「ひゃう!」
薫は突然目が覚めた。
「ふえ? なんだ?」
寝ぼけた様な視界にうつるのは薄暗い部屋。
女の子座りしている足に、シーツの感触があった。
「ベッド・・・? あ、そっか・・・」
夕べ三人で皆本の寝室に押入って、ていこーする光一を無理矢理『説得』し、一緒に眠っていたのを思い出した。
「・・・まだ夜だよな・・・もっかい寝よ・・・・・・・あ、あれ?」
もう一度ベッドに倒れ込もうとしたその時、寝床独特の温もりと別の暖かさが丁度自分の『股間』に別にあるのに気がついた。
しかも、その暖かみは熱を増しながら自分の『中』にまで続いている。
「いっ!!??」
今までに経験の無い違和感にあわてて立ち上がろうとするが、それは出来なかった。
自分の幼い腰を押さえ込む手があったからだ。
「な、なんだよ! は、はなせよ! こらぁ!!」
懸命にもがくが、その手は動かない。
キツくはないが、ガッシリと掴んでいて薫の抵抗ではビクともしない。
それどころか、もがいた途端に下腹部にあった違和感が『異物感』である事に薫は気づかされた。
「うげっ!?」
自分の『中』に何か入ってる。
それも、小刻みに脈打つ様に蠢いている。
その事実の異様さに、薫の顔からサーッと血の気が引いていく。
理屈でなく、自己防衛の本能が『ニゲロ ニゲロ』と、薫に訴えてきていた。
「はっ、はなせ! はなせよぉっっ!! 気持ち悪いんだよっ!!」
しかしいくらもがこうとも、その手はビクともしない。
それは明らかに大人の腕である。彼女の体力で抗える筈もなかった。
「こ、この!! 誰だよ! おま・・・え・・・・・・・・えっ!?」
薫は奥底から感じる生理的なおぞましさを懸命にこらえ、その腕をたどってその主を睨みつけた。
しかし、薄暗がりの中で彼女の瞳に映った顔は意外なものだった。
いや、本当は意外でもなんでもない。
なぜなら彼女は・・・否、彼女達は自ら『彼』のいるベッドに潜り込んだのだから。
「み、皆本!?」
それは彼女達の上司。
そしてある意味『玩具』。
そして、自分達が日々自分をアピールし続けている相手。
超能力者支援機関『バベル』の、チーム『ザ・チルドレン』の担当官・・・
皆本光一だった。
なんで!?
それが薫が最初に思った事だった。
皆本が自分を拘束してる?
自分に『なにか』してる??
なんでっ!!?
ショックとその「ある筈が無い」。そう無意識に信じてた彼の手による異常な状況に混乱する薫。
その彼を見つめる薫の目は徐々に薄暗さになれていき、皆本の様子が徐々に見えてきた。
裸だった。
本来知性派とはいえ、日頃のヘビーなダメージとリカバリィに慣らされているせいか、細身の割に引き締まった筋肉の付いた男性の・・・いや、『男』の肉体が、薫の目にまともに映っていた。
『え? え? え???』
それに気づいた時、薫の混乱した脳裏に一つの事柄が思い浮かんだ。
バッ!!
慌てて皆本の胸板から自分の体の方に視線を移すと、そこにはやはり素っ裸の自分の体があったのだ。
そして、薫の股間は皆本の股間とぴったりと重なる位置に置かれていた。
「あ・・・あああ・・・・ああああああああああっ!!?!!!???」
薫も情報過多のご時世の娘である。
男性のソコに何があるのかくらいは知っている。
そして、それが何の役割を持っているかも・・・
コレ、ミナモトノ・・・・?
自分のお腹の異物の正体が知れた時、薫の中に生まれたのもの。
それは『喜び』でもなく、
裏切られた『哀しみ』でもない
ただひたすらに純粋な『恐怖』だった。
「い、い、イヤァァァァァァァァァァーーーーーーーー!!」
普段の薫からは思いもよらない、悲痛な声・・・『悲鳴』があがった。
その声を聞いた事を合図にしたかの様に、薫の腰を掴んだ皆本の腕に力が入った。
ずぐっ
「ぁぁぁぁぁぁひぃっ!?」
腹のモノが更に奥へとすすみ、行き止まりを突き上げる。
思わずお腹の中身全部が、押し上げられた様な錯覚に薫は陥った。
このまま喉までも貫かれてしまうのではないか。
怯えで思考停止してしまった頭に、そんな妄想が浮かぶ。
「あ・・かぁ・・・・や、やぁ・・・・・」
ぽろぽろと、いつも強気な視線を向ける彼女の大きな瞳から涙の雫がこぼれ落ちる。
「や・・・やめ・・ろ・・よぉ・・・・・」
薫は辛うじてそれだけ言うと、ギクシャクとしか動かせない両腕で腰を掴む皆本の腕をどけようとする。
すると、それに応じた様に彼の腕は薫の腰を持ち上げ始めた。
中のモノもそれにあわせて引き抜かれて行く。
「ふぁ・・・」
皆本が言う事を聞いてくれた。
そう薫は思った。
だが、
ずん!!
「きゃはぁっ!!?」
その思いは、引き抜かれた分を再び突き上げられた事で、一瞬で砕け散った。
ずず・・ずんっ ずずず・・・ぐずっ ずずずちゅ・・・ぐちゅ
「~~~~~~~~~~!?☆?#!!!???」
そしてそれは一度では留まらず、二度三度、四度と繰り返される。
やがて薫の股間から、潤んだ音が聞こえ始める。
「(ひゃい? なに? まさか・・・!? そんなっ! そんなのウソだ!! やだぁっっ!!)」
それを聞き甦った、今より幼い頃の恥ずかしい記憶が薫の身体を朱に染めた。
彼女の経験ではソコがぬれる理由は一つしか思い浮かばなかったから。
ちゅく ぐちゅ ぷしゃ
しかし、そんな薫の気持ちを無視したままに、股間の水音は湿りを増して行った。
「や、やめ・・・あ・・・ヒッ!??」
そんな中で薫はある一瞬に今まで感じた事の無い刺激を身体の中で感じた。
それは今までの薫が知ってるどれとも違う『気持ちよさ』だった。
こんな気持ち悪くて苦しくて、そして恥ずかしい思いをしてるのに感じた気持ちよさ・・・その矛盾は薫を更に混乱させていく。
「あ、あ、あが、ああああ、あくぅあぁぁぁぁぁぁ~~~~~~~~~!!?」
しかし、その『気持ちよさ』は、皆本の腕に合わせた上下の動きが激しくなるにつれ、一瞬のものでなく確かな感覚として存在し始めた。
じゅく、じゅく、じゅぷ、ぐちゅ、ぷちゃ
「ひ、は、はう、はっ、はっ、はっ、あっ」
瞬きすら忘れたように見開かれた瞳から涙をこぼし続ける薫の中で、そのかゆみを掻いてホッとするのに似て・・・それでいて異なる強烈な感覚はどんどんと強さを増してゆく。
そしてついには薫の感じる事の出来る『全て』へと置き換わろうとしていた。
「(なんで、なんでだよぅ・・・こんな、ので、なんで、きもちいいんだよぅ・・・)」
霞み始めた思考の中で、辛うじてそう考える薫。
しかしその口から出るのは既に途切れ途切れの荒い吐息ばかりとなっていた。
スルッ
「ひゃっ!?」
それは突然だった。
薫の両脇から、別の誰かの腕が滑り込んで来たのだ。
その手が擦れた感触に薫は過剰なくらい敏感に反応する。
「だ、だれ・・・?」
いつのまにかよだれに塗れていた口が辛うじて言葉を紡ぐ。
だが、その手は答えずに彼女の両胸を覆う様に掴み込んだ。
「きゃはぁっっっ!!」
その途端、乳房とさえいない薫の未発達な胸から、全身に強烈なしびれに似た感覚が走り、弾みで飛び出した肺の中の空気が、薫の口から勝手な鳴き声をあげさせた。
それを合図にした様に、その手は薫の胸をこねる様に愛撫し始める。
そうなると薫は、胸から走るしびれを絶える間もなく受け続ける事になる。
それは下腹部からの感覚と重なる事で更なる未知の感覚へと変わり、薫を翻弄した。
「あ・・・あは、は、は、はん、あん、ああん」
やがて、薫の口から鼻にかかった甘えた声が漏れ出した。
股間の動きはテンポがあがり、後ろの誰かは薫の胸以外にも耳やうなじを舌でなぶり出す。
もはや完全に惚けてしまった薫は、そこから受ける刺激をただ従順に受け入れていく。
と、皆本の右手が薫の腰から離れた。
同時に動きは上下から円を描く様に変わり、その変化は薫に更なる感覚を教える事になる。
「きゃふっ!!」
そして薫は自分の中で何かが膨れ上がってくる事に気づく。
今全身を支配してる『きもちいい』感覚が、収縮して行く様な、逆に膨れ上がって行く様な。
いずれだったとしても、その先は『爆発』である事が直感で理解できた。
そうなったらどうなるのか。
今でさえ、『明石 薫』である筈の自分がわからなくなってきている。
そこにこの『爆弾』が破裂したら、自分は・・・『明石 薫』でいられるのだろうか。
コワイ・・・
怖イ・・・・・・
怖い、怖い、怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い!!
しかし心が縮む様な怖さを感じながら、その身体は酔った様にその『爆発』を促して行く行為に甘んじていた。
まるで、自分から「自分を壊せ」と望んでいる様に。
変だ アタシは ヘンだ
クルッテル
怖イノ アタシはコわレタクなんカナイの
だが、そんな擦れた理性に浮かび上がる言葉には、薫の身体を動かす力は塵程も無い。
「あ、あ、あん、あふぁ、あん、あん、あああああ!!」
うなじにキスされる度、耳たぶを噛まれる度、胸を強く握られる度、そして突き上げられこねまわされる度に、薫の頭の中で幾度もフラッシュの様な閃光が走った。
その都度、全身に震える様な『喜び』が走る。
そして、
「ひゃはあっ!!??」
離れていた皆本の右手が、薫と繋がった所にある小さな突起をキュゥッと摘まみ上げた。
その途端、脳天まで突き抜ける様な衝撃(としか感じられなかった)に襲われ、薫はついに微かに繋がっていた理性の枷を弾き飛ばされてしまった。
もう止められない。止まらない。
薫はなすがまま、されるが侭に『追いつめられて』ゆく。
内に膨れ上がった『何か』は、もう破裂させてくれと言わんばかりに限界に来ている。
して
して!
してぇぇぇ!!
何を?・・・・・それは薫も知らない。しかし薫は必死で“それ”を求める。
そして、その声無き望みに応えたかの様に、薫は今までで一番深く中を突き上げられた。
「はぁっ!」
同時に中のモノは脈打ちながら膨れ上がって・・・・・
薫の中に、熱い何かを吹き出した。
「うあああああああああああああああああ!!」
その瞬間、身の内にあった『何か』も一緒にはじけ、それと同時に薫自身も消し飛ばしそうになる。
「や、やはああああああああ!?」
止めどなく中に吹き出すモノの熱さに、頭の中がドンドン真っ白な火花に埋められてゆく。
そこにトドメが容赦なく加えられた。
ギュッ!
「 ! 」
薫の胸をいじめていた手が、それまでワザと触れていなかった先端の蕾みをキツくつねり上げたのだ。
その途端に
パチン
頭の中で、何かが切れてしまった音がした・・・・・・・・・と、薫は思った。
薄暗い筈の部屋が、真っ白な光で消えてゆくのが見える。
ああ、アタシもあの中で消えていくんだ・・・と、薫は惚けた笑い顔をしながらそれを受け入れて行った。
「あ・・はぁ・・・」
最後に、満たされた声をもらしながら。
「・・・!・・・る・・・・かおる!」
誰かに頬を軽く叩かれ、『皆本 薫』は目を覚ました。
「ん・・・あ・・・・・」
「よかった。気がついたか。」
「大丈夫か?」
薫が顔を上げると、そこには夫の光一と、“同妻”の葵の心配そうな顔があった。
「あ・・れ? どーしたの?」
薫がそう答えると、二人はホッと息をつく。
周りを見れば、オレンジの光を放つナイトスタンドと、広いベッド。
すっかり見慣れた夫の寝室だった。
ちなみに、夫婦の親密なスキンシップ中だった三人は当然裸である。
薫は光一の胸に倒れ込む様にしていた。
「どーしたやないわ。白目向いてぶっ倒れたからびっくりしたんやで!?」
「え? あたしが?・・・・・あ、そういえば・・・・・」
まだハッキリしない頭に朧げな記憶が帰ってくる。
「しかしびっくりしたな。あんなになったの初めてじゃないか?」
「ほんまや。アホみたいに口開けっ放しにして、終わった途端にバッタリと来て・・・・そんな良かったんか?」
少しからかいも含んだ葵の問いに、薫は首を傾げながら答えた。
「んー・・・。なんて言うか、今のって前にもあった様な感じがしてさ。」
それを聞いて、光一と葵は訝しげな顔になる。
「なんか、こう・・・『すごく昔』にこんな事された様な・・・・」
ビキッ
「光一・・・ あんた、ま、まさかそんな昔に薫を・・・?」
「バカ言うな!! そーいう趣味は誓って無いっ!!」
「いや、あんたにのーても薫の方からなら・・・」
「どーいう意味だ!!」
ひとしきりキャンキャンと他愛ない言い合いがすむと、薫は改めて言い直した。
「なんてゆーかさ。前にも同じ事があって、その時の自分が重なって来て、その分も・・・その、凄くなったっていうか・・・そんな感じでさ。」
「デジャ・ブってやつか?」
「んー・・・そうなのかなぁ?」
そう言って首を傾げる薫に、光一の傍らで頬杖を付いていた葵がぽつりとと言った。
「それ案外、ホントにそうやったりしてな。」
「? なんだよそれは。」
葵の言葉がよくわからなかった薫は、訝しげな顔で問い返す。
「うちが前に読んだ科学誌の企画モノの中でな、『タイムマシーンの実現性は?』って題で、いろんな立場の人が見解を書いとったんよ。そん中の一つになんとか言うSF作家の意見で『デジャ・ビュこそが時間旅行の証である』って言うんがあったんよ。」
「へえ、それで?」
葵の話に興味を感じたのか、光一も話を促した。
「うん、つまりな。時間ゆうのは三次元の立場にたっては見えへんもんやけど、人間個人には『人生』って確実に通り過ぎた時間の道がある。そして『過去』が存在するんなら、その過去には一緒に連なって存在する自分自身がおる。三次元に括られた身体は過去へは戻れへん。けど、『こころ』なら身体の束縛を受けず、自分の心をたどって過去へと旅が出来る。そして、『既視感(デジャ・ビュ)』こそが、過去へ・・・もしくは確定された未来へと旅をした心の記憶の証なんや・・・・・ってな。」
「・・・つまり、昔のアタシの心が今のアタシの所に来てて、今さっきのコトをアタシと一緒に体験してったって事か?」
「かもな♪・・・って話や。考えてみたら、あんたが一番早う光一とのエッチに馴染んだもんな。心だけ先に予習しとったんと違う?」
「ん、んなことアタシ覚えてないよ!」
「覚えとらんからデジャ・ビュなんやろ? ほれにそんな事言うても・・・」
クスッと笑って、葵は光一と薫の『繋がりっぱなし』の部分を指差した。
「こんなオネショみたいに『ずぶぬれ』にしとっては、説得力無いわ♪」
「あっ! っっっていうか葵! あのタイミングで胸弄るなって言っただろ! その、き、キツすぎるんだから!!」
「ごめんこめん。そやけどイク時のあんた、すごい無防備で可愛いんやもん。つい、いじめたなってしもて♪」
「あのな~~。お前だってここ弱いだろ! この!」
「きゃん! あ、薫、堪忍! わ、脇はやめて! あー、あかんゆうてんのに~~~」
「だめ! 罰だ罰ー!」
子猫同士の様に、互いの身体を弄り合ってじゃれ合う二人。
健康的なボディラインが艶かしくうねりあい、二人の形よく立派な乳房が潰れたり揺れたりで大変だ。
それを至近距離で見せられて、堪らなくなった光一が声を上げた。
「こ、こら薫! 跨がったまんまで暴れるな! ま、また・・・」
その声に光一の方を向く二人が、次いで薫の下腹部に目をやる。
「・・・あ、元気♪」
へその下に手を当てて、薫が嬉しそうにそう宣うた。
「あのなーーーー!!」
「ええやん、明日は光一非番やし。もっかいしよ♪」
「じゃ、第2ラウンド開始ー!」
「いや待て、もう少し休ませて・・・」
「大丈夫! サービスしてあげるから♪」
「うちらもしばらくご無沙汰やったし、問答無用や。ン・・・」
「ム・・・」
星明かりだけが地を照らす深夜の皆本邸。
その一室の明かりは明け方近くまで消される事は無かった。
「ひゃん!」
まるで何かに驚かされた様に『明石 薫』は目を覚ました。
「・・・あ、あれ? なに? 夢???」
心臓が飛び出して来そうなくらい早く打ち、息も全力で走った後より荒い。
なにか『ものすごい』事があった様な気がしてるのだが、頭の中が真っ白でなんにも浮かんで来ない。
胸に手を置いて動悸を落ち着かせると、薫は辺りに顔を巡らせた。
皆本のセミダブルのベッドの上で葵と紫穂が両腕を拘束する様に掴んで眠っているのが目に入った。
そうだ。夕べ皆本を説得(?)して、彼のベッドに潜り込んだのだった。
自分は皆本の胸を枕にする様にして眠っていた筈だ。
皆本も少々寝苦しそうだったが、『パジャマ姿』で寝息を立てていた。
すべて、自分が眠る前と同じ。
「ホッ・・・・・」
それが薫を何故かひどく安心させた。
「・・・・・まだ、夜・・・だよな? もっぺん寝・・・・・・・・・!!?」
カーテンがまだ暗いままなのを見た薫は、二度寝しようと身体を横にしかけて・・・何故か再び跳ね起きた。
「(ま、まさか・・・・・!?)」
薫は恐る恐る、布団の中に隠れてる自分の下半身へ手を這わせた。
ぐちょ
「!!~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!」
それは、まるでバケツに浸けて引っ張り出した雑巾そんまんまの感触だった。
薫は信じられず何度も確認するが、それが一部分どころではすまないと言う事実を知らされるだけの結果に終わる。
「そ、そんな・・・あ、あたしが、お、お、おね・・・・・・」
ずっと昔にさよならした事の筈だった。
それがなんで? よりにもよって今!!
夢か!? 覚えてないけどさっきの夢のせいなのかー!??
「うん・・・どうしたの? 薫ちゃん?」
「ヒッ!?」
薫の動揺を感じ取ったのか、紫穂が眠そうな目をこすって顔を上げていた。
「なに? どうかしたん?」
「ヒィッ!!?」
隣に寝てて、何度も布団を持ち上げられたせいだろう。
葵も寝ぼけた声で半身を起こしていた。
そして・・・
「ん・・・なんだ? どうかしのか? 薫。」
皆本もナイトスタンドの明かりを『強め』て起き出してきた。
「ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」
なんてタイミングなのか。
薫は心の底から神様を怨んだ。
しかし、もうどうしようもない。
特に皆本のパジャマは盛大に巻き添えを食ってるのだ。
あと数秒も要らず事態に気づくだろう。
「あ、あは、あははははははははははははははははははははははははははははははは」
「薫?」
ぷっつん
「~~~~~~さいきっくぅ・・・・・・」
「「「うん?」」」
証 拠 隠 滅
「ウォーターフォールダウーーーン!!」
その瞬間、寝室の天井と壁が・・・爆ぜた。
バカーーーーーーーン
どばしゃーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!
「「「うああああああああああ!!?」」」
その日
皆本光一の寝室は、乙女の恥じらいによるスプリンクラーの大破裂によって水に没し、その引き換えに薫の尊厳は護られた。
そしてその陰で、一つの難解な事象を証明する希少な体験も、その少女の記憶の闇へと沈んだのであった。
絶対可憐チルドレン パラレルフューチャー
Dances with Wives! 2.5
~デジャ・ブ~
おしまい
あとがき
遅まきながら、新年あけましておめでとうございます。
・・・って、あけた早々に何書いてんだ、私ゃ。
半端な18禁ですが、ここまで読んでくれてホントにありがとうございました。
disraffさん、指摘ありがとうございます。
修正しました。