美神さんの所にお世話になり始めて一週間が過ぎた。
俺達は今回の弟子入りの期限が終わり、次の弟子入り先に向かっている。
「しかし、次の弟子入り先を言ったときの美神さんのあの反応はなんだったんだろうな?」
「さあ?わからないのね〜。」
別れ際に次の弟子入り先の話をしたときに美神さんからこんな言葉を頂きました。
「・・・・がんばって生き残ってね。」
次の弟子入り先の名前は・・・・・『六道家』。
六道。俺もこの名前は知っていた。
と、言うよりもこのあたりの高校生は大概聞いたことがあるはずだ。
『六道女学院』この学校は普通科のほかに霊能科があり多くのGSを輩出しているらしい。
今俺たちはとんでもない豪邸の中へと通され、和服姿の女性と話をしている。
「唐巣くんから〜話は聞いてるわ〜。そちらがヒャクメ様ね〜。初めまして〜六道家当主、六道冥華でございます〜。」
「よろしくお願いいたします。横島忠夫です。」
「私は単なる付き添いだからそんなにかしこまる事ないのね〜。」
こうゆう時にはヒャクメが神様なんだな、と思う。普段が普段だからな。
「それで〜弟子入りの話なんだけど〜私の娘に教えさせようと思うのよ〜。」
「はあ。わかりました。」
「それじゃ早速紹介するわね〜。冥子〜、はいってらっしゃ〜い。」
「は〜い〜。」
のんびりとした口調で返事をしながら部屋に入ってきたのはかわいらしい女性だった。
「初めまして〜。六道冥子です〜。」
「初めまして。横島忠夫です。今回はお世話になります。」
「私はヒャクメなのね〜。」
俺たちが挨拶をかわすと冥華さんが
「冥子〜。昨日話したと思うけど〜この子があなたのお弟子さんになる子よ〜。しっかりね〜。」
「は〜い〜。」
「それで横島君〜。詳しい話なんだけど〜・・・」
その後、修行内容と仕事の事の話をした。
修行内容は六道女学院で教えている初期レベルの事を教えてくれるらしい。
ちなみに教科書も貰いました。
仕事の内容は主に冥子ちゃんのガード。
給料の話も出たので今回も辞退しようとしたら強引に押し切られた。
日給で3万。仕事のときは内容により。これでも下がったほうだ。
最初は契約金として3千万なんて言われたのでかなり引きました。桁が違います。
ちなみにそのときに冥華さんの心の声を聞いてしまったんですが・・・
・・・・思い出したくありません・・・・・この人心の声とか関係なくこええ・・・
その後、話を聞いてわかったことは冥子ちゃんは式神使いらしい。ということ。
12匹の鬼を操る能力らしんですが、実際見せてもらうととんでもないです。
見ただけでもかなりビビリました。すごい人もいるもんだ。
話が終わると早速今日から始めるらしく、別室へと通された。
「それで冥子ちゃん、今日は何やるんですか?」
ちなみに最初に冥子ちゃんの事をさん付けで読んだらちゃん付けで呼ぶようにお願いされました。・・・・ほんとに年上なんだろうか?
「今日は〜お仕事に行きます〜。横島くん〜、ヒャクメ様〜、よろしくね〜。」
さっそく仕事か。まあガードだけだし。
しかしあんな強そうな式神をつれてるんだからガードなんか必要なのか?
と思ったんですが・・・必要でした・・・・なぜなら・・・
「きゃーーーきゃーーー怖いーーーー!!」
このお方は悪霊の姿を見るなり怖がって混乱してしまいました。
「だーーー、冥子ちゃん落ち着いて!!」
俺はサイキック・ソーサーで悪霊の攻撃を防いでいる。
「だって〜だって〜。」
冥子ちゃんは涙目でそう返してきた。だからあなたは本当に年上ですか?
「がんばるのね〜。」
ヒャクメは後ろでのんびりと応援してます。神様なら助けんかい!!
しかしやばい。不幸中の幸いは冥子ちゃんの式神が多少は攻撃をしてくれていることだけ。
きちんと操ればとっくに終わっていることだけは素人目にもわかりました。
「く、このままじゃ俺の霊力も尽きちまう。」
いくら修行したとはいえまだ始めてから一ヶ月。そんなに長い間は持ちません。
「ウォォォォォォォ」
悪霊は式神の攻撃を多少受けたとはいえまだまだ健在。本格的にやばいな。
俺はここで一つの選択肢が頭に浮かんだ。
力の制御に回している霊力をサイキック・ソーサーを維持するのに回せばまだもつんじゃないか?
しかし・・・・
「きゃーーー、こないでーーーー。」
俺が悩んでいるとその隙に冥子ちゃんに悪霊が近づいてきていた。
「くそ!考えてる暇はないか!」
俺は冥子ちゃんを守るべく駆け出しながら力の制御を切った。
(タスケテ・・・・死ニタクナイ・・・・)
俺はその声に足を止める。
あまりにも暗く、強く、大きな声・・・それだけを考えている声・・・
俺は理解してしまった・・・・これは霊の声だと・・・
あまりにも悲しい声・・・・俺はその悲しみを理解してしまった。
「ふえ・・・」
俺が足を止めてあまりの感情に呆然としているとそんな間の抜けた声が聞こえてきた。
「やばい!!」
俺は慌てて力の制御を始めると走り出した。その時・・・
「ふええーーーーーーん!!」
冥ちゃんが恐怖のためか泣き出してしまった。それだけなら問題なかった。
それと同時に彼女の式神が暴れださなければ・・・・
あっ、悪霊がなんかでかい式神に引かれた・・・・
式神たちは悪霊を倒した後もまだ暴れている。
「おいヒャクメ!これはどうなってるんだ!?」
「たぶんあの子のコントロールが暴走してるのね〜!」
「暴走!?どうすりゃいいんだ?」
俺たちが話している間も式神たちは今だ周囲を破壊していく。
「あの子が落ち着いてコントロールすればいいのね〜。」
俺はそれを聞くと冥子ちゃんを見た。
「ふええーーーーーーん!!」
「無理だ!!」
「それじゃあの子の霊力が尽きるのを待つしかないのね〜。」
「それは後どのくらいなんだ?」
「ん〜。あと一時間ぐらいなのね〜。」
「一時間もあればこの辺りが廃墟になるわい!!」
俺たちが手をこまねいていると式神たちがこちらに来た。
「あぶねえ!!」
俺はヒャクメをかばう為にヒャクメを抱きしめて引き寄せた。
「あ、ありがとうなのね〜・・・・」
ん?なんでこいつ顔が赤いんだ?
俺達が一瞬式神たちから目をそらして、再び視線を向けたとき・・・・目の前に大きな毛むくじゃらがいました・・・・
俺たちは次の瞬間大きな衝撃を受けて気を失った・・・・
ぺろぺろ・・・・
「大丈夫〜?」
俺が目を覚ますと犬のような式神が俺の顔をなめていて、冥子ちゃんがこちらを覗き込んでいた。
「へ?あ、どうなったんだ!?」
俺は慌てて現状を確認するために辺りを見回すと・・・・なにもありませんでした・・・
俺たちは室内で除霊をしていたんですが・・・・その建物すらありません・・・
「ごめんね〜。私興奮しちゃうと式神のコントロールができないのよ〜。」
俺はその時美神さんの言葉の意味を理解した。出来れば理解したくなかったな〜。
「あっ、ヒャクメは!?」
俺はヒャクメの存在を思い出すと再び辺りを見回した。
「う〜ん・・・」
ヒャクメはすぐ隣で寝てました。つーか神様を気絶させる冥子ちゃんは何者ですか!?
「い、生きるべきか死ぬべきか・・・・それが問題なのね〜。」
「悩むなそんなもん!!」
そんな小ジャレたシャレはいりません!!
「横島くん達が無事で良かったわ〜。今回は失敗しちゃったけど〜、私〜失敗をわかちあえる友達がそばにいてくれてうれしいわ〜。」
冥子ちゃんは瞳を輝かせながらそう言いました。
うう、そんな目をされたらなにもいえねぇ・・・・
こうして六道家での弟子入りが始まった。
しかしあのときの霊の心の声を聞いたときのあの感覚・・・
あれはいったいなんだったんだ・・・・
俺はその事が頭から離れなかった・・・・
あとがき
二度目の連日投稿!!今回は六道家でした。あんまり冥子ちゃん目立ってませんが・・・
う〜ん。予定では一ヶ所につき一話を予定してるんですが・・・二話ぐらいの前、後編にしたほうがいいでしょうか?
レス返しです
初めに感想、ご意見を寄せていただいた皆様に感謝を・・・
への様
今回あんまり人間関係書けませんでしたね・・・申し訳ありません。
kkhn様
たしかにこじつけの感はいなめません。ただ美神さんに嫌われるとおキヌちゃんの出番が・・・私事で申し訳ありません!!
亀豚様
今回はヒャクメ出ずっぱりです。もう少しボケれましたかね?
内海一弘様
自分的にはおキヌちゃん多様したいんですが・・・弟子入り行脚が終わるまでは難しいですね。
ゆん様
それは考えましたが、それを回避するためにヒャクメに留守番させました。連れてったら気づいちゃいますもんね。
SS様
ちゃんと全部回りすよ〜。今回はほのぼのですけど色々考えてますんでお楽しみに。
EVE様
今回は半オリジナルです。エミの所もそうなるかな?闘龍寺は完璧オリジナルだと思います。
ジェミナス様
ジェミナス様のご意見には心が揺さぶられます。正直おキヌちゃんを出したいがために横島に取り付かせようかとも考えちゃいました。
kamui08様
生活費はご両親が多めに入れてくれてます。最初はバイトなんて出来る状態じゃないですからね。でもあの両親ならやらせかねないかな?
海様
おキヌちゃんには給料払ってますからね。しかし全体的に説明不足なのはいなめません。今後ともなにかしら感じましたらご意見を寄せて頂けますよう御願いいたします。