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「歩む道異聞(黒の本)(GS)」

テイル (2006-05-29 04:29)
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 前書き。
 これは歩む道に連なるお話です。
 が、これ短編でも全く問題はないものです。
 歩む道を読んでない方でも楽しめる……はず?

 では、どうぞ。


 笑い声が聞こえた。
 心の奥底から、原始の感情を引き出す不吉な笑い声。
 耳を塞いだ。しかし笑い声は途切れない。
 頭の中で響いていると言う事実に気づいたとき、感情のままに叫んだ。
 原始の感情……恐怖と言う感情のままに、叫んだ。

 ちらりと、闇色に染まった一冊の本が見えた。


『何が……起こったの?』
 気がついたとき、彼女の意識は闇に浮かんでいた。何も見えず、何も聞こえず、何も感じず、何も匂わない。自分の身体すら確認することができない中、ただ闇があった。闇に浮かぶ意識だけがあった。
 何が起こったのかわからなかった。何が原因でこうなったのかもわからなかった。
 つい先程まで、彼女は事務所の机で書類の整理をしていた。税務処理の時期が近い為、処理しなくてはならない事がいくつもあった。だから今日から数日間依頼をすべて断り、事務所のメンバーにはそれぞれ休暇を与え、帳簿の前で一人唸っていたのだ。
 そしてそれは不意に起こった。何もかもが消えたのだ。座っていた椅子も、睨んでいた帳簿も机も事務所も、そして光や音や重力でさえそれは変わらない。
 ……世界すらなくなってしまったかのようだった。瞬きをした直後、ありふれた極彩色の世界は闇色に塗りつぶされ、よりどころとなる肉体の反応は全てが消えてしまった。
『落ち着くのよ……。これは何? 呪い? それとも他の何か? 私は今どこにいるの? 特殊な空間? それともまだ事務所にいるの?』
 押し寄せてくる恐怖に耐えながら、彼女は現状を把握しようと努める。不可思議な現象に関して彼女はプロだ。自他共に認める一流のプロだ。その矜持がかろうじて彼女の心を正気につなぎとめていた。
 しかしそれとても限界がある。そもそも考えるということしかできない中、どうやって現状を把握しようというのか。そしてどうやってこの状況を打破しようというのか。
 不可能だ。
 望みといえば、唯一人工幽霊が彼女に異変が起きたであろう事を知っていることだ。自分の寄り代となっている館内で起こった異変だ。何が起きたにしろ、人工幽霊壱号は気づいているはず。
 彼女の事務所のすぐそばにはオカルトGメンの日本支部がある。そこには頼れる母親と先輩がいる。助けを期待していいはずだ。
『現状維持が最善か。ならなんとか、耐えなきゃ……』
 彼女は折れそうな心に叱咤する。現状で最も恐ろしい敵は、己の中から湧き出す狂気だった。
 五感の消失……それは人間の持つ能力の八割以上を無くしたことを意味する。そんなか弱く不安定な状態に、何が起こったのかすらわからない不安や恐怖。それは人の心を蝕むには十分すぎる。心に狂気が誘われるのは、そう遠いことではない。
 だから彼女は意識して己を叱咤する。類まれな精神力で自分を保ち続けようと意思を強める。刻一刻と削られる何かを感じながら、それでも彼女は耐える。
『ほう、珍しいことだ』
 その声が突然響いたのはどれほどの時間が経ったときのことだったろう。一日二日は過ぎているような気もするし、一時間も過ぎていないような気もした。
 意識に直接響いてくるその声に、彼女の意識は震えた。それが驚き故か、恐怖故か、それともへたり込みたくなるほどの安堵故だったのか、彼女にはわからなかった。
 漣のたつ心を押さえ込むようにしながら、彼女は言い返す。
『だ、誰よ!?』
『ほう、言葉が返ってくるか。会話という形になったのは、随分久しぶりだな』
『質問に答えなさいよ!』
『ふむふむ。強気なことだな』
 意識のみの世界故か、言葉と共に相手の感情も伝わってきた。この声の主はどうやら、楽しんでいるらしい。
『あ、あんたね……』
『慌てるな慌てるな。時間はあるのだからな。とりあえず私のことを述べておくと、単なる先輩だよ……君のね』
 言葉と同時に伝わってきた感情が彼女を身震いさせる。伝わってきたその感情がどんなものだったか、どんな名だったか思い出そうとして……なぜか思い出せなかった。
(………)
 それはとても、不吉な予感をさせる感情だった。


 ソレは語る。
『歴史が一つの流れしかないなんて、誰も信じていないだろう? もちろん君も信じてはいまい』
『……いきなり何の話よ。私は状況の説明が欲しいんだけど?』
『もちろんさ。これがその説明だよ。文句いわず聞くがいいさ。どちらにしろここで何かができるわけじゃない。暇つぶしにもなるだろう?』
 助けが来るまでの暇つぶしということならば、訳のわからない会話であろうとも楽しめるかもしれない。会話ができるというだけで精神的負担はかなり軽減されるはずだし、加えて現状の説明だというならば断る理由はない。
『わかったわよ。続けて』
 とりあえず話に付き合うことにして、彼女は話を促した。
『ふむ、では続けよう。……もしあの時こうしていれば。もしあの時ああだったならば。過去を振り返った時に後悔しない人間はいない。周囲から見て、どれほど満足そうな人生を送っているように見えてもそれは変わらない。誰しも心に刺さる棘を持っているものだ。ならば自分が今まで歩いてきた道……それ以外の道を夢想しないものはいない』
『そうね。でもどれほど望んだところで、過去というものは変えられないわ。それは既に過ぎ去っているものだし、どれほど力を持っていても終わってしまったことに手は出せないもの。時間移動でも、変えられることしか変えられないって言うしね』
『変えられることしか変えられない……か。それは一部正解で、一部誤りだな。君たちが一般に言っている時間移動で、歴史を変えられないということはない。そして過去は、変えられることはただ一つもない』
 彼女の戸惑いを感じたのだろう。ソレから笑いの波動が流れてきた。
『つまりだ。君たちが時間移動と呼んでいるものは、正確には次元移動に過ぎないということだよ。平行世界に移動する能力のことを、何を勘違いしたのか時間移動と呼んでいるのだ。これなら歴史は変えられる。……いや、変えたような気になれる。無論意味はないがね』
 仮に移動者本人が過去――この場合、並行世界――に戻り、歴史を変えたとする。しかしその行為によって、移動者が元いた世界の歴史が変わるわけではない。あくまで変わったのは平行世界の歴史。それも移動者の記憶と違うと言うだけだ。これでは錯覚でしかない。
「……別の世界から来た異邦者が何かしたとしても、そこから流れる歴史は、その世界にとっては自然なものなのだよ。世界にとっては何も変わることはない。手を加えられたからといって、たった一度の時間の流れという大前提は崩れないのだからね』
 本当に時間移動ができるならば、歴史は絶対に変えることができる。誰かが過去に移動すれば、その時間軸での人口が増えるし、酸素の使用量も増える。微々たる物とはいえ変化は変化だ。
 だが、移動したはずの過去が、時間軸のずれた並行世界に過ぎなかったら……もちろん、過去を変えたことにはならない。新しい流れを行く、別の世界を作っただけだ。
『過去は変えられない。過去に行く術などないから、変えられない。そういうこと?』
『その通り。一般に歴史を変えると呼ばれているものは、パラレルワールドをいじっているに過ぎない。終わったことは変えられないのだよ。なぜならそれは理から外れることだからだ。もしそんなことが出来るとするならば、それは神と呼ばれる存在しかいない。おっと、断っておくが、神とは神族のことではないよ。私が言っているのは、君達の呼ぶところの造物主と呼ばれる存在さ。創造神のことだね。全てをすべる存在。全ての母にして、全ての父さ』
『宇宙意思?』
『そうとも言うね。この世界に住む全てのものは、彼の掌の上で踊る猿のようなものだ。その境遇をどれほど嘆いたからといって、抜け出せるようなものじゃない。相手は理なんだ。世界の基盤にして、変えようのない絶対の法則。抗うなど愚かしいことこの上ない。……だが、全てを承知で抗った魔神がいてね。君も知っているだろう?』
 誰のことを言っているのか彼女にはわかった。わからないはずもない。その魔神が事件を起こしたとき、彼女はその渦中にいたのだ。
『アシュタロス……』
 満足そうな感情が彼女の中に流れ込む。
『そうだ。世界が始まって以来の愚か者だよ。なまじ力を持っていた為に、彼は抗ってしまった。そしてその類稀な頭脳と魔力を用いて、世界を突き崩す方法を考え、そしてあおうことか創り出してしまった。世界を改変する魔具、コスモプロセッサをね。……実際惜しかったとは思う。もう少し……あとほんのもう少しの力さえあれば、新たな創造神として成り代わっていたかもしれない。ま、結果が全てなんだがね。負けちゃあしょうがないのさ』
 そういってソレは笑い声を響かせた。
 何故かかちんときて、彼女は言い返す。
『別に……負けたってわけじゃないでしょ。あの馬鹿はそれなりに望みを叶えたわけだし』
 世界に反旗を翻したアシュタロス。その目的は世界の滅亡と新たな創造、もしくは……自らの絶対なる死だった。
『あいつは望んでいた死を手に入れた。……はた迷惑な自殺劇だったけど、目的は果たしてる』
『そうだね、その通り。そしてそのことが重要なのさ。どうして彼はそれを手に入れることができたのだろうか』
『そりゃ、あれだけ三界を騒がせば無理ないんじゃないの?』
『それは、違う。どれほど暴れようと、神族魔族人間をどれだけ殺そうと……それだけでは例の望みは叶わない。彼の魔神が死を手に入れることができたのは、一重にコスモプロセッサのおかげだ。不可能を可能にする力。非造物主が造物主を滅ぼすことの出来る力。現在の力関係を全て壊してしまう混沌への扉。世界にとって……つまりは創造の神にとって、危険極まりない代物だ。それが、彼が死ぬことのできた理由だよ。世界は彼の望みを叶えたわけじゃない。危険だから、排除しただけなのさ』
 世界のありように異を唱え、世界に弓引くのはかまわない。どれほどの力を持っていても、世界の理の中にあるのならば通用しない。届かぬ矢に気を払う必要が、一体どこにあるだろうか。 
 しかし、もしその矢が世界に届くのならば……話は別だ。
 歯牙にもかけていなかった存在にその身を傷つけられ、世界は愕然としたのだ。慌ててその弓と矢を作った存在を、己の世界から排除しようとした。
『アシュタロスの意を汲んで死なせたわけじゃない。ただ危険だったから排除した。単純なことだ。納得いくだろう?』
 確かに納得がいく。そしてそう感じるとともに、彼が何者で、どうしてそんなことわかるのか……そのことが気になる。
 何故そんなことを知っているのか。どうしてこんなことを自分に話すのか。この存在はいったい何者なのか……。
 彼女の疑問を感じてか、ソレは嗤う。
『すべては話が終わる頃にはわかるさ。そして、話はもうすぐ終わる。……さて、続きだ』
 ソレは語る。
『世界はアシュタロスを排除し、コスモプロセッサを破壊した。しかしそれだけでは安心しなかった。よほどアシュタロスの存在に肝を冷やしたのだろう。自身を脅かす存在が他にないか、その可能性を持つものはないか、探し始めた。丹念に、執拗に……もちろん、排除する為にだよ。そして』
 ソレは言葉を切った。同時にある感情がソレから溢れる。それは最初に彼女を身震いさせた例の感情で……。
『世界は気付いたのさ。自身を脅かす、否、既に自身に干渉し、その在りようすら変えてしまった存在に』
 そして彼女は理解する。
『後はどうなったかわかるだろう? 排除だよ。そう、排除されたのさ。死ではなく、単純に世界の外に放り出された。世界と世界の狭間に。何もない空間に、魂を捨てられた。光も音も臭いも味もない。感覚に触れるものは何もなく、あるのはただ心と思考能力だけ』
 ソレは楽しがっていた。愉悦。それがソレからもれる感情の名。
 他者の不幸を蜜の味のように感じるものが発する、どす黒い感情。
 だから、ソレが言わんとするところがわかってしまった。
『嘘、よ。まさか……』
『そのまさかだよ、変革者。世界の理にメスを入れた、初めての人間。お前は間違いなく最高の力を持つ、最高の人間だよ!』
『私にそんな力はないわよ!!』
 否定する。認められないから、否定する。
 だって、認めてしまったら……。
『あるのだよ。実際に君はその力を使った。忘れはしまい? 中世で相棒を無くしたろう。そして彼を取り戻すつもりで時間移動をしたな?』
『時間移動はたいした力じゃないって、あんたが言ったんじゃない!』
『時間移動と呼ばれる力はたいしたものじゃない、と言ったんだ。しかし君が使った本物の時間移動は、それはそれは素晴らしい力だ。終ってしまった事実を捻じ曲げることのできる、本物の時間移動だ!』
 それが嘲笑する。狂ったような笑い声。恐怖が彼女の心を包み込む。それでも彼女は耐える。認めてはいけない。認めては……。
『あの時君は時間移動をした。覚えているだろう。敵から雷撃を受け、君は移動した!』
『だから……なによ!』
『重要なのは、移動した先に過去の君がいなかったことだ。君は、君自身として過去に遡った』
 彼女の脳裏にそのときの映像が浮かんだ。
 確かにそうだった。敵から雷撃を受け……気がついたら、少しだけ時間を戻っていた。だが……それはおかしい。ソレは言っていたではないか。時間移動は、並行世界への移動に過ぎないと。だからたいした力ではないのだと。
 しかし彼女の場合は……。
『うそ、よ』
『嘘ではないさ。君は世界の時間を切り崩し、過去へと世界を誘った。同一の時間が巻き戻っただけだから、その時間軸に君は一人しかいなかった。それは並行世界の移動などでは決してないことの証明なのだよ!』
 彼女の心に何かが突き刺さった。それは恐怖と言う名の刃だ。抵抗して抵抗して、しかしついには破られた。
 彼女は、認めたのだ。自分が、世界から排除されたことを……。
『ふふふ。くくくくく。感じる、感じるよ、君の絶望が。君の嘆きが。そうだよねえ。こんな何もない世界に捨てられたなんて、悪夢以外の何者でもないものねえ』
 響く。それの嗤い声が響く。狂ったような笑い声が……。
『い、いや。いやだ』
 耳を押さえたかった。しかし耳はない。押さえるべき手もない。それの言葉は拒みようもなく彼女に伝わる。
『狂う。狂うぞお。ここにいれば狂うぞお。ここには世界の理など何もない。肉体も、魂もない。死もない。滅びすらない。あるのは自分と言う存在だけ。肉体や魂から剥離され、この狭間へと排除された情報だけ。狂う。狂うぞお。ひゃははははは』
 初めてソレが現れたとき、こう言った。

 会話という形になったのは、ずいぶん久しぶりだ……と。

 つまりは、そういうことだ。
『数々の世界で、数々の奴らが排除された。死ぬことが出来たのはほんの一握りだよ。それ以外の者は皆ここに来るのさ。この何もない世界に弾かれるのさ! 何人もの君の同位体を見た! 何人もの私の同位体を見た! どれも狂っていたさ! そして私も狂うだろう。君も狂うだろう。狂人だけの宴だ! 救いのない、覚めない悪夢だ! 君と私と、どちらが先に狂うかなぁ。ひゃはははは』
 ソレの声が響く。彼女の心を壊すべく、絶望を誘い、狂気へと導くべく……。
『……あは、ははは、ははははは』
 やがて彼女から笑い声が漏れた。
 それは何の意味もない笑いだった。楽しくもなければ、嬉しくもない。それでも笑う。はじけた感情が、ただ笑いという形で発露する。
 彼女はもう、何も考えられない……。


「っ!!」
 勢いよく身体を起こした令子は、自らの荒い息を聞きながら、歪んだ視界に色のある世界を見た。溢れる涙を手でぬぐうと、鮮明となった視界に見知った事務所の部屋が映る。
 彼女は事務所の机に座っていた。
「ゆ、め?」
 呟いた令子の視界は、新たに溢れた涙ですぐに歪んだ。
『どうしました、オーナー?』
 人口幽霊壱号の声が響く。その声には怪訝そうな色があったが、それだけだ。不安や恐怖、または安堵の感情はない。もし先ほどのことが現実なのなら、このような態度は取らないだろう。人口幽霊一号の態度こそが、先ほどまでのことが夢なのだという証左なのだ。
 しかし、と同時に令子は思う。先ほどの夢が単なる夢ではない、と。
 震えとともに蘇るあの魔神の言葉。聞いてすぐにそれの声と気がつかなかったのは、おそらく夢だからこそだろう。しかし、その言葉までも単なる夢の戯言だったのか。そこに真実が隠れてはいやしないか……。
『オーナー……シャワーを浴びられては?』
 心配そうな人口幽霊一号の声に、令子は自分がまだ泣いていることに気づいた。人口幽霊一号はそのことを、令子が夢見の悪い夢を見た、とでも思っているのかもしれない。しかしそのことを聞いてはこない。
「そう、ね。そうする」
 突っ込んだことを聞いてこない人口幽霊一号に感謝しながら、そっと涙をぬぐって令子は立ち上がった。そして机を背後に、部屋の出入り口へと数歩足を進めたときだった。

(ひゃははっはは)

 背後から不意に響いた笑い声に、令子は背筋に氷柱でも突き刺されたかのように冷たくなった。恐怖に顔をゆがめ、内臓が空っぽになってしまったかのような感覚を覚えながら、それでも勢いよく振り返る。
 その目に、黒い本が映った。
 禍々しい本だった。黒というよりも闇の色だった。見ているだけで震えが奔る本だった。令子はがたがたがと震えながら、目をそらすことも出来ずにその本を見ていた。
『オーナー?』
「!?」
 人口幽霊一号の声に、びくり、と身体が震えた。
『どう、されたのですか?』
「あ、えっと」
 どもりながら、令子は机の上を見た。そこには令子がここ数日目の敵とばかりに睨んでいる事務所の帳簿があった。それ以外に書物、もしくは書物の形をしたものはない。もちろん黒い本などどこにもない。
「……気のせい、だったみたい。ごめん、心配かけさせたわね……」
『いえ。少々お疲れのようですから、シャワーを浴びて、それから何か温かいものを飲まれて、その後しっかりとベッドでお眠りになったほうが良いかと……』
「ええ。そうするわ……」
 人口幽霊の言葉に応えながら、令子は部屋の扉へと向かう。机のほうをちらちらと振り返りながら。

 やがて令子が部屋から出て行き、浴室からシャワーの流れる音が聞こえてきたときだった。
『ん?』
 人口幽霊一号は怪訝そうな声を出した。誰もいない事務所に、人口幽霊一号の独り言が流れる。
『なにか……誰かの笑い声が聞こえたような……? 気のせい、でしょうか?』
 その呟きは誰にも聞かれぬまま、虚空に融けて……消えた。


 あとがき。
 実は、本編が終わるかなり前から書き終わってたりして。
 どの辺が歩む道なのか、これだけでは全くわからない代物ですな……。

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