『横島君と幽霊屋敷の巻』
『横島』
ヴラドー島に行っていたカオスから連絡があった。
なんか話したい事と渡したいものがあるそうだ。
なんでもイタリアに行った帰りに、昔の研究所から発明品を幾つか持ち帰ってきたらしい。
ちょうどそれで、俺にぴったりな物を開発したから取りに来いというのだ。
俺もヴラドー島での話を聞きたいし、カオスん家に遊びにいくか。
・・・・・・まともな発明ならいいんだけどな。
Drカオス、地下秘密研究所。
科学者の浪漫、秘密研究所は地下深く・・・・・・に乗っ取ったカオスのラボ。
そこに招かれた横島はマリアの淹れた紅茶を啜り、カオスの話を聞いていた。
「・・・・・・うむ。ヴラドー伯爵夫人も娘のピエトロに噛まれ再封印。
タダヨの嬢ちゃんが噛まれてないくらいで、お主の体験談と変わらん結果だったな」
カオスがヴラドー島に行く際、自分の世界とこの世界の相違点を探すため、自分がヴラドー島でどうだったかを話しておいた横島。
カオスからの報告ではおおまか、自分の体験とこの世界は変わらないらしい。
なんでも小笠原ショウというGSがピエトロとヴラドーを勘違いして噛まれたくらい。
また、飛行機は令児が操縦することで難を逃れたらしい・・・・・・船を徴発せずすんだ。
カオスはひとしきり話し終えると、横島を格納庫へ案内した。
「なんだ?このバイクは?」
横島は格納庫に安置してある物、一見一風変わったデザインの大型バイクを見た。
カオスは自慢げにそれの説明を始める。
「ふ、ヴラドー島に行った帰り、すっかり忘れてた発明品、カオスフライヤーⅣだ!」
「フライヤーって、こいつ、バイクじゃん」
「見た目はな」
カオスは横島の疑問を解消すべく、カオスフライヤーⅣに跨った。
「これは搭乗者の霊力を動力にして動く乗り物でな。
普段はバイクモード、このボタンを押せば・・・・・・ぽちっとな」
ボタンが押されると、バイクがゆっくりと浮遊し、可変翼が飛び出す。
「確かにフライヤーだな・・・・・・確かに便利そうだ・・・・・・歩きと電車しか移動手段がなかったし、何より燃費がほぼ無料という点が気に入った」
ふと、横島は気づいた。
「なあカオス、なんでⅣなんだ?確かⅡは後の未来で美神さんでがめられてたけど・・・・・・」
「むぅ、そのことで話がある・・・・・・というか思い出したのだ」
カオスはなにやら考え込む素振りを見せた。
言うべきか言わざるべきか悩んでいるようだ。
「・・・・・・私は700年前に美神令子に会っている」
「はぁ?」
横島は目が点になった。
カオスは横島が理解してないので説明を続ける。
「正確には美神令子と横島忠夫、それに令児、タダヨ、お主の5人とマリア2人だ」
「余計ワケがわからん、なんでこの世界の過去に美神さんと俺がいる?
俺がこれから時間移動してこの世界のカオスに会うのはまだ分かるが・・・・・・」
「それを今から説明するぞ」
カオスが微妙な顔で言った。
「お主、ドラ○もんを知ってるか?」
「馬鹿にしてんのかカオス」
「ま、まて、正確にはド○えもんのタイムマシーンのことを知ってるかだ」
西洋人のカオスがなんでジャパニメーション、ドラえ○んを知っているかはこの際ほうって置こう。
横島はタイムマシーンの効果を思い出す。
「確か、好きな時間軸に移動できる。だよな?美神さんもその能力の持ち主だな」
「それに空間移動能力もあるぞ、それは美神GS事務所で時間移動し、700年前のスイスに来たお主も知っておろう・・・・・・だが問題は○ラえもん劇場版で発現した能力だ」
劇場版って、いつ見たのだDrカオス。
「次元移動能力だ。たしか地球創世日記ででた」
「詳しいのか、ドラえも○に?」
思わず訊ねてしまう横島。
「ふむ、あの四次元ポケットからでる道具はなんとも研究し甲斐があるのでな。
私がいたヨーロッパでもドラ○もんとポ○モンは放送してた。
マリアも結構気にいっとたから見ておった」
衝撃の新事実・・・・・・知りたくも無かったが。
確かにカオスならば四次元ポケットやらどこでもドアなど作りたくなるだろう。
横島の脳裏にマリアのおなかに四次元ポケットが装備された姿。
その内実現しそうでやだ。
「いや、ドラ○もんはもういい、なんで美神さんに俺がこの世界の過去で今の俺やカオスに出会う?」
カオスは一言いった。
「お主のせいだろう・・・・・・
過去と現在と未来は常に変動しておる・・・・・・
お主が過去に飛ぶ時、因果律の操作によって向こう側の世界の住人であった美神令子と横島忠夫を引っ張ってきた、と当時の私は推測している」
カオスは悩ましげな表情で呟く。
「どうも、美神のタイムポーテーションは次元の壁を乗り越えることが可能らしい。
聞くところ因果律で美神とお主はしっかりと結ばれておる。それが原因だ」
「・・・・・・平行世界まできてあの人との縁は切れんのか!?」
実は元雇い主の美神令子とは独立する時、ひと悶着あった。
だからその令子でないとはいえ、顔を合せたくない横島。
其の様子にカオスは笑った。
「お主が過去に飛ぶのは決まったことだ。諦めろ」
『横島』
俺はカオスの話を聞いてとってもブルー。
過去が確定している以上、俺と過去の美神さんと俺がこの世界の過去に引っ張られるの確実。
まあ、引っ張られた美神さんと俺は帰った瞬間に平行世界に分岐するらしいが・・・・・・
なら、アシュタロスのこととか話といてもいいかなぁ?
あれ、結構ヘビーだし。
俺にはもっと違った明るい未来を歩いて欲しい。
今の俺は血塗れた道を歩いているから・・・・・・これはこれでやりがいある生き方だが。
まあ、今は貰ったカオスフライヤーⅣの試運転でも楽しむか。
フライヤーモードには迷彩結界が付いてて、都内を飛行してても問題ない。
そういや、カオスフライヤーⅡは美神さんに、カオスフライヤーⅢは令児さんにがめられたらしい。
このことをカオスはヴラドー島に行く直前に思い出したそうな。
やな事思い出すよカオスの野郎・・・・・・
あれ、あそこに見えるのは・・・・・・?
フライヤーを着陸させ、横島はその荒れ果てた建物を見て驚いた。
渋鯖人工幽霊壱号・・・・・・元の世界で美神令子の事務所だった建物だ。
(・・・・・・ん!?かなり衰弱している霊波だ)
平行世界とはいえ横島は長年友人だった渋鯖人工幽霊壱号を見捨てられなかった。
扉を開け、事務所内に入っていく。
『・・・・・・何者、ですか?』
酷く疲れた声が横島の耳に届いた。
以前美神が会った時よりも霊力が消耗しているらしい。
息も絶え絶えな様子に横島は顔をしかめた。
「・・・・・・ああ、通りすがりの霊能者さ。なにやら弱った霊波を感じてな・・・・・・
どうやら、随分衰弱しているようだな」
『・・・・・・私はこの建物と同化した人工魂魄、渋鯖人工幽霊壱号と申します』
「・・・・・・俺は横島忠夫。女に優しく、野郎に厳しくがモットーのナイスガイ」
ビシっと親指を立て、決める横島。
人工幽霊壱号はどこか笑いを秘めた口調で頼み込んだ。
『すみません、貴方の霊力を分けてもらえませんか? 私は強力な霊能者の霊波を一定浴びてないと消滅してしまいます・・・・・・見たところ、貴方はかなり強力な霊力の持ち主のようですね』
「ああ、自慢じゃないが並よりは上だ」
謙遜だ。
霊能者として並どころか超一流である。
『出来うる限りのお礼をいたしますのでどうか霊力を分けてください・・・・・実を言うと、後2,3日で自我が保てないくらい弱ってるんです』
(・・・・・・見捨てることは出来ないな。それに人工幽霊壱号の性能はかなりいいし・・・・・・)
横島は即答した。
「よっしゃ承知、霊力を分けてやる代わり、しばらく俺をここに住まわせてくれ。
ちょうどホテル暮らしに飽き飽きしてたところなんだ」
明るく横島は言った。
実際安ホテルでの生活はつまらない。
話相手がいるこの人工幽霊屋敷のほうが楽しそうだ。
また、自分の『掃除屋』稼業には拠点があったほうがいい。
『そんなことでよろしかったら幾らでも・・・・・・
なら最上階にある執務室の椅子に座ってください。そうすれば直接霊力を取り込めます』
「分かった」
横島は蜘蛛の巣やらほこりやらで汚れた執務室にたどり着いた。
霊力の供給が途絶えているため、辺りはとってもぼろっちい。
「よっと・・・・・・これでいいかい人工幽霊」
横島は執務室の椅子に座って、思いっきり霊力を流した。
『ああ、ちょと、強すぎ、ああああああ!!!!!』
喘ぐ人工幽霊壱号。
「ったく、注文が多いな」
呟いた途端、一瞬で部屋はピカピカになり、屋敷全体が新品同然になった。
放つ霊波を弱めて横島は言った。
「じゃ、しばらくの間はよろしくな人工幽霊壱号」
『はい、じゃしばらくは貴方がオーナーということで、これが私ができるお礼です。横島オーナー』
この瞬間、渋鯖人工幽霊壱号は横島の所有物となった。
其の日の晩の事。
「なあ、人工幽霊壱号・・・・・・」
『どうしました横島オーナー?」
執務机に足を乗せた横島は呟いた。
「渋鯖人工幽霊壱号っていちいち呼ぶのながいから、なんか呼び名考えようぜ」
『はぁ?』
戸惑う人工幽霊壱号。
それを気に留めない横島。
「いや~呼びずらいじゃん。人工幽霊壱号なんて。なんか希望はあるかい?」
僅かに人工幽霊は考える。
『・・・・・・ではレイと言うことで」
「ふ~んレイか・・・・・・ならレイと呼ぶことにするよ」
横島は一つ大きく欠伸をした。
「そういや、レイって男?それとも女?」
『戸籍上は女ですね・・・・・・まあ、別に性別なんてないに等しいですし』
「・・・・・・なら、後でカオスにでも頼んでみようかな」
『はい?』
レイは今一つ横島忠夫を・・・・・・自分の主の性格を把握できなかった。
(あの世界の人工幽霊壱号が言ってたな、自分も人間になってみたいって)
横島はチシャ猫のような表情で微笑していた。
『レイ』
私の主人となった横島オーナーはとてもつかみどころのない人でした。
人間としては並外れた霊力にあおっぴろげな性格。
数週間一緒に暮らす内、私は横島オーナーのことを少しずつ理解していきました。
おかしなバイクを駆って、夜の街を駆け巡っているようです。
なんでも『掃除屋』なる裏商売をしているそうで、いつも血の匂いを漂わせ帰って来ます。
時に自分の、時に他人の・・・・・・けど、いつも明るく、笑って生きています。
訊ねたら、「俺はやらなくちゃならないことがあるんでな」とはぐらかされました。
いつか、私にもそのやらなければならないこと、を話してくれる日が来るのを願います。
あとがき
ちょっと短いですが人工幽霊編。
一応擬人化フラグとか、伏線を張りました。
次ぎからはオリジナルな展開をしようとおもます。
たぶん、ハードボイルドなノリでいこうかな?
レス返し
茶刀さん
払ってます。
契約では稼いだ一割なので。
律儀な男です。
ガガガさん
ここのカオスは過去に美神令子と会っている。
その時は未来横島が介入してない。
介入された後、歴史が変わって令児が加わる、です。
ちょっとわかりずらい理論です。手塚治虫の作品にた理論が出てました。
突っ込み太郎さん
オリジナリティを出すために努力はしてます。
ただ文才とネタが思いつかないだけです。
すみません。
無虚さん
タダヨは令児と別れるのがいやで日本に残ってます。
また女性なのでゲリラなどがでるナルニアにはつれてかれませんでした。
それに仕送りは普通に貰ってますから。
うけけさん
う~んPSを改造してもPS2にならないという理論で。
原始風水盤では改造してもそれ以上にならないんです。
らららさん
カオスはやっぱり男がいいです。
ばあちゃんも最初は考えたけど・・・・・
LINUSさん
カオスはその時点で、二つの時空が混ざった世界に存在したためTSしなかったのです。
そうすると、どこかの平行世界には令児のことをする令子が存在します。
もけけさん
ツンデレでなく、メイドッ娘ですね。たぶん。