小竜姫の生活は、極めて規則正しい。夜明けと共に目を覚まし、日没と共に床に就く。起きている時間の大半は己の鍛錬に費やし、一歩でも高みへ、一振りでも極意へと近づけるよう、神剣の修行を欠かさない。
今日もまた、彼女は普段から鍛錬を行っている広場の真ん中で、目を閉じて瞑想に浸っていた。
座禅を組み、神剣を傍らに置いて、心から雑多なイメージを駆逐していく。
雑多なイメージ…すぐに思い浮かんでしまうのは、ある人間達のこと。
思えば、彼女たちと関わってから小竜姫の人生は、少しだけ色を帯びたとも言える。…いや、極彩色?
美神令子がお供を連れて修行を受けに来たのは、ほんの数年前。でも、それからの小竜姫の運命はまさしく急転直下のイベントだらけ、良くも悪くも慌しいことこの上なかった。
逆鱗に触れられ、修行場を壊滅させたこと。
天龍童子の護衛で、久々に下界に降りたこと。
メドゥーサの悪事を粉砕すべく、GS試験に乗り込んだこと。
香港での原始風水盤事件。
月の民を助けるべく、サポートをしたこともあった。
そして…あの事件。何も出来なかった、魔神との対決…
軽く頭を振り、深呼吸する。
小竜姫は竜神族の中でも、人間との関わりを深くもっている方だ。だがそれでも、竜神族小竜姫という、その矜持だけは。自分よりも遥かに短い時間の中にしか生きられない人間との接触で、そうそう変わるものではないと信じていた。
しかしまぁ、なんとも。
思わず、クスリと笑みを零してしまう。
自分はこの短い時間で、どれだけ変わってしまったことだろう。
特に、あの青年…
自分の予想を遥かに超えて成長していくあの青年が、自分に与えた影響は計り知れない。
「最近は会ってないなぁ…」
ぽつり、と小竜姫は声に出していた。
初見で自分の振るった剣をかわしてのけ、おかしなシャドウで場を支配し、自ら与えた心眼によって霊能を開花させて。
再びここを訪れたときには、文珠という過ぎた力をも身につけ…
小竜姫は危惧したものだ。強すぎる力を得た人間が、自らの業によって破滅する事例など数限りなく存在するのだから。
だが、横島を襲った試練の難易度は、覚え立ての文珠程度でどうにか出来るレベルではなかった。力に溺れる余裕どころか、人間としては突出し、神魔から見ても無視できない程度の『中途半端な天賦の才』が…
彼を、深く、深く傷つけた。
小竜姫は、彼が負った傷の深さ、絶望を知っている。神族として、一人の女としても、その痛みと苦しみから彼を解放してあげたいとさえ思っていた。
「横島さん、元気にしているでしょうか。相変わらす美神さんに怒鳴られて、叩かれて、おキヌさんに慰められて…毎日楽しく過ごしているのかな…」
いつの間にか座禅は崩れ、両足を前に投げ出した格好で空を見上げる。清浄な空気が描く深い群青の空。
「もし私がその場にいたら、どんな立場なのでしょう。美神さんをきっちり抑えて、場を纏めるお姉さん役でしょうか。ん、でも背は美神さんのほうが高いし…妹きゃら、という感じでもありませんし。おキヌさんとは昔の話題で盛り上がれるかな。えっとなんだっけ…ぱじゃまぱーてぃ? でしたっけ。ああいう宴で夜を徹するのも楽しそうですね」
ぼーーーーっと、既に瞑想は妄想へと変質しているのに、竜神様は気づかない。
小竜姫の生き方は、求道者そのものだった。
神族・小竜姫としての『カタチ』が、それ以外の生き方を許さなかった。変化を是とせず、与えられたカタチのままに生きることこそが、神族の『在り方』だ。
でも、考えてしまう。
もしも自分が竜神族でなかったら。
下界の、あの事務所の、あの輪の中に。
もしかしたら、入ることが出来たのではないか、と。
あの青年を間近で見つめることが、出来たのではないかと。
「…って、私は一体何を!?」
慌てて小竜姫は座禅を組み、しっかりと目も瞑り直した。
心の乱れは剣の乱れ。こんなことでは修行者が現れた際にきちんとお役目をこなすことが出来ません。
紅潮した頬も、うっすらと滲んだヘンな汗も、今はひとまず忘れて。
小竜姫は再び瞑想状態へと入ろうとしたが。
門前から聞こえてきた嬉々とした大音声と、聞き覚えのある人間の声とで…あっさり破られた。
「…今日は茶柱、立ってなかったのに」
なんとか、語尾に音符をつけるのだけは自制できました。腐っても武神ですね?
「パピリオにも知らせないと」
素早く立ち上がり、生活区のほうへ小走りに向かう。
「……今日は、楽しい一日になりそうです」
晴れ渡った空を見上げ、小さな竜神の姫様は笑顔を浮かべた。
スランプ・スランプ!2 「威鬼・軒昂」(後編)
『この門に挑むもの 汝 一切の希望を捨てよ』
横島はどこか違和感を覚えるその一文が書かれた門扉を前に、首を傾げていた。
「なーーーんか、前と違わないかこれ…」
日ごろから鍛えに鍛えていた足腰のおかげで、横島はあっさりと妙神山修行場の門前まで辿り着くことが出来た。
「まぁいいか。そういや新築されてからここ来るの初めてだなー」
旧知の友人宅を訪れるような気軽さで、日本最高峰の霊能修行場に足を踏み入れようとする。実際、その程度の感覚でしかないのだろうけれど。
「「待てぃ!!!!!!!!」」
妙神山の正門は、只の扉ではない。
巨大な鬼の像が左右に陣取り、険しい鬼の顔が門扉にへばりついている。
これこそ、妙神山修行場第一の関門にして、大半の修行希望者の望みを断ってきた苛烈なる門番。
「ここより先に進みたくば!」
「我ら鬼門を退けて行くがよい!!!!」
その名も、鬼門。
今日はなんだか、声に張りがあって元気いっぱい。
「おー鬼門久しぶり」
巨大な2匹の鬼を前にしても、横島は変わらない。懐かしそうに目を細め、しゅたと手を上げて挨拶する。
「お主は!」
「その声その姿、横島か!!」
右の鬼門が吼える。
左の鬼門も吠える。
「おう。元気だったかご両人」
あ、こいつらへの土産忘れてたな。まぁいいか。
横島は一瞬で思考を終える。鬼門の好きなものなんて知らないし。小竜姫も知らないに違いない。
「じゃあそういうわけで通らせてもらうぞ」
多少の後ろめたさを感じつつ、早足で門へ向かう横島を、
「「待てぇい!!!!!」」
とんでもない大音声が引きとめた。なんというか、楽しくて仕方ないといった風にも見える。
「あんだよ鬼門。いまさらお前らの相手なんかしてられるかっての!」
「くくくく…横島よ。我らを今までの我らと思うたら大間違いぞ!」
「その通り! 過去の自分と決別し、新しき力を手に入れた我ら鬼門! そうそう遅れを取るものではないわ!」
そう言って、確かに霊圧を上げていく鬼門の2人。
「横島よ! 新生鬼門の力、試して「!! 右の!!」…っていいところで邪魔をするでないぞ左の」
しぶしぶ鬼門・左を見た鬼門・右。が、次の瞬間目を見開いて左と同じ行動に出た。すなわち。
「あら? 開きません。鬼門? どーしたのですか?」
「「小竜姫さまぁぁぁぁぁぁ!! だから! 勝手に出迎えようとせんでくだされぇぇぇぇ!!」」
一生懸命に、開こうとする扉を押さえることでした。横島は生ぬるい微笑みを浮かべてそのやり取りを見やっている。
「えー、だって久々に会え「小竜姫さまぁぁぁぁ!! 後生ですから!! 今回はぁぁぁ!! 今回だけはぁぁぁぁぁ!!」……あ、そうでしたね。先日の申請書類のこと忘れてました」
「お願いしますぞ小竜姫様。一世一代の見せ場なのですから」
「…分かりました。健闘を祈ります」
ようやく扉から離れる小竜姫。鬼門達も咳払いを一つして横島の前に立つ。
「もーいいのかー」
やる気のない声の横島とは裏腹に、
「「応よ!!!!!!!」」
鬱陶しいくらいのテンションで、鬼門は答えた。
「我ら鬼門の新しき力、とくと味わうがよい!!」
そう言って右の鬼門が腰布の中から取り出したのは、一枚の札だった。
左の鬼門も同様だ。
一応横島も警戒したのか、霊波刀を展開している。
右の鬼門は叫ぶ。歓喜も露に、手にした札を天に掲げて。
「来ぉぉぉぉぉぉいっ!!!! 剛ぉぉぉぉ錬ぇぇぇぇぇ武っ!!!!」
「何ですとぉぉ!!??」
横島が驚愕の声を上げると同時に、鬼門・右の掲げた札が発光、爆発する!
光と煙の収まった後に現れたのは、鬼門と肩を並べるほどの体躯を頑強な岩石で包んだ威容の持ち主…剛錬武。
…心なしか、疲れた表情を一つ目に浮かべている。真っ赤に充血してます。
「こちらも来ぉぉぉぉぉぉい!! 禍刀羅ぁぁぁぁぁ守!!!」
鬼門・左の咆哮に応じて現れるは、四肢を鋭利な刃物で構成された禍々しい姿の魔物、禍刀羅守。
…こちらも、なんだかお疲れのようです。
「お前ら…助っ人か」
呆然と2体の魔物を見上げた横島の霊波刀が少し縮む。
「くくく、横島よ!! これからが本番だ!!」
「その通り!! 我ら新生鬼門の真骨頂、とくと見よ!!」
「…お前らも大変だな」
魔物2体が力無く頷いた。それでも、練習した通りにやらなきゃという義務感だろうか。掛け声と共に左右に散った鬼門を追って、のろのろと移動していく。
「行くぞ! これこそ!」
「新しき力! 鬼門装甲!」
…長くなりそうなので、横島はよいせ、と体育座り。リュックからペットボトルのスポーツドリンクを取り出して一口呷る。
これで、万全の体制で突っ込みもとい、戦闘が出来る。
初めに動いたのは、剛錬武だ。
がしゃんがしゃんと走り出し、中空へと飛び出したその体。岩石の隙間から閃光を発した次の瞬間ばらばらに弾け飛び、一直線に鬼門・右へと殺到する。
何故か機械的な合体音と共に、バラけた剛錬武の体は鬼門・右の全身に装着され。
最後に、剛錬武の頭が接続されてぴかーんと光って。
背後に雷鳴を背負った姿で、鬼門・右は高らかに名乗りを上げた。すっげぇ楽しげに。
「これぞ鬼門装甲・右! その名も剛錬右門!!!!!!」
どぉーん、と仕込み火薬が爆裂する。派手な演出に、思わず横島も拍手してしまった。
次いで動くは禍刀羅守。剛錬武と同じく、剛錬武より高く、空中へと飛び出す。
四肢代わりの鋭利な鎌状の刃が本体から離れ、4本の刃は螺旋を描きつつ鬼門・左へと向かう。
こちらは澄んだ音と共に、両腕の前腕部に刃は接合、もう2本は足の甲から突き出すように合体した。
最後に、鬼門・左の背中と禍刀羅守本体が数本の雷のようなもので繋がれ、合体する。禍刀羅守が必死に首を伸ばして、顎を鬼門・左の首に載せているのが涙ぐましい。
「これぞ鬼門装甲・左! その名も禍刀羅左門!!」
「語呂悪!」
思わず叫んだが、剛錬右門と同じく背後の岩場が爆裂すると、反射的に拍手してしまう横島。
「「さあ!! 妙神山が正門、潜りたくば!! 我らを倒して屍を踏み越えて行けぇい!!!!」」
新生鬼門のポーズ付けと共に、最後の火薬が盛大に爆発した。色は、赤と青の2色です。
「おー………なんだか面白かったよ、サンキュな」
「余裕を見せていられるのも今のうちだぞ! この姿、只の合体にあらず!」
「左様! 我ら真の鬼門フェイスが外から!」
「そして剛錬武、禍刀羅守の眼が至近距離から貴様の動きを具に見通し!」
「鬼と魔物の身体能力を掛け合わせたこの体が!」
「あらゆる攻撃を跳ね返す!」
「「さあ! いかがいたす横島よ!!」」
横島は、大きなため息をついた。別に鬼門の必死さに引いたわけではなくて。
強くあろうと足掻く鬼門達の姿が、自分と重なって見えたからだ。
己の弱さを理解し、なんとか強くなろうとする焦り。外から見るとこれほど滑稽なのかとなんだか切なさすら覚える。
それでも。
弱い自分は、変えなくてはならない。どんなに醜くても、どんなに滑稽でも。
鬼門たちが強くあろうと頑張っているのは、彼らもまた守るべきものを守れなかった過去があるからだろう。先の事変で、敵の魔道兵鬼のたった一撃で崩壊した妙神山修行場。鬼門達の悔しさは…いかほどのものであったろう。
剛錬右門と禍刀羅左門は、足掻いて悩んで苦しんだ鬼門が得た、『今現在』の答えだ。これから更に、彼らは強くなれる。強くあろうとする意志が折れぬ限り。
だから、横島は今の答えで満足させるわけにはいかない。
これが終わりだと思わせてはいけない。
「オッケ、鬼門。全力でやる」
獰猛な笑顔…彼の親友である伊達雪乃丞を彷彿させる笑顔を浮かべた横島は、隠し持っていた文珠を鬼門フェイスに投げつけた。
「「ぬぅ!?」」
発動した文字は、『闇』。
一瞬の内に湧き上がった暗闇で、新生鬼門の外の眼は塞がれた。
剛錬右門が威力を桁違いに増した豪腕を振るうも、威力に反比例して速度を落としていたのでは、無意味。
禍刀羅左門の動きは、正直言って合体しなかったほうが早いだろう。禍刀羅守の動きは蜘蛛の如くだったが、鬼門の体を扱う以上、生かせる体技はほとんどない。
唸りを上げる剛錬右門の拳が、地面へと突き刺さる。横島はごつごつとした体表を足場に腕を駆け上がり、霊波刀の刃をあっさりと剛錬武の弱点、その充血した一つ目に突き立てた。
苦悶のうめき声を上げて、剛錬武の体が掻き消える。破れた召還札がひらひらと風に舞い、黒ずんだ塵となって崩れた。
「な、なんとぉぉぉ!?」
未だ闇の文珠の効果で視界を塞がれた鬼門・右が驚愕の声を上げた。
禍刀羅左門の大振りな攻撃をあっさり避けていく横島。両腕の刃は確かにリーチが長く、連続攻撃に迫力もあった。でもそれだけ。
苦し紛れに放った右足の刃による攻撃。横島が待っていたのはこれだ。ぶぅんと振られた右足の踵の辺りを、伸ばした栄光の手で掴みそのまま掬い上げる。
体勢を崩した禍刀羅左門は当然…
背負った禍刀羅守を下にしてすっ転んだ。
声にならない悲鳴を上げて、鬼門の体重を諸に受け止めた禍刀羅守が消えていく。この防御力の欠如が、禍刀羅守の弱点である。
禍刀羅守の召喚札もまた、青白い炎を一瞬だけ吹き出して散っていく。
「くあああああ!?」
鬼門・左の絶叫。
横島は汗一つかかずに、新生鬼門を倒してしまった。
「「くぅっぅぅぅうぅおおおおおおおおおうおうおうおうおうおうおう……」」
「そんなに泣くんじゃねえよ! 俺が悪人みたいだろーが!」
膝を抱え、咽び泣く鬼門達。
絶対の自信を持って小竜姫に提案しただけに、この完敗は堪えた。
「おい、とりあえず入っていいよな?」
「どうとでもするがよいわぁ…くぅぅ…結局鬼門など門のお飾り、天守閣の鯱程度の意味しかないというのかぁぁぁぁ…」
「沖縄のシーサーかぁぁぁぁぁ…」
「「しくしくしくしくしくしくしくしくしくしくしくしく…………」」
「お前らなぁ…鯱は火事除けのシンボルだろうが。意味的に違うぞ、意味的に」
門を開けつつ、意外な薀蓄を語る横島。
門扉の閉め際にひょいと顔を出すと、ついでにこう付け加えた。
「お前ら、さっきのやるくらいなら剛錬武と禍刀羅守だけで門番やったほうが強いと思うぞ。お前らが弱点になってるし。そんじゃなー」
「「酷!!」」
…強くあろうとする意志が、ポッキリ折れてなければいいのですが。
完膚なきまでに否定された鬼門達を柱の影(?)から見ていた小竜姫。
「あんまり必死だったので書類にごーさいんを出してしまいましたが…憐れです」
またホロリと涙を零すのだった。
「ようこそ横島さん! お久しぶりですね」
出迎えに現れた小竜姫(超加速で柱の影から戻ったみたいです)は、やはり美しくて。
「ほんとにお久しぶりッス小竜姫様さぁ久々に僕と種族を超えたラヴな絆を紡ぎましょおーーーーっ!!!」
鬼門なんぞ記憶の外に消し飛ばした横島は、出迎えた少女に問答無用で飛びかかり。
問答無用で叩き落された。
「相変わらずですねー、横島さんは」
くすくすと笑いながら神剣に滴る横島の一部(赤黒いです)を拭う小竜姫。
本当に…なにも変わっていない横島が、神の本質をある意味体現しているように思えて、おかしかった。
変わってしまう自分と、変わらない横島。
お喋り好きで、ゴシップに目ざとい某眼の神族なら、きっと「お似合いなのね♪」と口の端を吊り上げて笑うだろう。
「パピリオは? 元気にやってますか?」
「ああ、彼女なら…」
と、血だるまから復活した横島の顔が引き締まった。突然、明らかな戦意をもって栄光の手を展開した横島を、小竜姫は目を丸くして見やる。
しばしして。
軽やかな足音が、速度を上げ。
上げ。
更に上げ。
洒落にならない高速にまで至ったところで。
「ヨコチマあああああああああああっ!!!!!」
小さな弾丸が横島の懐へと飛び込んでいった。
しかし、横島は栄光の手を振りかぶり、残虐な笑みを口元に浮かべてソレを迎撃する!
「新技! サイキック・羽毛布団!!!!」
飛び込んできたソレを包み込むようにして、へにょんとした霊波の盾が展開し勢いを殺す!
例えるならば、それはアイダーダウンの羽毛! 極寒地に生息する野生鳥の羽毛で、超軽量・暖かい・希少性が高い究極の素材!
横島と弾丸はころころと転がり、横島を下にして停止した。
「よ! 元気にしてたかパピリオ」
「うん!」
横島の胸に頬を寄せて満面の笑みを浮かべる少女。
魔族パピリオは久々に会うことの出来た兄貴分の横島に、存分に甘えるのだった。
おまけ。
「知らなかったわ…お揚げをカレーライスに入れるなんて発想…いえ、カレーうどんが存在する以上、それは必然だったのかも……」
「タマモ…いい加減妙神山に向かうでござるよぅ」
「うっさいわね。私は眼から鱗が落ちっぱなしで忙しいのよ。む、この信太巻きってのは…おキヌちゃんなら知ってそうね」
妙神山への先回りを(無意味に)計画し、こっそりと行動していた人狼妖狐のコンビは。
道中で奇跡的に出会ってしまった死の罠、
『お豆腐! お揚げ! 大豆のお料理収穫祭』
なるコアなイベントに遭遇し、足止めを余儀なくされていた!
「お揚げに納豆を詰めるだなんて!? あなた正気なの…あ、おいしー」
「たまもぉ…」
おわり。
後書き
威鬼・軒昂の後編をお届けしました。竜の庵です。
鬼門の二人をクローズアップして、存在感のあるようにしたかったのですが…無理でした。彼らが彼ら以外のGSキャラに勝つ姿が、どうしても想像できません…
そもそも門番という括りですから、動かしにくいのでしょうね。妙神山以外のどこにいても、違和感ばかりがありまして。
実を言うと、次にそっと投稿しようと思っていたお話はおキヌちゃんのものなのですがー…えらい長くなった上にオリキャラ率が高く、どうにも思案中です。
短編も書きたい。楽しいので。
悩みつつ、レスをお返ししますよ。ありがとうございます。
斉貴様 > 続編物というか、個々のキャラにスポットを当てて書いていこうかと。群像劇は言いすぎですが、個性あるキャラクターに自分なりの+αを加えてGS世界観の中で動かしてみたかったのです。人の内面描写がもっともっと上手くなれば、冗長にならずに済むのですが…精進いたします。
アクセル・ウェイカー様 > ありがとうございます。好きな話だと言っていただくのは、ほんとに嬉しいですなぁ。ガンダムはプラモデルをざくざく作っていた時期があって、イージスも所有していまして。あのくだりも見てたら思いつきました。スキュラは地上では撃てませんし! 霊波砲も不得意な印象ですよね、横島は。
柳野雫様 > アシュタロスの事件を経験して、悩まないはずはないかな、と。普通なら人生観ひっくり返るような経験ですよ、アレは… 鬼の二人の活躍、楽しんで頂ければ幸いですが。みんな悩んで強くなる、という王道は気持ちいいものです。
MAKO様 > 喜んでもらえて有難い限りです。もうちょっと分量を減らしたいのですがー…一度出来上がった文章ってのは、なかなか削れないもので。飽きずに読める長文を目指して頑張ります。ハードル高!
以上、レス返しでした。秘剣レス返しとか思いつきましたが。翻って二度切りつける! 意味はありません。
それではこの辺で。お読みいただき、本当に有難うございました!