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「霊光波動拳継承者『横島』(改訂版)19話(GS+幽遊白書+いろいろ)」

柿の種 (2006-01-10 20:26/2006-01-10 23:36)
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 伊達雪之丞、戦闘力だけとってみれば日本で5指に入る実力のゴーストスィーパー。その彼が今、立ち向かっているのは巨大な狼。フェンリル狼と呼ばれる、北欧神話にその名が残る旧神であった。

「ちっ。こいつは、流石にとんでもねえな!!」

 その爪を、牙を、そして口内から生み出される巨大な霊波刀を雪之丞は人間離れした速度で回避する。足に魔装を集中させる事で強化された彼の脚力は並みの人狼をも凌駕していた。

「はあっ!!」

 かわしながら霊波砲を放つ。しかし、その攻撃はフェンリルの毛皮を焼く事すらできず、全て弾かれてしまう。

「硬さの方も流石だな!! だからこそ、試し甲斐がある!!!!」

 にも関わらず、雪之丞は自らの攻撃が効かなかった事に嘆くどころか、喜びの笑みを浮かべていた。そして、そこで、彼は膝を曲げ縦に高く跳躍した。フェンリル狼の頭上を跳び越す程に強く跳躍し、そして舞い上がりながら魔装の形態を変化させる。

「喰らいな!! これが俺の新必殺技だ!!」

 脚部に収束されていた魔装は拳から肘を覆う形へと変わる。そしてフェンリル狼がその動きに反応し、顔を向けようとするよりも早く彼はその拳を頭部へと2度叩き込む。

「グゥオオオオオオオオ!!!!!

 2度目の拳が叩きこまれた瞬間、フェンリル狼は断末魔の悲鳴をあげ、消え去った。


「す、凄い威力だな」

 シミュレータによって生み出されたオリジナルと同じ能力を持ったフェンリル狼を一撃で倒した雪之丞に対し横島が思わず呟く。横で見ていた美神の方はもはや呆れ果てた表情だった。

「まったく、あんたといい、なんでまたこう規格外なのかしらね・・・・・・」

 前回のルシオラ達の襲撃以来、再度の敵の襲撃は無く、その間に佐藤と美智恵の間の取引は成立し、他の皆は訓練を重ねていた。そして、今日、その訓練を始めてから丁度2週間にして、雪之丞が二重の極みを習得。その実践訓練をたった今、皆の前で披露したのである。

「これで、少しはお前に追いついたな。再戦が楽しみだぜ」

 シミュレーションシステムの中から、でてきた雪之丞が汗を拭いながらニヤリと笑いながら横島に言う。

「お前みたいな人間凶器と勝負なんかできるか!!」

「そういうお前だって、前回見せた霊力の増幅はとんでも無かったじゃねえか。それにお前の事だから、他にもまだなんか、隠し玉を持ってそうだしな。俺も、もっと技を煮詰めて、磨きをかけてやるぜ!!」

「いらん!! これ以上強くなって襲ってこられたら、本気で俺の命がないわ!!」

 思いっきり拒否反応を示す横島に、相変わらず横島を過剰評価する雪之丞。美神はそれを先程とは違った意味で呆れた表情で見た。ちなみに、その隣にいたタマモも同じような目で見ていた。

「まあまあ。それで、横島さんと美神さんは今日はもう訓練しないんですか?」

 言い争う二人にそこでおキヌが仲裁に入り、話を変える。話題をふられた二人は考えて答えた。

「んー、あんまり、疲れていざって時動けなくなってもしゃあないしなあ」

「そうね。おキヌちゃんも今日はもうあがった方がいいわよ」

 先程も言ったように雪之丞が技の習得に努めている間、他の皆も遊んでいた訳ではなかった。横島、美神、おキヌ等の3人は装備や上がった霊力の感触を確かめる為に強さを30倍に調整されたシミューレーションで何度かトレーニングを行なって、それなりの成果を得ていた。

「そういえば、あのルシオラって魔族の精神の中にもぐりこむのは明日だっけ?」

 っと、そこで、美神が思い出したように言う。プロテクトを外す為の作業は当初の計画ではもっと早く実行される予定であったが、佐藤の提供した地獄炉の調査、安全確認が優先され、その計画は後回しにされていた。そして、その実行メンバーには横島と美神、カオスの3名が選ばれている。これは、横島は道具無しで非常時に対応できる能力の持ち主であり、美神は冥子の熱烈な希望の結果である。

「心を覗かれるんですよね・・・・・。ちょっと、かわいそうだな」

「そうね。けど、まあ、命が助かっただけよかったと思ってもらうしかないわ。それに、こいつはちゃんと私が縛っとくし」

 敵とはいえ心を覗かれるという恥辱に対し、同情を示すおキヌ。それに対し美神は共感を示しながらも諭した後、横島の頭を掴んで釘を刺した。

「あはは、いや、まあ、興味が無いって言ったら嘘になりますけど・・・・・・」

「あんた、私の夢の中に入った時も覗き見しようとしたわよね」

「うっ。でも、まあ、今回は自粛するっす」

 冷や汗をたらしながらも今回はやらないと宣言する横島。一応、前回の事で反省し、ルシオラに対しては理性を多少強めに持っているらしい。最も、横島の理性程当てにならないものはないであろうが。
その時だった。半月ぶりに非常事態を知らせる警報が鳴り響き、そして強い魔力の持ち主が3つ接近してきている事が伝えられる。

「飛びぬけた相手って訳でも無いみたいだし、3つって事は前回と同じ奴等と造魔一体ってとこかしら?また、性懲りもなく来たのね」

「あの、ルシオラさんって人を助けに来たんでしょうか?」

「それと、私の魂の中の結晶が目的でしょうね。どっちが本命かはわからないけど」

「けど、だったら、何ですぐ助けに来なかったんでしょうか?」

 伝えられた情報から、相手がベスパとパピリオの二人だと予想する美神。それに対し、おキヌが疑問を投げかけた。美神がそれに答えると、続いて横島が疑問を挟む。

「そうね、その辺は少し気になるわ。多分、何か策を用意してきてるのかもしれない。時間を置いたのはその準備の為の期間ね。前回勝ってるからって油断はしちゃ駄目よ。横島君、いざという時の為に、文珠はできるだけ温存しておきなさい」

「うっす」

「はい」

 横島の疑問に対し、少し考えた後、美神は二人に対し警告を投げかける。そして、広い場所にメンバーが集合する。その中には前回と違い、佐藤のおかげで動けるようになったワルキューレやジークの姿もあった。

「ワルキューレ、ひさしぶり!! 再会の抱擁を!!」

「「いい加減にしろ(してください)!!」」

 再会の挨拶と共にワルキューレに飛び掛る横島。無論の事、美神とおキヌの息のあったコンビネーションによって即座に撃墜される。

「相変わらず訳のわからん奴だな、お前は・・・・・・」

 そんな横島を呆れた目で見るワルキューレ。しかし、結界に接触するものの気配を感じ取り、彼女は気を引き締めた。

「来るわよ!!」

 美神の警告の声。そして、現れたのは・・・・・・・・。

「あのー、お邪魔しますなのね〜」

 情けない声のヒャクメだった。


 予想外の相手に一瞬戸惑う美神達。しかし、彼女に続いて、ベスパやパピリオが現れた事で、直ぐに正気に戻り、ワルキューレが叫ぶ。

「貴様、やはり本当に裏切ったのか!?」

「ちがうのね〜。けど、帰りたくても帰れないのね〜」

 それに対し、否定しながらもウルウルと涙を流すヒャクメ。その理由について、おキヌが尋ねる。

「帰れないって、どうしてなんですか?」

「私は、もう綺麗な身体じゃないのね〜。汚されちゃったのね〜」

「「「「「「・・・・・・・・・・・」」」」」」

 ヒャクメの思いっきり勘違いを招きそうな答えに場が凍る。そして、横島が暴走した。

「ぬぅわ!? ぬぅわんだとぉぉぉぉぉぉ!? レズか、レズなのか!? はっ、それともアシュタロスって奴に手篭めに!? 身体が快楽から逃れられなくなる程、あんな事やこんな事までされて、あー、こんな事なら俺がやっときゃよかったあああああ!!!!!」

「あんたが何をやっときゃよかった言うんじゃ!!!」

「違うのね〜。そういう意味じゃないのね〜」

 美神のドつきとヒャクメの突っ込みが重なる。そして、そんな漫才が繰り広げられているのを他所にパピリオがこちらを睨みつけてくる。

「ルシオラちゃんは無事でちょうね?」

「ええ。でも、どうするのかしら? 私達、全員を倒して彼女を取り返す。見ての通り、今回は魔界正規軍のメンバーまでこちらの味方に加わってるわ。あなた達に勝ち目はないわよ」

 相手の出方を伺う為、挑発をする美智恵。しかし、彼女達はそれに乗ってこず、ただルシオラの無事にほっとすると、不敵な笑みを浮かべて言った。

「こっちだって、そっちの手強さは前回で学習してるさ。まさか、魔族の部隊が生き残って、チャンネルが閉じられているにも関わらず活動してるとは思わなかったけどね」

「けど、こっちだって、今回は切り札を用意してるんでちゅよ。ペス、変身でちゅ!!」

「嫌なのね〜!!!!」

 パピリオの言葉と共に、ヒャクメの身体が光り、そして大きくなっていく。そして、光が消えた後に現れたものは・・・・・・・・。

「大福?」

「大福言わないで欲しいのね〜!!!」

 美神の呟きにヒャクメが泣きながら叫ぶ。
 ヒャクメが変身した姿は直径30メートル程の巨大な大福のような丸い塊に彼女の頭と、長い6本の手が生えた造魔の姿だった。そして、その手には何故か巨大な竹刀が握られている。

「これが、最強の造魔、ヒャクメーンでちゅ!!」

「しょーもない、ギャグやなあ」

 自信あり気に宣言するパピリオに突っ込む気にも慣れない横島。そんなしらけた空気を他所に一人シリアスな空気を保っていたワルキューレがヒャクメに向かって宣言する。

「例え、お前の意思で無いにしても、寝返った以上覚悟してもらう!!」

 そして、止める間も無く、精霊石弾の銃をヒャクメに向かって連射した。

「いやなのね〜!!!」

 しかし、その攻撃は彼女に当たらなかった。ヒャクメーンの腕が高速で動き手、その手の竹刀で弾丸を全て弾き返したのだ。

「何!?」

 弾き返された弾丸はワルキューレに返ってきる。降り注ぐ弾丸の荒らしを喰らい彼女は全身に重傷を負わされた。

「姉上!!」

「わ、私よりも奴に攻撃をしろ!!」

 それを見て駆け寄ろうとするジークに制止をかけるワルキューレ、一瞬の躊躇いの後、ジークはヒャクメに攻撃を仕掛けた。

「たあ!!!」

「やめてなのね〜!!!」

 先程弾丸が弾き返されたのを教訓とし、剣で接近戦を仕掛けようとするジーク。しかし、再びヒャクメーンの2本の腕が振るわれ、ジークが一本をかわしたその先に、待ち構えていたように2本目の竹刀が迫り、彼はそのまま地面に叩きつけられた。

「何、間抜けな外見の癖に強い!?」

「いったでちゅよ。最強の造魔だと。ヒャクメーンはペスの感覚器で相手の動きを読み、6本の腕で迎撃ちまちゅ。死角はありまちぇん!!」

 目の前であっという間に二人がやられ、驚く美神に笑うパピリオ。そして、本格的な戦いが始まるのだった。

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