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▽レス始

「GS横島 因果消滅再スタート!!〜第三話〜(GS)」

もけ (2006-01-03 04:03/2006-01-03 17:34)
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ラプラスのダイス
あらゆる霊的干渉を受け付けず、運命を示すサイコロ。
このサイコロの結果は絶対公平かつ宿命である。


「おのれ! チョコマカと・・・!
   マリア、奴の動きを止めるのじゃっ!!」

「――――イエス・ドクター・カオス」

ドクターカオスの放つ怪光線と、人造人間マリアの攻撃に逃げ惑う横島。
今はGS資格よりも命が惜しい―――!!

「そ、そーだ! ギブアップ!! ギブアップすれば死なずに済むっ!!
   おっちゃん、ギブアッア゛ーーーーーーーッ!!

マリアの腕に内蔵されたマシンガンが火を吹き、横島の周囲に着弾。
結界の中ならば霊的攻撃以外は無意味とはいえ、銃撃されて落ち着ける奴などいない。
動きの止まった横島を、ドクターカオスの怪光線が狙う。横島の命運は尽きたかに思われたが――――


「銃刀法違反です!!」


「う、うかつだったあぁ〜〜〜〜〜〜っ!!」


GS横島 因果消滅再スタート!! 〜第三話〜


「まもなく、本年度のGS資格取得試験第一試合が行われようとしております。実況は私、GS協会記録部広報課の枚方亮。解説は創業四十年!!親切丁寧、魔法のアイテムならなんでも揃う厄珍堂!! 信頼のブラ


――――割愛。

いよいよ第二次資格試験が開始しようとしている、とある六道系大学の武道館。
GS協会の資料用の記録ビデオの解説で、何故か大声で店の宣伝をする厄珍堂店主、厄珍氏。そして武力でもって黙らされいる。
厄珍堂の客層はGS関係者なので、まったく無意味な行いとも言い難いが、恐らくただの目立ちたがりだろう。

『遅いなぁ〜、・・・そろそろ来てもいい頃なのに・・・』

赤い袴着の巫女さん幽霊、おキヌちゃんが二階の応援席から、武道場内に集まった受験者を眺めながら呟く。

「ちょっと、おたく! じっとしてなさいって! あと五分もすれば第一試合が始まるワケ。そんなところをふらふら飛んでたら、受験者に間違って除霊されても文句なんか言えないわよ」

小麦色の健康的な肌に気の強そうな面差し。
クセのあるロングヘアーの女性――――呪術師でもあり、GSでもある小笠原エミ
フラフラ〜っと試験会場内に降りていこうとするおキヌを呼び止める。

商売敵であり、個人的に気に食わない女でもある美神令子。
その美神令子の事務所の所属員とはいえ、この幽霊の少女には敵意も借りもない。
危なっかしいので注意する。

『あ、は〜い。でも、エミさんまでごーすとすいーぱー資格試験を見に来てるなんて、奇遇ですねぇ〜』

「ウチの事務所のタイガーも資格を取りに来てるワケ。所長としては応援くらいはしてやらないとね」

『優しいんですね〜 美神さん・・・・・いえ、横島さんもごーすとすいーぱー資格を取りに来てますから、ふたりとも合格できるといいですねぇ〜』

タイガーさんはよく知らないからわからない。
きっと無理だと思うけれど横島さんも合格できるといい。
そんな事を考えつつも、今朝の第一次試験前に別れた横島の奇行に思いを馳せるおキヌ。

――――無理かなぁ・・・・?


気楽げに鼻歌交じりの横島忠夫。
周りの受験者と比べ、霊能どころか体力の欠片も無さそうな彼だが、今この場で最も余裕のある受験者である。

はふふふ〜ふふ〜ん、んん?、ん゛っ! あ゛〜待ってるのダルイなぁ。まだ組み合わせ終わらないのかぁ?」

今頃はGS協会の試験官が『ラプラスのダイス』とかいうサイコロで、受験者百二十八名の組み合わせを決めてるはずだ。
GS資格取得の枠は三十二名。つまり二勝した時点で、勝ち上がった受験者達はGS資格が手に入る。
ここらへんの事情は、『記憶通り』だ。
周りの受験者は、強そうな奴も弱そうな奴も、緊張した面持ちで組み合わせの発表を待っている。
探せばピートやタイガー、美神さん扮するチャイナ美女、ミカ・レイもいるだろう。

「お? はじまるのか?」

山伏姿のオッサンが、受験者番号を呼び出して紙切れを配っている。
あの紙切れに、各受験者が試合をするコートの番号が振ってあるのだ。

「どうやら組み合わせが決まったようです。各選手がそれぞれの結界に向かいます。」

俺に渡された紙には『八』と書いてある。八番コートってことだ。
上着のポケットに手を突っ込んで、スキップしながら八番コートを目指す。

なんでこんなに余裕ありげなのかって?

だって俺、この試合二回目だもん。

『記憶通り』――――結果のわかった戦いなんて燃えやしませんよ。虚しいだけっス。
しかも、俺の第一試合の相手は勝手に自滅するのだ。
俺が気をつけるのは相手の怪光線だけ。
フッ・・・・・張り切ってた姿も、少しばかり憐れに思えてきたぜ。

思えば、初めての出会いは最悪やったな・・・・・ロボ相手に”つつもたせ”で騙された挙句、この俺の若い肉体を萎びた野菜みたいなジジイの体と交換されたりしたっけ・・・・
そういえば、俺が今回の逆行をする原因になった『時空消滅内服液』・・・・・アレを最初に飲んだ時だって、ヤツが逆恨みで美神さんを狙ったとばっちりだったしなぁ・・・・・あとから美神さんにばれて酷い目に遭わされていたが。


「その他、いろいろとよみがえる苦々しい記憶の数々・・・・・・・・覚悟はいいか! ドクターカオス!? 今からキサマに屈辱というプレゼントをくれてやる!!
  そのしわだらけの肉体と、ボケの進行した脳味噌に刻み付けるがいい!!・・・・・・・・・あれ?」


第八結界。
俺の目の前には、黒一色の男――――が、その男はドクターカオスのような見上げるような大男ではなかった。
小柄な体をさらに猫背に丸め、ズボンのポケットに両手を突っ込み、下からねめあげるように俺を睨みつけてくる、全身に無数の刀傷が走るチンピラっぽい男。

陰念じゃねーか。

「てめぇがこの俺の対戦相手か・・・・・・?」

陰念さんがニヤニヤ笑いながら声を掛けてきます。

「わ、わたくしは第八コートの第一試合の対戦者でありますデス」

声が震えます。
思えば彼と『記憶通り』に初めて出会った時も、似たようなことを聞かれた気がいたします。
あの時は、トイレで陰念さんにインネンをつけられて、大変往生したものです、ハイ。

「なら間違いねぇよ。この俺が第八結界、第一試合の野郎の対戦相手だからな」

あんですと・・・・・?

『記憶』では、わたくしめが陰念さんと対戦するのはGS資格をとった次の試合のはずです。

「あ、あの〜・・・・・何かの間違いでは? ボクの相手はドクターカオスとかいうジジイだと思うんスけど・・・・・」

「間違いじゃね〜つってんだろ・・・? てめぇが今からグチャグチャにされるのはこの第八結界。グチャグチャにすんのは俺だ」

なに怖いこと言ってるんですか陰念さん・・・・・!

よく見てみれば、陰念さんのニヤニヤ笑いは口の端が引きつって、なにかを我慢するような微妙な表情です。

「ああああああ、あ、あの! な、なにをそんなにお怒りなのでせう・・・・・!?」

どう見てもお怒りの表情の陰念さん。
ボク、陰念さんにインネンつけられるようなことは、まだ何にもしてないはずなんスけど!?

ああ?なに言ってんだテメェ!? たった今、この俺に向かってしわしわだのボケた脳味噌だの、好き勝手抜かしてやがったろうがよ!!」


インネンつけてたのは俺でしたか! そうでしたか!!


『記憶通り』ならドクターカオスが第一試合の対戦者、ほとんど何もしなくても勝てる試合だと思ったから、調子に乗って決めゼリフまで言っちまったよ!
なんでか第一試合の相手が陰念さんに変更されてますデスよ・・・!?
おかしい・・・・! おかしいですよ、この状況!!

「さて、テメェは今から記憶がなくなるほどこの俺にボコられるわけだが・・・・・・その前に言っておいてやる。」

待って! 陰念さん待って! このボクが不良の人に大口叩いたりするわけないっスよ!! 不幸な勘違いっス!!

「ひとつ・・・・・・テメェがしわしわだのと抜かした身体中のキズ跡だがな・・・・・・こいつは霊波砲のためにわざとつけてあるんだよ・・・・・」

「あ〜あああああ、あああ、ああのですねっ! ちょっとボク聞いて欲しいことがあるんスけどね!」

誤解を解こうよ! ちょっとした勘違いからはじまる仲なんて、そんなロマンチックな出会いはボクらには似合わないっスよ!!

「ふたつ・・・・・・この俺の脳味噌がボケてるとか抜かしてやがったが、今からテメェは自分の脳味噌の色を見られる・・・・・・ボケてんのは俺か? テメェか? 確認して来い」

ねえ、それ殺すってコト? 俺を殺すってコトですよね!?

「審判のおっさーーーーーーん!! このままでは殺されてまう・・・・! 何とかしてーーーーーー!!!」

「試合中ならば死んでも事故だ。 死にたくなければギブアップしたまえ!」

死ぬと決め付けてるおっさんもムカつくが、それ以上に目の前で凄い霊圧放ってる陰念さんが恐ろしい・・・・・!!
い、命も惜しいが資格も欲しい!! ああ・・・・・・・ど、どうすれば!!?

「それでは、第一試合はじめっ!!」


――――時間切れです。


「死ねぇぇえええええええっ!!」イヤアアアアアアアアアッ!!?

試合開始と同時に、身体中のキズ跡から霊波砲を無数に繰り出してくる陰念さん。
視界が霊波の光で埋め尽くされますぞっ!!?

「待った待った待った待った!! ギ、ギブギブギギギィ〜〜ギャアアアァアアア〜〜〜〜ッ!!??

キュババババババババババッ!!!!!!

なんとか審判のオッサンに「ギブアップ」と伝えたいが、逃げ回ってないと霊波砲の雨霰に巻き込まれてまうっ!!?
結界が張ってあるから遠くへは逃げられない。
結界に沿って、その内側を飛んだり跳ねたり逃げ回る。

「チィッ!? なんだ、あの野郎はっ!? これだけの霊波砲の中を無傷だとっ!!?」

さいです。
わたくし、先ほどから陰念さんの霊波砲をくるくるくるくる飛んで跳ねて回って避けて・・・・・気がついてみれば、未だに一発も命中しておりません。

「そ、そうだ、陰念! キサマの攻撃など見切った!! 何発撃とうとも、この俺にはかする事すらないっ!!」

「っ!? まさか・・・・・・しかし、この野郎の動きは・・・・・っ!?」

俺の苦し紛れ半分、ハッタリ半分の挑発に攻撃の手を緩めて迷う陰念さん・・・・・・もとい、陰念。

不良っぽい人がマジで怒ってたんでついついビビって敬語で”さん”付けになってたが、俺は『記憶』ではこいつを一応倒してるはずだ!
第一試合から予定が狂ったもんだから、思わず「受け」に回ってたが、一度勝った相手。しかもどっちみち二試合後で戦う予定だった相手だ。
逃げずに攻めて、ここで倒しちまえばいーんだよ!

「っ! クソッ! 消耗しすぎたか・・・・!?」

目に見えて霊波砲の絨毯爆撃が衰えてきた。
俺のハッタリに警戒しているのもあるだろうが、明らかに霊力の使いすぎだ。

まぁ、だとしても俺と陰念の霊力差は三・七。もしくは四・六くらいだろう。
鍛えていない今の俺の体では、二流どころの霊能者である陰念相手でもつらい。
ここまで予定外のズレが大きくなってくると『記憶』もあまりアテには出来なくなってきた。

小竜姫さまに抱きついたり、おキヌちゃん押し倒したり・・・・・・・好き放題やっちゃったしなぁ〜
この後もどれだけズレてくるか・・・・・・むぅ、恐ろしいことっ!


後悔なんてしないけどなっ!!


「フ、フフン・・・・!この時を待っていたぜ! 霊力を大幅に消耗したキサマなど、もはやこの俺の敵ではないっ!」

なにはともあれ落ち着いて対処すれば、霊力体力ともに低いこの俺の体でも『八年先』の妙神山門下、横島忠夫の「経験」を頼りに勝ち抜ける・・・・・ハズだ。
陰念が警戒している間に精神を統一し、使える霊能と妙神山で修行した「経験」を引き出すことに努める。

「ちっ! こんなチンケなヤロウ相手には使いたくはなかったが・・・・・・しょうがねぇっ!」


ジ・・・ジジ・・・・・・ジジジジジジジ

陰念の霊圧が異質な高まりを見せはじめる。
魔装術を使おうとしているのは『記憶通り』、「経験」を引き出す作業は一時中断。
陰念が魔装術を纏う一瞬、完全に霊的無防備になる瞬間を狙って攻撃する――――!

ジジジジジジジバシュッ バシッジジジジジジジ・・・・!

厄珍堂で買ってきた神通棍を伸ばし、下段に構える。
霊力中枢から手、手から神通棍へと霊力を流す。

ジジジジジバシュッ! バシュッ バシッジジジジジジジバシッ バシュッ!

陰念の全身を霊波が覆い始める。
彼我の距離はおよそ七メートル・・・・・一足ではやや遠い。
もう一度、こんどは霊力中枢から脚へと霊力を流し、「経験」に基づいて霊能を行使する。

バシュッ! バシュッ バシッ・・・・ゴッ!

霊波が爆ぜて鎧を形成される。
――――狙うのは、その輝きに覆わようとしている黒い胴着の帯上十10センチ・・・!

足元で爆発。
蹴り脚が、霊力を流して強化・補強しても発揮し得ない速度を弾き出す。
神通棍を下段から中段へ振り上げる反動で鋭く突き放つ。
神通棍の先端は狙いあやまたず陰念の鳩尾へ――――七メートルの距離を刹那の速さでゼロにする!

カンッ!

弾かれた。なにがなんだかわからないが、神通棍が木切れを叩くような軽い音を立てて弾かれた。
陰念の魔装術よりも一瞬速かった。間違いない。
全身を霊波が覆う一瞬の隙、霊的にまったく無防備だった鳩尾を狙ったのに弾かれた。

手にした神通棍を見れば、これだけ霊力を込めているのにピクリとも反応してない。


不良品じゃねーかっ!!


あとがき


もけでございます。

「時間を掛けて書くとか抜かしてやがったのに、全然時間経ってねぇーじゃねーか!」

そう憤る方もいらっしゃることでしょう。
いいえ、ちがいます。
実は二話を作成中から、三話の元だけはできていたのですよ!

二話がグダグダになったのは、二話内に三話の内容をどこまで詰め込めるか否か――――それを見誤ったのですよ。
申し訳ありませんでした。

なにぶん、モノを書くのに慣れてもおらず、見切り発車な駄文ですので勘弁してやってください。


では、話の流れについて。

陰念さんをここで出すのは、因果消滅〜を書き始める前から考えておりました。
だからと言って、陰念さんが大活躍!・・・・という話にもなりません。ならないはずです。

だってそれは『大逆転!太平洋戦争』とかのトンデモ戦史モノと変わらない気がするから・・・・・・
でも、陰念さんは好きです。小者っぽい所に共感を覚えますね。

この後は色々と原作の流れから逸脱し始めますので、詳しくは秘密。


駄文ですが、待っててくださる方がいたりしたら、幸いです。

続いてレス返し〜


>七位氏
>黒子氏

修正いたしました。
素早いご指摘ありがとうございます。

実にしょぼいミステイク!・・・・・恥ずかしくて逆に楽しくなってきます。


>安芸氏

鋭いご指摘です・・・・・・・申し訳ございません!

楽しんで読んでくださる方もズバッ!と斬ってくださる方も、とてもありがたいです。
駆け出しの上に駄文書きの私です。

どうか長い目で見てやってください。

「まだコイツ書いてんのかよ〜・・・チッ! しょうがねぇな流し読んでやるか!」という感じでも。
失礼いたしました。

>嗚臣氏
>しらたま氏

くふぅっ!
ありがたいです。
駄文を指摘してくださる方も勿論ですが、フォローを入れてくださったり「面白い」とか「楽しみにしてる」とか。

鋭い指摘にヘコみそうになった時など、特に!惚れそうです。


ご期待に添えられるように日々向上を目指します。


お待ちいただければ嬉しいです。では。

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