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「一つの可能性 (3) (GS)」

ダヌ (2006-07-27 03:26/2006-07-27 23:42)
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『美神除霊事務所』の敷地内には小竜姫やワルキューレなどの神魔族を含めた、アシュタロス事件の当事者たちが集まっていた。
美知恵が過去に帰るということで、その見送りのために集まっていたのだ。

アシュタロス事件の功績から認められた、最後の時間移動である。
美知恵は過去に戻ったら、5年間誰とも連絡をとらず、夫のいるジャングルで過ごすことになっている。

別れの時が近づき、美知恵は横島たちに別れの挨拶をしていた。

「横島君、今回は本当に苦労をかけたわね。霊能力があるとはいえ、高校生のあなたをスパイにさせたり、結果として助かったとはいえ、ルシオラさんと世界を天秤にかけるという選択を押し付けてしまったわ…私は何の力にもなれなかった…私たち大人こそがその重荷を背負うべきだったのに…何度言っても足りないのは分かってはいるけれど…本当に申し訳なかったわ…」
「も…もういいですよ、隊長。結果としてうまくいったわけですし、俺は何も恨んでいませんよ。それにスパイにならなかったらこいつと会うことなんて、ましては今みたいな関係にはなれなかったんですから…」
「ヨコシマの言うとおりよ…いろんなことがあったけど、私もヨコシマも生きているわ…あなたはもっと自分のことを誇っていいはずよ。まぁ敵だった私が言うのも変かもしれないけど…」
「そんなことはないわ、ルシオラさん。あなたと横島君の言葉で、すごく楽になったわ。もう謝罪の言葉は言わない…でも、あらためて言わせてね、本当にありがとう。」
「隊長…」
「美知恵さん…」

「これで本当にふんぎりがついたわ!私も前に向かって歩き出さなきゃ♪そうなんでしょ、横島君?」
「はは…」

自分の言葉とはいえ、内容が内容である。思わず乾いた笑いを横島が浮かべる。

「さてと、もう一頑張りして令子の弟でもつくってあげましょうかね♪」
「ちょ…何言ってんのよ、ママ!」

すでに別れの挨拶を済ませ、横島たちの隣にいた美神が慌ててつっこむ。

「やーねー、冗談よ、冗談。これくらい笑って流せるくらい大人にならなくちゃ♪」
「流せるような内容じゃないでしょ!」
「まぁ冗談はこれくらいにして、令子しっかりね!あなたはママの自慢の娘なんだから、みんなのこともよろしくね♪」

美知恵の言葉と近づいた別れに涙を浮かべる美神。

「それでは皆さんもお元気で。」

そう言うと、美知恵は一度も振り返ることなく、過去へと帰っていった。
その颯爽とした姿は、その場にいた者全員に鮮やかな印象を残すものだった。


一つの可能性 (3)


美知恵を見送り、横島たちは事務所の中へと戻っていった。
そして、全員が驚愕することとなる。
いつも美神が座っている所長席に美知恵が座っていたのだ。

「久しぶりねー、令子」
「マ…ママ!?」

軽いノリで話かけてくる美知恵。5年間の平和な生活が軽い人格に変えたらしい。

「私としても連絡したかったんだけど、神魔族の方々との約束もあってね…許してくれない?」
「ま、いろいろ言いたいことはあるけど、事情はわかるしね。許してあげるわ。」
「でね。実は一つ報告があるんだけど…」

そう言いながら、椅子を立つ美知恵。そのおなかは…ぽっこり膨らんでいた…

「実は…ね。冗談が本当になったってゆうか…来月予定日なのよ♪あなたの妹よ。性別は逆だけど…祝福してくれる、令子?」
「に…二十歳年下の妹…か…ほんっともういろいろ言いたいことだらけだけど!…おめでとう、ママ!」

その言葉と共に抱き合う親子。
温かい空気が『美神除霊事務所』を包み込んだ。


通常業務に戻った『美神除霊事務所』、そこでは新しい問題が発生していた。
横島の待遇問題である。

特例でS級GSへと昇格した横島。
その名前は現在、最も有名な高校生と言ってよいだろう。
『アシュタロスの手先』として、テレビにまで映り、大衆の憎悪を集めた横島の身の危険を考慮し、ある程度の情報制限はあったものの、GS本部は情報を公開したのだ。
そのため『文珠』については機密扱いのままだったが、横島は『単身魔王陣営に潜入した勇気ある高校生』ということになったのだ。
情報公開のおりに、その功績によってS級GSへの昇格も発表され、美神の次に有名なGSになったとも言えるだろう。
さすがにそんな横島を今までどおり時給250円で働かせているとマスコミがうるさい、しかし横島にわざわざ大金は払いたくない、そんな美神の葛藤から当事者たちを集めて、話し合いをすることになったのだ。

横島はやろうと思えば独立することも可能なのだが、霊力はともかくオカルトの知識など、まだまだGSとして足りない部分がたくさんある。今の自分が独立しても師匠である美神の顔を潰すようなことになるかもしれない、と自覚しているため、彼に独立する意思はない。その意思はすでに美神、そしてルシオラにも伝えている。

現在事務所では、横島、ルシオラ、美知恵が集まり、話し合いが行われていた。
おキヌはこういう問題は得意ではないので、買い物に出かけている。
今夜はてんぷらだそうだ。

「で、どうしようか?」

元来、横島はそれほど金欲が強い方ではない。でなければ、時給250円で命がけのバイトなどできるはずがない。そのため、彼はそれほどこの話題に強い興味が湧かないのだ。
可愛い彼女を手に入れることができた今、人並みに暮らせるだけの金があればいい、彼はそう考えていた。もっとも現在ルシオラは彼の部屋で暮らしているので、『彼女』というより『奥さん』と呼ぶ日も近いかもしれない…

美知恵も娘の事務所とはいえ、事務所内の細かい問題にまで口出しする気はない。この場にいるのは、娘があまりに理不尽なことを言い出さないよう監視するためである。もっともそれも杞憂の心配に終わりそうだ。
娘がアシュタロス事件の後、何か悩んでいたのは察していたが、娘は一人で解決したようだ。親としては少し淋しいが、何かを吹っ切った娘は人としても大きくなったように見える。横島やルシオラ、おキヌに対しても年長者として、姉のように振舞う機会も増えてきた。
きっと生まれてくる妹にとっても喜ばしいことだろう。

そんな穏やかな雰囲気の中、ルシオラが発言した。

「ヨコシマは金欲はあまり強くないみたいだけど、お金がないのは困るわ。高校生という立場もあるし、卒業後に正社員となるという契約の上で、現在はバイト扱いってことでいんじゃない?GSの相場を調べてみたけど、時給5000円、危険手当つきで、独力で行った除霊に関しては5%程度のマージンを受け取る、これくらいでいいんじゃない?お金は私が管理してムダづかいしないようにするし…それに私も手伝うけど、二人まとめてこの給料ってことでいいわ」

ちゃっかり横島と一緒に働くと宣言するルシオラ。その前の『お金の管理宣言』など実質『奥さん宣言』だが…この場におキヌがいなかったことは幸いだろう…

美神にとっては身を切るような思いだが、実際この条件を飲んでも、彼女にとってはたいした問題ではない。横島だけではなく、ルシオラまで働けば間違いなく今まで以上に稼げるだろう。
ただ、自分のお金が減る、ということが嫌なだけだった。

「ま、それでいいわ」
「よかった。あ、あと交通費の支給も認めてほしいんだけど…」
「交通費?」
「そう。文珠を使ったり、私が抱えて飛べばすぐに目的地に着くことはできるけど…文珠を使うのはもったいないし、抱えて飛ぶのも目立ちすぎるわ。これ以上目立ちたくはないしね。緊急時はそんなこと言ってられないけど…」
「おーけー。それも含めて契約書つくっとくわ。じゃ、あらためてよろしくね。それと、横島クン、あんたお金だしてあげるから教習所通いなさい。移動手段があった方がこれから役立ちそうだし」
「へ!?み…美神さんが俺にお金だしてくれるなんて…こ…これはもう愛の告は…ぐはぁ!」

ルパンダイブで美神に飛び込もうとした横島は、当然のように美神、ルシオラからしばかれる。
ルシオラも全く手加減してないところから、彼女もだいぶ『美神除霊事務所』に馴染んできたようだ。
話も一段落したところで、美神が美知恵に話かける。

「で、ママの調子はどう?」
「上々よ♪安静にしてるから、あとは産まれてくるのを待つだけね♪」
「そう。元気で美人で頭脳快活、運動神経抜群の子を産んでね♪なんたって私の妹なんだから!」

どうやら美神はすでに妹バカになっているらしい。だいぶ気が早い気がするが…
そんな穏やかな空気が流れる中、突然、美知恵の顔が苦痛にゆがむ。

「うっ…!?」
「ど…どうしたの、ママ!?」
「平気…よ、陣痛みたい…!」

その言葉にパニックを起こす横島・美神・ルシオラ…

「た…大変だぁぁ!救急車ぁぁぁ!!」
「もしもし!米国国防総省―!」
「もしもし、ベスパ!今すぐ魔界正規軍をぉ!」

「落ち着きなさい!陣痛が始まってもすぐには産まれないのよ!」


こうして様々な人たちの助け(?)もあり、美神家の次女、美神ひのめは無事この世に生を受けることができたのだった。


〜おまけ・魔王と愉快な仲間たち〜

日本某所。
現在ここでは闇の3巨頭会談が行われていた。
文珠によってつくられた雷が雰囲気を盛り上げている。


「ここに『ナイイチチーズ』、略称『ナチズ』の発足を宣言する!!」

怪しいマントを纏ったルシオラが高らかに宣言する。

「私たちの目的は、胸に栄養を偏らせた愚かな民衆に仏罰を与え、この世を浄化することです!」

その言葉に、同じく怪しいマントを纏った小竜姫が応える。

「虐げられてきた私たちの痛みを思い知らせてやりましょう!」

衣装が見えない程の黒いオーラを纏い、おキヌも応える。


「「「たとえ世界が私たちを拒絶しようとも…」」」

「「「退かぬ!媚びぬ!省みぬ!」」」

「「「ナチズばんざーーーーい!!!」」」


これが、三界全てに強い影響力を持ち、神魔の最高指導者まで畏れることとなる『ナチズ』の発足であった…。


あとがき
明日のテストで夏休み突入なのに、また書いてしまいました。次かその次くらいにグレートマザーが降臨する予定です。おまけが壊れすぎてたら…ほんとすんません!できれば生温かい目で…
では、失礼いたします。

レス返し
読んでくれた皆さん本当にありがとうございます。
○ローメン様
小竜姫様とおキヌちゃんを壊してみました。いかがだったでしょうか?
壊れるのはこの3人でいこうと考えてます。
○寝羊様
アシュはこれからもたま〜に空に浮かぶ予定です。優しく見守っていただけるとありがたいです…
○SS様
最後だけでしたが、黒キヌちゃんだしてみました。いかがだったでしょうか?
○k82様
実は最初にそれ考えました。あえて理不尽にしてみたんですが…
○kamui08様
憐みを込めて頂き、ありがとうございます。
○亀豚様
今回はシリアス…というか普通の部分の方が多くなりましたが、いかがだったでしょうか?楽しんでいただけたら嬉しいです。
○かなりあ様
やっぱ上げ過ぎましたかね…バランスはとっていくつもりです。
○HEY2様
給料あげちゃいました。すんません!『牢獄』から抜け出すことを目指すはずが、なぜか変な方向にいってしまいました…

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