煌びやかな会場、美しいコンパニオン達、色とりどりの食物は胃を刺激する。
(そういえば、今日はここに来るために仕事の量を増やしたから何も食べてなかったな)
西条は自然と沸きあがってくる食欲をみたすため、近くにあったテーブルに手を伸ばした。
(令子ちゃん達はもう来ているはずなんだけど・・・まあ、今は落ち着いたとはいえ、あの
美女集団が目立たないわけはない・・・はずなんだけど・・仕事が長引いてるのかな?)
西条は軽い食事を終え目的に近しい人物を探すものの見つからず、取り合えず挨拶周りをすることにした。
その頃、美神除霊事務所の面々は西条の予想とはうらはらにパーティーに来ていた。
そう、確かに着いてはいたのだ。ただし、会場ではなく横島を探すため舞台裏を歩いていた。
「美神さん、美神さんってば。勝手にこんなとこ歩いたら怒られますよ」
未だに袴姿ということはなく。
うっすらとした、ピンクのドレスに身を包んでいた。
そのため、前を早足で歩く美神に追いつくのに苦労している。
「おキヌちゃんは会場にいてなさい。協会や政府、オカG達の上の連中に海外に研修って名目で飛ばされて
10年も帰ってこなれなかったのに、こんなにあっさりと帰ってくるなんておかしいわ。」
シックなスーツを着ているため、後姿は秘書や、やり手の女弁護士!といった感じだが、正面からみるとその
美貌は、年齢も仕事も、そして過去さえも全て覆い隠してしまいミステリアスな雰囲気を感じさせる。
と、普段の状態はそういったものであろうが、今は、目が怖い。
とにかく、今から事務所に殴り込みをかけようとするヤクザのようである。
おキヌだって横島に会いたいのだ。
初恋だった、いや、今でも愛している。
理不尽な別れは、より強い思いを生んだ。逢うために研修地とされている場所へ赴いた。
しかし、そこに横島はいなかった。協会や政府の上層部の者達を脅して聞き出したはずなのに、
新しい情報がはいるとすぐに向かった。
いつの間にか10年もたったのだ。
会いたくないわけではないのだ、ただ・・時間が自分を大人にしてしまった。
10年が自分に希望というものの無意味さを教えた。
いるはずがないのかもしれない、でも、いてほしい。
でも、いないのだろう。今までがそうだった。でも・・でも・・・今回だけは・・・
キヌは首を左右に振り、今の考えを打ち消した。
今、自分がしなければならないのは、美神をとめるころだ。
いつも苦情は自分にくるのだ、だからキヌは言った、止まってくれと思いの限り。
「美神さ〜ん、止まってください〜怒られるのは、私なんですよ〜美〜か〜み〜さ〜ん、ふぇぇぇん,誰か助けて〜」
「よう、狐の嬢ちゃん、美神達はどうした?」
雪之丞が見目麗しい女性に話しかけた。
「ちょっと、雪之丞、公の場で話しかけないでよ。あんたといるとヤクザの情婦にみられるじょない」
女は心底嫌そうな表情で答えた。
「おいっ、てめぇ」
「冗談よ、横島の友人にそんなこというわけないじゃない」
クスクスと笑う様は艶やかだった
「っち、横島の友人ってとこが気に食わねぇな、そんな甘っちょろい関係じゃねーよ」
「あら?横島はベットの中ではあなたを褒めまくっているのに、私が妬くくらいに」
少し目を細めるが、瞳は笑っていた。口元も笑っていた。
「分かってると思うが、美神達の前でそういうことを言うのはやめろよ。感づかれる」
何かを吐き捨てるように話した。
「わかってるわよ。横島の目的の為には、私も協力するわ。私の未来もかかっていることだし」
どこか遠い地に思いを馳せているのだろうか「ほうっ」とため息をつく。
そのしぐさも、両手を胸の前であてる姿も昔からは想像が出来ない。
だから哂った。
雪之丞は嘲り笑う。
狐を、何かを間違ってしまった狐を哂う。
そんな自分を蔑みながら。
「まあいい、いこうぜ。そろそろ横島のご登場だ」
「え〜このように、我がオカルト倶楽部の目指すところは妖怪と人間達の共存です。しかし、様々な障害もあります。
それに対抗するべく優秀な人材を数多く探し出してきました。なかでもオカルト倶楽部戦闘専門部のチーフにはあの、
横島忠夫を据え置きました。我々の信念を実現するためにこそ、彼は必要不可欠な人材です。」
会場はざわめいた。信じられない、彼が実際に存在したことが。
「では、横島忠夫チーフより挨拶です」
横島忠夫
知る人ぞ知る人物などではない。
全てのGS関係者は知っている。過去大規模な事件の影は必ず姿をみせた。
しかし、姿を見たものはほとんどいない。
それが、更に神秘性をの増加に拍車をかけることとなった。
曰く【詐欺師】、【裏切りの使徒】、【文珠使い】、【神魔最終兵器】、【人類の守護者】などの多くの二つ名をもつ
世界三大オカルト勢力
バチカンの教会
GS協会
オカルトGメン
過去にその全てに所属し多大な功績を得ている。
GS協会所属時、神魔族の両方の特別任務達成成功率100%
人間で最初の斉天大聖による修行を受けることに成功。
現在唯一の文珠使い、人狼族の得意技である霊波刀を使える
オカルトGメン臨時所属時、魔神クラスを屠るにいたり多大な功績を残す。
その後の研究によると横島がいないときのアシュタロス攻略は不可能であった、と非公式に発表された。
バチカンの教会、その戦闘に特化したものだけを集めた。騎士団所属時
非公式ながら神族13柱、魔族8体を屠った。
これらの功績はほとんどが機密事項にあたり、そのうえ非公式なものが多かった。
そのため横島忠夫とは、人々がつくった偽英雄であると人々は考えていた。
「どうも、紹介された、横島忠夫、27歳、独身、座右の銘は、エロ体のねーちゃんと守銭奴には
近づきません、絞られるから!です。あ、好みのタイプはもちろん女性です。え?嫌いなタイプ?
男性ですよ、男。特にスカしたキザ野郎です。え?好みのタイプが大雑把だ?いやいや、女性なら
ほぼ無審査でOKですよ。あ、特に巫女服来てたりとか、ツインテール以上ナインテール以下の
女性がストライクゾーンかな」
横島の言葉を多くの者達は理解できなかった。
いや、理解したくないのだ。こんなどこにでもいそうな軽薄そうな男が、あの横島忠夫だとは信じたくなかったのだ。
(雪之丞、確かに彼は変わってなかったよ・・・)
西条の血管は自然と浮かび上がってきた。
(これって、横島君!!こっちじゃなかったの!?)
「おキヌちゃん!会場の方に行くわよ!」
(横島さん・・・来ていたんですね・・・)
「はいっ」
「ナインテール以下って・・・ナインテール以外いらないの間違いでしょ」
呆れる顔をしたが横島ピンポイント発言に内心は喜んでいる、尻尾があればパタパタと揺れていた事だろう。
「まだ、西条のこと嫌ってたんだな」
雪之丞は陽のあたる場所へと出てきた友のことを今はただ喜んだ。
(美神さん達が見えないけど・・・・来なかったのか?まあ、鋭いあの人にこれからのことを見られるよりはいいか)
「え、え〜皆さん」
さっきまでの進行役が冷や汗をかきながら何とか進めようと試みた。
そのとき横島が司会役から強引にマイクをとってしゃべりだした。
「あ〜私、横島忠夫の実力を見てみたいとおもったことでしょう?夢のかなうビッグチャンス!、なんと今回、デモンストレーションとして
私と戦ってみたい、という人達は簡易結界内での戦闘を許可します。あぁ、もちろんこの試合は強制ではありませんし私は手加減もします。
歴々の先輩は名前に傷がつく事でしょう。どうですGS教会の人達やオカGのみなさん?怖い・・・な〜んてことはありませんよね?」
横島は口元を笑わせているが、笑っているのではなかった。
目がにごっていた。
哂っていた。
「ん〜ごちゃごちゃと、めんどくさいのって嫌いなんですよ。さっさとはじめましょう
いやいや殺したりしないから安心してくださいよ。ただ、ちょっかいのかけれるレベル
を通り過ぎたって事だけ理解してほしいだけですしね」
横島はニッコリと哂った。
事情を知らないもの達は息をのんだ、何が起こったのだ。どういうことだ、と。
事情を知るものは驚いた、早すぎるのではないか、計画はどうしたのだ、と。
突発的な行動なのか、計画性を持った行動なのかはわからないが両方の者達はこの戦闘が始まらなければ、何も始まらないという、
共通の見解を奇妙にも同時に抱えた。
哂う・哂う・笑う・嘲笑う・苦笑う・微笑う
物語は始まった、横島自身、驚いた始まりだ。
物語は、最初から、すでに乗客が乗るのを待たずして進みはじめてしまった。
だが、それもいいだろう。いつも、いつも、思いどおりになる道理はないのだ
最初のフィナーレなれば、こんな始まりもわるくない。
さあ、進もう。もう進むしかないのだから。
>どうも、はじめまして征史です<
続きの希望の声がちらほらぱらりと、聞こえたので書くことにしました。
一応、終わりの方まで考えてメモってるんですが、終わりまでいくのかどうか・・
っていうか、続けることができるのでしょうか。と最初からいきなり弱気の
まさに【キング・オブ・チキン】の名にふさわしいダメっぷりです。
ではでは感想の方へ
>惨劇現場の料理人様
えー初レスありがとうございます。えぇ、もちろんまだ続きます。まあ、どこまで続くかは読者の皆様の反応をみてはんだんしていこうと思います。
>ncro様
はい、すみません。始まりからいきなり設定を書いてみたのですが・・・分量がでかくなりすぎてしまったので小出しにしていくことに
なりました。これから、不自然ではない程度に、全体像を描き出すことができれば、と考えております。
>インビシブル様
どうもです、とりあえず、続きを書いてみました。どうでしょうかね?苦笑
>kamui08様
はい、なるべく謎に見えるように全体を所々ぼやかして書いていきます。一応すべて終わりまでの流れや謎は書ききっているので
あとは、出し方に気をつけます。
>皇 翠輝様
ありがたいレスありがとうございます。その言葉が私の原動力です。
>LINUS様
続きを書いて見ました。あと2、3話も書けばもう少し見えるようになると思います。
現時点でなにが、なにやら、わからずじまいですが、もう少しご辛抱いただけると幸いです。
>白様
あぁ〜、なんかいい台詞ですね、それ。
なにやら話の確信に近い感じですのでコメントはこれだけに控えさせていただきます。
>ラーメン大王様
はいっ、どうぞ、おまち!!
ということでいらしゃいませ。お味はいかがですか?
>七位様
とにかく、おもしろそうなのを、面白くもっていけたらうれしいです。