょ、ちょっと!落ち着いて。こ、これじゃ・・・話せないでしょ!」

肩をつかまれ前後に激しく揺さぶられていた愛子は必死に宥め、現状を説明する。それを聞いた二人も先ほどの愛子同様、顔をしかめ。

「平気かな?あの3人」
「うん。あんなたくさんいたし」

と洩らす。これには愛子も返答を返せない。3人の心は不安が支配し、沈黙する。しかし、返答は以外なところから返ってきた。

「大丈夫ですケン。ピートさんと横島さんなら絶対に無事ジャー。信じてあげてつか〜さい」

今も霊団に精神感応をかけているタイガーだ。彼も自分の能力をフルに使って霊と闘っている。その証拠に額には物凄い量の汗が滲んでいた。それでも、精神感応を掛け続ける。まだ外で霊と戦っている友達がいるのだ。自分だけ休めるわけがない。
そんなタイガーの言葉で愛子達も今戦っている3人を信じることができた。

――校庭――

「バンパイアミスト!」

霧化し、霊たちを避けたとこで実体化して霊波砲。見事なヒット&スルーで霊を撃退していくピート。

「ハンズオブグローリー」

栄光の手を霊波刀状にして、片っ端からなぎ払う横島。さらに、ゴキブリのようにすばしっこく動き回りながら霊波刀を振るっているので自然にヒット&アウェーになっている。

「アイシクルソーサー」

雪蛍は4枚のアイシクルソーサーを展開。自分の体に惑星の周りを回る衛星のように高速で回転させる。さながら、土星のリングのように見える。それに触れた霊はたちまち氷付けにされてしまう。

こうして各個撃退している3人だったが、なかなか数を減らすことができないでいた。
3人の戦い方は少数の霊なら対応できるのだが、今みたいに霊団にはあまり効果のない戦い方である。しかし、おキヌのようなネクロマンサーでない彼ら、ましてや切り札の文珠をきらしている状態では、これしかないのも確かである。
しかし、このまま持久戦になってしまったら3人が不利であることも確かだ。彼らは除々に追い詰められていく。

――校舎――

横島達が戦っているところは校庭なので、校舎のほとんどのところからその状況が見える。小鳩のクラスからも当然見えるようになっている。帰宅部で早々に帰った人以外(運動部も文化部も部活を中断して教室に戻ってきて)外の戦いを見ていた。
みな、霊団に恐怖しているが、小鳩はそれほど怖くは思っていない。子供のころから貧乏神につかれていたので、オカルトの類は慣れている。それよりも闘っている横島の無事が心配だった。小鳩はいてもたってもいられなくなり教室を出て一階へと降りる。

小鳩自身、何をやってるかわからない。とにかく夢中だった。一階まで降りたとこで『降りてきてどうする?』と正気に戻る。外を見れば横島達が必死で霊団と戦っている。 何も出来ない自分に歯痒い思いになり立ち尽くす。そこへ後ろから声を掛けられる。

「小鳩、小鳩」
「え?」

後ろを見ると、そこには横島の妹、タマモの姿があった。

「タ、タマモちゃん!?」
「これ、どうなってるの?横島を迎えに来たのにすごい霊力を感じるし。外で横島が戦ってるし・・・正面からじゃ危ないから裏から回ってきちゃったわ」
「実は私も詳しいことはわからなくて。ただ、あの霊の群れが音楽室に襲い掛かったらしくて、横島さん達がそれを追い払おうとしてるんです。」
「ふ〜ん、でもあれは後から後から沸いて出てきてるからキリがないわね・・・」

小鳩の説明を聞き、顎に手をあて思考するタマモ。小鳩は何も出来ないのでただ、タマモの言葉を待っている。

「これは元から断つしかないか」
「元ですか?」
「そう、私の鼻であいつらがどこから出てきてるかを探すの。元を潰せばもう霊達は出てこないし。じゃ、私は行くわね」
「待って、私もいきます」

小鳩は考えるより先に言葉が出てしまったようだ。タマモは一瞬驚いた顔をしたがすぐに戻る。小鳩が横島に向ける想いを知っているから。不思議と納得してしまったのだ。

「危ないわよ?」
「私も横島さんを助けるために何かしたいんです」
「ふう・・・仕方ないわね。行きましょ」
「はい!」

小鳩の決意は揺ぎ無い。タマモは降参し、小鳩と共に動き出す。ここに霊団の元を断つ、遊撃部隊が結成された。

二人は学校の裏から外に出る。表は横島達が戦っているためだ。タマモが霊団の匂いを追い小鳩とともに駆け出す。その際に、自分と小鳩に霊に見つからないように幻術を掛けておくことも忘れない。

「まずはどうするんですか?」
「あの、霊達が飛んできた方向へ行きたいのよ。そっから匂いを追うわ」
「裏に周るんですね?なら、こっちです」

この辺の地理ならタマモよりも小鳩のほうがある。ここは小鳩に任せることにしようとタマモ。タマモが頷く、小鳩を先頭に彼女らは先に進む。

小鳩の案内で出た道はちょうど、霊団の裏の道だった。タマモは早速匂いを嗅ぐ。
が意外に近い場所にあり少し拍子抜けしそうになる。

「あそこね・・・なんか匂いをたどるほど遠くなかったわね」
「霊が出てきてます」
「たぶん、傍に倒れている地蔵を元に戻せば大丈夫よ」
「でも、霊があのまま出てきてれば、元に戻せないですよ?」
「そこは私に任せて」

タマモが霊をとめているうちに小鳩が地蔵を直すという役割になったらしい。
タマモの合図で駆け出す。

「フレイムソーサー!」

タマモは霊の発生源に六角形の炎の盾を出現させる。雪蛍のソーサー同様、横島のソーサーに似ている。タマモ曰く『これが見慣れているからイメージしやすいのよ』だそうだ。だが、それを語るときに顔を赤らめていたのはどういうわけか。

タマモがソーサーで道を塞ぐ。まるで、蓋をされたような光景だが、効果は絶大だ。霊を完全に封じ込めることに成功する。小鳩はすぐさま地蔵を起こそうと力を込める。しかし、そこは女の子。全身石で出来ている地蔵を起こすとなると簡単にはいかないのは当然だろう。

「んん〜〜〜!!」

一生懸命に力を込め地蔵を起こす。霊のほうも黙ってただ封じられているわけではない。ソーサーを破ろうと懸命にあがいている。それを抑えるタマモにはかなりの負担がかかってくるが、ソーサーに霊力を追加し、強引に抑える。タマモの額には汗が浮かんできていて、余裕はなさそうだ。

「ん〜〜〜、えい!」
ゴトン!

小鳩は渾身の力をこめて地蔵を元の位置に戻すことに成功する。タマモはソーサーを消してみたが、霊は出てこない。どうやら、元の環境に戻すことが出来たらいい。小鳩とタマモは安堵のため息をつく。が、まだ安心は出来ない。学校ではまだ横島達が戦っているのだ。二人は頷き合い学校へと戻った。

――校庭――

「はぁあああああああ!」
ボシュゥウウウウウウウ
「お兄ちゃん。霊が減って来たんじゃない?」
「そうだな。これなら、勝機が見えてくる。ピート、雪蛍。もちっとふんばるぞ」
「「はい」」

小タマが地蔵を元に戻したことで霊の供給がされなくなったために、減少してきたことを見抜いた横島達は最後の力を振り絞る。

「横島〜!」
「タマモか、悪いが手伝ってくれ」
「了解」

タマモも加わり勢いが増す。5分後には全ての霊を除霊することに成功したのだった。


「ピート君、私達を助けてくれてありがとう〜」
「いえ、皆さんが無事で何よりです」
「私、怖かった〜」
「あ、ずるい!私も怖かったの〜」

事件の後、校舎に戻ると吹奏楽部の女子がピートに群がる。男子はタイガーにお礼を述べていた。横島のところには誰もいない。
事件のときにみんなが正気に戻ったときはタイガーが精神感応をかけている姿しか見えなかったし、外の戦いではピートにしか目線を向けていなかったからだ。
横島と雪蛍は左右に展開していたので視界に入りずらかったのもあるが。

「お疲れ様、お兄ちゃん。」
「雪蛍こそお疲れ。それからタマモ、助かったよ」
「横島を迎えにきただけよ」
「お疲れ様、横島君」「お疲れ様です。横島さん」
「愛子、小鳩ちゃん。こっちこそ助かったよ」

だが、横島のところでは関係者がお互いを労っていてこれはこれでいい雰囲気だった。このときまでは・・・

「「横島君・・・」」
「ん?麗奈ちゃんと瑞希ちゃん。体はなんともない?」
「うん、大丈夫よ」
「これも横島君のおかげよ。ありがとう」

あのとき、横島に救われた麗奈と瑞希の二人がやってきた。愛子に自分達がどんなに危ない状態だったか聞かされ、二人は助けてくれた横島に感謝してもしたりないくらいの心境だった。一方、横島は二人を無事に助けることが出来てホッとしている。これが油断だったのかもしれない。二人はお礼を言う以外にも何かやろうとしていたのだ。

「「これはお礼よ」」
チュッ!
「「「「「!!」」」」」

そういって二人は横島の両頬にキスをする。これに慌てる横島。

「な、なななな!」
「だから、お礼よ。お・れ・い!」
「本当ならこれでも足りないくらいなのよ」
「「本当にありがとね♪」」

見惚れるくらい綺麗な笑顔を浮かべて二人は去っていった。横島はしばらく二人が去っていったところを見ていたが、ふいに肩を掴まれる。

「お兄ちゃ〜〜〜ん」
「横島〜〜〜〜」
「横島く〜〜〜〜ん」
「横島さ〜〜〜〜ん」

ギギギギと擬音が聞こえるような動きで後ろを振り返る横島。
そこには4人の修羅がいた。

「のぎゃあああああああああああああああああああああああああ」

恋する乙女は強かった。


あとがき

暑は夏い。ラッフィンです♪

最初に一言、私はシロは嫌いではないです。この作品では扱いが良くないのでなんとかしようとは思っているんですが、なかなか出来ないのが現状です。しかし!次の六女合宿編ではヤット!シロを活躍させることが出来ます。

GSの中で一番好きなキャラと聞かれたら、『おキヌちゃん』と私は答えます!はい、即答です。横島の親友(ピート、タイガー、雪乃丞)いいですねwタマモ、小鳩、愛子、魔鈴も好きですw意外に冥子ちゃんも好きなんですよ。でも、一番はおキヌちゃんですwあれです、キリンさんが好きです。でも、像さんのほうがもっと好きですってやつですw

次回は六女合宿編ですw間違いありませんw
では次回お会いしましょうw


レス返しです


かなりあ様

>ベスパフラグがたちそうな気配ですねー。
今、どうやってベスパを絡ませていくか検討中です。私としても是非絡ませたいのですが・・・


whiteangel様

>三角関係ならぬ4・・・5角関係
小鳩達もいますからもっと角が多いですよw
今後はどうしよう・・・参ったな〜・・・


亀豚様

>ひのめちゃん
それはいくらなんでもマズイでしょ!!パピは魔族なんで問題ないですw
とりあえず、ベスパをどう絡ますかが問題です。

>ソレハカンベンシテェェェェェ
亀豚様〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!
あなたの死は忘れない・・・(マテ


寝羊様

>『おねぇさん属性大好き人間』
>元々素質はあったんですよ?(何
なんで・・・なんでお姉さん属性なんですか?ロリっ子属性ではないのですか!?
しかも、元々からあったと!!ベスパは姉と妹の両方の属性があります!!(エ

>あえて言おう横島は炉属性好き好き人間だと!!
私はあえて言いましょう!横島は美人な女が好きなんですとw


パッサッジョ様

目下、ベスパを横島に絡ませることを検討しています。

>愛しの兄さんに愛を囁いてもらえなくなるんですから
大丈夫です、見ているだけでも雪蛍ならご飯3杯はいけますからw
とりあえず、抱きつきは決定ですw

>ルシオラの活動した年齢が,1年足らずという事実を忘れちゃ駄目ですよ。
ああ、横島が必死に忘れようとしていることを・・・
でも、確かにそうなんですよね〜。体だけ(ある一部分を除いて)は大人w
名探偵コ○ンとは逆ですねw


HAPPYEND至上主義者様

>う〜〜ん、残念!
次回、シロを活躍させますのでご勘弁を。

爆発力云々ですが、横島は戦闘になったら魔族本能で好戦的になります。そこに煩悩はわきません。戦闘で興奮しているのでそっちの思考にはならないからです。なので、前みたいに煩悩全開といって霊力をあげることはできないわけです。

>甘々べスパ
私も書きたいのですが、絡ませるのが難しいので検討中です。

ルシオラは体を大人(一部分を除いて)ですからね〜・・・
そうですよねw魔族だから人間のほうにはひっかからないしw
大いに間違えば・・・『地』『獄』『車』ぐはぁあああああああああ!

>むっ!! 危険な気配?!!! 退却っ〜〜〜〜〜!!!!!
すばやい反応だなって!何故にこっちにくる!うわ・・・ちょ、まっ・・・・
あぎゃああああああああああああああああああ!!

>う〜〜ん、悩みますねぇ〜〜
両方やります


SS様

そういえば!0歳児多いですよね?雪蛍は微妙・・・タマモ、パピリオ、ベスパ。
ははは、ベスパが本気出したら横島なんて抵抗できないさ〜〜〜Www


ヒガンバナ様

>ラッフィンさん以外のヤツが開けられんよう箱に細工してもう一回送るか
おお!
届いた届いた。どれどれ(開封)・・・『超』『兄』『貴』なんじゃこりゃあああああああああああああああああああ!!

>雪蛍ちゃんが本気で性的なアピール
そうですね〜。でもかーちゃん呼ぶ時間はないですねwベスパがアピールしたらもう無理ですよw

>存分に間違えたま(アイシクルソーサー&狐火による水蒸気爆発で音信不通
駄目ですって〜w二人の存在を忘れたらwここは4人ど(机と霊団そして、急に借金することになり退場。)


読石様

>ベスパと二人っきりに為って良い雰囲気になった場合、煩悩を押さえる事は出来ないという事ですな。
まさしくその通りでございますw

>する人=氷漬けにして飾ると言う思考が、本能的に有るんでしょうねぇ。
正解ですwあなたには200点差し上げましょうw


ういっす様

>グ、グッジョブ…
あ、ありがとうございます。とりあえず、輸血を・・・
400mlで足りるだろうか?


kamui08様

>今度是非タマモにも新技を期待したいです
考えてはいるんですが、なかなか難しいですね・・・でも、出しますのでしばらくお待ちください。

>シロは良いとこないですね
次は活躍させるつもりです。

>『DADDYFACE』
すいません。私はそれを知りませんです・・・


内海一弘様

>しかしなかなかあえないのがつらい所
そうなんです、今はどうやってそれを克服しようか検討しているところです。

>雪蛍とかタマモ
小鳩と愛子がいますからね〜どうなることやら・・・


わーくん様

シロは次回は活躍させます!このままじゃ可哀想ですから。

>諦めたまえ
絶対に負けられない戦いがあるんですよ?負けは濃厚ですが・・・

>小竜姫様フラグ
妙神山にいくか、なんかしらの事件が起こるかですね。この人も微妙に会わせ難いんですよね〜。

>その背中に背負っている吹雪と大きな炎と蝶や蜂の大群は……(滝汗)
他にも机やら貧乏神やら霊団がいますよw
>筋肉ムキムキ
そっちにいらしてたんですか〜・・・後武運を!!


ジェミナス様

>横島にしたら気安い所なんだろうが一般の霊能力者にしたらトンでもないですよねぇ。
六女に通っている人が見たらどう反応するか楽しみでもありますよねw

横島君はまだまだ伸びますよw成長期ですからねw

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