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「横島の道、美神の道 その14(GS)」

小町の国から (2006-01-26 13:49/2006-01-26 20:17)
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「ぅうん? 朝か?」

目覚めた横島は辺りを見渡す。ここはパピリオの部屋、横島が妙神山に来た翌日の朝である。

「ふあぁー、起きるか。」

そう言って上半身を起こす横島、ふと隣を見ると。

「ったくー、寝相の悪い奴だな。」

横島の隣ではパピリオが大の字になって眠っている。敷き布団から半ばはみ出し、掛け布団も殆ど掛かっていない。

「っとに、いくら魔族の体が丈夫だからって、油断してると風邪ひくぞ。」

横島はパピリオに布団を掛けてやり、寝室から出る。

「んー! 今日もいい天気だなー。」

横島は濡れ縁を歩きながら空を見上げる。空は澄み渡っており、高地のために気温も低いが清々しさを感じる。

「さて、顔でも洗うか。」

横島は洗面所に向かい、冷たい水に体を震わせながら洗顔を済ませる。

横島が洗面所から出てきた所でこちらに歩いてくる小竜姫と出会う。

「おはようございます横島さん。朝、早いんですね。」

「おはようございます小竜姫様。下界で暮らしていると朝早くからシロって言う名の人狼の女の子が『散歩』と言う名の長距離走をねだりに来るんですよ。おかげですっかり早起きになってしまいました。」

「そうなのですか。あっ、パピリオは起きていましたか?」

「いえ、まだぐっすり寝てますけど。」

「すいませんが起こしてきていただけますか? そろそろ朝の修行の時間なんです。私は玄関を出た所で待っていますから。」

「はい、判りました。」

そう返事をすると横島は部屋に戻りパピリオを揺さぶって起こす。

「おいパピ、もう朝だぞ。」

横島に揺すられたパピリオは寝返りを打って布団の中に潜り込む。

「うぅーんヨコシマ、まだ眠いでちゅ。」

「だめだ、小竜姫様が修行の時間だって待ってるぞ。」

そう言いながら更にパピリオを揺する横島。しかしパピリオは目を覚まさず潜った布団の中で丸くなっていく。

「もうちょっと、もうちょっとだけでちゅヨコシマァー。」

「はぁー、これじゃあ小竜姫様から外出許可なんて貰えないなー。俺もパピリオとデジャブーランドに行くの楽しみにしてたのに・・・・・」

その瞬間パピリオが掛け布団を跳ね上げて起きあがる。

「ヨッ、ヨコシマ・・・起きたでちゅ。」

「おお、偉い偉い。じゃあ顔を洗って小竜姫様のところに行こうか?」

「はいでちゅ」

横島とパピリオは洗顔の後に玄関を出る。そこには手に箒を持った小竜姫が待っていた。

「おはようでちゅ小竜姫。」

「おはようパピリオ、それでは朝の修行ですよ。」

そう言いながら小竜姫はパピリオに箒を差し出す。

「分かってるでちゅ。」

素直に箒を受け取るパピリオ。

「なあパピリオ、朝の修行って何をするんだ?」

横島のその問い掛けに、

「この敷地内の掃除でちゅ。」

ため息を吐きながらそう言うパピリオ。

「ここ全部か?! こんなに広いのに・・・じゃあ俺も「駄目です!」・・・小竜姫様?」

「横島さん、あなたのする事はパピリオの為になりません。これは修行だと言ったはずです。」

「・・・・・・・・そうですね。甘やかすことがパピの為になるわけではありませんよね。・・・パピ頑張れよ。」

横島が手伝ってくれるのかとにわか喜びをしたパピリオであったが、横島が小竜姫側に付いた事でその希望は破れる。

「うっうっう、どうせパピは日陰の女なんでちゅ。薄暗い部屋に押し込められて、性格も胸も終わっている小姑にいびられて暮らすんでちゅ。」

堂に入った泣き真似をするパピリオ。

「パピリオ、修行を追加して欲しいのかしら?」

にこやかな笑顔で小竜姫が尋ねる。

「(ブンブン)そっ、そんな事はありまちぇんよ小竜姫。」

「じゃあ(ビシッ!!)行ってきなさい!」

パピリオは仕方なく箒を持って歩き出す。

「分かったでちゅ、行ってくるでちゅよ。」

「頑張るんですよ。」
「頑張れよー。」

二人の励ましが後ろから聞こえてくるが、今のパピリオには何の慰めにもならない。

「ったく、あいつは何処からあんなセリフを覚えるんだ?」

トボトボと歩いていくパピリオを見送りながら横島はそう話す。

「さあ? てれびじょおんかゲームからでしょうか?」

小竜姫も小首を傾げる。

「じゃあ俺はちょっと走ってきます。」

そう小竜姫に言いながら準備運動を始める。

「分かりました。朝食は2時間後位ですからそれまでには帰ってきて下さいね。」

「分かりました・・・・・・・・・・・・・・・・・・じゃあ行ってきまーす。」

準備運動を終えた横島がそう言って走り出す。

「はい、いってらっしゃい。」

走って遠離っていく横島を見送ると、小竜姫は掃除と朝食の準備をするために母屋に入った。


朝食と食後の休憩を終えると小竜姫はパピリオに課題を出す。

「今日は17ページまでやるんですよ。」

「うー分かったでちゅ。」

元来じっとしているのが苦手なパピリオであるが、横島が見ているし何よりも小竜姫に外出許可を貰うためには嫌だとも言えない。仕方なくパピリオは筆入れから鉛筆と消しゴムを取り出して机に向かう。

「パピリオ、私と横島さんは修行場で修行をしてきますので、それまで一人で頑張るのですよ。」

「えー! ここに居てくれないんでちゅかヨコシマ。」

顔を上げたパピリオが不満を述べる。苦笑いした横島は、

「俺も修行をしなきゃな、パピリオ一人にさせておいて俺がのんびりしているのも変だろう? 俺も頑張るからさ。自由時間になったらゲームでもして遊ぼうな。」

「わかりまちた。パピも頑張るでちゅ。」

横島は手を振りながら小竜姫の後を付いて部屋を出て行く。

「小竜姫様、パピリオがやっていたあれは何なんですか?」

廊下を歩きながら横島が小竜姫に尋ねる。

「ああ、あれは魔界や神界、人間界に関する常識問題です。パピリオはアシュタロスに創られた段階でかなりの知識を予め入力されていましたが、それでも知識不足な事に変わりはありません。霊力の方は私以上に強いパピリオですから、今は知識と精神を鍛える事に重点を置いています。」

「へぇー、そうなんですか。」

「はい、ちなみに人間界の問題は以前私もやったのですが・・・・・・・」

「ですが?」

口ごもった小竜姫を横島が促す。

「100点中・・・・・・・12点でした。」

「・・・・・・・・・・・・・ぷっ・・・・・・・・・あっはっはっはっはっは・・・・・・・はっ・・腹が・・痛ぇ・・・・・」

突然蹲って笑い出した横島に、顔を赤くして俯いていた小竜姫が詰め寄る。

「横島さん! そんなに笑う事無いじゃないですか!」

「はっはっはっは・・・・・いや・・・・・でも小竜姫様って初めて事務所に来た時には、まるっきり御上りさんでしたからね。くっくっく・・・・・・にしても・・・・・しょ・小竜姫様が12点なんて・・・・・くくくくく・・・・・・高校生だったら赤点で追試ですね。」

「いっ、今は違います! 問題集も全て及第点を取りましたし、流行語辞典や外来語辞典もそろえて日々研鑽しています。」

蹲って笑っていた横島が顔だけ上げて、

「じゃあ、パピと一緒に3人でデジャブーランドに行く時が楽しみっすね。くくく・・・・しょ・小竜姫様の一般常識が何処まで通用するか、とくと見せて貰うっす。」

「くっ・・・・・・・・・いいでしょう、私の努力の成果をとくと見せてあげます。」

「わ・・・ははは・・分かりました・・・・・くくくく・・・。」

ようやく立ち上がる横島。

「あー、腹痛ぇー。じゃあそろそろ修行場に行きましょうか?」

「・・・・分かりました。」

そう言って歩き出す二人。

(もう! 横島さんったら、あんなに笑わなくてもいいじゃないですか。竜神である私の事をあんなに笑ったのは家族とヒャクメ以外ではあなただけです。憶えてなさい! デジャブーランドに行った時には完璧な対応が出来るようになった私を見せてあげるんだから。・・・・・・・・・・・・あっ!)

そこで小竜姫は済し崩し的にパピリオと一緒にデジャブーランドに行く事になってしまった事に初めて気が付く。

(まったくさりげなく私も誘うなんて、意識してか無意識かは分かりませんが、そういう優しさが自然に出てくるなんて人間的にも成長したんですね。)

小竜姫は前を歩く横島の背を頼もしく見つめて微笑む。


異空間にある修行場に着いた二人は準備運動を始める。

「それで今回はどんな訓練をするんですか?」

「そうですねー、取りあえずは横島さんの成長が見たいので、何でも有りの自由組み手でもしましょうか。」

「何でも有りですか? ってことは文珠を使っても?」

「ええ、構いませんよ。使う隙が私にあればですけど。」

小竜姫はにっこりと笑いながらそう言う。

「(えっ・笑顔が怖い)あのーまさか小竜姫様って、さっき俺が笑った事を怒ってます?」

「いいえ全然!!」

「(怒っとるやん!)・・・手加減はしてもらえるんですか?」

「勿論です。今回はあなたの成長を見る為なんですから。本気で私が神剣を振るったら一瞬で首と胴が泣き別れしてしまいますからね。」

「(こっ、恐い)それでは?」

「剣は刃引した物を使いますから、首と胴が一瞬で泣き別れなんてことにはなりません。まあ皮膚が裂けたり骨が折れるくらいで済むと思うので、大丈夫ですよ・・・・・たぶん。」

「(全然大丈夫やないやないかー!!)どっ、道具の件は分かりましたけど、小竜姫様の実力の方はどの程度抑えて頂けるのですか?」

「そうですねぇ・・・・・」

小竜姫は顎に右手を当てて考え始める。

「横島さんの実力を一通り把握するまでは抑えるつもりでしたが、さっきあんなに笑われたのでサービスは3割ほど減りました。」

そう言ってにっこりと笑いかける小竜姫。

「(むっ・胸の事で攻撃された時の笑顔に似てる・・・・・やばいのか? もの凄くやばいのか?)・・・・・あっ、俺ちょっと腹の調子が・・・それじゃあそうゆう事で。」

ガシッ!!

「何処へ行くんですか横島さん?」

「あっ! いや・・・ちょっと。」

「さあ、やりますよ。」

「いや、日を改めてやりましょう。」

「だめです!!」

「そっ、そんなぁー。」

横島はそのまま修行場の中央まで引きずられていく。諦めて再び準備運動を始めた横島の横では小竜姫が剣を抜いている。

「あのー小竜姫様、それっていつもの神剣に見えるんですけど。」

「ええ、でも刃は引いてありますよ。やはりこの剣じゃないと調子が出ないもので。」

「いやっ、別に普段の調子を出さなくてもいいんですけど。」

「じゃあ始めましょうか?」

「(聞いちゃぁいないよこの人)へーい。」

小竜姫と横島は正対して立つ。

「準備はいいですね。」

「よくないけどいいっす。」

「それでは・・・・・・・始め!」

その瞬間小竜姫の姿が横島の正面から消える。

(何処だ?・・・左!)

横島の左脇に移動した小竜姫は剣を横薙ぎに繰り出す。

(くっ! 速い・・ってか鋭い!)

防御が間に合わないと考えた横島は後ろにステップをする・・・が、小竜姫の放った一撃の剣圧がそのまま迫ってくる。横島は後退しながら後ろに倒れ剣圧を躱して後転の要領で立ち上がる。

(直接当たらなくてもこれかよ。これが雪之丞が言っていた“見える範囲だけが射程とは限らない”ってやつか。攻撃の鋭さと言い、飛んでくる剣圧の凄さと言い、犬飼ポチなんて問題にもならん位違うな・・・・・はっ、小竜姫様は!)

小竜姫は神剣を正眼に構えたまま動かない。

(今度はこっちの番ってわけか。確かに守りきれる自信も無いし、行けるだけ行ってやる!)

横島は霊波刀を出し攻撃に転じる。袈裟懸け、躱された刀をそのまま返して上へ払う、踏み込みながらの突き、小竜姫が避けた方向へそのまま横薙ぎ、次々と攻撃を繰り出すものの小竜姫には当たらない。何せ神剣で弾かれることも一撃とて無く全て躱されている。

(くっそー、霊波刀だけじゃ駄目かよ。ならば!)

霊波刀一辺倒の攻撃から、蹴りや打撃も織り交ぜて攻める横島。霊波刀の長さも変えて攻撃に変化を持たせようとする。しかし当たらない。小竜姫の動きは決して素早くは見えないのに、横島の攻撃をことごとく避けていく。

(うんうん、攻撃の際の踏み込み、躱されても動きを止めずに次へと繋げる。しかも私の動きに遅れずに付いてくる。横島さんがどの位の期間修練を積んだかは分かりませんが、最後に会った時と比べたら目覚ましい進歩ですね。)

小竜姫がそんなことを考えながら避けている間も横島は攻め続ける。

(うふふっ、横島さんと立ち合うのがこれほど楽しいとは。さーて、そろそろこちらも反撃させてもらいますか。何処まで付いてきてくれるか楽しみですね。あっさりやられたりしないでくださいよ横島さん。)

小竜姫が前へ踏み込み反撃を始める。

(遂に来たか。これを避けたら俺の攻撃が当たらない。サイキックソーサー出ろ!)

横島は左手にサイキックソーサーを出して小竜姫の攻撃を止め霊波刀を振る。しかしその一瞬後にはそこに小竜姫はいない。背後からの気配に踏み出していた右足を軸に反転する横島、視界に捉えた小竜姫は剣を横に薙ごうとしている。

(最初に食らった攻撃かよ。なら剣を振り切らせなければ剣圧もこないはず。)

後ろ側にある左足を踏み込むとともに低い姿勢をとり、左腕を目一杯伸ばしてソーサーで振り切る寸前の神剣を止めるとともに小竜姫の首を目掛けて突きを出す。当たると思ったその瞬間、霊波刀は小竜姫の左足で蹴り上げられていた。更に蹴り上げた左足から踵落としを繰り出す小竜姫。横島は素早く左半身になるとともに後ろにステップをして距離をとる。

(“おっ・音にきこえた神剣の使い手”とまで言われた小竜姫様が、蹴りに踵落としだってぇー?! 一体どういう事なんだ?)
(ふふっ! 横島さんも戸惑っているようですね。私だって進歩していないわけではないんですよ。)

そう、横島が変わったように小竜姫も変わっていた。特にメドーサとの戦いで実質2度も敗れたことは小竜姫にも大きな衝撃を与えることとなったのだ。
“お上品な剣”とまでメドーサに言われたことも要因になり、小竜姫は師である斉天大聖老師に教えを請うた。その結果、勝つ為の守る為の形振り構わぬ剣、そして剣だけでなく己が体の全てを武器とする体術を学んだ。
横島は今、自分が目指そうとしている姿を目の当たりにしているのだ。

(こうなったら、俺のやれることを全てやるしかない!)

「行きます!」

そう一声かけて横島は小竜姫に向かう。小竜姫も迎え撃ち、ここに至ってようやく霊波刀と神剣の激突が起こる。横島の霊波刀は神剣に弾かれる度に大きく変形し、ソーサーで止めた攻撃は左手を痺れさせる。小竜姫と自分では、霊力だけでなく剣の実力でも及ばないことを痛切に思い知らされる。

(こんな当たり前の事実を思い知った程度で引けるかってーの。やる前から分かってんだから。)

横島は更に前へ出て撃ち合いを挑む。小竜姫の上段からの一撃を斜めにいなした時にチャンスが来た。重心の殆どが掛かっている小竜姫の踏み込んだ右足内ももに向かってローキックを繰り出す。小竜姫も左足に重心を移し右足を軽く上げてダメージを減らすが姿勢は不安定のまま。追い打ちを掛けるように横島は上段から攻撃を加える。

「いっけー!!(すり抜ける霊波刀だー)」

小竜姫が剣を横にして構えその攻撃を防ごうとする。

(行ける!!)

一気に霊波刀を振り下ろす横島、それは神剣をすり抜け小竜姫に一撃を与える・・・・・・・・・はずだったのだが、神剣に触れた所から先の部分が掻き消えてしまう。

「あっ、あれ?!」

驚きで一瞬動きの止まる横島。

「何ですか、その腑抜けた剣は!」「しまっ・・・」

今度は小竜姫が上段からの攻撃を加える。頭を直撃するように迫ってくる神剣を何とか体を捻って左手のソーサーで受けようとするが、

めきっ!

防御が間に合わず横島の左肩にめり込む神剣。肩の骨と鎖骨が砕ける。

「ぐっ!」

痛みに耐えて間合いを取ろうと下がる横島だが小竜姫は追撃の手を緩めない。しかも痛めたために腕を動かせなくなった横島の左側から攻撃を加える。

(くそっ! これじゃあ文珠で回復することもできない。)

左半身に何ヶ所もの傷を負いながらも反撃の機会を伺う横島。

(くっそー、左腕が動かせないからバランスが取りにくくて捌きも満足にできねぇー。元より全ての面で劣っている俺には致命的だ、ソーサーでも防げないし。)

何とか右半身の姿勢を取ることに成功して霊波刀で神剣を弾くものの、右足を狙った蹴りや霊波刀で神剣を弾いた直後に襲いかかる拳までは防げない。

(このままじゃジリ貧だ。俺に残っているものはタマモと練習した体の何処にでも出せるサイキックソーサーだけ。しかし、動きの速い小竜姫様相手じゃあ出すのが間に合わない、どうすればいい?)

徐々に壁際に追いつめられる横島、直に後ろにも下がれなくなる。

(どうしました横島さん。あなたの実力はこんなものなのですか? いえ、その目はまだ諦めていませんね。さあ、私にあなたの全てを見せなさい。)

(そっか! こっちから討って出ることによって、小竜姫様の攻撃のバリエーションを減らせばいいんだ。右半身で重心を下げて横薙ぎを狙いに行けば、当然がら空きの頭か右肩を攻めてくるだろう。その程度に範囲が狭ければ何とか出せるかも。・・・これしかない!)

じりっ。

横島の右足が小竜姫の方に向き、徐々に姿勢が低くなっていく。

(迷っている暇なんざぁねえ! 行くぜぇー!)
(来ますね。)

「うおおぉぉぉぉぉーーーーーー!!」

重心を下げ、まるで肩でタックルをするような姿勢のまま横島が小竜姫に迫る。その直情的な攻撃に、小竜姫はがら空きの脳天目掛けて神剣を振り下ろす。

(狙い通り! 出ろ、額だー!)

迫り来る神剣を額に出したサイキックソーサーで受け止め、空いた小竜姫の胴に向かって横薙ぎの一撃を加える予定の横島。

(よし! 止められるぞ。)

額に出したサイキックソーサーに神剣が命中する。

(ここで! ぐわぁあああー)

バキッ!!・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ズズーン!

確かに神剣は受け止めたものの、その勢いまでは殺すことができず、吹っ飛ばされて壁にめり込む横島。すでに意識も失っている。

「・・・・・・・・えーと、横島さんは一体・・・・・・・・・・何がしたかったんでしょう??」

壁にめり込んだ横島を見て、考えもまとまらずに呆然と立ちつくす小竜姫であった。


『あとがき』
どうも「小町の国から」です。

小竜姫とのバトルが終わりました。
今回はちょっと短いような気もするのですが、その後の話まで加えると長くなりすぎるかなーとも思いまして。
それと、今回から心で思っている所は括弧で括ってみました(って言うか今までが統一されていなかった)。この方が分かりやすいかなと考えたもので。

未熟なこの作品を気に入っていただき、感想をくださった方々どうもありがとうございます。
JEAN様の好意的な感想と、“もう少しじっくり書き込んでもらいたい”との意見、参考にさせていただきます。
確かに13話は、この14話のバトルを始める前にアパートの件なり何なりを片づけてしまおうと思ったが為に展開を急ぎすぎでしたね。
今後は期待に添うことが出来るように努力します。
帝様、通りす〜がり様、緑翠碧様からも好意的な感想をいただき、ありがとうございます。
何せ感想の少ないこの作品ですから、本人はやる気満々なのですが『このまま進めていいのだろうか?』と不安になって凹むこともあるもので、本当に助けになります。


さて次回も妙神山での出来事を書こうと思っています。小竜姫に手も足も出なかったうちの横島君はどうなるのか?
頑張って作っていこうと思っています。

それでは「その15」でお会いしましょう。


「小町の国から」でした。

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