注意書き
コ○ヨ机のサ○○ンは現実には居ないの想像上の人物です。
未だ聞こえる角刈りヘッドの無言の抗議『嗚咽』を無視して
喧々囂々と続く騒ぎは収まろうとしていた。
「 ──で、愛子は何時から此処にいるんだ? 」
何時の間にか意気投合した二人が一緒になって横島を
理不尽に攻めてくるのが疲れた訳では無いのだが
突如、嘆息と同時に漏らした横島のその言葉に
『良くぞ聞いてくれましたッ!』と飛びつくように
愛子が反応した。
「 ………?! 」
その突然の仕草に横島は仰天したように仰け反る。
──が、そんな事は関係無いと、愛子が一度、拳を握る。
「 昨夜からよッ!!信じれるッ!?昨夜からッ!! 」
『 おかげで色彩感覚無いわよッ! 』と、続けて語り
横島は目尻に涙を浮かべ、呟いた。
「 辛かったんだな…溜まっていたんだな… 」
「 そ、そうなのよぉ…こ、こんなの青春じゃないわ……。 」
再び、咽び泣き始めた二人にタマモは僅かに沈黙すると
肩を竦め『トテトテ』と角刈りヘッドの元へと歩み寄っていった。
「 ………! 」「 ───! 」
暫くの間
二人の不幸話を遠くで見守りながら角刈りヘッドの元に
背後から忍び寄ったタマモは一度逡巡する様に眉を顰める。
──が、僅かの間、角刈りヘッドの登頂部分を映していた視線を
隣で生えている薔薇に移すと、意を決したのか
「 えいッ! 」 ぷすっ♪
瞬時に抜いた薔薇を角刈りヘッドの登頂部分に
躊躇する事無く刺した。
「 ────ッッッ!!? 」
瞬間、言葉を成さない悲鳴が角刈りヘッドの口から迸り
それに伴う様に角刈りヘッドの周りの大地が
僅かに『ボコリ』と盛り上がる。
悲鳴が消え、再び嗚咽。
たが、先程よりも大きい声で嗚咽を上げる角刈りヘッド。
その頭部に深々と洒落にならない程に突き刺された薔薇が
嗚咽の度に、揺らめく様を視界に入れると
遠くから感じる視線を無視してタマモは
『 うんうん 』と頷いた。
そして、『ちらり』と遠くから感じる視線の主を見て
更に、薔薇の生えているソレを指差すと
再び、タマモは満足げな表情で再び『うんうん』と
頷くのであった。
「 タマモ…?」 「 タマモちゃん…? 」
僅かな間を置いて
タマモの傍へと近づいた横島達が口を揃えて
彼女の名前を呟く。
「 ヨコシマ… 」
「 ど、どうしたんだ? 」
タマモの指差したソレを視界に入れながら
横島は脂汗を垂らす。
『…角刈りの登頂部分に生えた辛紅の薔薇が実にプリチ〜だ。
角刈りの頭は以前は唯、一つの指向性で短く
切り揃えられていた無骨なイメージをたった一本の薔薇が
爽やかな草原へとその頭髪の印象を変える。
……これぞ匠の技だ。 』
「 ちょっと…見栄えを良くしてあげようかなって。 」
「 そ、そうか… 」
と、脳内に変な電波を受け入れながらどもり、呟き返す横島。
その隣で愛子がタマモに
サムズアップをすると無駄に明るい笑顔で
「 ──で、…この薔薇族の人どうするの? 」
指差し尋ねた。──例のものを。
『 ……人? 』と、愛子の言葉に引っ掛かりを覚えて横島は
小さく呟き、ふと考え込んだ。
そういえば、あの時生えたのは頭部だけだったのだが…
今では肩まで伸びている気がする。
そして、その頭部が嗚咽を上げると同時に
周りの大地が小さく振動を伝えてくる…。
『 ──って、事は下半身も埋まっているって事か? 』
と、再びソレを観察して横島は今更ながらに疑問を浮かべる。
──が、その疑問は頭部の背面を見ていた視線を
ソレの前に向かせると離散する様に消えていった。
「 …………人…みたいだな。 」
『一応』と付け足し座り込んで、角刈り(付属品 薔薇)と目線の
高さを合わせた。
「 な、なぁ? 」 「 シクシクシク… 」
「 おい? 」 「 シクシクシク… 」
「…のぴょぴょ〜ん! 」 「 シクシクシク… 」「──っぷ」×2
視界の端に噴出した二人を映すと横島は頭を抑え
『 お前等が笑ってどうするんだよ… 』
と、胸中で呟きながら立ち上がると
「 ………。 」
ゲシッ──と、未だに泣いている頭部に無言で踏みつけると
横島は、腕組みをして見下すように視線を向けた。
瞬間
「 何するかッ?!貴様はっ!! 」
薔薇園に怒号が響き渡った。
「 …………。 」
一瞬の変化の後に待っていたのは数秒の沈黙。
そして頭部は──
『 目には目を…歯には歯を、という名言をしらんのか 』とか、
『 我の戦略は無知蒙昧な輩には幾らいっても無駄だろうが… 』
と、呟いている。
「 まぁ…説明してやろう。 」
視線を上に上げ、得意げに語り始めた頭部の視界に移りこんだ
モノは、再び無言で踏みつけようとしている横島の靴底だった。
ゲシッ──。
「 ぶ、ぬぬぬぬぬ… 」
「 ちゃんと喋れるんだな? 」
何時もより冷たいその横島の口調。
この薔薇園は人を攻撃的にさせる効果がある様だ…。
「 ──で、お前は何なんだ? 」
「 何だチミはってか!?そうです、私が、がああああああ!?」
『 はぁ… 』と短息を吐いて横島は手に握り深々と深度を増した
薔薇を開放してやる。
「 一応…教えてやる。その受け答えは… 」
『グッ』と拳を握ると横島は続ける。
「 何だ君は!? と問われて初めて使うことが
──出来るのだ! 」
『もちろん突っ込むキャラは田代○○し…又はくわ○ん…
最後は「だっふんだ!!」の顔オチが必要なんだッ!! 』
…横島 忠夫。笑いの判る男であった。
『 ズガビーン!? 』と奇怪な音を立て顔を青ざめる頭部に
勝ち誇った様な視線を向ける横島。
「 ──で、お前は何な・ん・だ? 」
「 わ、我は…コ○ヨ机の妖怪。
サム○ンだ… 」
子供用机に相応しくない顔付きの妖怪は
静かに名前を語った。
願い 〜第四話〜 後編
「 ………なんだって? 」
「 むぅ…。もう一度言おう。我の名前はサム○ンだ! 」
『 聞き取れないよなぁ? 』と表情でタマモ達に尋ねる横島に
『 えぇ…。』と、頷くタマモ達。
「 ぬぅぅぅぅ。我の名前はガチムチ兄貴…サム○ンビデオで
デビューした世界的にも有名な由緒ある名なんだぞッ!?
それを消すとは……?! 」
『 作者めッ! 』と正しい怒りをぶつけて来るサム○ン
[ 以後 角刈り]に横島達もその現象に気づいたのか
『あぁ…。禁止用語か』と理解し『うんうん』と頷いた。
ちなみに
逞しい身体とア○ルを堪能!の話題の一作品 サム○ンビデオ
部長の下半身はいつでも戦闘モード!という副題が付いている。
「 …………。 」
『…今、変な電波が流れなかったか? 』と怪訝そうに言葉を出す
横島に角刈りが滂沱の涙を流しながら頷いた。
「 ま、まぁ、とりあえず名前はわかった。わかったんだよ…な?
──で、何で埋まってるんだ? 」
「 ふん。それなら其処の女子に聞くが良いッ! 」
不貞腐れた様に愛子を指差しながら言い捨てた角刈りに
横島とタマモは怪訝そうな視線を愛子へと巡らした。
その視線に愛子は『 ひくり 』と頬を引きつらすと
次の瞬間には蹲って叫ぶ様に自白した。
「 わ、私がやったの…だって…いきなり机の中に入れられて…。
それから現われた卑猥な名前の人が卑猥な肉体を
ぴくぴく動かしながら…迫り寄ってくるんだもん…。
我の問いかけの答えを教えてくれ!とか叫びながらッ!
ヤケに爽やかな表情を固定した様にッ!そのままで…
駆け込んでくるんだもんッ!! 」
『 うわぁぁぁん 』と泣きながら自白した愛子の肩に横島は
『卑猥って…』と多少の脂汗を顔から垂らす。
──が、暫くすると『 ぽんッ 』と肩を叩き、愛子に微笑む。
「 良く…自分の口から教えてくれたな? 」
『 スッ 』と自身の視界に映った影と肩に置かれた手の体温に
愛子は未だ紅いままの瞳を上げた。
「 わ、私はどうなるの? 」
怯えた様に『 悪気は無かったんですッ! 』と伝える愛子に
「 ふっ。君は無実だ。 」
良くわからないニヒルな笑みを浮かべながら
良くわからない根拠で無実を伝える横島。
そして、その隣で『 うんうん 』と頷いているタマモに
愛子は泣きはらした目を一度拭い──そして立ち上がると
「 そうよね。悪いのは卑猥な名前の人ね! 」
と、『一部の人に喧嘩を売りそうな危険な台詞』をはっちゃける
愛子に横島とタマモは実は『ビクビク』と怯えから体を
震わせながらも懸命に通常の態度を振る舞い愛子の背を押した。
強制退場させるタメに。
暫くの距離を押し歩いた横島は愛子の背中で
無言のまま『退/場』の文珠を使用した。
・
・
・
・
「 す、すまなかったな? 」
一仕事をやり終えた横島の第一声は謝罪だった。
あっさりと角刈りは答えた。
「 許す。 」
『 あの女子を追い出してくれたし… 』と続ける角刈りは
実に心が広かった。
僅かな間。何故かほのぼのとした空間が作り出された。
──が、タマモの呟いた一言によって本来の姿を取り戻した。
「 で、埋まったままでいるアンタはどうやって私達を
この場所に移動させたの?」
『押された気がするんだけど』と続けて尋ねた。
「 それはだな。我は分体…分け身を現世へと作り出すことが
出来るのだ。」
『 一体だけだがな 』と付け足した角刈り。
そんな角刈りに『ふーん』と相槌を打ったタマモだが
僅かな間を置いて、眉を顰める。
「 何で私達をここに呼んだの? 」
「 ふっふっふ。 」
そのタマモの言葉に角刈りは突如、不適な笑みを浮かべる。
「 体を埋められて、上手く力を使うことが出来ずに
あの女子を追い出すことが不可能だったからだッ! 」
『 今も、栄養を取られている気がする 』と説明する角刈りに
二人は呆れた様な視線で見据えた。
「 ………質問ばかりだけど後二つだけ聞かせて。 」
「 ふん。まぁいいだろう。 」
「 何で愛子を此処に呼んだの? 」
そのタマモの問いかけに角刈りは不適な笑いを抑えると
ひどく静かな声音で呟き答えた。
「 …我にはどうしても知りたい答えがある。
──が、分体は喋る事が出来なくてな?
仕方なく…この世界に呼んだのだ。 」
『漢の秘境なのだが…此処は 』と続けた角刈りに
お尻を押さえた横島を不憫な視線で見詰めたタマモ。
そして、再び角刈りに視線を向ける。
「 じゃぁ…最後。その答えを得た後…アナタはどうするの? 」
「 もし得られたのなら…我は思い残す事は無い。
どこか我を使用してくれる人の下で静かに過ごすだけだ。 」
その角刈りの呟きには切望と、どこか疲れた老兵の様な響きを
伴って横島達の耳に入ってきた。
僅かな間沈黙が場を支配したが
突如、横島が一度頷くと角刈りと視線を合わせて
「 人間に危害を与える気は無いんだな? 」
と、お尻を押さえながら尋ねる。
そんな横島に角刈りは『当たり前だろう』と当然の様に答えた。
「 よしっ 」
小さいながらも決断した響きを伴う横島の呟きが
辺りに響く。
「 とりあえず…出した方がいいんだよな? 」
「 あぁ…頼む。 」
と、彼は返事を聞くと埋まった角刈りの体を掘り起こし始めた。
掘り起こして見れば、見るほどその角刈りは
異常な体付きをしていた。
呼吸を吐く度に『ぴくり』と動く上半身の筋肉。
2メートル強は有るだろう身長は異様なオーラを醸し出した。
「 ふぅ…。助かったぞ 」
顔に似合わない爽やかな笑みを浮かべお礼を伝える角刈りに
横島は僅かに脂汗を垂らし頷くと、ふと、タマモを視界に入れる。
『 うぁ…ドン引きしてらっしゃる…。 』
顔に極大の玉の汗を浮かべながら
『ザザァッ 』と、かなりの距離を取ったタマモに僅かばかりの
同情を覚える横島。
『 た…確かに卑猥な身体や… 』
ビキニパンツ一丁のその巨体に横島は愛子の漏らした言葉を
思い出した。
「 ふっふっふ…。自由は素晴らしいなッ! 」
笑みを浮かべながら呟く角刈り。
その笑みに伴い『ピクピク』と、動き始める上半身の筋肉に
嘔吐感を覚えるのは横島だけじゃないはずだ…。
その証拠にタマモは既に身体ごと反対の方向を向けて
蹲っている。
『 早く終わらせよう…。』心に硬く誓った横島は
湧き上がる嘔吐感を抑えて角刈りに語り掛ける。
「 で──問いかけって何なんだ? 」
僅かに震えた声音は仕方ないだろう。
嘔吐感が激しく襲い掛かるのだから…。
「 おっ。そうだったな。自由が嬉しくて問うのを忘れておったわ 」
と、一斉に動いていた筋肉の痙攣を抑えた角刈りが
思い出したかの様に虚空に視線を巡らした。
「 貴様如きにこの難解が解けると思わんが…礼だ。
問いかけてやろう。 」
その言葉に僅かばかりに『むっ』としたが横島は
終わらせる方が先だ…と、静かに問いかけを待った。
「 ………。 」
『ごくり』と緊張から呑みこむ固唾に促されるように
吐き気を蘇らした。
「 ………。 」
そんな横島に角刈りは『にやり』と笑みを浮かべると
その太っとい一指し指を上げる。
「 ──ドラ○もんとは何だ? 」
得意げに問いかけてくる角刈り。
「 ………。 」
先程とは違う意味で横島は沈黙を返す。
──が、そんな横島をあまりの難問さに絶句していると
勘違いしたのか、『フハハハハ』と哄笑を上げる。
「 やはり貴様の様な無知蒙昧な輩に
我の問いかけは答える事は出来ないか 」
得意げながらも、残念そうな複雑な感情を表情に浮かべた
角刈りに横島は呆れた様な視線を向ける。
「 ……。なぁ、それが本ッ当にッ!難問なのか? 」
「 ふっ。答える事も出来ずに、その口でよくそんな事言えるな?
これはどの歴史的文書にも載っていない難問なんだぞッ!!」
「 …ちょっと聞いてもいいか? 」
『 ヒントなんて無いぞ? 』と怪訝そうに呟く角刈りに
横島は一度短息を吐く。
「 今まで質問した奴等は答えれなかったのか? 」
そんな横島の質問に『何を当たり前な』と莫迦にする様な視線を
向け、角刈りは続けて答えた。
「 今まで問うた者達は、あまりの難問さに絶句して
泣いて許してくださいと我に乞うてきたわッ! 」
『 怯えていただけじゃ… 』と頭を抱える横島。
ふと、再び沸いた疑問を口に出す。
「 何で寄りにも因ってドラ○もんなんだ? 」
「 それはだな…。我を使う主達が揃いも揃って
我の引き出しを一度開けると
『 ドラ○もんいないのかなッ?』と呟くのだッ!! 」
「 …………。 」
「 主達の呟く言葉に『タイムマシン』というキーワードを得て
異次元空間を作っても主達は喜んでくれずに
入れてみたら、泣き叫んで次の日には
記憶喪失になってしまうのだッ!! 」
さめざめと滂沱の涙を出しながら語る角刈りは
悪いヤツでは決して無いのだろう。子供好きで漢好き…。
マッチョで強面な妖怪なだけで…。
だが──横島は不憫といった感情を眼前のマッチョには
浮かばせることが出来ずに、唯、無感情に冷たく見据えていた。
突如『クイクイ』と袖を引っ張られた。
「 ……ん? 」
その袖の引っ張っている主へと視線を向けるとタマモが
決して角刈りを視界に入れ様とせずに小さく尋ねてきた。
「 ヨコシマ…。ドラ○もんって何? 」
「 あん?あぁ…そっか。お前は知るわけないよな。 」
と、答えた横島にタマモじゃなく角刈りが
飛びつく様に視線を横島に向かわせた。
「 き…貴様…。もしかして知っておるのかッ!? 」
表情に驚愕を浮かべ、顔面と上半身を一斉に痙攣させる
角刈りをなるべく視界に映さない様に虚空を見上げると
「 紙とペン持ってないか?挿絵付きで教えてやるッ! 」
とタマモに視線を合わせながら角刈りに尋ねた。
「 あ、あぁ!待っておれッ!直ぐに出すッ!! 」
喜色満面な表情を痙攣させながら
焦る様に答えた角刈りを視界に映さずに横島は苦笑した。
暫くして、角刈りが持ってきた筆記道具と画用紙に
横島は一心にドラ○もんを描いていく。
その隣で『わくわく』としながらその描かれていく線の軌跡を
追いながら見詰めるタマモ。
そして、その後ろから期待に胸と筋肉を躍動させる角刈り。
『やっと答えがわかる』とやり遂げた達成感の様な
『もう終わるのか… 』と言う寂しさの様な複雑な感情をその瞳に
浮かべながら角刈りも又、静かにその軌跡を視線で追っていた。
数分後
『 出来たぞッ! 』とこの空間から開放される喜びを
感じながら横島は高々にその描いた絵を持ち上げた。
その描かれたモノは知る人ぞ知る。
細かい造形。
丸みを帯びたその頭部。
そして真っ赤な鼻を持ち
口元には立派な三対の髭を生やしている。
リアルドラ○もんだったが…。
その会心の仕上がりを得て、出来上がった絵に
角刈りは感嘆の涙を流し『説明を!』と横島に尋ねた。
「 こいつはだな…。2112年9月3日生まれのネコ型ロボットだ。
タイムマシンを人の机の引き出しに勝手に作ると
そこから現われて『の○太』という主人公の家庭に取り付き
お腹についた
『 四次元ポ○ット 』から出る『ひみつの道具』で
救ってあげる。ニートの為にあると言っても良い。
究極最終兵器シリーズの
人間堕落推奨機 ドラ○もんだッ! 」
『 ちなみに覗きも手伝ってくれるのだッ!』と実に
夢の感じられない無い間違った解釈の説明が終わった。
「 ………。 」
沈黙で支配された空間に
僅かな間を置いて『 私の主はこんな物を望んでいたのか… 』
と、凹む角刈り。
そんな角刈りに横島は滝の様な脂汗を流すと
『 ちょっと説明の仕方間違えたかな? 』と視線を
虚空に向かわせた。
…ちょっと所では無いのだが…。
「 ま、まぁ…礼を言う。お主のおかげで長年の問い続けていた
モノの答えを知ることが出来た。 」
『 夢が潰えたけれど…な。 』と小さく付け足した角刈りに
『 すまんッ! 』と心の中で謝罪すると横島は
自身の事を棚に上げると
「 知らぬが仏か…。 」
小さく呟いた。
その呟きに角刈りが自分に都合の良い捕らえ方をしながら
『 あぁ…。そうだな。』と頷いた。
「 じ、じゃぁ早く此処から出してよッ! 」
と、突如間に入る様に声を上げたのは
リアルドラ○もんにショックを受け固まっていたタマモだった。
「 あぁ…。今、現世へと戻す…。 」
俯きながら言葉を吐き出した角刈りに
横島達は突如与えられた浮遊感に似た感覚に
『 はぁ… 』と疲れを嘆息と共に漏らしたのだった。
エピローグ
暫くの時間を経て現世へと戻った横島達を視界に入れた愛子が
『 わーわー 』と勝手に追放した事に文句を語り始めたが
次の瞬間に
視界の端に映った角刈りを視認すると
愛子は無言のまま机を持ち上げ…振り下ろす。
──が、横島がそれを押し止め
タマモと話してくる様に…と小さく伝えると愛子は
不承不承ながらに頷いてその場を離れていく。
そして後に残った二人の男。
無言のまま対峙すると
突如横島が角刈りに向かって呟いた。
「 本当の事言うとな… 」
「 ん?何だ? 」
僅かばかりに呆けた表情を浮かべる角刈りに苦笑すると
横島は続けて、語りかけた。
「 ドラ○もんには二種類あるんだ。
堕落型と、夢を与える子供達の友達のと──。 」
黙ったままで居ようとしていた横島は
角刈りの凹みっぷりに本当のドラ○もんについて説明した。
『 関西の血筋は引いていても
…相手を傷つけるボケはダメなんや… 』
その二種類目のドラ○もんの説明に角刈りは
一瞬呆然とすると…次の瞬間には喜色満面の表情を作る。
「 ははッ!そうか…それがドラ○もんかッ!! 」
と、一瞬にして立ち直りを見せると
暫くの間、嬉し泣きを啜ると満足したのか
「 ありがとうっ!我が友よッ!! 」
横島の手を無理やり握り取り、声高々に
宣言した。
そして、一度頷くと
「 また逢おう。次逢った時は…
ドラ○もんとしてッ! 」
そのままその場を後にした。
……手を粉砕骨折した横島を置いて。
暫く後
『 うがぁぁぁ…角刈りの野郎… 』と呻きながら蹲っている横島。
その悲鳴に駆け込んだタマモ達が
僅かな時間
目を白黒させて佇んでいる。
「 何やってるのよ…ヨコシマ。 」
最後に、溜息と共に呟かれたタマモの言葉が
静かな午前6時半の教室に小さく響いた。
後書き
シリアスに後編をお送りしました。
ちょっと投稿が遅れましたが何とか今日中に執筆できました!
いやー…長かったですorz
今回で必ず終わらすつもりだったので無理やりにも
詰め込みまくりましたが…楽しんでもらえたでしょうか?
私は昔コ○ヨの机にドラ○もんを探したというエピソードが
有りまして…wここで使って見てはどうか!?と思い
執筆させていただきました。
共感できますか?(ノ∀`*)タハー
ちなみに机は昔の一体型のやつですw
レス返しです。
『帝様』
毎度のレス、感謝です!
私の場合はお下がりで一体化したものをもらいましたw
中学に上がる頃には使用する機会も無くなり
また…私の親戚に譲るといった感じで
その机を手放した記憶があり、この様な話を
書かさせてもらいました。
気に入ってくれたら幸いです!
『通りす〜がり様』
再びレスありがとう御座います!
このオリキャラは一発ですよwもちろん理由は
『 このキャラ濃過ぎます…w 』
他のキャラと視線を合わせる事すら一苦労ですから…orz
今回はコレでお終いです。
レスをくれたお二方に再び感謝の意を。
有難う御座います!
では次回は…学校の昼休みから書こうか…
それとも事務所に行かせた所で書こうか悩んでますが
どちらでも楽しませれる様に頑張りますので
皆様 これからもヨロシクお願いします!