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▽レス始

「埋めるもの・その後(GS)」

ラッフィン (2006-07-09 00:03/2006-07-09 23:41)
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雪蛍(ゆきほ)が学校に通い始めて一週間が過ぎた。
これはヒャクメが霊視してわかったことだが、雪蛍は対人恐怖症であるらしい。美神に退治されたことを無意識だが、覚えていて人間=怖いという認識になっているとのこと。例外は霊力の提供者の横島だ。彼は言ってみれば肉親であるために恐怖の変わりに親愛の情となっているのだ。といっても周りから言わせれば親愛の情よりエベレスト以上に高い感情を持って接していると見えるのだが。
つまりは完璧なブラコン娘と思われているのだ。

「お兄ちゃん。忘れ物してない?」
「ああ、大丈夫だ。学校に全部置いてあるから」
「そう?愛子ちゃんが宿題あるって言ってたよ」
「なぬ!後で愛子かピートに写させてもらわねば!!」
「もう、たまには真面目にやってよね」

このどこにでもありそうで、いかにも学生な会話をしているのが横島兄妹である。
前述した通りブラコン妹だ、当然に登下校に一緒に行き来し、手を繋ぐのはデフォ。横島も横島で雪蛍が大事なので嫌がらない。むしろ喜んで積極的に手を繋いでいるくらいだ。はやくもこの光景は学校で名物になりつつあった。


―――横島兄妹の教室―――

「おはよ〜。愛子ちゃん、ピート君、タイガーさん」
「うぃ〜っす」

「おはよう。雪蛍ちゃん、横島君」
「二人ともおはようございます」
「おはようジャー」

教室に到着して真っ先に挨拶するのは除霊委員の皆様だ。
何を隠そう雪蛍が横島以外で一番心を開いているのは愛子なのである。対人恐怖症であるため、同属の愛子の存在は雪蛍にとって安心できる存在なのだ。
ピートもタイガーも、人外の血を引いているので多少怯えるくらいで済んでいる。
つまりう除霊委員のメンバーはクラスでもっとも雪蛍が心開いているメンバーなのである。

「やっと静かになってきたな。あいつら」
「初日は大変でしたね」

愛子と楽しそうに話している雪蛍を見ながら横島はホッ息をつき、言葉をこぼした。それに相槌を打つピート。タイガーはその煩い側だったので肩身が狭そうだ。横島とピートが話しているのは雪蛍の転校初日のことだった。


「えっと、私は雪女のよ、横島雪蛍です。よろしくお願いします」ニコッ
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお(ピート&横島以外の男)」
ビクッ!!

雪蛍が自己紹介をして笑顔を見せるとそこにはボルテージが最高潮に上がっている男の叫びが教室を覆い尽くした。
が、そこで対人恐怖症の雪蛍の我慢が限界を突破してしまった。男共に恐怖を感じてしまい、近くに一番安心できる人(兄)がいるとくればおのずと解るだろう。
すなわち。

「お兄ちゃぁあああああああああああああああああああん」
ダダダダダダダダダダ、ギュ〜〜。

ピキィイイイ!!(横島兄妹以外石化)

そう、ブラコンの妹は恐怖のあまり兄の元に走り抱きついたのだ。それを見たクラスメイト(教師含む)は見事石化した。これにはさすがの愛子やピートも耐えることが出来なかったみたい。
そんなことは露程も気にしてない二人は。

「よしよし、もう大丈夫だからな〜」
「うえぇええええん」

二人の世界に入っているのでした。

5分ほどたってようやくピートが正気に返った。続くように愛子とタイガーが戻ってくる。さすがにGSとして奇怪な事柄を多く経験しているだけある。愛子は、自分の存在が存在なので割りと早く戻って来た。

「あの、横島さん。雪蛍さんとはどうゆう関係ですか?」
「雪蛍は俺の妹だぞ。ってかさっき紹介したときに横島って言ってたじゃんか」
「なにぃいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!」

ピートの問いに何を今更ってな感じに答える横島の言葉に石化した男、否!漢達が復活した。もっとも、復活の際の大声で再び雪蛍が怖がって横島にしがみついてしまい、また漢達が叫ぶというなんとも悪循環な状況になっているわけだが。
横島はピートと愛子に雪蛍が妹になった経緯を話した。ちなみにタイガーは漢に入っているので無視の方向で。(ひどいですジャー(泣))
まぁ、彼女がいるのに他の女にうつつを抜かしているのだし、自業自得か。
それを聞いて黙ってないのは青春妖怪こと、愛子だ。自分と同じような境遇の彼女を手助けしたいと思った。そして、愛子は雪蛍の最初の友達になったのだった。

だが、そんなほのぼのした雰囲気をぶっ壊す奴らがいる。

「おい、横島の分際でなんて羨ましい状況になってるんだ」
「そうだ、横島のくせに生意気だぞ」
「お前は俺たちの最後の砦だったんじゃないのか?お前がいたからこそ、俺たちは今まで正気を保ってられったんだぞ」
「俺も雪蛍ちゃんにお兄ちゃんって言われたい!!」

「なんや、それは!勝手に決めつけんな!それとタイガー貴様は魔理さんがいるだろ!」
「ぐはっ」
タイガー、横島の言葉により撃沈。

横島の羨ましい状況に嫉妬した漢共だ。口々に横島を非難する。一部、自分の欲望につっぱしっているものもいるが。こんな理不尽なことを言われたら横島でなくても怒るだろう。
そんな漢達に馬鹿を見るような目を向けていた女子達は、雪蛍と話をしようと漢達を放っておいて雪蛍に近づいていった。
最初は戸惑っていた雪蛍だが、愛子を通して徐々に普通に話せるようになっていった。


「うん、平和が一番だな」
「あはは・・・」

雪蛍の転校初日のことを思い出し、しみじみ言う横島にピートは苦笑するしかなかった。最初のほうは襲撃されたりして大変だったが、今は沈静化してきた。タイガーはあの横島の一言で目を覚まして、今では漢達から外れている。

「でも、横島さんも随分変わりましたね〜」
「そうじゃノー。かなり落ち着いた感じがしますけんノー」
「そうか?雪蛍のおかげかな?」

会話は雪蛍転校初日の話から横島自身の話に移っていく。
ピートの言うとおり横島は変わった。
なんとセクハラをしなくなったのだ!
もちろん、覗きなどもしなくなっている。よって美神からシバかれることが少なくなった。雰囲気も落ち着いた感じになっている。
実はこれもルシオラの魂を取り込んだことが原因だったりする。
ヒャクメ曰く

「今、横島さんの魂の中で人間の煩悩と魔族の闘争本能が激しくぶつかりあってるのよ。互いが相殺し合ってて、そのぶつかりあったエネルギーは別の方向に向かっちゃってるのね〜」

とのこと。その方向とは保護欲だと言う。ルシオラのことで激しい自責の念があったためにその余分な力が大切な人を護りたいと言う気持ちに向けられたのだ。ただ、煩悩や闘争本能が完全に無くなったわけではない。いわばスイッチがOFFになっている状態だ。ひとたび相手から気持ちの篭った告白が出たり、戦闘に入ればスイッチがONになり、本能全開になる。
そして、現時点でその横島が保護欲を向けているのは雪蛍だ。ぶっちゃけただのシスコン兄貴である。
しかし、魂の半分以上が魔族なのに魔族の本能を煩悩で抑えるとはやはり彼は異常だと思う。

始業時間になりおしゃべりはここまでとなった。
横島兄妹の学力はそんな良くはない。もちろん悪いわけでもないが、中の下あたりだ。
最近は勉強するようになった横島だが、前からのツケがあるのでなかなか結果に繋がらない。雪蛍は国語と理科は出来るのだが、残りの数英社がダメなので上位にはいけないのである。彼女は最近、学校に入ったばかりなので仕方ないと言えよう。

――放課後――

部活に入ってない横島兄妹は帰り支度を始める。この時間になると学校妖怪の愛子は決まって寂しそうな顔をしてしまう時間である。それに横島は気付いているのだが、自分の家に連れ帰るわけにもいかないので何も出来ないのが現状だった。

さて、校舎を出た横島兄妹を校門のところで待つ一人の少女がいた。

「あ、横島さん。お疲れ様です。」
「小鳩ちゃんこそ、お疲れ。待たせちゃった?」
「いえ。私も今さっき来たとこですから」
少女の視線は繋がれている横島と雪蛍の手に向いている。

この恋人がデートの待ち合わせをしているような会話をしている少女は元貧乏神、現福の神が憑いている花戸小鳩嬢である。福の神の力で病気の母親を静養施設に入れることが出来たのだが、引っ越すまでは資金が足りないので今はあのアパートに一人暮らしをしている。福の神は病気が治って普通に生活が送れるようになるまで母親に憑いているらしい。しかし、年頃の娘が一人暮らしだと何かと心配であった小鳩母。そこで白羽の矢が立ったのが横島である。

小鳩母の話を聞いた横島は当然とばかりに快く小鳩のことを引き受けたのだ。
なので、小鳩がバイトの日以外は一緒に帰宅している。(バイトの日はバイト終了時間に迎えに行っている。)
そして、一緒に夕飯を食べお風呂も済まし、適当な時間になったら横島が小鳩を家に送っていくのだ。と言ってもそれは週に2回くらいだ。小鳩は生活のためのバイトがあるし、横島も同じ理由で食べることは少ない。なので、小鳩はこの時間がくるのを楽しみにしている。

小鳩と雪蛍の関係はいたって良好である。横島としては怖がるのではないかと心配だったのだが、福の神が憑いているせいか小鳩にはなんの恐怖も抱かなかったのだ。これに横島は喜んだ。人間に初めて心を開いたのだから。小鳩には感謝しても足りないくらいだ。

さて、上記の説明でおかしいところがあったのはお気付きだろうか?何故に風呂が横島の部屋にあるかという部分だ。それは、雪蛍が両親と対面したときのことだ。
両親が揃って『こんな可愛い娘をあんな汚い部屋に住まわせることばど出来ない』といってアパートの近くにある3LDKのマンションをドンと購入したのだ。さらには仕送りも普通に生活が出来るくらいに増やしてくれた。『女の子がお洒落をするには金がかかるもんだよ』『雪蛍に貧しい生活はして欲しくない』とのこと。可愛い娘は偉大である。

「小鳩ちゃん、明日の休日のことなんだけど」
「はい、なんですか?」

夕食を済ませてゆっくりとしていたときに横島が切り出した。

「俺と雪蛍は知り合いに会いに行くんだけど、そこは遠いとこだから家にいないと思うんだ。だから、家に来る時は連絡して欲しいんだけど」
「あ、そうなんですか」

横島から、明日のことと言われて『もしかして、デートのお誘い?キャ〜〜〜///』とちょっぴり期待していたのだが、そうではなかったので言葉に元気がない小鳩。でも、明日は母親の見舞いに行こうと思っていたのでいいかと思い直す。小鳩はタフだった。

――翌日・妙神山――

「う〜ん、久しぶりやな〜」
「ハァ、ヒィ・・・やっと着いた〜・・・」

小鳩が出かけるのを見送った後、横島兄妹も出て妙神山に来た。
本当なら雪蛍はこなくてもいいのだが、一緒に行くときかなかったので連れて来た。
荷物は全部横島が持っているが、横島はピンピンしていて、荷物がないはずの雪蛍のほうがまいっている。
そんな様子に気付いて苦笑して手を繋いで引っ張ってやる。その様子を門番である鬼門が気づいた。

「「おお、横島ではないか」」
「な、何?門がしゃべってる!」

鬼門を初めて見た雪蛍は驚いて横島にしがみつく。横島は雪蛍を宥めながら鬼門と修行場にいる小竜姫、ヒャクメ、老師、パピリオ、ジークのことを説明してあげた。横島はすでのここの最難関の修行をクリアしているので鬼門は何も言わずに通してくれた。軽く礼を言って通ると、微笑みを浮かべた小竜姫と満面の笑顔を浮かべたパピリオがいた。横島を見たら我慢できなかったらしくパピリオは駆け寄って抱きついて来た。

「ヨコシマーーーーーーーー」
「っとと、パピリオ久しぶりだな〜。」

パピリオを抱きとめ頭を撫でてやる横島。その隣で様子を見ていた雪蛍は頬を膨らましてご立腹のようだ。

「む〜、お兄ちゃん。この娘は誰?」
「(あちゃ〜、ほっとかれたと思って機嫌悪いな〜)・・・この娘がパピリオだよ」
「ふ〜ん・・・」

雪蛍はパピリオの名前を敵と登録したようだ。

「ヨコシマ、あいつは誰でちゅか?」

パピリオのほうも見ず知らずの奴に怒気をぶつけられ些か気分が悪い。せっかくの義兄との再会に水を差されたようなものだ。自然と二人が睨み合い火花を散らす。
そこでパピリオは気づいた。

「あれ?ルシオラちゃん?」

そう雪蛍がルシオラに似ていることに。パピリオはすっかり動揺してしまい、横島を問い詰める。
横島はパピリオを宥め、雪蛍について全てを話した。それを聞いたパピリオは横島と同じ感想を持ったらしく、横島の胸に手を当てて『ルシオラちゃんはここにいるでちゅね』と涙を流した。話に参加できないで一人置いていかれた雪蛍は首をかしげるしかなかった。

「さあ、いつまでも立ちっ放しというのもなんですから。奥へどうぞ」
「あ、挨拶が遅れましてすいません。小竜姫さま」
「いえいえ、雪蛍さんもお久しぶりです」
「お久しぶりです。小竜姫さま」

沈んだ空気を小竜姫が話に加わることで消し、みな修行場に入っていく。
パピリオも『ルシオラちゃんの影響ね〜、確かに・・・』と雪蛍のある体の部分を見て軽口を叩ける程に元気を取り戻した。その具体的な部分はノーコメントで。
それを聞いた雪蛍も『あたしのほうが大きいじゃない』と言い返すも、『私には将来があるでちゅ。もう、終っちゃった人は可哀想でちゅね』と返される。
一応、雪蛍も元の雪女に比べると若返っているので終ってはいないのだが。
そんな不毛な口喧嘩をしていると、ここでその話題は失敗だったと後悔するのだった。何故ならここには小竜姫がいるからである。

「いいかげんにしなさい」
「「はい・・・」」
「大きいからってなんですか。形だって大事ですよ・・・ブツブツ」

あまりの迫力に逆らってはいけないと押し黙る二人。小竜姫のつぶやきが聞こえてしまった横島はそれを聞かなかったことにしたのだった。
ここは二人の相手をするのが得策と判断する。

「ほら、二人とも仲良くしようぜ」
「「でも」」
「お前ら姉妹仲良く出来ないのか?」
「「姉妹?」」

突然、二人は姉妹と言われて戸惑いを隠せないパピ雪。

「雪蛍は俺の妹であると同時にルシオラの妹でもある。パピリオも俺の義妹であり、ルシオラの実妹だろ?で、パピリオのほうがはやく生まれてるからパピがお姉ちゃんだぞ。だから、仲良くしてくれると嬉しいな」

二人は最初はポカンとしていたがだんだんと横島の言葉を理解していく内に顔に笑みが浮かんで来た。パピリオは今まで一番下だったからお姉ちゃんと呼ばれるのが純粋に嬉しいため、雪蛍はパピリオはお姉ちゃんだぞ。と言われても戸惑うだけだったが、仲良くしてくれると嬉しいと聞き、パピリオと仲良くなる=お兄ちゃんも喜ぶと言う方程式が出来たために。もちろん、それだけじゃなく、パピリオから自分に似た霊波を感じて親近感を感じたのもあるのだが。

「じゃ、雪蛍。あっちでお姉ちゃんとゲームして遊ぶでちゅ」
「うん、パピお姉ちゃん」

根が純粋な二人はすぐに仲良く遊びに行った。そんな二人を苦笑して見送る横島。
そんな横島に労いの言葉をかける小竜姫だが、すぐに真剣な顔になる。

「さて、では本題に入りましょうか。横島さん今日はどう言ったご用件ですか?」
「それは、ヒャクメやジークにも聞いてもらいたいのですが・・・」
「そうですか。では、呼んできますね」

しばらくするとヒャクメとジークを連れて戻ってくる。横島は早速話しを切り出した。

「ここに来た理由ですが、俺に修行をつけてもらいたいんスよ」
「でも、あなたは最難関の修行をクリアしたではないですか。アレ以上の修行は・・・」
「いえ、俺がしたいのは基礎です」
「どういうことですか?」

今まで自分の限界を超すために厳しい修行を希望する人はいたが、基礎の修行を希望する人はいなかったので目が点になる小竜姫。
横島は今まで自分は基礎をしないで実戦だけに出続けていたから、霊気の練り方さえしらない。さらには、今は成長期なので基礎をするだけで充分強くなれると説明した。

「解りましたが、ヒャクメとジークを呼んだのはどうしてですか?」
「ヒャクメには霊視のことを学ぼうかと、ジークは戦闘についてですね。それとジークの情報収集能力を使ってGSの依頼料の平均相場を教えてもらいたくて」
「相場って、美神さんに・・・すいません。失言でした。」

美神さんに教えてもらえば?と言おうとしたのだが、あの人の価値感は普通ではないので思いとどまったのだ。横島の周りにいる人で聞いて見ればと言ったのだが、
神父は金をとらないし、西条は嫌いだから、美智恵は西条に会う確率が高いし、エミは自分は美神の弟子と思われてるから教えてくれないだろう。六道は仮を作りたくないし、魔鈴さんはレストランが忙しいだろうとのことで却下。

消去法をしていったら誰もいなくなってしまったのだった。なので、ジークの情報収集能力を頼りにしたらしい。妙に説得力があるので苦笑するしかない小竜姫。
しかし、実際は言えばちゃんと教えてもらえるのだが、普段の行動がそう思わせたのだろう。

「最後に一つ。あなたは何故強くなろうとしているのですか?」
「後悔はもうしたくないから。もう、俺の目の前で大切な女が死ぬのを見たくない」

「だから、護れるだけの強さを身につけたいんスよ」

そういって横島は笑った。それを見て小竜姫は安心したのだ。横島がちゃんと前を向いて歩いているとわかったから。だからこそ、余計にアシュタロス大戦のときに何も出来なかったから今度こそ横島の力になると強く誓うのだった。

そんな思いをしているのは小竜姫だけではない。ジークやヒャクメだってそうなのだ。そして、ここにはいないワルキューレも。全員が悔しい思いをしているから。
今度こそ力になりたいと思っているのだ。

「では、まずヒャクメの霊視訓練から始めましょうか」
「はい。よろしくな。ヒャクメ」
「任せるのね〜」
「では、僕はその間に戦闘に関することと、相場についてレポートを作っときますね」
「おう、よろしくな。ジーク」

話合った結果。週一でここに来て修行を見てもらうことになった。修行と言っても基礎なので自分で出来ることが多い。だから、6日は自主トレでその成果をここに来てみてもらうという流れになったのだ。

やっと横島の力になれる、そう思うと少々不謹慎かもしれないが神魔の3人は笑みを隠すことが出来ない。やっと自分達を頼ってくれたのだ。ならば、全力で手助けしよう。3人は修行を受ける横島に匹敵するくらい張り切っていた。
特にヒャクメは・・・

「私、最近すっごく役に立っているのね〜♪」

と特に嬉しそうだった。

――パピリオ・雪蛍――

横島がジャクメと霊視訓練をしている頃。雪蛍とパピリオはゲームをしていた。

『やぁああああああああああ』
『きゃぁあああああ』

YOU WIN!

「あ〜、また負けちゃった〜」
「ふふふ、まだまだパピには勝てないでちゅよ」

テレビに映っているのは女のキャラを倒した男のキャラがキメポーズをとっている。
どうやら、二人は格闘ゲームをしていたようだ。普段からやりこんでいるパピリオは強い、対して雪蛍はゲームとは無縁の生活を送っているので弱い。結果はわかるだろう。
二人はもう一戦しようとキャラを選んでいるとそこに小竜姫が現われる。

「さ、パピリオ。修行の時間ですよ」
「う〜、もうそんな時間でちゅか・・・仕方ないでちゅ。雪蛍、もう休憩でちゅ」
「パピお姉ちゃん。修行って?」

事情を知らない雪蛍はとりあえず聞いてみた。そこには複雑な事情を含んでいるために真実を語るわけにはいかないので、小竜姫は『管理人の手伝いをするために勉強をしている』と説明をした。それを聞いた雪蛍は『う〜ん・・・』とうなって考え込んだ。しばらくすると考えが纏まったようで顔を上げる。

「小竜姫さま」
「なんですか?」
「私にも修行をさせてください」

雪蛍の突然の申し出に困ったような顔をする小竜姫。それはそうだ。ここ妙神山は限界を感じた霊能力者達が修行にくる非常に厳しい修行で有名なところで、修行を受けるためには表にいる鬼門を倒さなければならないのだ。小竜姫は彼女の実力を知らないので受けさせて良いか迷っている。

「雪蛍さん、修行をつけるのはいいですが、ここで修行を受けるには鬼門を倒さないといけないんですよ。それでも受けますか?」
「鬼門って表の門ですよね?それでも受けます」
「どうして修行を受けたいんですか?」
「お兄ちゃんの役に立ちたいから」

雪蛍は横島にいつもくっついているので除霊にも何度か行っている。そこでGSの危険さが解ったので、自分も兄を手伝って少しでも危険を減らしたいと思ったと言う。雪蛍の決意の強さに負け、小竜姫は雪蛍に鬼門の試練を受けさせることを承認した。

表に出て鬼門と対峙する。小竜姫とパピリオは後ろで見物だ。パピリオは雪蛍の無事を必死に祈っている。そうとう心配している様子。小竜姫のほうも心配そうだ。
雪蛍は2匹の鬼を睨みつけ立っている。

「では、はじめ!」

小竜姫の合図で3人(1人と2匹?)は動き出す。

「「おおおおおおおおおおおおお」」

鬼門が先手をとり2人がかりで殴りかかる。

「ひ・・・アイシクル・ソーサー」
バシバシィイン
「「「「おお!」」」」

鬼門の拳に一瞬ひるんだかと思うと、すぐに持ち直し手に六角形の氷の盾を作り出し拳を受け止めた。それは兄の横島が使っているサイキックソーサーにそっくりだった。まさかとめられるとは思わなかったので驚く小竜姫、パピリオ、鬼門。

「「なんの、まだまだ〜」」
バシバシバシバシバシバシバシバシバシ・・・
「きゃぁあああああああああ」

すかさず、連打に切り替えた鬼門。それを受け止めるだけで精一杯の雪蛍。実は雪蛍は実戦は今回が初めてだったりする。なので、どう動いていいのかわからないのだ。今、兄が除霊現場でどう動いていたかを必死に思い出して、なんとかしのいでいるのだ。
だが、そんなことでは鬼門を倒すことは出来ない。結局盾が拳の負荷に耐えられず砕け散ったとこで雪蛍が負けて終った。その際に初の戦闘で緊張していた雪蛍が気絶。だが、小竜姫は特別に雪蛍に基礎訓練なら受けさせてあげることにした。そして、改めて鬼門と勝負して勝ったら本格的な修行を受けさせると言うと雪蛍は嬉しそうに笑ったのだった。

後でこのことを知った横島が暴走しかけたのだが、とりあえず、小竜姫の超加速でことなきを得たのだった。そして、雪蛍の決意を聞いた横島は『俺のために・・・』と号泣したのは秘密だw


気絶から目覚めた雪蛍は鬼門との戦いで汚れてしまったので風呂に入り出てくる(雪蛍は雪女なのでシャワーだけ。それも冷水である)と、ちょうど修行を終えた横島と鉢合わせた。

「お、雪蛍どこいってたんだ?」
「汚れちゃったからお風呂借りてたの」
「そっか、そろそろ帰るから準備しなよ」
「うん」

本当なら泊まりたいのだが、あいにく明日は仕事が入っているので却下。
雪蛍はすぐに帰る支度を整えると横島と合流し外へ出た。
見送りにはジーク、ヒャクメ、小竜姫の3人がいた。

「では、帰ります。来週もお願いしますね」
「はい、お待ちしていますよ」
「またなのね〜」
「またです」
「また来るでちゅ。雪蛍も一緒にでちゅよ」
「「ああ(うん)」」

こうして横島兄妹は下山した。


あとがき

お久しぶりです。自称ほのぼの作家(見習い)ラッッッッッッッッッッフィンです。
みなさまからの暖かいメッセージで調子に乗って続編書いちゃいました。
これからは連載にしようと思ってます。

今後はほのぼの〜な作品が書けたらいいな〜って思ってます。
今考えているのはタマモ編、六道の除霊実習編です。
それから学校生活と事務所も。
その中で半オリキャラを二人出すつもりですが、名前が決まらないんですよね〜。
そのキャラは原作で出てます。台詞もありました。誰かは予想してくださいw

では、次回の学校生活編であいましょうw


レス返しですw

帝様

>多少誤字が目立ちますが
すいません。今後は注意して減らしていきますので。
>脇役は私も好きです
それは良かったですw同士よwww


ヒガンバナ様

続編お待ち!!感想ありがとうございましたw


oka2様

お待たせいたしました。続編でございます。ありがとうございました。


ジェミナス様

メガネ以下級友達は(女子除き)石にしちゃいましたw
これから愛子や小鳩の出番を増やそうと思ってます。

亀豚様

続編をお持ちいたしました。
雪蛍ちゃんを気に入ってくれれば幸いです。

シシン様

続編完成しました。
とりあえず、漢達石化。
女子、無視して雪蛍に殺到。
横島、雪蛍と二人の世界に入りましたw

皆様、感想ありがとうございました。これからも精進する次第であります。
これからもよろしくお願いします。

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