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「GS横島!!極楽トンボ大作戦!! 第十三話(GS)TS有り注意」

球道 (2006-02-21 01:46)
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「狐の嬢ちゃん、何か縮んでねぇか?」

頭の上から声が降って来る、女の声だ。

顔に感じる女性特有の双子山、お、おおきい……。

ふわりと香る甘いミルクのような匂いが、鼻腔を擽る、いいにおい……。

だがしかし、若干の違和感。

この女は私を知っている、私もこの女を知っている気がする。

誰?

この霊波の匂いは、誰?


その疑問は、すぐに氷解する。


「雪之丞、誰だった?……って、タ、タマモか!?」


驚いたような、横島の声、いまだ私はこの女に抱えられているので、横島の姿は……、ん?

待て、今、横島は何と言った?

「……って、タマモか!?」

いやいや、その前。

「ユキノジョウ、ダレダッタ?」

……?

「ゆきのじょう、だれだった?」

……!?


「雪之丞、誰だった?」


横島は、確かにそう言った。

私は脳内データバンクを引っ張り出し、雪之丞、と言う存在を検索する。


伊達雪之丞

横島の自称ライバル兼親友。

魔装術と言う術の使い手で、単純な戦闘能力では横島よりも上。

横島の家に遊びに言った時、結構な確立で居る。

カップうどんの油揚げを時々くれる結構良い奴。

美神除霊事務所でも助っ人として呼ぶことが多い。

多分男の中では横島の次に安心して背中を任せられる。

数少ない私の『男』友達。


……『男』


「ゆ、ゆきのじょう?」

平静を装い、勤めて冷静に事実を確認……したつもり。

声が上擦っているが、そんな事より気になる返答。

「何?」

肯定。


頭が理解するのに数十秒。


込み上げて来る何かに耐えること十数秒。


大笑い、一時間。


GS横島!!

極楽トンボ大作戦!!

第十三話


「ふ〜……、お腹イタイ〜」

タマモが腹を抱えて笑い出してから一時間、漸く治まったようだ。

「タマモもこっちに来たんだな」

とりあえず確認する横島。

「うん、断る理由も無かったし、ね」

「そうか」

そう言って少し考えた後、横島は呟いた。

「雪之丞の言ったとおりだな、俺達の他にも戻ってきた奴が居るみたいだ」

「それが何人居るのかは解らないけどね」

予想が当たって得意げな雪乃。

それに被せる様にタマモがこう言った。

「私が知ってる中では、後はシロだけよ」

「「へ?」」

驚く二人。

「私とシロは一緒に呼ばれたの、何か私達の前の二人が物分りが悪かったり、いきなり殴りかかってきたりで時間が無くなったんだって」

笑いを堪えながらタマモは続ける。

「物分りが悪かったのが横島で、いきなり殴りかかったのが雪之丞って訳ね」

「「うぅ……」」

面目無い、と、謝る二人。


「じゃあ、雪之丞のソレも『世界』の悪戯って所かしら?」

そう言ってタマモはまた笑った。


「それで、タマモは何でこの時期に?」

当たり前の疑問である、タマモの復活の時期は大体一年ぐらい後の筈だからだ。

「ああ、『世界』に私が頼んだのよ、色々とやりたい事があったから、ね」

クスリ、と含みのある笑い。

目線は横島を捉えて放さない。

「ふふ、まぁ良いじゃない、これで歴史が大きく変わるかもしれないし、それに横」

「そうね、じゃあ、今のその姿は?」

ずい、と、横島とタマモの間に割って入る雪乃。


ピピン!

タマモはその行動に引っ掛かる物を感じた。

『恋のライバル探知レーダー』である。

説明は要るまい、恋する乙女には標準装備の機能なのだ。


「コレ?唯の霊力不足よ、一年も早く復活したってだけで霊力不足だって言うのに、昨日復活してから何にも食べてないのよ、お金持ってないから、油揚げ一切れも買えないし、それに……」

無銭飲食で捕まりたくは無いしね?と舌をだす。

「じゃあ、霊力が回復したら大きくなるの?」

「多分ね、『世界』も魂と肉体は引っ張り合うって言ってたし……、横島達と同じ、高校生くらいには成るんじゃない?」

「……根拠は?」

「霊力の総量が前に復活した時より多いもの」

前の世界の頃のタマモは、既に高校、大学を卒業しており、高校時に取得していたGS免許で既にGSとして働いていたのだ。

復活した頃の姿より成長したタマモの姿は、絶世の美女であり、周囲に群がる男の群れは団体にして、両の指を遥かに超え、

個人にいたっては千を超えるのではないか?と言われていた程である。


余談では有るが、『月刊GSサ○デー』という雑誌は、年に一回、GS人気投票と言う企画が行われている。

その企画でタマモは、GSデビュー後初の人気投票、第四回GS人気投票で、創刊以来三年連続一位であった、美神令子女史を引き摺り下ろし、尚且つ、四年連続一位と言う快挙を成し遂げている、勿論記録は継続中であった。

ちなみに、第七回人気投票の結果、二位は僅差で犬塚シロ、三位に氷室キヌという結果が出ている。


閑話休題


雪乃とタマモの間に火花が散っている様に見えるのは気のせいであろうか?

一触即発の空気ではないが、互いの腹を探り合うと言うか何と言うか……。

横島は危険を感じたが、場を治めるために、二人の間に割って入ることに心を決めた。


「と、とりあえず飯食うか?カップのきつねうどんしかねぇけど」

「うん、ありがと、横島」


「じゃ、じゃあ、俺、お湯沸かしたりするから……」

横島そそくさと逃走。


「ふ〜、雪之丞とタマモって結構仲良かった気がしたんだけどなぁ……、何かあったのか?」


「……、ぷっ」

吹き出すタマモ。

「……何よ」

笑われた方は勿論黙ってはいない。

「いや、雪之丞、大分可愛くなっちゃったのね」

「……何よ」

「女言葉も板についてるわ」

「……」

「それに、いつの間にか恋敵に成っているしね?」

と、妖しい微笑み。

その微笑みに一瞬言葉を失った雪乃だったが、タマモの言葉を胸の内で反芻するうちに、意味に気が付く。

焼けた鉄のように赤熱化する雪乃の頬。

「んにゃっ!よよよ!よこしまとはそんにゃんにゃにゃい!?」

何とも解りやすい答えだろうか。

「別に『横島』だなんて言ってないじゃない、わ・た・し・は♪」

ちろり、と、舌を出し、ウインクをするタマモ、その顔は新しい玩具を得た子供のようで。

「雪之丞が横島をねぇ〜、しかもこんなに可愛いし〜」

横島がきつねうどんを作り終える数分間、タマモに弄られまくる雪乃であった。


ずるずると麺を啜る音が部屋に響く。

タマモは相当腹が減っていたのか、一心不乱に食べていた。

「むぐむぐ……、本当はね、ずずずず……、ちゅるん!復活した時に、むぐむぐ、『まずは、きつねうどん♪』なんて思ったんだけどね」

「復活したのが深夜じゃな〜、そりゃ何処の店もやってないよな」


「……ちゅるん!さっさと横島の所に言った方が、んく、食べれると思ったのよ……、ぷは〜」

如何やら前の世界での数年間はタマモにしっかりとしたモラルを植えつけていた様だ。

関心関心。


「ところでタマモ、お前住む所、どう「此処」?

俺の言葉に被さる様に返答が返って来る。

如何やらタマモは此処に住む気らしい、まあ、そうじゃなきゃ訪ねてなんか来ないか、しかしなぁ。

「此処って、オイオイ、こんな狭いとこじゃ二人はキツイだろ」

「別に良いじゃない、今の私、コレだし」

と、自分を指差すタマモ。

むぅ、確かに今のタマモじゃ、部屋の狭さは関係無いか。


「ねぇ〜、い〜じゃないのよ〜、減るもんじゃなし〜、一緒に住めば〜、済むのです!」

「いや、済むのです!って、言われてもな」

「ね、私には、横島しか頼る人がいないの、ねぇ〜、お願い〜」

懇願するタマモ。

むぅ、確かに考えてみると、タマモには俺の家しか無い気がする。

「まあ、しょうがないか」

と、口を開きかけたその時。

「却下」

横からバッサリと袈裟懸けにタマモの案は斬られたのだった。


携帯の画面から目を離し、二人の話の腰を折る。

「却下」

パタンと携帯を折りたたみ、ポケットに仕舞う。


「雪之丞、却下って……」

「何でよ〜!」

抗議の声はタマモから、まあ、当たり前か。

「何でって、当たり前じゃない、男の部屋に女の子を住ませるわけにはいけないでしょ?」

常識として普通そうでしょう?

「でも、こんなにちっちゃいんだぜ?いくら俺でもそこまで……」

昔の横島だったら『俺はロリコンやないんや〜!!』と、壁に頭を打ち付けていた事だろう。

「タマモちゃんは霊力が戻ったら、元に戻らないにしても、大きくなるって言ってたでしょ?」

ビクン!

タマモの体が硬直する。

ちら、と、横目でそれを確認、間違い無い。

私はあることを確信し、

「タマモちゃん、もう結構霊力戻ってるでしょ」

ズバリ言い切る。


「………………えへ♪」

睨み合う……、否、見詰め合う事、数秒、タマモが視線を逸らす。


つまりこう言う事。


「如何にか横島と一緒の部屋で暮らすことを取り付けて、一緒に暮らし始める。

確実に布団は一組しか無いことが分かってるから、横島の性格からしてタマモちゃんに布団を譲ろうとする。

で、タマモちゃんは『それじゃ悪いから、一緒に寝よう♪』だとか言って同衾する。

で、横島が寝たら、既に戻っている霊力で大人の姿になって、既成事実いただきます♪って所かしら?」

タマモの首に腕を回して耳元で囁く雪乃。

「ううっ」

図星だったのか縮こまるタマモ。


「??」

横島は蚊帳の外である。


「で、結局タマモは如何するんだ?」

横島とタマモの同棲が否決され、議会は振り出しに戻る。

「そーだそーだ……」

ブツブツと文句を言いながら、やる気無さげに野次を飛ばすのは、既に大人形態のタマモ。

「大丈夫、もうすぐ来るんじゃないかな?」


「「もうすぐ来る??」」

何が?

と、問う前だった。

バーーーン!!

「よっばれってとっびでってジャジャジャジャジャ〜〜〜ン!」

横島の部屋のドアが勢い良く開いたのだった。


「ふむふむ〜、で、妖弧のタマモちゃんは、忠夫君を頼って此処まで来たのね」

腕を組んでフムフム、と唸るのは、伊達春奈、雪乃の母である。

「住むところも無いし、戸籍も無い、無い無い尽くしで困ってると」

ほほぅ、と息を吐く。

「住むところは忠夫君の部屋で良いとタマモちゃんは思ってたんだけどー」

雪乃を見て、ニヤリ、と笑う。

「雪乃は忠夫君とタマモちゃんが一緒に住むのが物凄く反対なわけね?」


「つまりー、導き出される答えはー?」

眉間に指を当て、伊達春奈は、こう言った。


雪乃としては、横島の家に住まわせるならば、春奈にタマモを紹介し、妖怪と教えた上で、伊達家に住まわせた方が得策だと考えたのだった。

春奈は、雪乃の予想以上に、妖怪に対する理解があり、タマモの存在を簡単に受け入れた。

しかし、春奈は雪乃の予想を遥かに超えた行動をしたのだった。


いきなり携帯電話を取り出して、どこかに電話をする春奈。

途切れ途切れに聞こえてくる電話相手の声は、男の声で、淡々としているようではあったが、春奈の言葉に驚いたり、文句を言ったりしているようだった。

「じゃ、頼んだわ、ク○サキ君」

そう言って電話を切った春奈は、『良い仕事をした!』と言わんばかりの良い表情で、こう言ったのだった。


ぐい。

春奈はタマモの腕を軽く引き、自分の前に立たせ、肩に手を置く。

「タマモちゃん、貴女のお姉ちゃんよ〜♪そして私がママよ〜♪」


「ちゃんと戸籍も作ってあげたからね♪ママにお・ま・か・せ♪」


これが、伊達タマモの誕生の瞬間であった。

「姉妹仲良く、忠夫君を分けなさいね〜♪」


「「「ええええええ〜〜〜〜〜!!?」」」

三人の叫びは天高く。


その後、何処から聞きつけたか(勿論、押入れの妙神山ドアから洩れ聞こえたのだろう)小竜姫が乱入。

ドタバタは深夜まで続いたという。


※『月刊GSサ○デー』……アシュタロスのコスモプロセッサ事件の後、半年してオカルトGメンの全面協力を得て創刊した雑誌。

現役GSのインタビューや、GSをモチーフとした漫画、妖怪や霊の特集記事、GS事務所の広告等、色々な情報が満載で380円。

第一回表紙は、美神令子だった。


あとがき


ごめんよごめんよ!

幼女タマモが大好きだった皆、ごめんよ!

幼女は絡ませ難いんだ!!


伊達タマモって何だよ!

って思った皆、ごめんよ!

タマモを出すと決めた時から決めてたんだ、雪乃の妹にするって!


シヴァやん様、ゆん様、せんさん様、蒼き月の夜様、BD様、白銀様、諫早長十郎様、kj様、LINUS様、ミアフ様。


感想、有難うございます。

皆様の感想を力に変えて、頑張って逝きたいと思います。

頑張るぞー!


ではでは、バッチコ〜イ!!

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