「特警ウインスペクターだ!!」
ファイヤーは手帳をメドーサに向け、そう名乗った。それを聞いたメドーサは、ニヤリとしながらファイヤーを睨みつける。
「フン・・・・アンタが誰だかは知らないさ。だがね、ここで死ぬには変わりないよ!!」
メドーサはそう言って矛をファイヤーへと放つ。しかし、それをジャンプしながら回避し、レッダーへと駆け寄る。
「大丈夫か!?しっかりしろ!!」
「あ・・・・・・ぁ・・・」
ファイヤーは意識が朦朧とするレッダーを横たえると、メドーサへと向きを変えた。
「貴様・・・・マックスキャリバー!!」
ファイヤーは右腕にマックスキャリバーを装備すると、メドーサ目掛けて駆け出す。
「レーザーソード!!」
「お呼びでないよ!!」
メドーサが矛を突き出し、マックスキャリバーを破壊にかかる。しかし・・・。
「な、何!?・・・・がはぁ!!」
メドーサの矛を砕き、ファイヤーのマックスキャリバーがメドーサを斬り付けたからである。
「く・・・・・・この場は、アンタの勝ちって事にしておいてあげるさ!!しかしね、アンタたちはあと数日もせずに、この地上から滅びるのだからね!!」
「何!?どういう事だ!!」
「さぁね。ただし、今に恐ろしい事が起きるさ!!神と魔・・・そして人間全てにとっての悪夢が、いずれ起きるのさ!!ハッハッハッハ!!」
「待て!!」
ファイヤーが止めるのを振り切り、メドーサはその場から姿を消した。
「く・・・・・おい、しっかりしろ!!」
ファイヤーはメットを解除すると、そのままレッダーのメットを強制解除した。そこには、顔を青ざめた横島の顔が存在したのだった。
「く・・・すぐに病院に連れていってやるからな!!」
ファイヤーこと【香川竜馬】は、横島を担ぎ上げると、おキヌたちを連れてその場を脱出したのだった・・・。
第六章 邪蛇の災悪から人々を守れ!!(PartⅡ)
「う・・ぐうううううあああああああああああああああああああああ!!」
白井病院内を苦痛の叫びが轟かせていた。その声の持ち主は勿論、横島忠夫である。
「う・・・・・横島さん・・・」
「先生・・・」
「ヨコシマ・・・」
おキヌたちは手術室の前で、ただじっと横島忠夫の帰還を待っていた。そんな中、美神や西条、雪之丞・ピートにタイガー、本部長も駆けつけてきた。すると、叫びが一時的に収まり、中から医師が出てきた。
「・・・横島君の容態は?」
「正直厳しいです。何せ人体急所の一つを突き刺されて意識を保っている事がまずありえないんです。話によると、霊的にも大事な場所と聞きますが・・・」
「な、なんなのよ!!一体横島君に何が起きたっていうのよ!!」
美神が詰め寄ると、医師はただ一言答えた。
「彼の霊能力は、生命の回復の代償として消えるかもしれません」
医師の言葉に、皆は固まった。
「ちょっと・・・それって・・・・まさか」
「横島さんが・・・」
「文殊や霊波刀を」
「失うっていうの・・・?」
事務所メンバーの問いに、医師は頷いた。
「ちょっと待てよ!!じゃぁアイツは!!」
「ジャケットの使用すらも」
「不可能って事ですジャ!?」
三人の問いにも、医師はただ頷くのみ。それを聞き、雪之丞は壁に拳を叩きつける。
「ふざけんな!!霊捜にいるってのはアイツの生きる証なんだぞ!!
「なんとか、なんとかならないんですか!!」
「お願いしますですジャー!!」
三人の強い言葉にも、医師にはどうにも出来ない。そんな時・・・。
「方法が無い訳でもありません」
突如後ろから声が上がった。皆が振り返ると・・・そこには・・・。
「お久しぶりです。皆さん」
下界ルックの、小竜姫が立っていた。
「フフフ・・・・・横島のチャクラを破壊した。これで、私にとっての不安要素は消えたね」
メドーサはファイヤーに傷つけられた身体を見ていた。すると、すぐに再生を始めていた。そしてメドーサの胸には、クリスタルのような物が埋め込まれていた。
「まさか・・・・魂が完全消滅する瞬間に、“コスモプロセッサ”の結晶の欠片が私に入り込むんだからね・・・世界の消滅まではコントロール出来ないが、横島の文殊のジャミングなら完全に阻止出来た・・・クク、愉快だね・・・」
邪悪な笑みを浮かべたメドーサは立ち上がると、天に向けて手を掲げた。すると、突如天に門らしき物が出現した。
「さぁ~て、次の障害を消しにいかないとね・・・」
メドーサは、門の扉を開いた・・・。
同時刻、キーやんとサっちゃんは将棋をしていた。
「ふふふ~♪サッちゃん王手ですよ」
「あ~!!ま、待ったやキー“たん”!!」
「誰がキー“たん”ですか!!間違えないでください!!」
「別に拘らんでええやんか」
「ダメです!!名前は大事なんですよ。何せ私たちは「神魔界の代表者なんだろ?」・・・誰です!?」
キーやんとサッちゃんが声の方向を見ると、そこから空間にヒビが入り、砕け散った。そしてそこには、メドーサの姿があった。
「あ・・・・貴方は」
「アンタが神界の代表者かい・・・それに、アンタが魔界の代表者だね?」
「だったらなんなんや?ワイ等は将棋の最中なんや、邪魔するなら消すで」
「そうかい・・・なら、アンタたちが消えな!!」
すると、突如メドーサの握っていた手から光が漏れ始めた。そしてそれを、二人目掛けて投げつける。
「フン・・・・そんなも・・・な、なんや!?」
「身体が・・・動きません!!」
そう、突如として二人の身体が金縛りにあったように、動けなくなってしまったのだ。
「な、何をしたんや!!」
「最高指導者である私たちの動きを止めるとは・・・何を」
「フフフ・・・・アンタたちならよく知っているものさ」
光が収まると、そこには一つの宝珠が浮かんでいた。
「そ、それは文殊!?」
「違うね。これは邪陰宝珠、文殊のような絶対万能性はないが、悪意に満ちた行為に限定して発動するのさ」
「な、何故こんな事が出来るんや!?」
「フン。コスモプロセッサの残りカスを手に入れたからと言ったら?」
メドーサの言葉に、二人は絶句する。
「どうやら理解したようだね。私が生き返ったのも、こんな力を手に入れたのも、全てあのアシュタロス大戦の産物さ!!さぁて・・・・アンタたちには死んでもらうよ」
そう言うと、矛を取り出すメドーサ。そして・・・。
「消えな!!神魔の最高者!!」
その矛は、二人の身体を突き刺した。そして次の瞬間、二人の身体は灰のように散った。
「さぁ・・・・これで邪魔者はいない。あとは・・・横島が愛した者たち・・・そして、護った世界を破壊してやる!!」
そう言って高笑いするメドーサ。しかし、彼女は気づいていなかった。二人の灰から光が漏れ、どこかに飛び去っていくのを・・・。
「横島さん・・・大丈夫ですか?」
「は、はい。大丈夫っス」
横島は小竜姫に背負われながら妙神山へとやってきた。そう、横島はなんとか霊力の損失の代償として、身体は回復できたのである。そして小竜姫に連れられ、ここに来たのである。
「ほんとに・・・・なんとかなるんスか?」
「確率はなんとも言えません。ただ、老師が全ての鍵を握っているとしか・・・」
「マジで・・・俺は力を取り戻したいんス。・・・誰も護れないなんて・・・ルシオラに顔を合わせられないんスよ・・・」
「ともかく、修行場へと行きましょう」
門までたどり着いた小竜姫は鬼門に門を空けると、そのまま通路をまっすぐ進み、老師のいる部屋までたどり着いた。襖を開けると・・・いつも通りゲームをしている老師の姿があった。
「小竜姫よ、ソイツの容態は?」
「はい。身体的には大体回復していますが、霊力はもうほとんどありません」
「そうか・・・・よし、では早速始めるぞ」
そう言うと、老師は棍を地面に叩きつけた。すると、突如その場が修行空間へと変化する。
「老師・・・」
「横島よ。今から、ワシと戦ってもらう」
「な、何言ってるんスか!?霊能力はおろか、霊力すらないんスよ!!」
「分かっておる・・・小竜姫」
「はい」
小竜姫はそう言うと、横島に向けて神通力を放った。そして次の瞬間、横島の身体にはレッダーの霊波ジャケットが装着されていた。
「こ、これは・・・・ぐ!!」
驚いていた横島は突如、霊力の重さに耐え切れずに地面に倒れこんでしまった。
「課題1。まずはその霊力の込められた鎧を着ながら、立ち上がる事じゃ」
「な・・・これを・・・・」
「そうじゃ。ただし、一日でその鎧のまま立ち上がるんじゃ。立ち上がれなければ、お前は霊圧に押しつぶされて・・・・命を落とす」
「命を・・・」
「最悪の場合、お主の中にいるルシオラじゃったか?そやつの魔族因子が暴走を開始し、お主は意思無き魔獣へと変貌する」
「そんな!!それじゃ・・・・」
「そうじゃ。誰かれ構わず襲い掛かるじゃろう」
その言葉に、横島は愕然とした。しかし次の瞬間、横島の表情は変わる。
「・・・じいさん。これを着たまま立ち上がればいいんだな?」
「そうじゃ」
「上等じゃ!!やってやるぜ!!」
一つ目の試練が、横島に襲い掛かろうとしていた・・・。
「本部長。アイツ等は?」
本部へと戻った雪之丞たちは、竜馬たちと邂逅を果たしていた。
「彼は香川竜馬。特別救急警察隊ウインスペクターに所属する・・・私の部下だ」
「部下!?って事は」
「本部長はここの前には、ウインスペクターにいたんですか?」
「そうだ。人命を守る警察という思想の元、このチームを作ったんだ」
「そうだがね」とか「そうであります」とかを、バイクルとウォルターがジェスチャーで表現していた(笑)。そんな中、突如正木の無線機に連絡が入った。
「はいこちらエクシードラフト本部。・・・何!?分かった」
「どうしたんですか?」
「何があったんだ!!」
「大変だ。またあのメドーサという奴が暴れている。それも、前より強力な力でだそうだ」
それを聞いた竜馬たちは、すぐに部屋を出て行った。それを見た二人も、後を追って追走する。そしてたどり着いた先には、黒い黒衣に身を包んだメドーサの姿があった。
「メドーサ!!テメエ!!」
霊装したブルースが、霊波シャフトを片手にメドーサに飛び掛る。しかし、それをメドーサが軽く掴み、ブルースを殴り飛ばす。それにより、地面を転がりながら皆のもとに戻った。
「ブルース!!」
「す・・・すまねえ。アイツ、シャレになんねえほど・・・強くなってやがる」
二人の様子を見た竜馬はウインスコードに乗り込むと、SPカードを差し込む。そして・・・。
「着化!!」
ファイヤーへと姿を変えた。
「メドーサ!!貴様は俺たちが倒す!!」
「ハン!!何をほざいた事を」
「行くぞ!!パルスガン!!」
ファイヤーのマックスキャリバーからレーザーが放たれる。しかし、それをメドーサはまるで遅い何かを見るように、軽々と避けた。
「何!?」
「甘いね・・・そんなんじゃ・・・私には勝てなくてよ!!」
次の瞬間、メドーサの身体は姿を消した。そしてそのまま、ファイヤーの身体が超高速で切り刻まれていく。
「な・・・何が・・・」
地面に倒れこみながら、ファイヤーはメドーサを見る。
「へ~。私の超加速を受けて生きてるとはね。でも、ここで終いさ!!」
「そうはさせないだがね!!」
「させはしません!!」
突如、バイクルがバイスピアをメドーサに腹に叩き込み、ウォルターがデイトリックM2のレーザーを叩き込んだ。
「お呼びでないよ!!」
しかし、メドーサは宝珠を作り出すと、その場で発動した。それにより、二人は吹っ飛ばされ、壁に叩きつけられる。
「バイクル!!ウォルター!!」
「テメエ!!今のは文殊か!!」
「あら、そんな陳腐なもんじゃなくてよ。これは邪陰宝珠って言ってね、悪意ある者には最高のアイテムさ!!」
そう言って、更に宝珠を発動させると、倒れているファイヤーをも吹き飛ばしてしまった。
「メドーサ!!食らえ、ダンピールスラッシュ!!」
すると突如、霊波シャフトに聖なる力を込めたキースが超加速で接近した。しかし、それも読まれていたようで、ガシっと頭を鷲づかみにされてしまった。
「ぐ・・・」
「あの出来そこないの半吸血鬼かい。失せな!!」
メドーサはそう言ってキースを宙に投げ飛ばすと、キース目掛けて宝珠を発動しようとした・・・その時!!
「ギガストリーマー!!」
「な・・・・がはっ!!」
突如メドーサの背中に激痛が走った。メドーサが振り向こうとしたが、その影は跳躍し、雪之丞たちの前に着地した。その影を見た瞬間、ファイヤーは驚きの声を上げる。
「お・・・お前は!!」
「おい、知ってるのか?」
「ああ。コイツは俺たちウインスペクターの後に作られた組織の戦士であり、俺の後輩だ」
「な、なんですって!?」
皆が困惑する中、影が爆炎を逆行に名乗りを上げた。
「特装救急警察ソルブレイン隊長!!【ソルブレイバー】!!」
レスキューポリスの系譜が、動き始めていた・・・。
あとがき
メドーサ大暴走である今回の話です。さすがのウインスペクターもピンチになった所に現れたのは、レスキューポリス第二弾のソルブレインです。果たして、メドーサの暴走をレスキューポリスたちは止められるのか?神魔の代表者は?そして、戦いのキーになりつつある横島の覚醒は?
様々な思惑がある中、ストーリーは終盤へと突き進んでいきます。では、次回まで。
<{†としあき†肉球様
ファイヤーはお約束のものほんですw文殊ですが、ジャミング能力により使用は不可能となりました。
<帝様
真のメットオフを、楽しみにしていてください。
<ジェミナス様
更に追撃の旧レスキューポリスの登場です。魂の導火線に火は灯りましたか?w(爆)
<宮内洋ファンなのでつい様
確かにその通りですw私的にはズバット大好きですね♪
<いぶすき様
言葉遣いですか・・・正直まだまだ未熟なのは認めます。これから、なんとか頑張って直していきます。もし、ミスなどがありましたら、ツッコミを入れてくださると助かります。