<もし、鬼道が自分の限界に気付いていたら>
昔、昔ある所に鬼道政樹君という少年がいました。彼は衰退した式神を操る家の少年で、特にそのお父さんの代で企業としても式神使いとしても、ライバルであった六道家にコテンパに負けてしまい、オマケにそのお父さん、六道家の当主に若い頃、振られてしまっていた事でとても恨んでいました。
そして、鬼道君はそのお父さんの復讐の代替わりとして鍛えられ、そして、六道の当主の娘、冥子ちゃんに戦いを挑んだのです。そして鬼道君、冥子ちゃんから式神を4体まで奪い取りました。
「今日のところはその辺にしといてやったら? 式神を4匹も手に入れたんだから大収穫じゃない」
「そやな、今日の所はこの辺で勘弁しといたるわ」
「なっ、何をいうか、おまえ!?」
美神さんの言葉に対し、鬼道君は以外にもあっさりと承知しました。その言葉に彼のお父さんは驚き、焦ります。それに対し、彼はニヤリと笑って言いました。
「父さん、心配せんでもええ。あくまで今日のところはや。勝負はまた、改めてする。このままやとあんまりに歯ごたえがないしな。それに、じわじわ少しずつ取り上げてやった方が僕等の味わった苦しみを教えられるっちゅもんや」
「ふえっ」
それを聞いて泣きそうになる冥子ちゃん。それに対し、鬼道は彼女の方に視線を向けると嘲るように言いました。
「さっきも言うたけど暴走はせん方がええで。それをすれば、今すぐ、式神全部うしのうてしまうからなあ」
「ひっ」
ビクつきながらもなんとか泣くのを堪える冥子ちゃん。そして引き上げようとする鬼道君。彼女はそれを涙目で見送るしかありませんでした。けれど、意外な所から異議が入ります。
「駄目よ~!この勝負は途中退場はできないわ~!冥子最後まで続けなさない~!」
「そ、そんなお母様~!」
「・・・・・自分側が圧倒的不利やというのに、自棄に粘るやんか? たくらんどるつもりやろうけど無駄やで。行き成り式神を12匹も増やしても制御しきれない事位、僕もわかっとる。一流の霊能力者なら、自分の消耗具合位把握しとるもんや。けど、影におさめて置く位なら、僕にもできる。本当に全部失ってしまうで?」
「うっ。や、やっぱり~、今日はお開きにしましょう」
図星をつかれる冥子ちゃんのお母さん。鬼道君の完全勝利です。
「あっはははは。この式神に慣れたら、改めて残りの式神手に入れたるから覚悟しとくんやな」
こうして勝利を喜び、盛大に笑う鬼道君。鬼道君は既にGS免許を持っていましたし、奪った式神を使って、彼の家はどんどん力を取り戻していきます。逆に六道家には衰退の影が見えてきました。もともと、冥子ちゃんのGSとしての評価が高くなかった所に敗北して式神を取られたというのはその評判に大きく影響してしまったのです。特に六道女学院は来年度の入学希望者が激減するのではないかとまで言われるようになりました。
「わっはっはっは、どうだ政樹、そろそろ他の式神も奪ってやるか?」
「んっ、そうやな」
復讐が果たせて大喜びの鬼道君のお父さん。けれど、それとは対称的に鬼道君、浮かない顔です。最初は彼も浮かれていました。けれど、幼い頃から式神を家族同然に扱ってきた彼には気付けてしまったからです。冥子ちゃんから奪った式神がとても寂しそうなのを。
「なあ。お前達、元のご主人様の所に帰りたいか?」
式神に話しかけます。彼の中には復讐の感情も既にありません。元々、親に押し付けられたものですし、今の六道家を見てこれ以上の憎しみは浮かびませんでした。
「父さん・・・・・勘弁してや」
それからしばらくして、鬼道君と冥子ちゃん、もう一度式神勝負をしました。その戦いで冥子ちゃんはとても強くなっていました。大切な式神を、友達を取り戻す為、冥子ちゃん、生まれて初めて死に物狂いで訓練したのです。その連携は見事なものでした。
そして、冥子ちゃん、その戦いに勝ちました。鬼道君がもともと持っていた夜叉丸以外の式神を全てとりもどしたのです。
けれど、冥子ちゃん気付いていました。鬼道君は本気で無かったことに。
「マー君、どうして手加減してくれたの?」
「いいんや。式神達も君のそばにいた方が喜ぶ」
鬼道君、少し寂しそうにいいます。それは力を失ったからでなく、冥子の式神にもまた、愛着を持っていたからでした。
その鬼道君の表情に冥子ちゃん、なんとも言えない表情になります。ちなみに、脇では鬼道君のお父さんが真っ白になり、冥子ちゃんのお母さんが無邪気に喜んでいました。
それから、鬼道君は修業をやり直し、最後には妙神山の修業までもクリアーし、一流のゴーストスィーパーと呼ばれるまでになりました。また、冥子ちゃんの方はこの件で成長して、一人でも除霊ができるようになりまし、式神も取り戻したので、六道家の評判もやがて回復しました。
それから、この件で変わった事はもう一つあります。式神を返してくれた鬼道君の事を、冥子ちゃん好きになってしまったのです。しばらしくして冥子ちゃん、彼女らしからぬ積極的なアプローチをし、鬼道君を落としました。冥子ちゃんのお母さんの方も成長した鬼道君なら冥子ちゃんの婿として釣り合うと二人の交際を認めました。そして、二人は結婚し、二人もその式神達も幸せに暮らしたそうです。
めでたし、めでたし。
<もし、グレムリンの子供を引き取っていたら>
宇宙でグレムリンの赤ちゃんを拾った横島君、退治するのもしのびなく(っと、いうかおキヌちゃんが懇願して)、さりとて事務所に置いておくとお札や道具を齧ってしまうので、彼が引き取って育てる(育てさせられる)事になりました。
「だーーー!!! お前はなんてことするんだー!!!」
おキヌちゃん命名、グリちゃん、横島君家のテレビや柱を喰い散らかします。そして、彼の命の次の次位に大事なエッチなビデオや本も齧ってしまいます。
「あー、舞ちゃんが、花梨ちゃんが、志保ちゃんがーーーーー!!!」
AV女優の名を呼んで涙を流す横島君。グリちゃんの世話費として、横島君には級力の他に月2万が支給されるようになっていたのですが、支出額はそれ以上でした。
「このやろおおおおーーー!!!!!」
「キュッ?」
血の涙を流し、殴りつけようとするも、つぶらな瞳で小首をかしげて言うグリちゃんい、基本的に子供と動物には優しい彼はそれをする事ができませんでした。
「キュー♪ キュー♪」
そして、グリちゃん、そんな横島の気も知らず、彼に頬擦りします。横島君、ただでさえ妖怪に好かれるスキルがありますし、グリちゃん生まれて初めて見た横島君とおキヌちゃんを親と思ってますから彼にはとてもなついています。
「くっ、こうなったら、てめえも働けやーーーーー!!!!!!!」
懐かれれば悪い気はしません。さりとて、血の涙を流させられているのは事実。そういう訳で横島君、グリちゃんに芸を仕込みました。そして、よくあるペット番組でその芸を披露させたのです。結果は、大成功、賞金ゲット、更にグリちゃんをダシにして彼もモテモテに・・・・・とはなりませんでした。賞は取ったもののグリちゃんがTVのセットを食べてしまい、損害賠償でますます、彼は貧乏になってしまいました。
「こんちくしょう!! こんちくしょう!!」
ますます、血の涙を流す横島君。しかし、やがて転機が訪れます。グリちゃん、どんどん大きくなり、それと共に強くなっていきました。除霊現場にもついてきて、ピンチの時には美神さんや横島君を救う役立つ魔物へと成長しました。その成長に、美神さんが横島より役に立つと評価し、嫉妬した横島君が虐待を加える等という事もありましたが、それでも彼についていくグリンちゃん。その献身さにいつしか横島君も心を討たれ、一人と一匹の間には強い絆が生まれていきました。
「グゥオオオオン♪」
GS試験の頃には立派な成獣に成長していたグリンちゃん。けれど、それは身体だけで、こころはまだまだ子供です。横島君の新しいパートナーとなった心眼にお父さんを取られたみたいで嫉妬しました。心眼をカミカミです。それを、横島君に怒られ、ショボンとしてますます心眼を恨みます。けれど、雪之丞戦には心眼が横島君の盾になろうとした時にはつい彼を庇ってしまいしました。心眼はグリちゃんにお礼を言い、それを気に二匹?は和解し、仲良くなりました。
グリちゃんの介入でそ横島君失格負けになりましたが、それまでの結果は無効とはならず、GS資格を手に入れました。そうしてその後、横島君はグリンちゃんと心眼を従え、魔物使いとして活躍するようになりました。
めでたし、めでたし。
<もし、おキヌの横島殺害が成功していたら―――――後日談2>
「うーん、やっぱり、できん!!」
横島君が霊能力の訓練を始めてから2週間が過ぎました。けれど彼、一向に制御できる様子がありません。っと、いうかいつも途中で脱線して、おキヌちゃんに飛び掛ってしまうのです。
「やっぱり、誰かに教わるしかないんでしょうか?」
「うーん、けど、おキヌちゃん誰か心当たりある?」
始めは暇つぶしで始めた事ですが、神様なんだから、少し位力とか使えないとまずいかな~っと思い出したので、横島君、結構、真剣に考えているようです。そして、問いかけられたおキヌちゃん、ある場所を思い出しました。
「あっ、そうです。この近くに氷室神社って所があるんですけど、そこの神主さんが霊能力を使えるって聞いた事があります」
「おー、そりゃいい!!」
おキヌちゃんの案に感心したそぶりを見せながら内心では、美人の巫女さんとかいないかなーっと考えている横島君。それにしても、幽霊とはいえ、最上級の巫女さんである(実際は巫女さんじゃありませんが)おキヌちゃんを恋人にしてるのに、それでは満足できないとは彼の煩悩には呆れるばかりです。
まあ、何はともあれ、二人は氷室神社に赴きました。
「ずっと、前から愛してましたあああああああああ!!!!」
氷室神社の巫女である早苗ちゃんを見た瞬間、横島君飛びかかります。がっ、それよりも早くおキヌちゃんが神速のハリセンを叩きこみました。
「横島さん!! いい加減にしてください!!」
ちなみにそのハリセン、霊能力で具現化したのもので、しかも、横島君よりも高速で動きました。おキヌちゃん、300年間かけても神様になれなかった落ちこぼれの筈なのですが、何故か幽霊になって格が下がった筈なのに、こんな事ができるようになったのは女の情念は強いという事なのでしょうか?
「あ、あんた達一体・・・・・」
「すいません。実は、かくかくしかじかこういう訳で・・・・・・・」
おキヌちゃん、横島君を沈黙させた後、早苗さんに謝罪して事情を説明しました。
「うーん、そっただ事言われてもー。わたすはその辺大した知識も持ってねえし。大体その人本当に神様だべか?」
横島をかなり疑わしげな目で見る早苗ちゃん。まあ、いきなり女の子に飛び掛るような事をした後では無理もない話しです。
「え、えと、その、ほら、神様って結構好色だって話もありますし」
困った顔でそう言い訳するおキヌちゃん。ですが、実際そういう神話は多く残っているので、まだ少し疑わしげな顔をしつつ、早苗ちゃんも少しだけ信じるようになったようです。
「まあ、とりあえず、父っちゃ呼んでくるからちょっと待っててけろ」
そう言って、彼女は神社の奥へ行き、彼女のお父さんを連れてきました。そして、その、早苗ちゃんのお父さんで氷室神社の神主さんに横島君とおキヌちゃんは改めて事情を話します。けれど、神主さん難しい顔をしました。
「なるほど。事情はわかりました。しかし、私はたいした力も知識も持ちませんし、仮にも神様に教える程のものはありません」
しかし、そこで神主さん、ある事を思い出し、一旦神社に戻って地図を持ってきました。
「ここで修業してみてはいかがでしょうか? ここには、妙神山という山がありまして。竜の武神が住んでいらっしゃる修業場だそうです。ここならば何か学べる事もあるのではないでしょうか?」
「うーん、修業場か。厳しそうだなあ。それに、俺、まだ新米神様だから、あんまりここから離れられないんだよなあ」
早苗ちゃんのお父さん、神族の修業場を推薦します。しかし、横島君乗り気ではありません。それに彼の言うとおり、この山に括られた彼は無理に離れようとすると霊力が欠乏し、苦しくなるのです。
「ところで、竜の武神ってどういう人なんですか?」
「私も直接お会いした事はありませんが、見た目は何でも美しくも勇ましい女性の姿だとか」
そんな横島君を端におキヌちゃん、好奇心から尋ねました。その答えに横島君が反応します。
「ピクッ・・・・美しい女性?」
「ええ、小竜姫様という名前だそうで」
神主さん頷き答えます。横島君、頭の中で妄想し、どんどん煩悩と霊力が高まっていきました。
「・・・・・・美しい女性、美しい女性・・・・・・・・・・よっしゃあああ、いくぞーーーーーー!!!!!!!待っててねえ、小竜姫様ああああああああ」
「横島さ~ん、待ってくださいよーーーーー!!!!」
そして、横島君爆発し、山の括りももろともせずに、妙神山にまで突っ走っていき、おキヌちゃんもそれを追いかけて行きましたとさ。めでたし?めでたし?
(選択)
1:この後、横島君は小竜姫様まで落としましたとさ
2:なんだかんだでおキヌちゃん一筋でつらぬきましたとさ
(後書き)
えーと、前回荒れてしまったので、心配しながら投稿したのですが、どうだったでしょうか?
(鬼道編について)
鬼道が後半いい奴になりすぎたかも(汗)
(グレムリン編について)
原作、特にアニメ版ではグレムリンの赤ちゃんを引き取るような感じだったので、その後さっぱりでなかったのが、マスコット好きの俺としては寂しかったので書いて見ましたが、色んな点でかなり強引になってしまいました。
PS.カシス・ユウ・シンクレアさん、わざわざ感想出しなおしていただいてありがとうございました。勿論、普通に感想くださった秋斗さん、七位さんもありがとうございます。
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