唐突ですが、今俺は殺姫と共に近所の公園にいます。二人とも竹刀を手に、俺はジャージ、殺姫はパッツンパッツンのTシャツにブルマーという姿だ。
ちなみに、殺姫さん、偉大なおチチ上様のおかげで、Tシャツが完全に下がりきらず、おへそが見えていますよ?
「てりゃぁ!」
俺は手にした竹刀を気合を込めて振り下ろす。
「ぬるいぞ主……」
だが、殺姫はいともたやすく片手でいなし、俺の竹刀を上へ弾き上げる。
途端に殺姫からあふれる殺気。
避けなくては!ガードしなくては!!
俺はそう思うが、殺姫の殺気に俺はすくみあがり、体が動かない。そのため、がら空きになった俺の胴体に、殺姫の竹刀が決まる。
「……死んだぞ、主」
殺姫の竹刀が、俺の鳩尾部分で寸止めされている。
殺姫が竹刀を引き、肩に担ぐ。
「主、この程度の殺気に怯んでいては、戦うことなどできんぞ?恐怖を感じることは恥ではない。だが、その恐怖に打ち勝てねば戦いの中では生き残れぬ」
そういって、殺姫は竹刀を横に構える。
「さて、主、もう一本じゃ」
「ぜってぇ一本決めちゃる!」
俺も竹刀を構えた。
ナイトメアを退治してから、俺は考えた。
今までの俺は常に美神さんの後ろにいて、ひたすら応援しているだけで、何か情けないと思った。
そして、美神さんがナイトメアに取り憑かれて、泣いている冥子ちゃんやおキヌちゃんを見て、俺も戦えるだけの力が欲しいと思った。
結果的には、殺姫を装備した俺が倒したわけだが……。
でも、近くにいた俺が一緒に戦っていれば、美神さんは取り憑かれていなかったんじゃないか?と感じていた。
現に今までも美神さんは、俺やおキヌちゃんを庇って危ない目にあっていることがある。
……俺はめったに庇って貰えませんがね……。
そんな悩んでいる俺に、殺姫がいってくれた。
「ならば、ワシを扱えるようになればよかろう?ワシは悪霊や妖魔を切ることができる。ワシを扱えるようになれば、美神の足手まといになることもなかろう?」
殺姫の言葉に俺は頷き、竹刀を買ってきて殺姫から剣術を教えてもらうことになった。
しかも、剣術といっても、剣による攻撃だけではなく、拳や蹴り、目潰しといったものまで織り交ぜてくるのだ。
このことを殺姫に抗議したら
「ワシが教えるのは武を極めるための剣術ではない。生き残るための剣術だ。いくら正々堂々戦っても、死んでしまっては意味はない。生き残ってこそ意味がある。まして、相手は魑魅魍魎に妖魔。正々堂々が通じるか?」
この言葉に、俺は頷くしかなかった。
確かにそうだ。相手は壁をすり抜けてきたり、怪光線を撃ってきたり、パイパーって悪魔みたいに相手を子供にしたり、ナイトメアみたいに人の精神に寄生したり……。
そんな相手に、正々堂々ってのは通じない。
良く美神さんの攻撃や除霊方法を裏技なんていう人たちがいるが、生き残るって意味においては確かに理にかなった戦い方だ。
だから、俺も殺姫から教えられることを必死で覚えようとしていた。
最初は殺姫の攻撃を全くかわせなかった(てか、おチチ上様が偉大でそっちに目が行っていた)が、現在では十発中二、三発はかわせるようになった。
結局はボッコボコにされてるんだか……。
何度か打ち合いをしていると、そろそろ美神さんのところへ行かねばならない時間になり、俺たちは着替えて事務所へと向かう。
俺はいつものGジャンにジーパン姿。
殺姫はワイシャツにチェック柄のスカートをはいている。ワイシャツはサイズが合わないのか第三ボタン位まではずされ、偉大なおチチ上様が何とか収まっとります……。
しかも、ネクタイがその谷間に埋まっていて、それがさらに俺の煩悩を刺激するわけで……。
俺はこれを見たとき襲い掛かりましたね。マジで。
でもね、近くにいた愛子さんに迎撃されました。本体の机で!!
ちなみに、この服は愛子の中から出てきた。
……あいつのことはこれから四次元机と呼びたい気分だ……。
「主、あまり胸ばかり見るな。しかもいやらしい視線で……。まぁお主も男だから仕方ないが、節度を心がけよ。自宅であればいつでも見せるがの」
殺姫さんが、妖艶な表情を浮かべて僕を見ます。
ああ!もう……!!!
「辛抱たまらぁぁぁぁん!!!」
「何さらすんじゃい!このがきゃぁ!!!」
俺が飛びかかろうとしたとき、狭い住宅街に野太い男の声が響いた。
殺姫……じゃないな。こいつはそんな声は出さないし。
「主あれをみよ」
そういって、殺姫が指をさした先には、学ランを着たいかつい男が、みょうちくりんな格好をした子供にすごんでいる。
「だから、すまぬとあやまっておろう!!」
「その謝り方が気にいらねぇんだよ!!」
声からして、子供は男の子のようだ。
あ〜あ、いい年こいた男が情けない。小さい子供にそんな真剣に怒って……。
俺はその男のほうに近付いて行く。
「主、ちょっと待て」
「大丈夫だって」
俺は止めようとする殺姫に手を振る。
「ちょっとぶつかっただけで、ここまで怒るとは、お前心狭いのぉ」
「このがきゃぁ!!」
男が拳を振り上げる。
俺はそれを掴むと、ひねりあげる。殺姫に無理やり仕込まれたことだ。
「覚えるのに手っ取り早いのは、実戦じゃ」
とかいいながら、冷たく微笑んで俺の腕をひねり上げる殺姫さんの表情が脳裏に浮かびます。
「イデデデデデ……!!」
「あのさ、子供が謝ってるんだから、許そうよ?」
俺はそういいながら、男を男の子から遠ざけ、突き放す。
「この野郎っ!!」
俺に腕をひねり上げられたのが頭に来たのか、男が拳を構え襲い掛かってくる。
遅いな……。
俺は男の攻撃を難なくかわす。
殺姫にこれでもかってくらいしごかれてるんだ。こんな名も無きいかつい男の攻撃何か、当たるわけが無い。
でも男は無駄な攻撃を繰り返してくるわけで……。いい加減鬱陶しいな……。
こんなときは……。
「撤退!!」
「うわぁっ!」
俺は男の子を脇に抱えると、殺姫と共に走り出す。
「待てやコラァ!!」
綺麗な姉ちゃんならともかく、いかつい男に追われて待つ俺ではない!!
やがて、十分も走ると男の姿は見えなくなっていた。
どうやら、撒いたようだ。
「ふぅ、もう大丈夫だな」
俺は脇に抱えていた男の子を降ろす。
「強いなお前!どうだ?余の家臣とならぬか!?」
男の子は扇子を広げ、胸をそらせ、偉そうにいう。
ここで俺は、初めて男の子を詳しく見てみる。
一本歯の下駄、袴のようなものを穿き、袖の無い着物、腰に挿した刀のようなもの、そして側頭部から生える角のようなもの……。
どっかで見たような格好だよなぁ……。
「主、この小童、竜神族の子供じゃぞ?」
竜神族ってことは……。
「小竜姫様の知り合いか!?」
「お、お前、小竜姫を知っておるのか!?」
途端に竜神族の子供は青ざめて、震えだす。
「さてはお前、小竜姫が放った追っ手かぁぁぁぁぁ!!ち、近付くなぁぁぁぁぁぁ!!!!小竜姫のお仕置きは過激なのじゃっ!!近付けばこの場で自害するぞっ!!」
「何か知らんが……違うから安心しろ!!」
「ほ、本当だなっ!!よ…余は小竜姫なんかちっとも怖く無いぞ!!」
その割にはガタガタ震えてるじゃねぇか……。
「主、小竜姫というのは妙神山の小竜姫か?」
殺姫が腕を組みながら問いかけてくる。
「そうだけど、お前知ってるのか?」
「うむ、前の主と共に一度会ったことがあるぞ。武芸一辺倒の馬鹿だったな」
そういって、殺姫は笑い出す。
あの小竜姫を大笑いする殺姫さん……あんたすごいよ。
「ときに、お前ら。余をデジャブーランドへ連れて行け!」
そういって、男の子が扇子を広げる。
「おいおい、何で俺がお前を連れて行かなきゃなんないんだよ?竜神とはいえ、親がいるんだろ?連れて行ってもらえよ。てか、小竜姫様とこへ帰れよ。お仕置き怖いんだろ?」
俺はそういうと、その子に背を向けて歩き出す。
「まてぇい!」
だが、俺の背中に飛びついてくる。
「余は天龍童子!竜神族の王、竜神族の世継ぎじゃぞ!!余をデジャブーランドへ連れて行けば、これをくれよう!!」
そういって、俺の目の前に出してきたのは金色に輝く一枚の小判。
「こ、これは小判!」
俺はそれを受け取ると、噛んで曲げてみる。
すると、きっちりと歯型が残り、へなっと曲がる。
「ほ、本物かよ!!」
「遊ぶための軍資金じゃ!昔、人間どもが奉納したものをくすねてきた!余をデジャブーランドに連れて行ってくれたら、好きなだけくれてもよいぞ!!」
次の瞬間、俺は片ひざをつき、
「何でもご命令ください、殿下」
忠誠を誓っていた。
「主……」
「お前、邪な奴だな……」
二人の視線が、ちょっと冷たかった。
デジャブーランドに行くに際し、俺たちはデパートに来た。
天龍の服装が目立ちすぎるから、服をまともなのに変えようということになった。
ついでに殺姫がぐっと胸を寄せて、上目遣いで
「ワシにも服を買ってはくれぬか?」
といってきたので、買ってやると即答しちゃいました。
殺姫さん、あなたいつの間にそんな技覚えたんですか?
まぁ金には困ってないしな。
この前のナイトメア撃退で美神さんに国連から賞金が入り、その一部がボーナスとして俺に支給された。まぁ、十分の一にも満たない額であったが……。
それでも、俺は十万単位の金を受けとって非常に嬉しく、一瞬夢じゃないかと疑いましたよ。ええ。
美神さんがそっけない態度を装い
「今回はあんたに助けられたわ!これお礼よ!!」
って顔を真っ赤にしながら俺に金を渡す様子は、意外と可愛かったなぁ。
「さてと、子供服売り場はっと……」
俺が案内板に目を向けると同時に
「い、いかん!」
と天龍が声を上げる。
天龍が見つめていた方向を見ると、そこには黒服にサングラスという実に怪しい二人組みそして、隣には美神さん……。
「あいつら、人間に化けているが鬼門の二人じゃ!!」
「隣に美神さんもいる……」
「どうするのじゃ?」
殺姫が問いかける。
「決まってるだろ。ここで捕まったら、デジャブーランドには行けんし、金ももらえなくなる!選択肢はただ一つ、逃走するのみ!!」
「うむ!余も横島の意見に賛成だ!!」
「ま、ワシは主のそばから離れられんしのぉ……」
それでは三人そろいまして……
「「「撤退っ!!」」」
俺たち三人は、一斉に回れ右をし、一目散に駆け出す。
『あ!で、殿下っ!?』
俺たちの後ろで、鬼門が叫ぶ。
「チィッ!見つかったか!!」
「主!!」
先を走っていた殺姫が従業員用の出入り口を指差す。
俺たちは従業員用の出入り口に飛び込む。
『殿下ぁー!!』
「横島君!何か知らないけど、またあんたグルなの!?止まらないと、ヤキいれるわよ!!」
鬼門の叫びと、美神さんの怒号が後ろから聞こえてくる。
「止まれるかぁ!このガキに味方すりゃ、俺は一生左団扇なんじゃい!!」
そういった瞬間、殺姫が右手を広げ、俺たちを制止させる。
「どうしたんだよ殺姫!早くしねぇと!!」
「そうじゃ!小竜姫のお仕置きが!!」
殺姫が静かな、それでいて殺気のこもった声で言葉を放つ。
「待ち伏せか……。出て来い」
柱の影から二人の男が出てくる。
一人は背が低く小太りの男、もう一人は背の高いやせた男だ。
『ア、アニキ、待ち伏せがバレたんだな……』
『かまうこたぁねぇ。いくぞイーム!!』
男たちがトカゲみたいな姿に変わる。
「何だこいつら!!」
俺は驚き、後ずさりする。
『シャァァァァァァッ!!』
小太りのトカゲが舌を伸ばしてくる。狙いは天龍だ。
「よっと!!」
俺は天龍を脇に抱えると、横に飛んでかわす。
『ふんぬっ!!』
はずれた舌を、本来の姿に戻った鬼門の一人(どっちが右でどっちが左か見分けつかねーよ!!)が掴んで引っ張る。
『いででででっ!!』
『おぬしらは殿下を頼む!!』
「わかったわ!!」
美神さんは天龍を抱えると、走り出す。
『に、逃がさないんだな!!』
イームと呼ばれたトカゲの手が伸び、天龍に迫る。
「させるかぁ!」
俺は美神さんとイームの間に割り込む。
イームの手が俺を掴む形になるわけだが……掴まれたのがズボンのベルト部分なのだ……。
ずるずると引きずられ、半ケツを見せてしまう俺……。
『ま、間違ったんだな……』
「間違いで済ます気かぁ!!掴むならもうちょっと、まともなところ掴めよ!!」
「主……そういう問題か?」
殺姫がこめかみを押さえ、ため息をつく。
いや、助けてくださいよ。
「横島君!自分で何とかしてね!!」
「ま、待て!横島は余の家臣じゃぞ!!見捨てるなどできるか!!」
「連中の狙いはあんたなのよ!!」
そういいながら、美神さんと天龍は走り去る。
『大丈夫だ横島!我ら鬼門がついておる!!』
そういって鬼門の二人が構える。
「止めておけ、お前らでは勝てぬわ」
そういって、殺姫が鬼門の前に立つ。
『お、お前は……!!』
『妖刀殺姫!!』
「覚えていたか、鬼門よ」
そういうと、殺姫は鬼門に軽く手を振る。
『聞いたかイーム。たかが妖刀と鬼の分際で竜族と互角に戦えると思ってやがる!がははははっ!!』
『よ、よく聞いてなかったんだな。でもがはははっ!!』
このイームって奴、頭悪いんじゃねぇのか……。
てか、
「もうそろそろ降ろしてくれない?」
「主、今降ろしてやるから待っておれ」
殺姫が俺に向かって微笑む。
『妖刀風情がいきがりやがって!!!』
『お、俺絶対放さないんだな!!』
「なら、ワシの動きについてこれるかな?」
殺姫が微笑んだ次の瞬間、彼女は俺の視界から消え、イームの前に立っていた。
「『『なっ!』』」
「見えたか?」
殺姫はそう微笑むと、イームのあごにアッパーを決め、そのまま肘を鳩尾に叩き込む。
『うげぇっ!!』
イームが俺を放し、壁まで吹き飛ぶ。
「主、大丈夫か?」
「ああ、なんとかな」
俺は殺姫の出した手をとって立ち上がる。
「今のは?」
「あれか?あれはのう、この前吸収した霊力を脚に集中させて、脚力を上昇させたのだ。そのおかげで移動力が上がり、瞬間移動したように見えたのじゃ」
俺の質問に、殺姫はにこやかに答える。
……こいつを敵に回しちゃいけない気がする……。
『イ、イーム大丈夫か!?』
『ヤ、ヤームの兄貴……』
何か小太り(ヤームとか呼ばれてたか)が怒りに燃えてるような気が……。
「主、あの小太りトカゲ、来るぞ」
「話し合いじゃ無理?」
「無理じゃろうな」
……やっぱりか……。
『お前ら、ぶっ殺す!!』
俺と殺姫の前に、鬼門の二人が立つ。
『お前らだけにいい格好はさせぬぞ!な、左の!!』
『おう!右の!!』
二人が構えるが……こういう場合ってお約束があって……。
『くらえ!!』
ヤームの角から放たれた雷撃が鬼門左を直撃する。
『ぐおあっ!!』
『左のぉ!!』
その雷撃は鬼門を一撃で破壊する。
……俺死ぬ?……
「生きたいなら……わかっておろう?」
殺姫が俺のほうを見て微笑む。
「チッ!しゃーねー!!行くぜぇ!!」
俺は右手を殺姫に突き出す。
すると、殺姫は俺の腕に抱きつき輝く。くっ!このやわらかい胸の感触をずっと感じていたいぜ!!
だが、すぐにその感触は消え、俺の右肩までを覆う鎧となる。
「さぁて、どうしますかね……」
俺は殺姫を握り構える。
『主、はっきり言って今のお主では勝ち目がほぼ無いぞ?ここは撤退を進めるが?』
「そんな事いっても、させてもらえそうにないぞ?」
ヤームの角に電撃がチャージされていく。
『方法はある。ワシの秘密その三、お主が行った事ある場所へ瞬間的に空間を切り開き、繋ぐことができる』
殺姫の刃が輝き始める。
『主、行きたい場所を思い浮かべよ!』
殺姫のその言葉に、美神さんの事務所を思い浮かべる。
『今じゃ、刃を振れ!!』
「でりゃぁぁ!!」
俺が刀を振ると、空間に切れ目が入り、その向こうに美神さんの事務所が広がる。
『今じゃ!!』
俺はその切れ目に飛び込む。
『逃がすかよ!!』
『お、俺もいくんだな!!』
その後をヤーム、イームが追ってくる。
「殺姫!空間を閉じろ!!」
『主、それは無理じゃ。空間を切り開くだけで、霊力を使いきってしもうた。すまぬ。残念じゃが、自然と閉じるのを待つしかあるまい……』
殺姫の鎧は、すでに篭手状になっていた。
ナイトメア、もうちょっと霊力もってろよ!!!
『いくぜぇ!!』
イームの角から雷撃が放たれる。
「うひゃぁぁ!!」
紙一重で雷撃をかわす。だが、その雷撃は俺の後ろにあった机に直撃、そして大破……。
あっ!それ確か美神さんのお気に入りで、数百万したとか……。
「お前らー!!何してくれるんだぁ!!!この机数百万するんだぞ!!!こ、これが美神さんにばれたら……」
『い、いや戦ってるんだから、この際関係ないんじゃないのか……?』
『お、俺もそう思うんだな』
俺の頭の中では、敵を事務所に引っ張ってきてしまった上に、机を大破させたことで半殺しどころか、全殺しされてる俺の姿が……。
いや!ここでこいつらを俺が倒せば、きっと俺のことを見直して、恋人同士になったりして……。
「ぐふぐふふふふ……!横島忠夫、やったるでぇ!!」
『主……もう少し真面目に出来ぬのか?』
『な、なんか突然やる気出したな。こいつ』
『き、気持ち悪いんだな』
トカゲみたいなのにいわれたかねぇ!!
俺が刃を構えたその時、勢い良くドアが開き、美神さんと脇に抱えられた天龍が入ってくる。
マズイ!!
俺は美神さんと天龍を守るために飛び出すが、それよりも速くイームの手が天龍を掴み、美神さんを床に押し倒す。
「クッ!何でこいつらが!!」
美神さんが倒れたときに打ち付けた、頬を押さながら立ち上がる。
「すんませぇぇぇぇぇん!鬼門がやられて、殺姫の能力で空間を切り裂いて、ここまで移動したはいいけど、そこで殺姫の霊力が尽きてしもうて、空間を閉じることが出来なかったんですぅぅぅぅ!!!」
『美神、すまんな。許せ』
「ふざけんな横島ぁぁぁぁ!!!特に殺姫!!あんた反省の色全然ないじゃない!!!!」
俺の首を、美神さんが力の限り絞めてきます。
ご、ごめんなざい!もうじまぜんからだずげで!!!!
『お、おい、敵の俺らがいうのもなんだけど、その辺で許してやれよ……』
『そ、そうなんだな。誰にでも間違いはあるんだな』
ヤーム、イーム……お前らって意外といい奴?
「お、お前ら!余を殺すのかっ!!こ、怖くなんてないぞっ!!今すぐはなせぇ!!」
イームの腕の中で天龍がわめき出す。
『ご冗談を!いくら俺たちでもそんな大それたことたぁしやしませんよ。竜神王陛下の竜宮での会談が終わるまで閉じ込めておくだけでさ』
「ほ…本当か!?余はちっとも怖くないぞ!!嘘だったらただじゃおかないからな!!!」
『ほ、ほほほ本当なんだな』
怖くないなら、なんでガタガタブルブル震えてるんだよ……。
その時一瞬にして、ローブをまとった一人の人物が現れる。
その人物からは、ものすごいプレッシャーのようなものが放たれている。
『だんな!?』
イームがそいつをそう呼ぶ。
「ご苦労!ヤーム、イーム」
こいつ、俺の第六感に何か感じる……。こいつはもしかして!!!
『主、気付いたか?』
「ああ、こいつは……女に違いない!それも飛びっきりのチチをもった!!!」
「アホかお前はぁぁぁ!!!」
俺の後頭部に、美神さんの容赦の無い突込みが飛ぶ!!
「あんたねぇ!あいつからは凄い霊力が放たれてるのよ!!しかも魔族の!!」
美神さんが謎の人物……いや!偉大なチチ上を持つ美女(仮定)を指差しながら説明する。
『美神、こいつはそういう奴じゃよ……』
あれ?殺姫さん、フォローしてくれないんですか?
「『は、話を進めてもいいか?』」
「すみませ〜ん!この馬鹿が話の腰を折っちゃったようで!!どうぞ、続けてください」
美神さんが俺をしばきながら、謎の人物(美女に違いない!!)とヤームに話を続けるように促す。
『そ、それじゃ、約束の礼の方を』
イームが手もみをしながら近付く。
「うむ!受け取れ!!」
そういって、謎の人物が右手を突き出すと、俺たちの周りを三枚の石版のようなものが取り囲む。
『こっ……こいつは火角結界!?だんなっ!!これは一体!?』
「知る必要はない!大人しく死ね!!」
そういうと、その人物は現れたときと同じように、一瞬でその場から消える。
「なぁ殺姫、火角結界って何だ?見るからにやばそうなんだが……」
『火角結界とはな、中に閉じ込めたものを一瞬にして灰塵へと変える強力な結界じゃ。あと三秒じゃな、発動まで……』
……俺の人生あと三秒?
嘘だろっ!!こうなったら出来ることはただ一つ!!!
「美神さぁぁぁぁぁん!!あと三秒でやれることを!!!」
「この土壇場でお前はそれしか出来んのかぁぁぁぁぁ!!!」
俺が美神さんに迎撃されるのと、俺たちを閃光が包んだのは同時だった……。
あとがき
今回は殺姫分が少ないような気が……。
次回は多くなるはずです!!たぶん……。
それと、霊力使い切っちゃいました。皆様お待ちかねロリっ娘殺姫光臨準備完了です。お待ちください!
レス返しを
*ヴァイゼさん
>初っ端から横島、危な〜〜〜〜い!!!!!って思いましたが
既にクラスにはアウトの奴らが一杯いるよw
横島のクラスでは、現在ロリっ娘殺姫旋風が吹き荒れていますw
*アルデバランさん
>今度は霊力を吸収して成長した姿で学校に行ってみてほしいっス!!
その模様をお伝えするには、もう少しお時間をください。 m(_ _)m
*ケルベロスさん
>ところでその格好のまま事務所に行ったら・・・別の所に逝っちゃうぞ横島!(^_^;)
もう何度か逝ってます!(爆
*ゆんさん
>愛子が愛子が・・・イイw
むしろ、愛子も横島に括られて<マテ
横島ハーレムを形成しろと!! Σ(゜Д゜;)
*ねこTさん
>よーし、次はスク水!?
伝説の白スク水をおすすめします(透けるとか)
後はだぼだぼのシャツやセーター、エプロン!
そして猫耳猫尻尾でKOか!?
おおうっ!その衣装が全てそろえば、彼女はパーフェクトな存在と化しますね!!
*覇邪丸さん
>さぁ横島よ!!!!自分がロリコンでもあることを認めるのだーーーー!!!!!
そして殺姫にあんなことやこんなことしてもいいじゃないかーーーーー!!!!!!
横島のロリコン化は着々と進行中です。もうしばらくお待ちください(爆
*黒川さん
> 女王さまの部分を委員長とルビを振った途端、違和感が無くなりました(^^
やはり、そこは委員長にすればよかったですかねぇw
*沙耶さん
>N.W.さん。
・・・アンタ、『萌え』がわかっているね(ニヤリッ)
さ〜てと、次は何? メイド? それともスク水?
もしくは、ゴスロリ(黒以外は俺が認めませんよ!)?
お褒めの言葉ありがとうございますw
彼女の次の新武装は期待してお待ちくださいw
*四音さん
>愛子がはじけてますね〜、横島は・・・このまま突っ走れ(グッ)
走り出した横島は止まりません。ついでにはっちゃけた愛子も、もう戻れません。(爆
*LINUSさん
>タマモが横島に憑いたら、恋の鞘当の挙句に意気投合したりするんでしょうか?それとも独占欲強いのかな>殺姫
殺姫さんは、心が広いので浮気も男の甲斐性と認めてくださるはずです。でもあんまり広げると、斬られそうですが。
*白銀さん
>唐突ですがN.W.さん。
アナタは最高だ! My.ハートを『ズキューンッ!』と撃ち抜いてくれたキャラは久しぶりです!
殺姫タンは『ツルペタボイン』で2度美味しい!! 『スレンダー』が加われば3度美味しくて俺は昇天!(滅
さあ漢横島忠夫!! 祝福された禁断の世界に突貫だ!!!
お褒めの言葉、ありがとうございます。
ツルペタにボインが加わって、さらにスレンダーですか!?その姿はまさにパーフェクト殺姫!!
*BDさん
>Yシャツ+殺姫の状態は裸Yシャツですか?
え?当たり前じゃないですか?そんなの標準装備ですよ?(爆
*Siyさん
>どうせなら大も小も兼ねる殺姫で18禁も書いてみては!。
今んとこ、色々いっぱいなのでしばらくお待ちください。
*ryoさん
>これからも横島と殺姫が仲良くなり親愛な関係になりますように。
二人の仲は加速していきますw
*kntさん
>アイタタタタタタタタタタタタ、アイタァ!
お前(横島)はもうロリコンだ。
もう片足以上突っ込んでますw
*藤竜さん
>横島が一番まともに見える学校生活書いた二次創作ssってあまりなかったような気が…
そういや無かったですね……。てことは、横島のクラスは彼以外皆ヤヴァイ!?
*なまけものさん
>しかし横島よ……見た目8才くらいの殺姫に欲情しちゃったら、ロリというよりももうむしろペ○?
ぬっ!そういやそうですね!!でも、愛があればそんなのは関係なしってことで。(爆