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▽レス始

「もし、あの時・・・・・・5(GS)」

柿の種 (2005-12-26 22:53/2005-12-27 01:28)
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<もし、横島君がルシオラの異変に気付いていたら>


「昼と夜の間、ほんの少しの時間しか見られないから綺麗・・・・・・」

 横島君に自らの命を譲り渡し、最後の言葉を残し消えようとするルシオラちゃん。しかし、数秒たって、彼女はまだ自分の意識が残っている事に気付きました。

「あれ?」

「ルシオラ!! しっかりしろ!!」

 目を開けたルシオラちゃんの前に居たのは横島君。“蘇”や“癒”、“生”などの文珠を次々使い、彼女の命を繋ぎとめようとします。けれど、彼女の身体は一向に治りません。

「よ、横島、どうして!?」

 横島君がここにいる事に驚くルシオラ。それに対し、彼にしては珍しい事に怒りのこもった口調で横島君返します。

「お前の様子が何か、変だったから気になって戻ってきたんだよ!! そしたら、お前死にそうじゃないか!!」

「・・・ごめんなさい。ああ、言わなければ言ってくれないと思って。けど、もう、やめて。どっちにしろ、私はもう助からないわ」

「そんな事言うな!! 簡単に諦めてどうする!!」

 4つ目の文珠、“治”の文珠を使います。しかし、それは彼女の崩壊を繋ぎとめる事しかできませんでした。

「無理よ。横島と私じゃあ、基本となる力が違いすぎて、失った霊気構造を再生させる事はできないわ。それよりも、早く美神さんの所へ・・・・・」

「あの人は心配せんでも、そう簡単にくたばったりはせんわ!! それよりも、今はお前を「駄目よ」

 横島君の言葉を遮るルシオラちゃん。そして、彼女は俯いて言いました。

「だって、横島が本当に好きなのは、美神さんなんでしょう?」

「な、何を一体」

 ルシオラちゃんの言葉に激しく動揺し、混乱する横島君。そんな、彼にルシオラちゃんは横島君の心の中に入り込んだ時、自分との思い出を美神さんにすり替えた記憶を持っていた事を話します。それを聞いて、横島君、何とも複雑な表情を浮かべました。

「私は・・・横島には幸せになって欲しいの。横島には色んなものをもらったから。けど、横島がほんとは私の事を好きじゃないってのはやっぱり辛くて・・・・・・。だから、あんな無茶もしたんだと思う。私は横島を守って、それで消えちゃえば、きっとそれが誰にとっても一番なんだって・・・そう思ったのよ」

 そして、ルシオラちゃん、自らの胸の内を明かします。本当は、誰にも言うつもりの無かった事でしたが、死を間際にしての弱気が思わず本音を漏らさせたのでしょう。

「確かに、俺は美神さんの事を好きなのかもしれない・・・・」

 話しを聞き終わった後、横島君、そうポツリとつぶやきました。それを聞いて、ルシオラちゃん、“ああ、やっぱり”と思いながらも寂しそうな顔をします。けれど、横島君、これに続けて意外な事を言います。

「けど、ルシオラの事を好きってのも嘘じゃないぞ」

「えっ?」

 その言葉に一瞬、混乱に落ちるルシオラちゃん。そんな彼女を他所に横島君、ヒートアップを始めます。

「もっといえば、おキヌちゃんだって、小鳩ちゃんだって、エミさんだって、愛子だって、小竜姫様だって、ワルキューレだって美人はみんな好きじゃ!!!」

「えーと・・・・」

「まあ、美神さんのあの乳・尻・ふとももは滅茶苦茶煩悩を刺激されるが、最近はルシオラみたくスレンダーなのもそれはそれで好きやー!!!!!」

「は、はあ」

「って、いうか、男なんてみんなそんなもんじゃ!! ルシオラの言うとおり俺は美神さんに惚れてるのかもしれんが、ルシオラにも惚れてる!! っと、いう訳で何が何でも助けちゃる!! 大体、まだ、約束の一発もやらせてもらってないのに、死なせてたまるかーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!」

 煩悩まみれな上にかなり自分勝手な言い草ですが、それだけに本音である事が伝わってきます。ルシオラちゃん、なんだが、自分が悩んでたのが馬鹿らしくなってきました。

「横島、ならあなたの中の私に呼びかけて見て。今、私が消滅しそうなのは、あなたの中に私の霊気構造を分けすぎてしまったからなの。そこからほんの少しでも返してもらう事ができれば、多分生命を維持する事位はできると思うわ」

 ルシオラちゃん、前向きに自分が生き残る事を考えはじめました。っと、いうか、この世の中というか、ある意味で女性を舐めまくった目の前の男には一発ぶん殴ってやらないと気がすまないという気になってきたようです。自分が助かる可能性を教えます。

「んー、何かよーわからんが、俺の中にルシオラが入っているって事か。うむ、何か、こういうといやらしい感じだ」

「・・・・・横島、そろそろ文珠の効果が切れて私、死んじゃいそうなんだけど・・・」

 冷たい目で見るルシオラちゃんに、それを聞いて焦る横島君。慌てて、実行し、そして霊気構造に残った彼女の残留思念を見つけます。そして、その彼女と意思を合わせ、ルシオラちゃんの霊気構造の混じった太極型の文珠を作り出すのに成功しました。
 ちなみに、人間である横島君の魂からその一部を切り離せた事を不思議に思う人がいるかもしれません。確かに人間の魂はちぎったりくっつけたりを簡単にできません。けど、この時はまだ二人の魂がよく混ざっていなかったので、横島君の魂に直接触れていないルシオラちゃんの魂からちぎって取り出せば、横島君の魂に傷つけずにすんだのです。

「それを、貸して!!」

 そして、その文珠に再生という文字を込め、ルシオラちゃんはそれを飲み込みました。すると、身体の崩壊が止まり、何とか落ち着きます。

「とりあえず、これで私は大丈夫よ」

「こんどこそ嘘じゃないよな?」

「ええ。それじゃあ、早く美神さんを。決着は後でしっかりつける事にするから!!」

 そうして、ルシオラちゃん、横島君を送り出しました。そして、その後、横島君何とか美神さんを蘇らせ、アシュタロスに勝利したのですが、驚いた事にルシオラちゃん、戦いの後、横島君と別れてしまったのです。その理由について彼女はこう語りました。

「横島が私の事を一番好きにさせてみせる!! それから、改めて横島を手に入れるわ!!」

 “ヤり”損ねた横島君、血の涙を流しましたが、まあ、自業自得でしょう。


 そして、それからしばらくの時が流れた後、美神さんが少し素直になり、おキヌちゃんがほんのちょっと大人になり、人狼の少女、シロちゃんが加わって、横島君をめぐる女の争奪戦が起こりました。この争いは長く数年も続いたそうです。
 けれど、その結末に関しては残念ながら伝わっておらず、横島君が結局、誰を選んだのかについては今日でも解っていません。一説には、横島君の煮え切らない態度に全員が愛想をつかせた、とか、彼が“みんなまとめてめんどうみた”、などという説もありますが、真相は闇の中です。
 ただ、後世のある歴史家がアシュタロス事変について纏める為に、イタコをやとって彼等を呼び出した時の事が記録に残されています。
 その時、呼び出された彼等はこの件に関し答えを示すことはありませんでしたが、代りにこう答えたそうです。「自分は幸せな人生を送った」っと。めでたし、めでたし。


(後書き)
リクエストにあった、ルシオラの“もし・・・あの時”話しですが既に多用されているネタだけに難しかったです。他と差をつけてみようとあえて、あまり触れられていない、ルシオラが無茶をした理由、実は横島は美神が一番好きなのではないかという点に触れてみたのですが、横島の煩悩あふれる様子がいまいち上手く書けませんでした。
 結末についてはみなさん、ご自由に想像してみてください。

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