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▽レス始

「ヒーロー見参!! エピソード三十二(GS+色々)」

煌鬼 (2006-07-13 03:29)
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「そうですか・・・それはまた、なんとも不思議な話ですな」


早苗の父親が美神の話を聞き、う〜んを首を捻っていた。


「おキヌと呼ばれる娘の話、古文書に記されている神社の由来と符合します」
「どういう事?」
「300年ほど前、この土地には今までとは別格の妖怪【死津喪比女】がいたと記されています」
「地霊か・・・・しかも、この地脈そのものを支配するだけの力を持つとは、かなり厄介とみえる」
「はい。しかし、過去にその妖怪を対峙はしたのです」


早苗父は言葉を続けた。


「しかし、強大な妖怪であったために最後の手段を使わざるを得なくなったようです」
「最後の手段って?」
「・・・人身御供です」


それを聞いた瞬間、美神は悟った。おキヌが自身の命と引き換えに、皆を護ろうとしたのだと・・・。


「って事は、その努力無駄にしたの私か〜〜〜(汗)」


そして、自分がおキヌを地脈から切り離した事も(爆)


エピソード三十二 地より出でる妖花


「という訳で、皆に集まってもらった訳だが・・・」


西条がそう言って周りを見ると、そこにはいわずとしれたGSメンバーが勢ぞろいしていた。


「どうやら、今回は神社や寺などの場所が各地で被害にあってるみたいですね」
「僕の教会は、きたろう君に付属してもらった護符でなんとか護られたよ(涙)」


唐巣は本気で涙を流していた。まぁ、ただでさえ貧乏で、せっかくの教会まで壊れたらどうしようもないのだから当然だろう。


「でも、今回の事件にはどうやらおキヌちゃんが関係してるって聞いたわ」


エミの言葉に、西条が頷く。そう、つい数時間前に美神たちから連絡を受け、今の緊急収集に至ったのである。そんな中、その部屋のドアがガラリと開いた。
皆が目を向けると、黒いシャツにジーパン、銀を手甲を付け、腰には西洋剣が納められた鞘をつけた少年と、黒い髪に褐色の肌、白いコートで身を包み、
太ももには二丁の拳銃の納められたホルダーを付けた少女、長いブロンドの髪にゴスロリ風の服を纏い、身体には魔力を馴染ませた少女の三人がいた。


「・・何よアンタたち?ここは立ち入り禁止なワケ」
「いや、僕が呼んだんだよ」


不機嫌なエミを止めながら、西条が説明を開始した。


「美神君からの話を聞いて、これから向かう現場は強力な結界が張られている事が分かった。それで、結界破壊のスペシャリストとして、彼を呼んだ」


西条の言葉に続き、少年と少女が口を開いた。


「魔法騎士教会所属【決闘騎士団】剣の紋章継承者【剣崎博亞】です」
「剣の紋章者の矛となる者。銃撃の巫女【龍宮真名】だ」
「同じく紋章者の盾となる者。闇の福音【エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル】だ」


一番最後の少女の単語に、唐巣が驚きの声を上げた。


「や、闇の福音だって!?600年前、賞金首として追われていたあの最凶の魔法使いと呼ばれた!?」
「ほぅ。私の事を知っているとは、中々だな」


唐巣の言葉に、フンと胸を張るエヴァ。それを見ながら、博亞は苦笑する。


「しかし、君はどこかの学園に閉じ込められたと聞いたが」
「ああ・・・・・それなら簡単だ」


エヴァはそう言うと、ニヤリと笑みを浮かべながら答えた。


「この博亞・・・・私の夫の結界破壊能力で呪いを強引に断ち切ったのさ」


それを聞き、そこにいた全員が固まった。


「こらエヴァ。お前の夫じゃない、私の夫だ」
「知らん。こいつは私の物だ」
「博亞は私のだ」
「私だ!!」


エヴァの言葉にピクっと来た真名が文句を言うが、エヴァとのやり取りでケンカになってしまった。そんな中、博亞は二人の頭を優しく撫でた。


「こらこら、ケンカしないの」
「だ、だって」
「しかし・・・」
「俺は二人の物。二人は俺の物。そうでしょ?」


その言葉を聞いて、二人は顔を赤くするのだった。


「と、とりあえず本題に戻るけど、今回の敵ってそんなに危険なんですか?」
「そうですジャ。どんな奴が相手か検討も付かないですケンノー」


タイガーと琉朱菜の問いに、西条が答える。


「今回の敵は、地域そのものが敵みたいなものなんだ。何せ、花の妖怪・・・それも悪質なものだからね」


西条の唇が、苦虫を噛み締めるようだった・・・。


美神とシロタマの三人は、早苗家にある露天風呂の中に入って、対策案をを考えていた。そんな中、突如辺りに声が響く。


「ほぅ・・・霊能者かえ・・・・喰らうとするか」


声と共に、地面から肉体を植物で構成された妖怪が姿を見せた。その姿は女性だが、その身体から放つ妖気は、邪悪に満ち溢れていた。


「アンタ・・・・・死津喪比女ね」
「ほぅ・・・・わらわを知っておるものがいるとはのぅ」
「丁度いいわ・・・・・・消えてちょうだい!!」


美神はそう言うと、桶に隠してあった神通棍を手に取った。シロは霊波刀を発動させ、タマモは狐火を指に灯す。


「シロ、アンタは感覚を最大にしてアイツの触手をぶった斬りなさい!!タマモ、狐火で消し炭にしてやりなさい!!」
「了解でござる!!」
「了解」


そう言うと、タマモは狐火を死津喪比女めがけて放った。しかし、間一髪で避けられ、触手がタマモに襲い掛かる。


「危ないでござる!!」


シロは感覚を研ぎ澄まし、冷静にその触手を叩き落した。


「ありがと・・・・バカ犬」
「誰がバカ犬でござるか!!」


口ゲンカをしながらも、次々とくる触手を切り刻み、燃やし尽くしていく。


「な、なんだこやつ等は!?」
「アタシたちを・・・・舐めない事ね」


背後から放たれる言葉に、ゾクりとする死津喪比女。振り向くと・・・・・・・精霊神通棍の出力をMAXにした美神の姿があった。


「失せなさい!!この年増植物!!」


ズバンと音を立てて、死津喪比女の体は真っ二つに切り裂かれ、消滅した。


「ふぅ・・・・意外と弱かったわね」
「妙でござる」
「嫌な予感がビリビリするわ」


三人がそれぞれの意見を口にして後ろを見ると、そこには地面から大量に這い出た死津喪比女の姿があった。


「うわ〜・・・・・・・・・最悪」
「死ね!!霊能者!!」


美神たちに襲い掛かろうとしたその時、突如辺りに風が舞った。その瞬間、数体の死津喪比女が切り伏せられていた。


「な、なんだ!?」
「油断だな・・・・・こちらが三人だけと思ったか」


突如の声に死津喪比女が空を向いた。すると、そこには蒼き髪をなびかせ、神剣を構えた静流の姿があった。


「蒼の龍姫・・・・いざ参る」


静流はそう言うと、神剣に蒼色の炎を纏わり付かせた。そして、それで死津喪比女の周りを覆い尽くす。


「フン。炎を強くしたところで、わらわたちはいくらでも増殖するえ」
「滅ぼすのが目的ではない。封じるのが狙いだ」
「何!?」


死津喪比女が慌てると同時に、その一帯に強力な結界が発動したのだ。それにより、死津喪比女がその場所から追い出され始めると同時に、
黒い導師服の男が現れた。


「貴様!!わらわを封印した巫女と一緒にいた導師か!!」
「いかにも・・・・だが、もう実体無き存在だがな」
「く・・・・・わらわを抑え付けるか・・・だが、地脈は解き放たれた。わらわの力で、全てを支配してくれよう!!」
「ええい!!その場から去れ!!」


導師が結界の力を引き上げたことにより、死津喪比女は結界外へと消え去った。それと同時に、美神たちが導師に詰め寄る。


「アンタが・・・・・・おキヌちゃんを人身御供にした導師ね」
「・・・いかにも」
「話して貰うわよ・・・・・・おキヌちゃんを助ける方法。どんな手段でもね!!」
「・・・・分かりました」


風呂から上がった美神たちは、導師に連れられておキヌの魂がある祠へと向かうのだった・・・。


「皆、そろそろ霊障が起きている付近に到着する。降りる準備をしておいてくれ」


西条たちは飛行機で人骨温泉の辺りに近づきつつあった。しかし、博亞たちだけは何か嫌な予感を感じていた。


「・・・なんだろ、この気配」
「ふむ・・・・まるで世界が何かを拒絶しているようだな」
「私の魔眼で視てみるか・・・・・これは!?」


真名は魔眼を発動し、地上を見た。すると、そこには大量の植物の根・・・いや、触手が発生していたのだ。


「マズイ!!地上は触手で覆われている。このまま降下したら、私たちも撃墜されるぞ!!」
「何!?なんてこった・・・・どうすりゃいいんだ」
「困ったですジャ・・・」


皆が悩んでいると、博亞がエヴァに相談を持ちかけた。


「なぁエヴァ」
「なんだ?」
「エヴァの影を使った転移魔法なら、何人飛べる?」
「せいぜい・・・・三人だ」
「じゃぁ・・・・とりあえず俺と真名とエヴァの三人はオッケーと・・・」


三人が確保出来たところで、時雨がピートに武装を換装する。


「スラスターユニットだ。これなら、地上・空中での自在に戦える。逝って来るがいい」
「分かりました」


四人目確保。


「琉朱菜サン。変身した状態なら、ワッシがある程度の衝撃を緩和出来るですジャ」
「分かりました・・・・でも、無茶はメですよ」
「分かってますケンノー。琉朱菜サンのためにも、死ぬ事は出来ないですジャ」


五・六人目確保。


「悪い六道。空を飛べる式神っていねえか?」
「え〜と〜・・・シンダラちゃん、大丈夫?」
「キューキュー」
「大丈夫みたいね〜♪」
「うし、行くぜ!!」


七人目確保。


「よし、僕たちは一度東京に戻って状態を立て直す。君たちは人命救助もしくは、根源である妖怪を叩く事に専念してくれ」


西条の言葉に従い、博亞・真名・エヴァの三人は影で転移し、ピートもといG3ははG3スラスターモードで飛び立ち、タイガーと琉朱菜は
TGへと変身して降下(落下ともいう)、雪之丞もといギルスはシンダラに飛び乗って飛び出すのだった。


都内の病院。そこの遺体安置室で、横島は眠っていた。その身体はまだ生きているかのように色が存在し、今すぐにでも立ち上がりそうな
様子だった。


≪・・・≫


横島の周りには、皆が残していった想いが漂っていた。


―――強く輝く美神の想い


―――弱弱しく・・・しかし力強いおキヌの想い


―――真っ直ぐにピカーっと光るシロの想い


―――狐火のように揺らめくタマモの想い


―――神々しい輝きを見せる小竜姫の想い


―――蒼く煌く静流の想い


―――決して諦めない眩しさを持った雪之丞の想い


―――友の帰還を待つ、優しきピートの想い


―――大切なものを護る意思を共に持ったタイガーの想い


そんな想いが、彼の周りをグルグルと回り続ける。すると、突如横島に異変が起きた。横島の下腹部に灰色のアマダムが出現し、周りに漂う想いを
吸収し始めたのである。皆の想いが吸収されるにつれ、アマダムはどんどん銀色の輝きを取り戻していく。そして、最後のおキヌの想いが吸収された
瞬間、アマダムが眩しき光を放った。そしてそれと同時に、突如ガラスを割って巨大なクワガタのレリーフが姿を現したのだ。


『我が主、目覚めつつあり。今宵、主は新たな力を、手に入れん』


そのレリーフの声が止まった瞬間、横島の遺体はレリーフの中心に存在する宝玉の中に吸い込まれたのだ。そして、そのままレリーフはどこかへと
飛び去っていった・・・。

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