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▽レス始

「GSルシオラ?恋闘編!!第46話(GS+型月ネタ)」

クロト (2006-02-23 20:05)
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 ボムッ!
「わ……」
「きゃ……!?」
 横島とルシオラが部屋でおやつを食べていると、押入れがいきなり閃光と共に爆発した。
「な、何だ!?」
 2人がとっさに1歩下がって身構える。そして煙が晴れた後には27、8歳くらいの男が1人うずくまっていた。
 顔つきは横島によく似ているが、歳相応に大人っぽく、漂然とした風貌をしている。スーツ姿のくせに頭にはバンダナなんぞ巻いていた。
「おっさん誰だ!? ドロボーか!?」
 横島とルシオラはすでに臨戦態勢に入っていたが、男はそれを気にもかけずにぱっと起き上がるとくるくると室内を見回して、
「こ、ここは……アパートだな。なつかしい……!」
 それに飽きると今度は横島とルシオラの肩に手を置いて、なれなれしく話しかける。
「2人とも元気そうだな……なつかしいぞっ!!」
「えーと……誰!?」
 とりあえず敵意はなさそうだが、この男が誰なのかは横島にもルシオラにも分からなかった。いや、初対面のはずなのに何故かひどく身近な存在に感じるのだが……?
 男はそう問われて、ようやく2人にとって自分が未知の来訪者であることをさとったようだ。
「まあ論より証拠だな。これを見りゃ分かる」
 そう言って男が見せたのは、GSの免許証だった。名前は横島忠夫となっており、貼ってある顔写真は紛れもなく男のものだ。今日は平成9年4月9日なのに、交付日は平成14年5月13日となっていた。
「「そ、それじゃあんた(あなた)は……!?」」
「そう、俺も横島忠夫だ。ただし、今年で27歳になる―――だけどな」

「10年後の世界から従業員の命を助けに来たんだ」
 横島とルシオラが落ち着いた後、男―――未来の横島はお茶を飲みながらそんな事を言い出した。
「「従業員?」」
 2人にはよく分からない台詞だったらしい。
「ああ、俺は20歳のとき独立して除霊事務所を開業したんだ。そんときついて来てくれたコだよ。名前は―――峯京香」
「「京香ちゃん(さん)!?」」
 驚く2人に、未来横島はもう一口お茶を喉に流し込んでから、
「そう驚くことでもないだろ。あのコは最初からお前……俺たちに好意的だったじゃないか」
「いやあ、まあそうなんだけど、改めて言われると驚くというか。それに命がどうこうって言ってたろ」
 横島が照れ隠しに頬をかいているが、ルシオラにとってはさっさと本題に入ることの方が重要だった。
「そうよ。命を助けるってどういうこと?」
「そう、それなんだが」
 未来横島の説明によると、ここ数日辺りの仕事で京香が遅効性の妖毒に感染して、それが10年後に発病したらしい。
「10年もたって発病する毒なんて意味がないから、毒というより呪いの類だろうな。しかもその間にかなり深く浸透してて、文珠や霊術を使うのは危険な状態になってた。
 治すには同一の毒素を入手して血清を製造するしかないらしい」
 京香が感染した仕事に同行すれば妖怪の毒素を入手できる。それを持ち帰ろうというわけだ。
「それで時間移動して来たってわけね。でもどうやって?」
「ここに美神さんがいないんだから、文珠に決まってるだろ。14文字使えばできる。俺にとっても新記録だがな」
「14文字か。すげぇ……のかな?」
 今の横島は平常時でも6文字がいいところだが、文珠を会得してからの時間で考えれば、10年先で14文字というのは少ないような気もする。
「むやみに文字数増やしても使う場面はないんだよ。それより素早く発動させたりストックをたくさん溜めておけるようにする方が役に立つ」
「なるほど……そういや俺も仕事じゃ5文字以上は使った事ねーな」
 未来横島の言葉は淡々としていたが、不思議に重みと説得力を感じる。横島は何度もうなずきつつ、今後の修行方針について考えていた。いや、今はそれどころではないのだが。
「話は分かったわ、でも時間移動なんて危険でしょう。本当に他の方法は無かったの?」
 そう言って話を元に戻したルシオラは不服そうだった。理由が何であれ、失敗すればどうなるか分からないものを恋人が他の女のために試みるのが不愉快なのは、ごく当たり前の感情である。
 すると未来横島は軽く肩をすくめて、
「そう言われるとは思ってたよ。それにはこいつが答える」
 未来横島がそう言うと、突如として彼のバンダナの額の部分に眼が開いて口を利き始めた。
『はじめまして、って言うべきかしらね。過去の私、そしてヨコシマ』
「ルシオラ!?」
「私!?」
 横島とルシオラは揃って腰を抜かした。

 まあ考えてみればルシオラは横島に括られているのだから、未来ルシオラが未来横島について来たのは当たり前である。
『ヨコシマが話すより私が話す方が納得してもらえると思ってね。答えを言うわ、ヨコシマの言った事は全部本当よ。それも期限はあと数日』
「そんな……でも……だからって……」
 京香との付き合いが10年先も続いているというならこれもやむを得ない事なのだろう。理屈では分かる。しかし感情はまだそれについて来ていないのだった。
 未来ルシオラにとってもそれは同じことだが、10年の中身を知っているだけに止めることはできなかったのだ。
『その気持ちは分かるわ。でもあのコ、ヨコシマが他の人と結婚するまではがんばるって言って、10年間ずっとわき目もふらないのよ!? 今回のことだって自分のためにそんな危険な事しなくていいなんて言われて、ヨコシマがはいそうですかって言えると思う?』
「……思わない」
 ルシオラは面目なげにうなだれた。そこまでされたら止められるわけないではないか。
『正直言ってもう根負けしそうね。あんなコ行かず後家になんてできない』
 未来の京香は別に自分を排除しようとしているわけでもなし、中に入れてやってもいいか……と未来ルシオラは思い始めているのだった。
『まあそれはそれとして。そういうわけであのコ助けるのに協力してほしいのよ』
 むろん、そんなことを聞かされて断る横島ではない。
「わかったよ。で、どーすりゃいいんだ? しばらくバイト休んでもらうのか?」
 京香なら本当の理由を隠しても言うことを聞いてくれるだろう。1番手っ取り早い方法だ。
 しかし未来ルシオラは否と答えた。
 それでは他の者が感染させられる恐れがあるし、京香が血清を必要とする未来が無くなると自分達が元の未来に帰れなくなるかも知れない。一応文珠でつくったビーコンを置いては来たが、なるべく危険は避けたかった。
『だからできるだけ過去の改変はしたくないのよ。つまり私たちにとっての過去通り、京香さんには感染してもらってその上で妖怪を倒して毒素を手に入れる、という流れにしたいの』
「んー、それって結構難しいんじゃねーか?」
 未来ルシオラの言うことはもっともだが、感染だけする程度に負傷させる、などという器用な事を狙ってできるものだろうか?
 もちろんある程度深いケガをすれば確実に感染するだろうが、その場合は文珠で治療する事になるから毒素も消えてしまうかも知れないのだ。
『まあね。でも1番大事なのは妖怪を吹っ飛ばしたりしない事よ。毒素さえあれば感染させる事はできるから』
 かなり人道にもとるやり方だが、仕事の中では京香を無傷で守っておいて、後で文珠で《眠》らせるなどして知らないうちに感染させる、という事も技術的には可能なのだ。
「まあその辺りは現場と実物を見てから考えるさ、俺たちもあんまり覚えてないんでな。それより俺の偽名とお前との関係を打ち合わせておきたいんだが……」
 未来の横島とルシオラはこの時代に来る前に、美神事務所の業務ファイルを見せてもらって来ている。大きなクモの妖怪による失踪事件があったので多分これだろうと思っているが、なにぶん10年も前のことなので細かい内容を覚えていないのだ。
 そして未来横島はタダスケという名で横島とは遠縁の親戚、海外にいたから付き合いがなかったがGSをやっているので見学に来た、というシナリオでいく事になった。
「……なあ、過去の改変はしたくないってことは―――アシュタロスとの戦いのことはやっぱ聞いちゃダメなんかな?」
 一通りの想定問答を整理した後、横島がぽつんと呟く。タダスケはその質問も予想していたようで、即座に返事がかえってきた。
「ああ、俺たちの話で未来が変わったらまずいからな」
 タダスケ達は毒素を手に入れたら腐ったりしないうちにすぐ帰るから、例えば手紙を残しておくなどの形式なら2人の帰還に影響はない。しかし未来は常に変化するものだから、これから起こるアシュタロス戦が必ずしもタダスケ達が経験したものと同じ展開になるとは限らず、そうなると変な予備知識はかえって害になりかねないのだ。
「……そっか」
 横島は初めから大して期待もしていなかっただけに、引き際もあっさりしていた。タダスケは誰かの犠牲を背負っているような感じもしないので、深く追及する気もなかったのだ。
「じゃ、話もまとまった所でメシにしないか。今日はここに来るまでにいろいろ駆け回ったんで腹減ってるんだ」
「いいけど、つくるのはこれから……ああ、買い物もまだ行ってないわ」
 ルシオラがはっと気づいて困ったような顔をする。タダスケが来たせいで行けなかったのだ。するとタダスケは本当に空腹なのか、
「じゃあ外に食いに行こう。心配するな、俺も一応は高額所得者の端くれ、夕飯くらいは奢ってやる。
 ……魔鈴さんとこでいいか?」
「魔鈴さんとこって……さてはナンパ目当てか? 今は24、5だからな」
 彼女の店は値段としてはファミレス並みだ。彼が高額所得を誇っておいてあえてそこを選ぶとしたら、目的は99.9%それだろう。
「……」
 どうやら図星だったらしい。タダスケは立ち上がった姿勢のまま動きを止めた。
 そして一言。


「お前は俺か!?」


「……。ああ、間違いなくあんただが」
 ひゅるりらー。
 閉めきったはずの部屋の中にひどく乾いた風が吹く。
((京香さん……大丈夫よ、毒素は私たちで何とかするから))
 その傍らで2人のルシオラの方も思考をシンクロさせていた。

「所長と先生、今ごろ過去に行ってるんでしょうね」
 横島にとっては10年後の白井総合病院の一室で、未来の京香は白い雲を眺めながら呟いた。
 ―――行かなくて良かったのに。
 今年で26歳になるが、いまだ独身である。というか、誰かと付き合った事すらない。お目当ての異性はいるのだが、当人はともかく恋人のガードが固くてなかなか一線を越える事ができないのだ。
 その男、横島忠夫の戸籍上の妻になる―――その望みは常識的には単なる横恋慕だと自覚はしていた。ルシオラが邪魔をするのも当然で、別に文句などはない。
 しかしルシオラは京香を邪険に扱ったり、追い出そうとしたりはしない。横島も『カテゴリーAの女体』だけでなく人格も含めて好意を持ってくれているし、ルシオラに怒られても京香に当たるような事はなかった。
(先生もそういう所は不器用だものね)
 わざと冷たくして(させて)諦めさせるとか、そういう芸当は思いつきもしないのだろう。それに甘えて10年も食い下がっている自分もたいがいバカで不器用だと思うが。
 横島事務所での毎日は楽しかった。本当に感謝している。
 だからこそ10年も想い続けられたのだし、自分のために無茶なことをしてほしくないと思うのだ。2人が過去に行かなければ京香は助からないのだが、それよりも2人が時間移動に失敗して帰って来れなくなる事の方が怖かった。
(もし帰って来てくれなかったら私も死にますからね?)
 それがシャレになっていないのが逆におかしくて、未来京香はくすっと口元を綻ばせた。


 ―――つづく。

 未来横島編のヒロイン、もとい妖毒の犠牲者は京香嬢になりました。
 上級魔族であるルシには効かないでしょうし、効いたとしても人間の病院には入院しないでしょう。残る5人で1番しっくり来たのが京香というわけで……。
 他の娘たちがどうしてるかとか、未来横島と未来京香が結婚するのかどうかとか、そういうことはあえて書いてません。
 ではレス返しを。

○遊鬼さん
>やっぱりおキヌちゃんは横に並び立つよりも後ろで守られるお姫様なんですね♪
 ナイトがあれなんで苦労もしますが、それぐらいしか出る目がないという説も(マテ
>いやいや、京香が良い味出してます♪
>そして、出しゃばらないルシオラも良い出方ですよね♪
 やー、そう言ってもらえると嬉しいです。

○ASさん
>まぁ横島だから無意識だろうけど、だからこそ横島の成長がわかりますね
 もちろん、意図的にそんなことする奴じゃないですからw
>愛子&魔鈴
 ストーリー展開上活躍は無理でした……。
 まあ愛子は前回目立ちましたし。

○ゆんさん
>何故だか、横京に賛同してしまいました(笑)
 結果的に1番苦労した割に報われませんでしたからねぇw
 ユッキー弓ペアは春が来たので文句ないでしょう、きっと。
>おキヌが横島にお姫様抱っこされて
 うわぅ、それやったら京香は雪ダルマと戦うどころじゃないですねw
「さっき手を引いてやった恩を忘れやがりましたかーっ!?」と知得留さん風に怒りそうです(嘘)。
>ユッキーと全開京香ちゃんはどっちが強いんだろう?
 ユッキーがいかに強くとも戦闘系のサー○ァントには勝てません○(_ _○)
 空を飛べるのと装甲が硬いのがユッキーの利点ですが、攻撃力・運動能力・格闘スキルがボロ負けなのです。
 連続霊波砲もソーサーで防がれますし。

○HEY2さん
>「一文字さん、お疲れ様でしたぁ!」
 哀れ……哀れすぎます(涙)。
>その分学校で「タイガー武勇伝! 逃亡者の咆哮の巻」を語り尽くして貰いましょう(酷
 うわっ、酷w
 しかし確かにタイガーは輸送役しかしてないんですよねぇ、原作でも。台詞は漢なんですけど。

○kouさん
>この組み合わせは好きだからよかったです
 あえて変えるほどの理由ありませんでしたし。
>「3×3EYES」の獣魔術ですね
 はい、分かる人いてよかったですー。

○通りすがりのヘタレさん
>新たに明らかになった京香の性格
 女の子には色んな面があるのですよー(ぉぃ
>コレはやはり、人界限定横京夫婦をやれという神のお告げに違いn(ry
 未来の1つはこんな感じになってます。
>途中で気配の消えたルッシー
 いえ、これはまた寝ちゃっただけです。
 表現が足りなかったかも知れませんね。

○蒼き月の夜さん
>今回はほとんどシリアス戦闘でしたね。面白かったです
 ありがとうございますー。
>タイガー
 わめきながらドスドス走ってたら目立ちますからねぇ。

○LINUSさん
>魔鈴
 さすがにあの流れではどうやっても無理でしたorz

○なまけものさん
 むう、ほんとに京香はサポーターが多いですねぇ。今回の展開はどう思われるんだろうか(汗)。
>イメージとしては「ゴムゴムのガトリング」みたいな感じでしょうか?
 ま、おおむねそんな所かと。
 似た技は割とありますからねー。
>なんでハサミ?
 2枚の刃で挟む形になるので避けられにくいのと、当たった後で衝撃を逃がされないという利点があるんです。その代わり制御が難しくなりますが。

○守山刹那さん
>「魁!男塾」のJの技「フラッシュ・ピストン・マッハ・パンチ」ですね
 これも分かってくれる方がみえて良かったです。
>京香ちゃんがいい味出してます。対外的にも横島の彼女No.1と見られる日もそう遠くなさそうですね
 ルシにだけは勝てませんが、2号の座は射程距離……なのかどうか(^^;

○てとなみさん
>《重》《圧》にニヤリとしました。ベ○ンw
 よし、これで全部通じた(ぉぃ
 大魔道士のネタは前からありましたからねー、自然な入れ方と思ってもらえてよかったです。

○lk:llm:lh;klさん
 えっと、恋闘編第29話に載っている8人と、第32話の冥子(バー○ーカー)、第37話の愛子(ライ○ー)の合計10人です。

○ミアフさん
 むしろ開脚キックの方が<マテ

○滑稽さん
>雑多なネタをアレンジして違和感なく描写なさる手法、さすがですねえ
 やー、そう言っていただけると考えたかいがあります。
>ところで、エウ統。…史実だと流れ矢で落め(ry
 大丈夫です、エウは弓矢くらいでは死なな<マテ
 むしろ諸葛ルシの方が現実味が(だからマテ

   ではまた。

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