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▽レス始

「GSルシオラ?決戦編!!第3話(GS+型月ネタ)」

クロト (2006-03-20 18:15)
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「と、とにかく令子の事務所まで案内してちょうだい」
「は、はい!」
 とりあえず美智恵は西条を急き立てて、己の目で事実を確認することにした。そして美神事務所の建物の前に立った美智恵の眼に映ったのは、さっき西条が言った通りのもの。扉には鍵がかかっていて、中に入ることはできなかった。ドアチャイムを鳴らしても応答はない。
(まさか、暗殺計画の存在を知って雲隠れした―――?)
 十分考えられる話だが、いくら何でも一介の民間GSにそこまでの情報収集能力はあるまい。どこか旅行にでも行ったか、長期的な滞在を必要とする仕事を受けたのだろう。いや、それならなぜ電話が通じない……?
 美神を鍛えて『上』に暗殺計画を撤回させる、という計画はこれでいったん立ち消えになったが、今の状況がそれよりいいのか悪いのかの判断は、美智恵にもすぐにはつかなかった。
 もし本当に美神が雲隠れしたという事になると、自分が彼女を逃がしたという疑いを持たれかねない。娘が助かるのなら自分の地位の1つや2つどうでも良いが、任務がやりにくくなるのは問題だ。
 まあ美神を逃がすだけなら美智恵が特捜部長になる必要はないわけで、さほど深刻に疑われはしないだろうが、アシュタロスも美神を探しているのだから放置しておくわけにはいかない。せめて居場所だけでも突き止めなければ……。
「―――先生、そんな思いつめた顔してどうしたんですか?」
「え?」
 横から西条に声をかけられて、はっと我に返る美智恵。本心は韜晦して、表向きの事情を告げる。
「私はアシュタロスの調伏に関して日本政府とICPOから全権を委任されているけど、戦力は圧倒的に不足しているのよ。そこで優秀な民間GSを何人かスカウトするつもりだったんだけど……」
「ああ、令子ちゃんとこは本当に人材に恵まれてますからね。うちで丸抱えしたいくらいですよ。横島君以外を」
 羨ましそうに慨嘆する西条。そして美智恵は令子ちゃんとこの人材、と聞いて目の端を光らせた。
「そうだ、令子が雇ってる子たちの連絡先知らない? もしかしたら令子の行き先知ってるかも知れないし」
 もちろんそのままなし崩しに部下にするつもりである。西条に言った通り、現在彼女の直属の部下は西条と公安関係者の一部だけなのだ。使える手駒は喉から手が出るほど欲しい。
 ここに来る前に日本のGS事情は一通り調べて来たが、美神事務所の従業員はみな一芸に秀でた優秀な霊能者だ。それに娘の部下だし歳も若いから扱いやすいだろう。
 が、西条の答えは彼女の期待を思いきり裏切った。
「横島君の電話番号は知ってますが、彼も音信不通でして……」
「そう……」
 指揮官として失望を顔には表さず、冷静に頷いて見せる美智恵。
 これはやはり遁走の可能性が高そうだ。しかしなぜ横島までいなくなるのだろうか?
 後で六道女学院に連絡を取ってみようか。理事長が何か知っているかも知れないし、おキヌと京香がそこの生徒だから逃げていなければ会えるだろう。あまり気は進まないが……。
「まあいいわ、いったん戻りましょう。あなたにも状況を話しておかないといけないし」
「はい」
 その後は、誰に協力を要請するかの人選もせねばならない。いろいろと面倒な事になりそうね―――と美智恵は前途の多難さに天を仰いだ。

 いよいよ逆天号が妙神山に現れるときが間近に迫った。これがアシュタロスとの『最初の』本格的な戦いとなるだろう。
 横島達はすでに全ての準備と打ち合わせを終えていた。今さら考えることは何もない。
「パターン青、逆天号なのねー!!」
 警報鬼のディスプレイを見ていたヒャクメが振り返って叫ぶ。待ち構えていたことながら、さすがに緊張は隠せなかった。
 ルシオラが厳しい表情で頷く。
「了解。Gギルガー、出撃準備!!」
 Gギルガーとは『汎用愉快型決戦兵鬼ジャイアントギルガメッシュ』の略称である。金ピカの鎧をつけた巨大な戦士のような姿で、美形だがやたら傲慢そうな風貌をしていた。油断王とかうっかり王とかいう不名誉な二つ名を欲しいままにした某王様をモデルにしたとしか思えない外見で、要するに『アシュタロス』に対するあてつけである。恐るべきは乳の恨みか。
 基本的な構造は逆天号と同じで、中に乗った超上級神魔の霊力をエネルギー源として駆動する。本来の身長は40mもあるが、持ち運び可能なミニサイズにする事ができる点も逆天号と同じだ。ただし主目的は攻撃力や機動力ではなく、乗組員を守る『鎧』としての意味合いが強かった。
 今回はルシオラとエウリュアレが同期合体してエネルギーを供給するわけだが、その性質上戦闘可能時間はせいぜい5分である。しかし出力では逆天号を上回っているので、目的を果たすには十分と計算していた。
 突如出現した巨人の雄姿(?)に京香が驚きの声をあげる。
「なっ、何ですかこれ!? 先生がつくったんですか!?」
「ええ、さすがに時間かかったけどね。でも向こうはもっと大きいのに乗ってくるわよ」
「そ、そうですか……」
 呆然とGギルガーに見入る京香。師の技量には常々敬服していたが、こんな事まで出来ようとは。これでは自分が部外者扱いだったのも仕方がない。
(―――って、今さら弱気になってどうするのよ。私は私のできる事で役に立つしかないんだから!)
 そうしなければ本当にただの我が侭で終わってしまうだろう。そんなことでは『戸籍上の妻』など到底認めてはもらえまい。自分のためにも2人のためにも、折れるわけにはいかないのだ。
「さあ、みんな乗るわよ。ヨコシマ、おまえがメインパイロットなんだからがんばってね」
「おう、巨大ロボットは漢のロマン! 幼き日の夢が今かなうんだな!」
 横島はかなり燃えていた。子どもの頃はTVアニメで熱い戦いを繰り広げるメカ達の姿に心を躍らせたものだ。Gギルガーは見た目ロボっぽくないし、勇気とか正義とかいうキーワードとは無縁だが、この際そういう些細なことには目をつぶろう。
 横島はルシオラに、京香はエウリュアレにかかえてもらってGギルガーのコクピットに乗り込んだ。ヒャクメは当然(?)1人でである。
 現在Gギルガーは河川敷の岩場に座り込んでいる。身長40mの巨体とはいえ、上空から見れば小さなものだし霊波を出しているわけでもないから、妙神山だけを標的にしている逆天号が気づくことはないだろう。
「前方に異相空間なのねー!」
 遠くの空間が歪み出すのを察知したヒャクメが警告を発する。それを合図に、5人は戦闘態勢に入った。

「もはや我々に退く道なしッ!」
 妙神山の構内で、小竜姫は人界駐留の神魔族の生き残りを前に強い調子で演説を行っていた。
 それを聞いている神魔族はアシュタロス逮捕チームの生存者と破壊された霊的拠点から脱出してきた連中で、すでに疲労の色が濃くケガをしている者も多かった。
「みなさんすでにご承知のことでしょうが、全世界で冥界と霊的拠点を結ぶチャンネルが遮断されています。最後に残ったここもまもなく攻撃されるでしょう。
 分かっているのは、チャンネル遮断は敵兵鬼が出す妨害霊波のせいらしいこと、そして兵鬼のエネルギー源がアシュタロスに違いないということです!!」
 さらに小竜姫はアシュタロスの目的を告げ、それを防ぐには今ここにいる人数だけで逆天号を破壊してチャンネルを回復するしかない、と説明した。
「この妙神山が破壊されれば我々には霊力源がなくなり、急速に衰弱するでしょう。この戦いに敗北は許されません!」
 小竜姫はそう言ったが、これは偽りである。横島から霊力を供給してもらえる自分とルシオラ・ヒャクメ・ワルキューレ・ステンノ・エウリュアレの6名だけは普通に行動することができるのだ。
 そして実は、敗北は許されないと言ったのも嘘だった。
 妙神山が破壊されるのは、彼女にとって織り込み済みのことなのである。
(Gギルガーを正面に出せれば妙神山は守れるんですけどね)
 と小竜姫は内心で唇を噛んでいた。しかしそれはできない。
 Gギルガーは構造上横島とルシオラが乗り込む必要があるから、正面対決に使いたければここにいる神魔達に2人のことを紹介せざるを得ない。しかしそうすると今後の作戦についても彼らの干渉を受けるだろうから、ルシオラ達の目的が果たせなくなるかも知れない。またあまり目立つことをして名前が知れ渡ったら、後々アシュタロス派の残党に復讐される恐れもある。特にルシオラとステンノ達は、彼らから見れば裏切り者なのだから。
 そういうわけで、あえて『前』と同じように神魔達には行動不能になってもらうわけなのだが、長年暮らして愛着のある修行場を、守る手段があるのにみすみす壊させるのはやはりつらかった。
 ―――まあそれはそれとして。今はここにいる神魔族たちを指揮して逆天号と戦わねばならない。
「開門ーーーっ!」
 小竜姫の号令で鬼門の扉が開き、一昔前の大砲のようなものが玄関の外に砲身を出した。
 ここにいる全員の霊力を増幅し、砲弾として発射する心霊兵器である。砲架の傍らについて操作を始めた小竜姫にワルキューレが近寄って声をかけた。
「こうなったらもうお前に任せるしかないが、敵の射程の方が長い場合はどうする?」
 ワルキューレは南米で逆天号の破壊力をその目で見ていた。それに比べて、今小竜姫が持ち出してきた兵器はいかにも頼りない。
「大丈夫、妙神山の結界はちょっとやそっとじゃ破れないわ。1発くらいは耐えてみせる!」
 小竜姫の返事は、偶然ながら『前』と同じだった。
 ―――そう。1発だけなら耐えられるのである。
『前』は一撃で結界ごと施設すべてを破壊されたが、『今回』は結界を強化して何とかそこまで漕ぎつけたのだ。
 といっても2発、3発と撃たれたら耐え切れないから結果的には同じなのだが、それで稼いだ時間で神魔族を逃がす算段なのである。いくら何でもまったく砲火を交えずに逃走するわけにはいかないので、『逃げる理由』をつくるための労力だった。
「前方に異相空間! 来るぞ……!!」
 空間がゆらいで穴が開き、そこから巨大なカブトムシのような物体が飛び出してくる。これこそ、アシュタロスが最後の切り札として作り出した移動妖塞『逆天号』であった。全世界の霊的拠点107箇所を手もなく破壊した恐るべき兵鬼である。
「目標接近!」
「まだよ! もっと引きつけて……!」
 小竜姫は照準を覗きつつ、懸命にその瞬間を待っていた。そしてついに、逆天号の頭部が照準の中心にさらされる。
「発射!」
 ドムッ!!
 小竜姫が拉縄を引いた瞬間、砲口から強烈な霊波弾が発射された。この場にいる数十人の神魔族の霊力をめいっぱい集めて増幅した一撃である。当たれば無事では済まないだろう。
 ズガァァッ!
「「やった……!!」」
 カブトムシの頭部に直撃したのを確認したワルキューレ達が歓声をあげる。
 が、小竜姫だけはこれが全く通用しない事を知っていた。やがて爆煙が晴れた後、逆天号に傷1つ付いていないのを見た神魔族達が息を飲む。
「バカな……いや、もう1発撃ち込もう! いくらアレでもそう何発もは耐えられまい」
「……」
 ワルキューレの提案に、小竜姫は沈黙でもって答えた。耐えられないのはこちらの方なのだ。
 カブトムシの頭部から生えた2本の角の間に強力なエネルギー場が発生する。
「来る……!!」
 ウウウウッ……ギャアアァァアッ!!!
 地獄の亡者の悲鳴のような発射音と共に、逆天号の主砲『断末魔砲』が発射された。
 修行場の門の前辺りの結界壁に命中し、すさまじい轟音をあげる。
「な、なんて出力だ……」
 ワルキューレが真っ青になって呟いた。さっきの自分達の砲撃とは桁違いのパワーではないか。
 バキバキバキッ……!
 結界が軋む音が伝わってくる。何とか耐え切ったようだが、次の攻撃を受けたら終わりだろう。
(頃合いですね)
 プレゼンテーションはもう十分だ。小竜姫は大砲のそばから離れて、予定通りの指示を出した。
「撤退! できるだけ遠くへ散りなさい!!」
「「し、しかし……」」
 状況をまだ理解できていない何人かが抗議の声をあげるが、小竜姫は議論は無用とばかりに、
「あれをもう1発撃たれたら最後です。全員全速離脱! 別命あるまで姿を隠しなさい。霊力代謝を落として冬眠、反攻のときに備えるのです……!!」
 言うが早いか小竜姫は率先して飛び出し、逆天号の反対側に抜け出した。こうなってはワルキューレ達も残っていられない。あわてて小竜姫についていく。
 その直後、2発目の断末魔砲によって妙神山は消し飛んだ。
(後は頼みますよ、ルシオラさん……!!)
 神魔族達が散って行くのを誘導しながら、小竜姫はそっと心に呟いた。


 ―――つづく。

 次回はGギルガーVS逆天号、3姉妹も正式登場です。
 なお、GSでアシュタロスとイシュタルが同じであるかどうかは分かりませんが、ルシがギルガメッシュを持ち出したのは単なるあてつけ以上の意味はありませんので、その辺は気にしないで下さい(爆)。
 ではレス返しを。

○遊鬼さん
>まずステンノに2時間の説教ご愁傷様ですと
 口は禍の元ですw
>今回のシリアス京香はまぢかっこいいですよ
 ありがとうございます。
 目指せ妻の座です。
>美智恵女史
 果たして原作並みの活躍はできるのか!?

○わーくんさん
>えーっと京香さん、早速『出し抜きっ娘』属性全開っすか!
 恋の勝負に手加減はありませんからw
>この作品における美神家の人々っていったい
 何故こうなるんでしょうねぇ<マテ
>小竜姫さま、ワルQ
 やっと出番ですよー。

○通りすがりのヘタレさん
>京香嬢、原作とは異なり抜けた美神さんの役にちゃっかりおさまってますね
 おお、そう言われればそうですねぇ。
 ルシエウ合体なんて技もありますので、原作の美神ほどには目立てないかも知れませんが。
>面白い作品にレスつけるのは読者の権利ですよ(マテ
 それは恐縮ですm(_ _)m

○ブレードさん
 はじめまして。楽しんでいただけたようでうれしいです。
>ここでアシュが壊れてたら個人的に嬉しいのですが
 どっちにしても最後にはルシオラの極悪技で壊されるのですが(謎)。
>ステンノ、エウ
 神話には諸説ありますが、ここでは外見的には髪を蛇にされただけ、としてます。それを普通の髪に戻せるようになれば美女です。
 アテナ達を恨んでるのは主にメドーサ関連でです。
>メドーサ
 ジークと同じような経緯なのではないかと……。
 しかしメドさん14巻で「私以外にも使える竜神がいたとはね」と言ってますが、その後で「上級魔族の私が」とも言ってます。よく分かりませんorz

○ASさん
>京香がこれからどんな活躍をするのか楽しみです
 ルシエウはおキヌちゃんほど簡単には出し抜けませんけれどw
>ふと思ったんですけど黒キヌちゃんはアシュとどのくらい戦えるのでしょうか?
 黒絹ちゃんに対抗できるのは究極の魔体か最高指導者くらいです<超マテ
>黒キヌvs壊れアシュ
 さすがに怖すぎて書けませんですw

○ゆんさん
>青春に対抗して大人とは、ってテーマで愛子を横島をダシに誘惑するでしょう!!
 愛子を誘惑してどーするんですかwww
>ルシオラもああまで熱心に言われたら仕方ないでしょう
 この調子で10年やってたんでしょうねぇw
>むしろ、邪魔しそうなんで愛子の中に一緒に入れてみてはどうでしょうか?
 ああ、そうすれば安心してアシュと戦えますねぇ。美智恵も娘と一緒でうれしいでしょうし<マテ

○HEY2さん
>青春妖怪凄いぞ愛子、「青春」と言う言葉が連動すれば、格上の相手でも圧倒だぁ!
 青春一筋32年ですからw
>美神の血は呪われし血統か!?(主にクロトさんに)
 私は無実ですよー、これは孔明の罠です<マテ
>次回「パピリオvsタイガー&一文字組」お楽しみに!?
 そんな原作にもない活躍するなんてタイガーじゃないです(酷)。

○参番手さん
 はじめまして、よろしくお願いします。
>壮年
 えーと、私としては「青年→壮年→中年→高年」という順序だと思っていたのですが……。

○ケルベロスさん
 白キヌちゃんは普通にいい娘ですよー、たぶん(ぉぃ
 美智恵さんは……どうなることやら。横島軍団のメンツはルシエウがいるから大丈夫のはずですが……。

   ではまた。

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