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「GS横島 因果消滅再スタート!!〜第五話〜(GS)」

もけ (2006-01-08 00:56/2006-01-08 01:06)
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「ちちーーー! しりーーーー!! ふとももーーーーーーっ!!」

「いいから離れなさいっ!このケダモノ〜〜〜〜っ!!」


場所はGS試験第二次試験会場。
刀片手に大暴れするえっちな全身タイツのねーちゃん。
それを後ろから羽交い絞めにするようにしてしがみついてる俺。

これでも試合中です、ハイ。

GS資格取得試験、二日目―――――第二試合 横島忠夫 対 九能市氷雅

この第二試合で勝利したほうがGS資格を手に入れることができる。
ちなみにこれ以降も試合はあって、その結果がその年のGS資格取得者のランク付けになるのだ。
で、なにゆえこの俺が犯罪者スレスレのねーちゃんとくんずほぐれつしているかと言うとだが、正義のためだ、うん。

「やーらかいな! あったかいな〜!! ああっ・・・・ねーちゃん! ねーーーちゃーーーーーんっ!!」

「ちょ、どこ触って・・・・!? こらーーーーーーっ!!」

ヤッパ振り回して大暴れするねーちゃんに抱きついたり触りまくったりで、俺の煩悩はギュンギュン上がる。霊力も上がる。
この後の対戦相手の事を考えると、十七歳の俺の許容量限界までの霊力量が無いとキツイ。
雪之丞だけでなく、勘九郎との対戦まで考慮に入れないとあかんのだ。

だからこれはしょうがないことなんだ! メドーサの野望を打ち砕くため・・・・ひいては俺の新しい人生のため・・・・・・!! つまり、正義のためなんだっ!?

「離れろーーーーーーっ!!」

「ねーーーーちゃーーーんーーーーーっ!!」


いや、ホントに。


GS横島 因果消滅再スタート!! 〜第五話〜


前日――――GS資格取得試験第一試合後


え゛・・・・・? 負けた・・・・・美神さんが!?」

『はい〜・・・・私もいまだに信じられませんけど・・・・・今は医務室で寝てます』

「んな馬鹿なっ!? 美神さんが勝てないような相手でGS資格を持ってない奴なんて、そんな何人もいないだろ! 相手は誰だ!?」

マズイ・・・・非常にマズイ・・・・・・美神さんでも勝てないような相手が勘九郎以外にいるとは思わなかった。
そんな凄い奴だったら、『記憶』に残っててもおかしくない筈なのに、だ〜れも思い出せん!
もともと曖昧な『記憶』だが、いくらなんでもそんなバケモンの事を忘れてるってのは無責任だぞっ!!

『え〜っとですねぇ・・・・・・その・・・・・ドクターカオスさんです・・・・・』


ド・・・・・・・ドクターカオスッ!!?


見掛けねぇと思ってたら何を分不相応な大活躍を演じとるんだあの耄碌ジジイっ!!?

「あ・・・・あう・・・・・・あうあう?」

『よ、横島さん? ・・・・・大丈夫ですか?』

「な、なんで・・・・? どうやって・・・・・? 試合中に隕石でも落ちてきた・・・・?」

『そ、そこまで言わなくても・・・・・・・・』

冷や汗交じりにフォローするおキヌちゃんだが、どう考えてもおかしいだろ? なんだよ、その超常現象。
妙神山で修行し、霊能力では美神さんよりも頭ひとつ上回っていた二十五歳の横島忠夫でも、なんでもありの実戦では美神さんには及ばない。
美神さんの得意とする戦い方は、予測不可能状態を意図的に作り出し、相手の弱点を致命的なタイミングで突くという、『場』をかき回す戦い方だ。

簡単に言えば卑怯狡猾なのが美神さんの強みなのだ。

あの人が本気で裏技を駆使しだすと、普通の人間はまず勝てん。ぶっちゃけ上位クラスの神族魔族でもキツイ。

『ん〜とですねぇ、こんな感じでした』

はい、回想です。


「フフフフフ・・・・・・嬢ちゃんも運が悪いのう・・・・・このヨーロッパの魔王ドクターカオスが初戦の相手とは」

薙刀持ったばーさんの声援を受けて、赤貧から逃れるためにGS資格取得を目指すヨーロッパの魔王は、チャイナドレスに眼鏡の対戦相手に憐れみすら感じていた。
目の前の娘からは確かに高い霊力を感じるが、自分にはとっておきの秘策がある。
どれほど優れた霊能力者だとしても、『彼女』の性能には関係ないのだ。

「あ〜・・・・・・いいからチャッチャとかかって来なさいって。余計な手間取らせるんじゃないわよ」

対する女―――――美神令子扮するミカ・レイだが、実に気だるげである。
日本最高の霊能力者である自分に、耄碌したヨーロッパの魔王が勝てるはずもない。
それよりも、用意した変装がちゃんと効いていることのほうが重要だった。
横島は見抜いたが、どうやら目の前の老人をはじめ、この会場に来ている知り合いにはバレていない様だ。

「あんたと遊んでる時間が勿体無いわ。ほかにも見ておかなきゃならない試合もあるのよ」

そう、今日この会場に来ている資格試験受験者のうち、メドーサの弟子と思しき者達を見つけなくてはいけないのだ。
変装して資格試験を受験していることも―――ついでに横島を受験させたことも、より受験者に近い立場で調査できるからであり、仕事のためなのだ。
試合に時間を取られるわけにはいかない。
それに、ついでとはいえ美神令子除霊事務所所属という立場で受験させている以上、横島の応援にも行ってやるべきだろう。うん、そのはずだ。それだけだ。

「まあ怪我する前にギブアップすると思うけど、それでも応援に行くくらいはしてやるべ「なめるなよ小娘ーーーーーっ!?」って、危なっ!?」

とっさに避けた美神の耳元を、空気を震わせながら通り過ぎていく何か。
油断しすぎた。今は試合中、余計なことを考えてる場合じゃない。
目の前にはドクターカオスと彼を守るように立ちはだかる人造人間マリア・・・・・・ちょっと待て。

「ちょっと何よソレ!? ロボットなんて反則よっ!!」

「審判に確認はとったわい! 『試合中は道具をひとつ持ち込み可』じゃ!」

「限度ってもんがあるでしょーがっ!!」

ギンッ!と音が出るほどに審判を睨みつける美神だが、審判の判断は絶対。
そして審判は脅しには屈しない・・・・・・・たとえ何かの病気ではないかと疑えるくらいの脂汗を流していても、だ!

「小娘! ちょーしに乗って好き勝手言ってくれた礼じゃっ! マリア! その小娘を捕まえろっ! わし自ら最大威力の霊波砲をお見舞いしてくれるっ!!」

「イエス・ドクター・カオス」

キュンキュンとモーター音を響かせながら構えるマリア――――・・・・・さっき耳元を通り過ぎたのはマリアのロケットアームか。

霊や人間相手ならまだしも、マリア相手に今の装備では勝ち目がない。
勝機があるとすれば、倒さなければいけないのはマリアではなくドクターカオスであるということだ。
マリアの攻撃を掻い潜ってドクターカオスを叩きのめす―――――幸い、マリアに霊的攻撃力はない。

「・・・・・・そっちがそういうつもりなら、もう手加減しないわよっ!」

扇に霊力を通す。
マリアに肉薄して死角をすり抜け、背後のドクターカオスを正面から叩きのめす!!

「いくわ・・・・?「ロケット・アーム!」よぉおおおおおおおおおお〜〜〜〜〜!!?」

何かに足をつかまれたと思った瞬間、凄い勢いで引き倒される。
足首には先ほど耳元を通って背後に消えたロケットアーム―――――つまり、戻ってくるアームに脚をつかまれたということか。

「・・・・・って、しまったぁあああああ〜〜〜〜!! わたしとしたことが何て大ポカを〜〜〜〜〜っ!!?」

ザザザーーー!!っとマリアに引きずられながら大騒ぎする美神。
その先には、ブン、ブン、ブン・・・・・と、胸に描かれた魔法陣に強殖装甲よろしく霊力を溜めてるドクターカオス。

「食らえ! 小娘ーーーーーーーっっ!!「きゃああああああ〜〜〜〜〜っ!!?」


『・・・・・・で、目立った怪我もなかったんですけど、気を失って医務室に運ばれてしまいました』

回想終了。

「・・・・・・運だな。運がドクターカオスに味方したんだ」

もしもマリアの銃火器を使って足止めしていたら即失格だった。
少なくとも俺の時はそうだった。
俺の時は銃も使ったのに、美神さんに対してはロケットアームのみで対処したからこその、奇跡の一回戦突破だ。
たぶん、次で銃使って逮捕されるな、うん。

『それで、横島さんを連れて来るようにって冥子さんに言われて探し回ってたんですけど・・・・・』

「俺も美神さんを探して歩き回ってたから連絡が遅れたということか」

で、やって参りました医務室です。

「あ〜〜〜〜横島くん〜〜〜〜〜やっと来てくれたのね〜〜〜〜〜〜〜! お願い〜〜〜〜令子ちゃんを助けて〜〜〜〜〜〜〜!!」

半泣きの冥子ちゃん。ヤメテ、ここで泣かないで冥子ちゃん。
冥子ちゃんをあやすおキヌちゃん。
・・・・・冥子ちゃんって、美神さんより一つ上だっけか?

「フ・・・・フフフフフフ・・・・・・わ、わたしがどくたーかおすに負け、負け・・・・・・・わた、わわ、わたしが・・・・・わたしが・・・・・・」

オ〜ウ! 美神さんが壊れてる!
ドクターカオスに負けたことがよほどショックだったのだろう・・・・・・・不憫だ。

「かわいそうな美神さん・・・・・こーなったら!このボクが人肌で傷ついた心を癒して「やめんかーーーーっ!!」

ごきり・・・って言ったよ、いまっ!

「あ〜〜〜〜〜! よかったわ〜〜令子ちゃん〜〜〜〜〜意識が戻ったのね〜〜〜〜〜!」

「はっ!? こ、ここは・・・・!?」

『あの〜〜・・・・横島さんが、首が変な方向むいたまま動かなくなっちゃったんですけど〜・・・・・』

状況を把握し切れていない美神さんと、取り縋る冥子ちゃん。
おキヌちゃん、もっと強く言ってやって!

でないとここでお別れしそう・・・・・・・!


「はぁあ〜〜〜・・・・・まいったわねぇ・・・・完全に想定外だわ」

ベッドの上にあぐらを掻いたまま、不機嫌にぼやく美神さん。

そりゃそうだろうな。
まさかドクターカオスが美神さんに勝つなんて、コスモプロセッサ級の珍事だ。

『え〜っと・・・・・そうなると美神さんは失格になっちゃったけど、横島さんは明日の第二試合にも出れるんですよね? お仕事どうなるんでしょうか〜?』

「それなのよねぇ〜・・・・応援席からだけじゃ判断が甘くなるから受験者として潜り込んだのに、これじゃキツイのよねぇ・・・・・」

もともと仕事のためにGS候補生として試験に潜り込んだ美神さん。
メドーサの弟子の当てもつかないまま失格じゃあ、依頼失敗って事になってまうなぁ・・・・?
ここで白龍GSがメドーサの弟子だとばらしとくか?
多少不自然だけど、陰念と戦ったし魔装術も見た後だし、白龍GSに疑いを持ってもらうだけでもいいんだしな。

まだ難しそうにウンウン唸ってる美神さん。
なるべく自然に見えるといいなぁ・・・

「あの〜・・・・そのことなんスけど、白龍GSが怪しいっスよ。白龍GSの陰念ってヤツなんですけど、試合中にメドーサがどうとか言ってたよーな〜・・・・・」

「陰念って、アンタの第一試合の相手だったヤツ? そういえばアンタ勝ったのね? なんで? 試合中に隕石でも降ってきたの?」

『どこかで聞いたよ〜な・・・・』

俺も俺も!

「なんてこと言うんですか! 実力ですよ、実力! もっとも最後は相手の自滅でしたけど」

『横島さん、凄かったんですよ! 相手の人のこーげきなんかひょいひょいかわしちゃうんです!!』

「うははははははは! まあ、相手がショボすぎたっつーことですか!? このままGS資格まで一直線ですよっ!!」

「寝言は寝てるときに言いなさい・・・・・でも、メドーサの名前が出るってことは、少なくともその陰念ってヤツはメドーサの関係者に間違いないでしょうね・・・・白龍GSって言ったら、あと二人、とんでもなく強いのが受験者にいたわね・・・・」

考えに耽る美神さん。
どうにか白龍GSに疑いを向けたみたいだな。
しかし、これじゃあ雪之丞のヤツ、資格取る前に失格にされるかもな〜
その場合どうなるんだ?
メドーサを裏切ったわけでもないから、香港の元始風水盤の事件がどうなるのか本当にわからなくなるな・・・・・雪之丞の今後が心配だ。

「うん、決まったわ。白龍GSに関しては保留、ほかにも怪しそうな連中はいたし、陰念ってヤツ以外はシロかもしれないもの。なるべく表沙汰にするわけにはいかない類の依頼だし、小竜姫様と先生が確認を取るまでは見張りに留めましょう」

お? 雪之丞がGS資格を取る目が残ったな。

「それじゃ、引き続き調査っスね?」

「そういうことになるわね。ただし、私は受験者としては失格になっちゃってるから、受験者の身辺調査の方は横島クンに頼ることになるわね」


「は?」


『じゃー、横島さん責任重大ですね! 美神さんの代わりを務めなきゃいけないんですから!!』

なんか妙な流れに・・・・・・・

「そうね。期待してるわよ、横島クン!」

!! 『期待してるわよ、横島クン』!?


『期待してるわよ、横島クン』!!


頼られている・・・・・!!
この俺が! 美神さんに!!
人を利用することなら数知れないが、人を頼ることなんて滅多にない美神さんに!!
荷物持ちの丁稚扱いのこの俺が・・・・・・『八年先』でも便利に使える平所員扱いのこの俺がっ!!

美神さんに頼られているっ!! 期待されているっ!!

「これはもー俺を人生のパートナーとして受け入れてくれたって解釈しても間違ってないですよね美神さーーーーーーーん!!?」


「間違いしかないわーーーーーーーっ!!」


で、二日目第二試合〜

目の前には忍者なねーちゃん。
『記憶』では霊刀でズバッ!っと斬られそうになったりしたわけだが、『八年先』の記憶と霊能を持ち、『頼れる男』としての自覚の芽生え始めた俺にはただのエッチなねーちゃんに過ぎん・・・・・!!

「うははははは!! 俺はやる! やっちゃうよ〜〜〜!! GS横島サクセスストーリーはいつの間にか急展開だよ〜〜っ!!」

「あ、怪しい動きを・・・・!?」

ようやっと俺を引き剥がし、距離をとったコスプレねーちゃん。
しかし密着しとる間に俺の煩悩はギュンギュン高まった!
霊力も、この体ではほぼ満タンまで溜まった!! 最高にハイってヤツかっ!?
第一試合と違って今の俺には美神さんからの経済的なバックアップも十分だ!!

「うふふふふふふふ・・・・・・そろそろ決着といこうかね? 九能市く〜〜ん?」

ジャキンッ!と美神さんから貰った新しい神通棍を伸ばす。
霊力は隅々まで行き渡る。
九能市の霊刀の一撃にも十分耐えられるだろう。

「それじゃ〜・・・いっただきま〜〜〜っす!!

ピョ〜ンと飛び掛る俺。
無思慮。
空中でどうやって身動きを取れるというのか。
九能市は冷静に狙って首を落とせばいいだけだ。
現に彼女の霊刀ヒトキリマルは霊気を纏って逆袈裟に切り上げるように俺の首元に吸い込まれてくる。

が、俺だって馬鹿じゃない。
いくらテンパってるからって、そこまで馬鹿じゃないぞ?
十七歳の俺ならやりかねんが、これでも中身は二十五歳風味なのだ。

「よっ!」

ルパンダイブの姿勢で滑空?中の俺の両手に二枚重ねの小ぶりな《サイキックソーサー》が発生する。
地面に掌ごと《ソーサー》を向けて、二枚重ねの下側の《ソーサー》をワザと起爆させる。
圧力を受けた上側の《ソーサー》を足場に、その場で前転して九能市の背後に着地する。

ヒュバッ!

「なっ!! 空中で・・・・・っ!?」

《サイキックソーサー》の応用技、《超加速もどき》だ。
本来は足の爪先に作り、けり足の下で使うことで直線の突進力を得る技だ。
第一試合で陰念に不意打ちかます時にも使ってたのだ。
この技は、かつて二十五歳の横島忠夫が妙神山で修行中、《超加速》でパッコンパッコンと人のことを殴ってくる小竜姫さまに対抗するために編み出した技だ。

ぶっちゃけ、虚をついて逃げるために作った技だな。

しかも《超加速》にはあんまし利かなかった。

九能市は予想外の俺の動きに対応できず、刀の勢いのまま体が泳いでいる状態だ。
今なら背後から無防備な首筋などの急所を神通棍で打てば楽に勝てる。

「しかし、この無防備な尻を触らずにおることなど不可能やーーーーーっ!!」

「きゃーーーーーーーーっ!!?」


結局、九能市のねーちゃんは隙を見ては飛びついてくる俺に半べそになってギブアップしてしまった。ちっ!
まぁその後、俺も美神さんに半殺しの目にあわされたわけだが。

ところで美神さん?おキヌちゃん? ボク、GS資格取ったんスけど・・・・? アレ?


霊力は満タン。
しかし出来る事なら雪之丞とは戦いたくねぇ〜な〜
一応、勝利への方程式は用意してきたが、その後の勘九郎のことを考えると、どんな些細な能力でも見せたくない。
ピートなら話せばわかってくれる・・・・・わかってくれなくても雪之丞よりは組し易いんだよな。今の俺には。

「で、そのピートなんだが・・・」


『邪悪な吸血鬼の息子であることを僕は恥じていた・・・・だが!』

クワッ!と目を見開くピート。
その表情は普段のぽやっとしたモノではなく、殺気立った険しいものだ。

『力ある者が正義! 正義は勝利した者が名乗るものなんだっ!!』


・・・・・・ピート?


『主よ! 感謝します! 僕を強靭な体を持つ半吸血鬼に生んでくれてっ!!』


「・・・・・・どーやら、薬が効きすぎたみたいね・・・・」

「なんばしよっとかあんたはーーーーーーっ!!?」

『記憶通り』ならばミカ・レイと俺の叱咤、唐巣神父の遺言(嘘)で吸血鬼コンプレックスを克服するはずだったんだが・・・・・
今回、美神さん扮するミカ・レイはすでに退場。
この場にいるのは美神さんで、ミカ・レイとして振舞う必要のない美神さんは・・・・・


「この世に正義も悪もないのよ! お金を持ってる人が正義! 持ってないヤツはその他大勢にすぎないのよっ!?
 この世は弱肉強食! 強いヤツが勝ち残って弱いヤツは消えてく運命なのよーーーーっ!!」


などと気炎を吐きまくった。
雪之丞との試合中、ふらふらしだしたら・・・・・アレだ。

「なんとゆーか、やっぱりあの親父の血を受け継いでたのね〜・・・・・」

炊きつけた美神さんだが、さすがに些か引いている。

「そうっスね〜・・・なんだか吹っ切れたというよりは振り抜いた人になっちゃいましたね〜・・・」

『そ、そんな二人とも無責任な・・・・・』

おキヌちゃん・・・・・?
人間の手に負えない事態には伏せて待つのが正しいのだよ?

ちなみにエミさんだが、応援席で「きゃ〜〜〜〜〜!! ワイルドなピートも素敵よ〜〜〜〜!!」とか言ってた。ケッ!


「美神くん・・・・・アレはどういうことかね?」

ぼ〜っとピートの変貌振りと雪之丞大苦戦を眺めていたら、背後から唐巣神父。

「あ!? せ、せんせいっ!!? な、なにがかしらっ!?」

声が上擦ってますよ美神さん。
しかし、唐巣神父がここに居るということは・・・・・・

「唐巣神父、白龍GSの本拠の調査は?」

「ああ、君たちの情報のお陰で早々に終えられたよ。クロだ。彼らはメドーサと繋がっていると見て間違いない」

でもどうせ証拠は揃ってないんだろーな〜
ピートが雪之丞を叩きのめせればそれでお終いなんだけど、そうなると俺があのピートの相手をせねばならん―――――

「ヤだなぁ〜〜・・・・」

凄くヤダ。
超おっかねぇ〜よ。逃げ回る雪之丞に「ハハハハハハハッ!!」とか笑いながら霊波砲浴びせかけてるし。

「げっ!?」

女性が「げっ!?」なんて美神さんはしたないっスよ〜げっ!?

試験会場二階応援席―――――その最上段壁際に空気が歪むほどの険悪っぷりを撒き散らすお二人・・・・・


「小竜姫様にメドーサ!?」
「ミニスカとちちっ!!」


「しばらく黙ってなさい・・・・・」

「ごべんばはい・・・・・」

凄い痛い。
しかしホンマええちちやな〜。
失われた驚異との再会だな。
コギャル(死語)メドーサのミニスカも捨て難いが、あのちちが失われるとゆーのは許せんな!


・・・・あっ!?
忘れてたが、ここで勘九郎の横槍が入ってピートが負けるんだった!!

「こんなことしとる場合やなかった! はよせな〜〜〜〜〜っ!!?」

ブオッと土煙を上げながら試験会場から飛び出して勘九郎を探しに行く俺。
間に合うか? いや、間に合わなければそれはそれで別にいい気もするが・・・・・・だってピート超怖ぇ・・・


「この勝負、ピートさんが有利だわ! 戦いが長引けば吸血鬼のスタミナを受け継いだピートさんが勝つ・・・! 残念だったわねメドーサ!!」

「さあ・・・それはどうかしらね?」

勝ち誇る小竜姫。
しかしメドーサは余裕の表情のまま念話の魔力を込めた耳飾から勘九郎に指示を下す。


(勘九郎、聞こえる?)

「! メドーサ様!?」

(茶番は終わりよ。あの半吸血鬼の坊やを始末しなさい)

「し、しかしそれでは雪之丞が・・・・!」

(命令です。・・・・いいわね?)

「は、はい・・・・・わかりました」

念話が途切れる。
勘九郎は一瞬迷う。
―――――雪之丞は友人だ。彼のことはよく知っている。

戦いの途中で邪魔をすれば、彼は怒り狂うだろう。
メドーサ様に逆らうような真似もするかもしれない。
そうなれば生きてはいられまい・・・・・

一瞬迷って、勘九郎は決断した。
何を馬鹿なことを。
メドーサ様に逆らって生き延びることが出来ないのは自分も同じだ。
ならば迷うことなど何もない。

メドーサ様の魔力の籠められた耳飾を外し、雪之丞たちの試合コート近くに転がせばいい。
あとは耳飾に込められた魔力が、吸血鬼の坊やの気を散らしてスキを作るだろう。
雪之丞のことは・・・・・・なるようにするしかない。


「悪く思わないで「こん、ヒキョーーもんがぁっ!?」ぐはぁっ!?」

勘九郎は耳飾を放り投げた瞬間、突然現れた横島忠夫にブン殴られた。


・・・・・間に合わなかったよ〜・・・ほっほっほおよよよよよ〜〜〜〜

心中で奇妙な泣き声をあげながら、背後のコートでピートが敗れたらしい音を聞く。
表情は硬く、怒りに燃えているように見えるとえーな〜・・・

「き、貴様は横島忠夫・・・・っ! イキナリ何のつもりかしら・・・・!!」

怒ってるね。
間違いなく怒ってるよ。
ここでやり合ったらあの世逝きだわ。

しかしこの横島忠夫! 実力は及ばずとも嘘は得意!! 口八丁で生き延びてみせるっ!!

「何のつもり、だと・・・・? キサマの方こそどういうつもりだ?」

怒りに震える声―――――ホントはびびってるだけなんだけどな!

「キサマが今の試合に横槍を入れたのはバレている・・・・この俺の目を誤魔化せると思うなよ!」

あからさまに「げぇっ!? 横島ぁ!?」という感じの勘九郎。
正直な男・・・・否、オカマよ。

「な、何の証拠があってそんな言い掛かりをつけるのかしらっ!? わたしホントーにわかんないわっ!!」

隠し事の下手なヤツめ。
しかし、ここで勘九郎の言葉に答えると冷静になられちゃうからな。
言いたい事だけ言って悠然と立ち去るのがベストだ。
雪之丞もタイミング良く戻ってきてるしな。

「男同士の本気の争いに、外野が手を出すなど持ってのほかだっ!! キサマは神聖な戦いを冒涜したっ!!」

目に炎を宿らせ、勘九郎を責める俺。
悔しげに唇を噛む勘九郎。

「見下げ果てたヤツ・・・・・・誇りを捨てて拾った勝利・・・・・せいぜい喜ぶがいい・・・っ!」

振り返って悠然と立ち去る俺。
事情を理解して激昂寸前の雪之丞。
殴られたまま、地面にナヨッと座り込んでる勘九郎。


フッ・・・! まさに口八丁! 舌先三寸に宿る我が命よっ!!


「勘九郎・・・・! 今の話は・・・・っ!?」

怒りに任せて勘九郎の襟首を掴む雪之丞。
普段ならば身長さで届かないが、今の勘九郎は地面に悄然と座り込んでいた。

「勘九郎っ! 答え・・・・ろ・・・・よ?

尻すぼみになる声と怒り。
雪之丞は恐ろしいものを見た。

「横島忠夫・・・・・・・・惚れたわ。

恋するオカマの目だった。


おう? なんかゾクッときた。
いらんフラグを立てた気がする・・・・・・


あとがき

もけです。
寒くて死にそうな日々、いかがお過ごしでしょうか?
灯油も高いので暖房器具はお布団と電気マットのみです。
死なないといいですねぇ・・・・


話の流れ
駆け足で第二戦終了。
第三戦、雪之丞戦目前です。

いやぁ! 立ちましたねフラグ
ピートも可笑しな方向へメタ進化です。

虎? 虎はそのうち・・・・・

美神さん敗退ですが、これは横島クンの話ですから、あまり出張られると主役から転げ落ちますからね。仕方ありません。

時間を置いたので、多少のネタストック?的なものは用意できました。
ちょこちょこ頑張ります。

駄文ですが、待っててくださる方がいたりしたら、幸いです。


レス返し〜

>柿の種氏

二回戦は順当に。
ホントはドクターカオスも面白そうでしたが、話の流れが滞るので×
よって九能市氷雅さんを起用。

この人って椎名百貨店で出てくる人なんですよね。

厄珍=不良品ですが、大丈夫でしょう。
みんな油断ならない人物だと知ってますし、知らない人にはいい警告になったでしょう。

>しらたま氏

ありがとうございます。

ギャグが冴えているのかどうか、自分ではさっぱり判断つかないのが問題ですな!

横島クンもいらないフラグをゲット。
意外と後引くフラグです。

呪いっぽいです。


>嗚臣氏

切り札がなければつくればいいじゃない!

いえ、別に急遽用意したわけではありませぬ。前から考えてましたとも、ええ。

妙神山での修行の成果を発揮するのも横島なら、姑息な手段で生き延びるのも横島です。
器用で機転が利くのが横島クンだと思ってますので、なんとかしたいものです。

>アレフ氏

ありがとうございます。
しかし、のび太ですか・・・・・・原作でも美神さんにのび太扱いされてましたな。
まあ、肉体、幽体、霊体のうち、ふたつまでが十七歳のままですから、仕方ありませんな。

例えるならば、ミニ四駆に車のエンジンが載ってるようなもんですから。


次がいつ頃になるかわかりませんが、改めて予定を調べてみたら穴だらけでした。
意外と早く次を書けるかもしれません。


お待ちいただければ嬉しいです。では。

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