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「GS横島!!極楽トンボ大作戦!! 第十ニ話(GS)TS有り注意」

球道 (2006-02-06 02:29/2006-02-06 11:07)
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草木も眠る丑三つ時、ソレは突然起こった。

栃木県那須郡茶臼岳麓、溶岩が冷え固まって出来た岩場にそれは在る。

『殺生石』である。


一瞬の出来事だった、殺生石が青白く発光したのだ。

力強い閃光、一瞬にして光は広がり、一瞬にして闇に戻る。

何事も無かったかのように、鎮座する殺生石。

何事も?否、以前と違うことが一つだけあった。

少女だ。

先程までは居なかったはずなのに、当たり前のようにそこに居る。
少女は、殺生石に手を当て、考え事をしているような仕草で、佇む。
少女の唇が僅かに動く。

「……き…ね、……ど……」


少女は走り出した、何かを追いかけるように、何かを捕まえるように……。


GS横島!!

極楽トンボ大作戦!!

第十二話


「やっと此処までこれた……」

見据えるのは、築数十年は経っているであろう、ボロアパート。

一歩一歩、足を進める、胸の鼓動が高鳴る。

時間さえ越えて追いかけて来たって言ったら、あいつは何て言うのかしら?

驚くかしら?呆れるかしら?それとも笑う?


いつの事だっただろうか?

私が、アイツをこんなに愛するようになったのは。

初めは『ただの馬鹿』だったのに、いつの間にか『頼れる馬鹿』になって、『気になる馬鹿な男』とか……、ふふ。

今では、『愛する馬鹿な男』だもの、出世したわね。

脳裏に浮かぶのは、私を、皆を庇うアイツの意外と広い背中。

ふとした時に浮かべる優しい笑顔、優しい声、優しいてのひら。

思い出しただけでも胸の奥から優しい気持ちが溢れて来る、昔の私では考えられない気持ち。

幾度の転生を繰り返して求めたもの、多分それがアイツなんだと思う。

自信を持って私はこう言える。


私は、アイツが、横島が……。


横島の部屋の前で、深呼吸する。

横島が既にこの世界に来ていることも、『世界』から確認済み。

「お前、誰?」等と言われる心配も無し。

手で、髪の乱れや、服装の乱れをチェック。

……、うん、問題無い、モーマンタイ。

ドアノブに手を……。

あ、汗臭くないかな?ちょっと走ってきたし、お風呂入ってないし……。

うぅ〜、クンクン……、平気、かな?

もう一度深呼吸……。

よし!


破裂しそうに鼓動する心臓を、如何にか制し、ドアノブに手を掛ける。


タマモ!いきま〜すっ!!


横島……、私、横島が……!


ガチャッ!?


アレ?


ガチャガチャ!!


レレレ?


……、留守でした。


不法侵入もアレだし、横島もいないみたいだし、ドアの前で待つ。

ふふふ、肩透かしだなんて、やるじゃない、横島……。

私の一世一代の告白を凄い決まり手でぶち壊しにするだなんて……!

※横島の所為では、確実に無い。


その時である。

ゴトゴト……。

無人である筈の部屋から、物音が聞こえたのは。

気のせい、では無い。


「……泥棒?」

横島の部屋に?泥棒?何も無いのに?

タマモはドアに耳を押し当てた。

話し声と、物音。

なんて堂々とした泥棒だろうか、堂々と話しているし、音もさせている。

部屋の中には二人、男と女だ。

変だ、とも思った。

私がここに居たのだから、窓からの侵入しか無い。

しかし、妖弧の超感覚は違和感を覚えていた。

気配がいきなり部屋の中に現れたのだ。

如何考えてもおかしい。


……、横島?

横島が文殊を使って、『転』『移』してきたのだろうか?

タマモはもう一度、ドアに耳を押し当てた。


「…………」

間違いない、横島だ。

もう一人は女、だと言うことは解るが、以前の知り合いには、こんな声の女は居なかったはずだ。

どうやら、泥棒ではなく、泥棒猫だったらしい#


……うふ。

タマモは笑った、否、笑ったつもりだった。


トントントン……。


軽くドアをノックする。


「は〜い!」

女の声。

ドアの鍵を開ける音。

ドアが開く。

私は、狐火で燃やしつくそうとする本能を理性で押さえ、部屋に飛び込むように入っていった。


ぽよん♪

そんな音でぶつかったような気がした。

実際は違うだろうが、きっと漫画だとそんな擬音だ。

正直、羨ましいと思った。


そして思いがけない言葉が振ってきた。


「あ〜、食った食った〜、今日も美味かったな〜」

横島が爪楊枝を咥え、満足したように腹をさする。

「行儀、悪いよ?」

やんわりと諭すように言うのは伊達雪乃。

「しょうがないだろ?美味しいんだから」

今日も雪乃の料理に御満悦な横島である。


もちろん小竜姫様の作る料理も美味いさ!!

しかし!ああ、しかし!!

菜食主義の小竜姫様の作る料理のレパートリーに肉料理は存在しないのだ!

育ち盛りの身体は16歳、心は25歳!の俺には、肉抜きの精進料理は辛い物があるのだ!

ああ、哀れ小竜姫様、肉さえ食べれれば、そのトタン並軽装甲の胸部装甲も厚くなったかも知れないものを……!

「……、横島さん、何か変な事考えませんでしたか#」

「い、いえ!何も!?」


いつの間にか横島の隣でお茶を啜る小竜姫。


「あ、もうこんな時間、そろそろ帰らなきゃ」

と、雪乃が時計を見ながら言う。

時計の針は八時二十五分を指していた。

「ああ、じゃあ、送っていこうか」

小竜姫様の見透かすような言葉と訝しげな視線に堪えかねた横島が、雪乃を送るべく立ち上がる。

「あ、ありがと」


「それじゃ、小竜姫様、おやすみなさい」

「シャオ、また明日」

小竜姫様に挨拶をして、横島の部屋への襖を開ける。

「おやすみなさい、横島さん、雪乃」


襖が閉まる。

「……、ハァ……」

溜息が漏れる。

「仲、いいな……」

もちろん横島さんと雪乃の事。

私が入り込む余地なんて無いように思える。

「やっぱり、胸が大きい方がいいのかしら、横島さん」

小竜姫は下を向き、胸を見る。

胸を通り越して足の甲が見える……(泪)


「やっぱりアレ、買おうかしら……」

自室にある雑誌に想いを馳せる。


赤丸で囲った通販ページ。

『νパ○デ〜ルα』2万9800円!!

大人気だった、一号機『パイ○〜ルα』の機能を大幅アップ!?

これで貴女も、ぱよっぱよのぽよっぽよ!?

気になる彼を包み込め!

台数限定五十台!今すぐ電話、即日配達!!


……気が付くと彼女は電話口に立っていた。

「でんわを取り付けて正解でした……」

小竜姫は文明の利器に感謝したのだった。


妙神山から横島の部屋に戻ってきた二人は、たわいも無い話をしながら、雪乃は帰れる準備を、横島は雪乃を送る準備をしていた。


その時だった。

トントントン……。

ノックの音。

「ん?誰か来たみたいだな」

「あ、いいよ、私が出る」

ドアの近くに居た雪乃が横島を制し声を上げる。

「は〜い!」

鍵を開け、ドアを開ける。

何方ですか?

そう言おうとした、その時だった。


ポスン。


軽い衝撃。

下を見ると、胸の辺りに金色の女の子。

この女の子が、私の胸に飛び込んで来たのだ。


「あれ?」

それが誰であるかは一瞬で解った。

綺麗な金色の髪の毛、独特な髪の結い方、霊波の匂い。

そして、この子も私達と同じで時間を超えたのだと言うことも、横島を頼って来たんだろうな、と言うことも予想がついた。

それでも……、一つだけ。

「狐の嬢ちゃん、何か縮んでねぇか?」

久しぶりに男の口調で、疑問を口にした。


だって、ほら。

150cmちょっとしか無い私の胸の辺りに頭が来てるし。


「へっ?」

頭を上げた狐の嬢ちゃん、もといタマモちゃんは、私の胸の谷間から素っ頓狂な声を上げた。


あとがき


久しぶりです。

タマモを如何出すか考えるので苦労しました。

後は、シロを如何するか、そして、逆行者四人がそろった時に、如何いう風に世界を変えていくのか。

そろそろ、GS美神本編と絡めることが出来そうです。

やはり、美神が妙神山に修行に来る辺りから、でしょうか。

予定は未定なので、わかりませんが、こつこつとやって行くので、お付き合いください。


タマモは横島ラヴです。

いきなりだと思うかもしれません。

タマモはそんな事にはならんだろうよ?ごもっとも。


まあ、横島が25歳、と言う設定ですので、7、8年の付き合いがタマモにもあるのです。

色々あったんでしょ?等と言うことで御容赦ください。

いつか外伝として補足しても良いと思っていますので、その日をお持ち頂ければ幸いです。


ああ、横島にやらせたいことが書けなかった……。

次回こそは必ず!


修羅場になるのか!?

血みどろの愛憎劇!?

飛び交うのは拳の応酬か、言葉の応酬か!?

どちらが涙を呑み、どちらが笑うのか!?

横島の安全は保障されるのか、横島よ如何乗り切る!?

物語は風雲、急を告げ、予想もしなかった展開へ!!

そして、はたして妙神山に宅急便はやってくるのか!?

次回!

GS横島!!

極楽トンボ大作戦!!

第十三話『横島よ!虎になるのだ!!』(嘘)に!!


バッチコ〜イ!!

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