「フフフ・・・横島忠夫、まさかエクシードラフトなんてチームの隊長になっているとはね」
暗い闇の中、一人の女がクククと不敵な笑みを漏らしていた。暗いため表情は確認出来ないが、その心に燻っているのが憎しみだといえた。
「今度こそ・・・アンタは私の手で殺してやるよ・・・この・・・”メドーサ”の手でね!!」
かつての宿敵との戦い・・・それがすぐそこに近づいていることを、横島は気づいていなかった・・・。
第五章 宿敵との激突、そして・・・炎の帰還!!(Part機
「ふ〜、今日は可愛いお洋服買えちゃった♪」
「拙者も、美味しいお肉が食べられたでござる♪」
「きつねうどんは・・・中々だったわね」
おキヌ・シロ・タマモの三人は休日を利用し、デパートで買い物と食事をしていた。おキヌは給料もそこそこあり、シロタマはアルバイト感覚で小遣いを稼いでいたため、少しぐらいの贅沢とデパートまで繰り出したのである。
「さて、せっかくデパートに着たし、夕食の買出しもしておこうかな〜」
「おお!では是非ともすき焼きを!!お肉が食べたいでござる〜♪」
「何言ってんのよ!!いなり寿司に決まってるじゃない!!」
おキヌの提案に、シロタマは小ケンカを始めてしまった。おキヌが仲裁に入ろうとしたその時、突如デパート内を結界が包み始めた。
「な、何!?」
「これは・・・」
「結界みたいね。しかもこのデパート内の出入りを不可にするって事は・・・厄介な相手かもしれないわ」
デパート内の人々が混乱する中、突如轟音と共に壁をぶち破る音が響いた。
そして瓦礫の中より、銀髪の女が歩いてきた。その姿を見た瞬間、おキヌは驚愕した。
「め、メドーサ!?」
そう、かつて横島が大気圏内で戦って滅ぼし、コスモプロセッサで復活した際に文殊で二度目の死を与えたメドーサが、その場に立っていたのである。
「おキヌ殿、あやつは?!」
「昔、横島さんが倒した魔族よ・・・でも何で・・・?」
「生き返ったか・・・・と言いたそうな顔だな?」
おキヌの言葉に、メドーサが答えた。
「フ・・・・まぁ、確かに私は二度死んださ。だがね、恨みの念のせいか再び蘇ったのさ!!そして今度こそ、横島を殺す!!」
「そんな事、させません!!」
「先生を殺すなんて、なんて愚かな事を考えるでござるか!!」
「タチが悪いにも程があんのよ・・・アイツは死なせない!!」
メドーサの言葉に、おキヌたちはそれぞれの武器を発動する。しかし、その瞬間メドーサの顔がニヤリと微笑んだ。
「生憎だけど、アンタたちとは戦っている暇はない。アンタたちには・・・・・・・・・・“オトリ”になってもらうよ!!」
そう言った瞬間、メドーサは懐から何かしらのスイッチを取り出した。そしてそのボタンを押した瞬間・・・・・・・デパート内に仕掛けられた爆弾が爆発した・・・。
「あ〜、今日も晴天なり・・・・って感じっすね」
「そうだな。平和が続く事ほど、幸せな事はない」
「でもな〜・・・な〜んか戦い足りねえんだよな。横島、組み手でもやらねえか?」
「相変わらず雪乃丞はバトルジャンキーですね」
横島たちは、ノンビリと平和を味わっていた。すると、突如横島はある事を思いつき、正木へと尋ねた。
「本部長」
「なんだ横島?」
「本部長ってこの霊捜の本部長になる前、何してたんスか?」
「あ、それは俺も気になるぜ」
「確かに、今まで聞いた事がないです」
三人に詰め寄られ、正木はハハハと苦笑する羽目になった。そして仕方なく皆に教えようとした瞬間、突如正木のデスクの電話が鳴った。正木が受話器をとると、突如として血相を変えた。
「どうしたんスか本部長?」
「大変だ!!S-地区のデパートで魔族が侵入。用意した爆弾により、デパート内で爆破したそうだ!!」
「何!?」
「何て酷いことを・・・・」
「それだけならいい!!情報によると、犯人は三人ほど人質を取ってデパートの屋上にいるそうだ。確認したところ・・・・どうやら君の事務所の仲間のようだ」
正木の言葉を聞いた瞬間、横島はドンっという音を立てて地面を蹴ると、そのまま一気に専用マシン【スクラムヘッド】に乗り込んだ。
「やれやれ、アイツらしい速さだな・・・行くか」
「行きましょう!!」
横島に続き、二人も乗り込んだ。そしてそのまま発進するのだった・・・。
「何か嫌な予感がするな・・・どうするか・・・」
正木がそう考えていると、突如ドアを叩く音がした。
「入ってきたまえ」
正木がそう言うと、ドアが開いた。そして入ってきたのは、正木の昔の部下であり、共にレスキューに生きた戦友たちだった・・・。
「ここか!!」
キキーっとブレーキをかけ、横島たちはスクラムヘッドから降りた。その目線にあるのは、爆破によって瓦礫の山と化したデパートだった。
「よし、霊装だ!!」
「「おう(はい)!!」」
三人は無線機を取り出し、そのまま霊波ジャケットを纏った。
「よし」
「レッダー。お前は屋上の魔族を頼む!!」
「僕たちはレスキューに専念します!!」
「分かった!!すまねえ!!」
レッダーはそう言うと、超加速で一気にデパート内へと入っていった。そして残ったブルースとキースは霊波消化銃を手に、炎が蠢くデパートへと突入する。
「誰か、誰かいないのか!?」
ブルースが内部をサーチしながら進んでいくと、瓦礫に巻き込まれ動けない親子の姿を発見した。
「いた!!キース!!」
「はい!!」
ブルースが母親を動けなくしている瓦礫を持ち上げると、ピートはそれを引っ張り出した。そしてそのまま二人を抱えると、一気に脱出する。
「よし、次だ!!」
「分かってる!!」
二人はそう言って再び炎の中に飛び込み、救助を開始するのだった。
「ここか!!」
レッダーは屋上のドアを蹴破り、霊波リボルバーを構えながら侵入した。すると、目の前には黒いコートに身を包んだ魔族。そしてその側で十字架の張り付けにされているおキヌ・シロ・タマモの姿があった。
「皆!!」
レッダーが叫びながら駆け寄ろうとするが、魔族が放った霊波砲により近づけなくなってしまった。
「てめえ!!なんのつもりだ!!」
「まだ分かんないのかい・・・・アンタには!!」
そう言って、魔族はぶわっと魔力を解放した。その反動によりコートが吹き飛び、その中からメドーサが現れた。
「め・・・・メドーサ」
「久しぶりだねぇ横島。アンタに二度も殺されて以来、地獄でどれだけアンタに復讐したいと望んだことか・・・それが・・・それがもうすぐ叶う!!」
「何言ってやがる!!さっさとおキヌちゃんたちを放せ!!」
そう言い、霊波リボルバーをメドーサに向けるレッダー。しかし、銃口を向けられようが、メドーサは全く顔色を変えない。
(人質がいるから攻撃出来ないって思ってやがる・・・)
「人質がいるから攻撃出来ないって思っているわね。別に攻撃してもいいさ、人質には元々殺す気なんて無かったからね」
「どういう事だ!?」
「全ては・・・・アンタを殺す、ただそれだけのためのオトリさ!!」
「オトリだと・・・」
レッダーが疑問を覚える中、メドーサが高らかに叫ぶ。
「さぁ・・・ここなら邪魔が入らない。私たちで決着をつけようか、横島!!」
「上等じゃ!!今度こそ蘇られないように叩き潰してやるぜ!!」
そう言った瞬間、レッダーはリボルバーの引き金を引いた。それにより、メドーサ向けて弾丸が放たれる。
「はん!!そんなものは遅くてよ!!」
そう言いながら、メドーサは超加速で弾丸を軽々と避ける。しかし、それを察知したレッダーもまた超加速に入り、霊波シャフトを手に取る。
「それは予測済みじゃ!!喰らえ!!」
レッダーが一気に近づき、シャフトを振り下ろすが、メドーサも矛を取り出しそれを防ぐ。
「あの時は文殊でカタがついたが・・・今回はそうはいかなくてよ!!」
「そう言うなら、試してみるか!?」
そう言うと、レッダーは即座に文殊【滅】を作り出すと、メドーサにぶつけた。これで消滅と思われた・・・しかし。
「な、何!?文殊が効かねえ!?
「だから言ったじゃないか!!もう私には文殊なんて通じなくてよ!!」
動揺するレッダーに向けて、矛を突く。それは皮肉にも、文殊生成に必要な
胸の中枢部・・・すなわち【チャクラ】を突き刺した。
「がああああああああああああああああああああああああああああ!!」
断末魔の悲鳴が如く、レッダーの苦しみの叫びが屋上に響き渡る。
「やめて!!もうやめて!!」
「やめるでござる!!」
「やめなさいよ!!」
人質となった三人が悲しみの叫びを上げるが、メドーサはそれを軽く流す。そして次に向けるは、レッダーの心臓。
「さぁ・・・終わりだよ!!」
そう言って、メドーサは矛を心臓目掛けて放った。
「くそ!!炎の勢いが強くなってきやがった・・・」
ブルースはキースと二手に別れ、それぞれ救助活動を行なっていた。しかし、爆発の影響で壁などがモロくなり、今にも崩れ落ちてきそうになっていた。
「くそ、こんなんじゃやべえ!!」
ブルースがそう言って足を前に進めた次の瞬間、地に着いたブルースの足場が突如崩れたのだ。それにより、ブルースは足場のバランスを失った。
「しまった!!」
ブルースは5階からの落下を覚悟し、目をつぶった。しかし、何故か落下の感覚はせず、何故か奇妙な浮遊感を覚えた。
「あれ・・・俺は・・・」
「大丈夫ですか?」
突然の声にブルースは顔を上げた。そこには、メタルの身体・背中には一対のウイングを持った、緑の機械戦士が存在した。
「あ・・・アンタは・・・・」
「私は、【ウォルター】と申します」
同時刻、キースは瓦礫をどかしながら、前へと進んでいた。
「く・・・キツくなってきたな・・・でも、ここで止まるわけにはいかない!!」
キースはそのまま突き進もうとしたその時、突如天井が崩れ落ちてきた。
「なっ!こんな時に!!」
キースはダメージを覚悟してそれを受け止めようとした・・・その時。
「バイスピア!!」
突如その瓦礫が何かによって砕け散った。キースが驚く中、メタルの身体・二本のスピア・黄色の機械戦士が前に立つ。
「あ・・・・貴方は・・・」
「ワイは・・・バイクルっちゅ〜ものだがね」
「さぁ、終わりだよ!!」
メドーサの放った矛は、レッダーの心臓目掛けて放たれた。しかし、突如赤き光線がメドーサの矛を捉え、弾き飛ばした。
「チッ!!このメドーサに盾突くとは・・・・何者だい?」
メドーサが満身創痍のレッダーから視線を変えると、そこには赤いアーマーに黒いスカウターの赤き戦士。そしてメドーサに、銃を突きつけていた。
「アンタ・・・何者だい?」
メドーサが矛を向けると、赤い戦士は手帳をメドーサ目掛けて突きつけた。その手帳に描かれている文字は【WSP】。そして、戦士は名乗る、己がチームの名を・・・。
「特警ウインスペクター隊長!!【ファイヤー】!!」
今、元祖レスキューチーム【ウインスペクター】が帰還した・・・。
あとがき
さ〜遂に霊捜最大のピンチのときとなりました(笑)
宿敵との戦いも、レスキューもピンチになる中、帰還したのは元祖レスキューポリス【ウインスペクター】です。激しくなる戦いの中、一体どんな運命が待ち受けるのか?何故メドーサが蘇ったのか?そして、何故横島の文殊が通じなかったのか?多くの疑問が残る中、物語は進展を迎えます。では、次回まで・・・。
<帝様
メットオフは、この大いなる戦いのファイナルにこそふさわしいと思ったので、今は溜めてます(爆)
<ジェミナス様
やはりレスキューポリスは直球こそが大事かとw
今回は初の長丁場になりそうですw