妙神山。
険しき山頂にあり、龍神が管理する修行場で有名なところである。
その地で、横島は修行に励んでいた。
「ひーー!!もう無理やーー!!堪忍して~~!!」
「まだまだだぞ、横島。くたばるのには早い。」
「次はこれをいってみようかの。」
「老師ーー!!それは無いっすよーー!!
GYAAAAAAAA!!」
・・・・まあ・・・なんだ・・・・・いちおー修行である。拷問のように見えたり師匠方がなんか楽しそうだったり横島が英語で断末魔の悲鳴を上げていたりしても修行である。誰がなんと言っても修行である!横島がんばれ!作者はいつも見守っているからな!!あきらめずに生き抜いてくれ!!
あ・・・動かなくなった・・・・。
幸せな世界を・・・・・
番外編 少女と猿
「ああ・・ゲフ・・・・・きれいなお花畑やな・・・あ・・・婆ちゃん・・・・久しぶり・・・え・・・なんて言ってるの・・・聞こえないよ・・・ゴフ・・・・」
「む・・・少々やりすぎたかな。」
「ふむ、なかなか加減が難しいの。」
「ええ、生かさず殺さずの境目を見抜かなければいけませんから。
その加減を見抜くには一流芸術家なみの鑑定眼が無ければいけません。」
「ふむ、奥が深いの。」
息も絶え絶えでなんかヤヴァイ所へ逝っている横島をよそに霧恵と猿老師こと斉天大聖がのほほんと修行の反省点を語りあっていた。
ジークは横島たちの修行?を見て顔を真っ青にしており、小竜姫とワルキューレはお互い牽制しながら(なぜかうれしそうな顔をしていた)横島にヒーリングをし、ヒーリングが使えないヒャクメは二人を見て指をくわえていたりした。
「さすがに今回はマジで死ぬかと思った・・・。」
霧恵によって鍛えられた超回復力と、小竜姫とワルキューレのヒーリングのおかげで死の淵から帰ってきた横島。
「すまぬの横島。ちょっとばかし力加減を誤ったようじゃ。」
「まあ、今日の修行はここまでにしよう。」
霧恵は時計をちらりと見る。
「まだ少し時間があるが・・・。ふむ、では老師、手合わせをお願いできませんか?」
その言葉に横島とジーク、ワルキューレは絶句した。
「ふむ、よかろう。」
そういって老師は如意棒を取り出し、戦闘準備を始める。
「霧恵姉ぇ、マジで老師と勝負するつもりっすか?」
横島はおそるおそる霧恵に尋ねる。
「もちろんだ。横島はそこで私と老師の動きをよく見ておけ。他人の勝負を見るのもまた修行だからな。」
そう言って霧恵は両腕に黒いグローブをつけ、額に黒いヘアバンドをつける。
そして、老師から10メートルほど離れたあたりに立った。
「小竜姫、彼女の実力はどのくらいだ?」
ワルキューレが小竜姫に尋ねる。
「そうですね、だいたい3年ほど前にきたときに、すでに人間ではトップクラス、あるいはそれ以上の実力を持っていました。」
「それほどのものなのか。」
ワルキューレは少し驚いた表情で言った。
「ええ、というか、私の修業を受けた後に斉天大聖老師の修行もおこないましたし。」
小竜姫の言葉に横島、ワルキューレは驚いた表情になった。
「へえ、霧恵さんってすごいんですね。」
ジークがのほほんとそんなことを言う。
「まあ、この勝負を見れば彼女の凄さがわかると思います。」
そういって試合場に目を向ける小竜姫。
霧恵と老師お互いリラックスしている感じだが、二人から放たれる気は周りの空間をも歪めてしまうほどに高まっている。
ただ見ているだけの横島たちでさえ、その雰囲気に呑まれ指ひとつ動かすことができない。
あの中に入るなら、世界中の肉食動物を相手にした方が何百倍もましだとたいていの人は思うことだろう。
霧恵が構えを取る。
やや半身になり腰を落とし、右の拳を脇に持っていく。
斉天大聖は半身になり、如意棒を腰の位置に置く、
二人の気がさらに高まる。
もはやいつ弾けてもおかしくない状態だった。
横島の額から汗が吹き出る。
その汗が横島の頬を伝い、地面にポトリと落ちた。
瞬間、
ズドォォォン!!
爆弾が爆発したかのような音がし、二人の立ち位置が変わっていた。
霧恵の服は所々裂け、斉天大聖は口から一筋の血を流している。
さらに二人は同時に地を蹴る。
斉天大聖が連続で突きを放つ。
横島の目から見ると如意棒が分裂しひどくゆっくりに見える。
だが実際は早すぎてそう見えているだけなのだ。
飛行機のプロペラの回転が速すぎてゆっくり回っているように見えるのと同じである。
さらに斉天大聖から発せられている気は桁外れに強く、あの突きの余波だけで上級の悪霊も簡単に滅ぼすことができるであろう。
かすっただけで下級の神魔なら滅ぼせそうだ。
もはや人間を相手にするには大きすぎる力。
その攻撃を、
ビュオオオオ・・・・・!!
霧恵は避け、あるいは流しながら前進している。
斉天大聖の突きによって生じた真空刃が霧恵の皮膚を浅く切るが、あれだけの攻撃に晒されていまだにまともな一撃をもらっていない。
横島たちは、もはや声も出せず二人の闘いを見ていた。
霧恵がついに攻撃範囲に踏み込んだ。
ゴッ!
生身の拳で殴ったとは思われない音を出し、霧恵の右拳と斉天大聖の如意棒がぶつかる。
攻守が変わり、霧恵の攻撃を斉天大聖が受ける。
ドドドドドドドドドド・・・!!
一撃一撃がまさに必殺。人間離れした破壊力を持っている。たとえ上級の神魔でも下手したら致命傷を負ってもおかしくないほどの攻撃である。
まるでマシンガンのごとき霧恵の攻撃を、斉天大聖は受け、流しながら避け続ける。
霧恵の放った蹴りを受け止め、そのまま上空に押し上げる。
霧恵は空中で体勢を変え、右拳に霊気を凝縮し右ストレートと共に撃ち出す。
「気功空裂波!」
凝縮された気が斉天大聖に向かい飛んでいく。
それを続けて3発さらに撃ち込む。
人間の限界を超えた霊力が込められている霊波砲は、しかし如意棒の一振りで消滅した。
その間に着地した霧恵は足に気を送り爆発させる。たった一歩で最速に入り、一瞬にして斉天大聖の懐に飛び込んだ。
「瞬撃殺!」
斉天大聖は避けることができずに吹き飛ばされる。
ここが勝機と見ただろう。霧恵の気がさらに高まる。
もはや肉眼で見えるほどに高まった気が集まり、ひとつの形をとる。
それは龍。
小竜姫に負けず劣らずの巨大な力を持った龍が霧恵の周りをゆっくりと漂う。
「な・・・なんだあれは・・・・・」
あらゆる戦場を駆け抜けたワルキューレが驚愕する。
横島とジークはもはや声も出ず、小竜姫でさえも険しい顔をしている。
「龍気か。まったく、以前よりもさらに巨大になっておるのう。
一体どこまで強くなることやら・・・。」
あきれたような言葉とは裏腹にその表情は笑っていた。
「大技でくるつもりか。ならこちらも見せてやろう。」
斉天大聖は体をひねり気を高める。
霧恵が駆け出す。
一気に斉天大聖との距離を縮める。
それに斉天大聖はためた力を一気に解放し。霧恵めがけて如意棒を叩き込む。
「破神煉獄!!」
「カアアア!!」
霧恵の右拳と斉天大聖の如意棒が激突する。
ズドオオオオオオン!!
二人を中心に巨大な力の奔流が起きる。
地面が割れ、空間が裂けるほどの衝撃。
まさに気の嵐といっていいだろう。
結界の外にいた横島たちも衝撃に吹き飛ばされる。
気の奔流も収まってきて砂塵が晴れてきて結界内の様子が見えるようになった。
そこに立っていたのは斉天大聖のみ。
霧恵は十数メートルほど離れたところに倒れている。
「ふう、さすがに疲れたわい。」
そういって如意棒をしまう。
霧恵も目を覚まし、起き上がる。
「む・・・く・・・・はあ・・・・・さすがに勝てんか。」
少しふらついているが体にそれほど問題はなさそうだ。
「しかし、わしとここまで闘えるようになるとはの。」
「まあ、修行しましたから。」
「・・・ふつうは修行してもそこまで強くはならんぞ。」
ついさきほどまであれだけの死闘を繰り広げた二人がのほほ~んと会話をしているギャップにほかの皆は付いていけていない。
「む、そろそろ時間じゃな。今日はここまでにしよう。」
「さすがに疲れましたね。」
「これ、小竜姫、いつまで呆けとるつもりじゃ。」
「あ、はい、では晩御飯の支度してきます。」
我に返った小竜姫はそういって修業場から出て行った。
「あ、じゃあ俺も手伝ってきます。」
そういって横島も出て行く。
「話には聞いていたが、まさかここまで強いとはな。」
ワルキューレが霧恵に言う。
「そうかな。」
「謙遜することは無い。あの斉天大聖とあれだけ戦えるんだ。
むしろ嫉妬してしまうよ。」
「そうですよ。なぜあんなに強くなれたんですか。うらやましいです。」
ジークも二人に混じって話す。
「ん~まあ、修行かな。」
「そのまんまじゃないですか。」
「そうだな、いっそ横島のように霧恵に修行つけてもらえ、ジーク。そしたらもっと強くなるぞ。」
「う・・・それは勘弁してください。」
横島の修行内容を思い出し顔を青くするジークを見て霧恵とワルキューレは笑いながら修業場をあとにした。
夕食も終わり、皆が寝静まったころ、霧恵は一人外に出て月を見ていた。
「眠れんのか?」
後ろから声をかけられ振り向くと、老師が酒瓶を持って立っていた。
「いえ、ただ月を見てただけです。老師こそどうしてここに?」
「いや、お主と話がしたくての。」
そういって霧恵の隣に腰掛ける。
「いい酒が手に入ったのじゃおぬしも飲むか?」
「いいですね。」
二人は月を見ながら酒を飲み、いろいろな話をした。
たわいも無い話や横島の修行のこと、霧恵のこと・・・。
「なるほどの、しかしこの世界が漫画になっているというのにはさすがに驚いたわい。」
「こっちこそ、漫画で見てた世界にいきなりきたんですから。正直腰抜かしそうでしたよ。」
「まあそうじゃろうな。」
「しかもこの世界ではなぜか女になっているし。」
「なんと、おぬし以前の世界では男だったのか。」
「ええ、といってももう完全に女ですけどね。へたに男のときの記憶を持っているせいでいろいろ苦労しましたけど。」
「おぬしも大変じゃの。
しかし、なぜおぬしがこの世界に来たんじゃろうかの、神魔の最高指導者たちは何も言わぬし。」
「少なくとも彼らの仕業ではないと思う。
私がこの世界に来たとき驚いてましたからね。」
「ま、たしかに。
じゃが、おぬしが来たおかげで助かったの。」
「なにがですか?」
「横島じゃよ。」
「え?」
老師は酒を一口飲み、話を続ける。
「向こうの世界で横島が記憶を転送し、その危険性に気づいた最高指導者たちはわしらをこの世界に送り込んだ。
いくら自分と同一人物じゃからといっても、向こうは上級魔族の力を秘めている。
もし一瞬でも触れたらそのまま侵食され、向こうの世界と同じ、いや、自我を失う分さらにひどいことになる。
そうならないようにわしらが彼を鍛えることになったんじゃが、わしはここから出ることはできん。小竜姫らもこのときはまだ普通の人間であるあやつの所にいくことができん。よしんば連れてきたとしてもこれだけ神気に満ちている場じゃ。どんな影響を及ぼすか想像できんかった。」
いくら魔力よりも体が受けやすいといってもただの一般人、しかも体もでききっていない子供にとってはこれだけ強い神気は返って毒になる可能性がある。
「それに下手をすると両親から離れることになりますからね。」
「うむ。」
「あの文珠自体を消滅させることはできなかったんですか?」
「不可能だったそうじゃ。
文珠がどこにあるかわからんかったみたいじゃからの、
それに、あやつらが本気で妨害しそうでな・・・。」
「・・・なるほど、たしかに。」
「まあ、おぬしが来たおかげでそれもどうにかなった。」
「そうですか?」
「そうじゃよ。
なぜおぬしがこの世界に来たかはわからぬが、わしはおぬしに会えて良かったと思っておる。
きっと横島のやつもそう思っておるじゃろう。」
「私もこの世界に来て、皆と会えて良かったと思います。」
二人は笑いながら酒を飲み交わす。
静かな夜、月に照らされながら
これからも、幸せな世界であるようにと祈りながら
あとがき?
ど~も、お久しぶりです
シマンチュです。
遅すぎてもはや皆さんに忘れられているのではないかと思います。
まあ、こんなやつが書いたこんな作品もそういやあったな~とでも思ってください。
さて、今回で前回書けなかった所が、あらかた書けたかなと思います。
どこかまた書き忘れていたり・・・。
霧恵強し!!自分の中では斉天大聖はアシュよりはるかに強いという脳内設定をおこなっていますので、霧恵はアシュ倒せるなと思ったり・・・。でも戦わせる設定は今の所ないっす。まあ、気まぐれで変わったりするし。というかそこまで話続けられるかわかんないっすけど。
霧恵はまだ本当の力を出せてません。ということは、まだまだ強く・・・(汗)
とりあえず彼女の細かい設定をば。
彼女はいわゆる現実→GS世界という設定です。あと、TS化もしてて、最強キャラ・・・欲張りすぎかな?
彼女の設定についてはちゃんと理由がありますが、多分明かされないかと。もともとこういうキャラなんだと思っててください。
横島も、彼女ほどではないですが強くするつもりです。
とりあえず、某運命なゲームの七騎の奴隷なみの強さになるかと・・・、
え、強すぎ?気にしない気にしない♪
というわけでレス返し行きま~す
>ジャナウ様
いや、彼らは裏でいろいろがんばってますよ。
記憶の移動については今回のを読めばわかるのではないでしょうか。
>なまけもの様
誤字報告ありがとうございます。
ジークもですよ。小竜姫が言い忘れただけで・・・。霧恵はどうなるかね~。
天使はオリジナルになるかと。自分、神話とかそういう系の話詳しくないので(泣)
次回からGSメンバーも出ると思います。出るといいな・・・。
ではまた次回まで!!