<もし、横島が初対面で魔鈴さんに本気で惚れていたら>
魔鈴さんに一目惚れしちゃった横島君、美神さんと魔鈴さんの料理対決で輩出されちゃった煩悩を勢いで潰してしまいます。
しかし、これは大変な事でした。煩悩の無くなった彼は霊的な空白地帯。煩悩と共に霊力を失い霊的抵抗が零の存在になってしまったのです。それは、例えるならば、無菌室の中でしか生きられない病患者のようなもので、その日から彼は結界の中で暮らすしかなくなりました。
この事に責任を感じた魔鈴さんは何とか彼を元通りする方法を探そうとしますが、簡単にはいきません。やがて無理をし過ぎた彼女は身体を壊し、そのまま倒れてしまいました。
そして、解決方法も見つからないままアシュタロスが訪れ、横島君の助けの無い美神さん、アシュタロスに勝てず、コスモプロセッサが起動、世界は滅びてしまいましたとさ。めでたくなしめでたくなし。
<もし、大樹がタイムリミットに間に合わなかったら>
横島君、お母さんと一緒にニューヨークに行きました。最初は嫌がっていた彼でしたが基本的に順応能力の高い彼は直ぐに馴染み英語も覚え、友達などもできました。
けれど、横島君、日本での事がなかなか忘れられません。美神さんやおキヌちゃんとの縁はそれほどに深いものだったからです。その事に百合子さんは直ぐに気付きました。けど、息子に厳しいようで実は彼を溺愛して意外に寂しがりやでもある彼女。大樹とも離婚してしまいましたし、横島君を手放して日本へ返し、一人残るという決断などできませんでした。
それから、しばらくの月日が流れました。日本がアシュタロスの襲撃で大変になっている事を知ったのです。これには、横島君黙っていられませんでした。実は横島君、単に百合子さんが怖いだけでなく、彼女が大樹と離婚して寂しがっている事にも薄々気付いていたので、離れる事ができなかったのですが、今度ばかりはそうとは言っていられません。
「お袋!! 俺は美神さんやおキヌちゃんを助けたいんだ!!」
男の顔をするようになった横島君に、百合子さんは寂しさと危険な場所に行かせる不安を感じながらも横島君の言葉に承諾します。そして、それから、横島君は日本に渡りました。途中何度かハプニングに見舞われながらも、再び美神除霊事務所のメンバーが揃います。
そして、アシュタロスとの対決。実戦経験からは離れていましたが、何もしないと縁が切れてしまうような気がして実は密かに霊能力の訓練をしていた横島君。制御力は前以上になっていました。
様々な戦術を駆使し、そして最後には 美神さんと2人どころかおキヌちゃんまで含めて何と3人での同期合体を実現し、アシュタロスを撃破します。
こうして、日本に平和が戻りました。それから、日本で横島君が戦っていた頃、アシュタロスのコスモプロセッサ操作によりニューヨークでも魔物が大量復活するという出来事が起きていたのですが、そこに大樹が現れ百合子さんを守ったそうです。そして、それを機に二人は復縁。百合子さんは会社をやめ、またナルニアに戻り、横島君は美神除霊事務所に復帰(ただし時給据え置き)しましたとさ。めでたしめでたし。
ただ、この話しの裏でルシオラ達3人は只の敵として破れ散っていったのは悲しいお話です。めでたくなしめでたくなし。
<もし、横島が助けたのがルシオラではなくベスパあるいはパピリオだったら>
今回は何時もとは少し違う語り口を致しましょう。
もし、横島がルシオラを助けず他の二人を助けていたならばどうなっていたでしょうか?
まず、ベスパに関しては語る意味を持ちません。何故なら、横島は実際にベスパを美智恵から助けているからです。感謝はするでしょうが、それだけで、アシュタロスになって邪魔になれば、排除するでしょう。関係は何も変わりません。
では、パピリオならどうでしょうか?
横島は基本的に年下には無関心です。おキヌや弓のように一つ年下までは守備範囲内のようですが、基本的にそれより下は恋愛対象外、ましてやパピリオの年ではそのような対象として見る事はまずありえないでしょう。
親しくなる事はあっても恋愛関係になりえず、よって横島が10のタブーを知る機会はなくなります。その為、横島君は次の指示を待ってスパイを続ける筈です。しかし、横島、一度人間側に裏切られています。
あの後、美智恵がどんな計画を立てていたのかはわかりませんが、もし、もう一度裏切られれば如何に彼とてもう相手を信用しなくなったでしょう。そうなれば、彼は魔族の側についていたかもしれません。あるいは、それでも美神達を守る為に、脱走しようとするかもしれません。あるいは、美智恵がそれ以上裏切る事はないかもしれません。
可能性は無数にあり、その中からそれらしい答えを見つけ出す事すら困難です。ただ、一つ言えるのは本来の歴史程横島君が成長する事はないだろうと言う事だけです。
<もし、オキヌの告白に横島が真面目にOKしたら>
「えっと、俺でよかったら」
おキヌちゃんの告白を受け止めた横島君、彼女と付き合い始めました。もともと、彼女が幽霊の頃から彼女が人間であったらと言っていた彼でしたから勿論彼女の事は好きでした。もう少し言えば、彼は美神さんの事も、いえ、むしろ彼女の方が少しばかり強く好きでしたが、想いを告げられた分、その気持ちがおキヌちゃんに傾いたようです。
そして、付き合い始めた二人ですが、意外な事に横島君おキヌちゃんに手をだそうとはしませんでした。男女の営みどころかキスさえもしようとしないのです。おキヌちゃん、この事に非常に不安になりました。先ほども言ったように横島君、美神さんの事も好きでした。そしておキヌちゃんはその事に気付いてもいました。だから、自分と付き合いはしたけど、本当は今でも横島君は美神さんの事が好きなのではないかと思ったのです。だから、ある日、彼女は思い切ってその事に尋ねて見ることにしました。
「横島さん、どうして何もしないんですか!?」
「えっ?」
「もしかして、横島さん、ほんとはまだ美神さんの事が好きなんじゃないですか!?」
おキヌちゃんの突然の言葉に横島君、大いに戸惑います。そして、事情を詳しく聞いた彼はまずは彼女を不安にさせていた事を謝り、自分が何故何もしなかったのかを説明しました。
「おキヌちゃん、ごめん。いや、なんちゅーかさ、ほんとに俺がおキヌちゃんに色々しちゃっていいのかなーっとかそんな事思っちゃって」
横島君が言うのには自分が本当に彼女に相応しいのか自信がもてなかったからだというのです。自分が本当に彼女を汚していいのか、美神のような強い女性に接している時はいいのですが、そういうタイプでない相手に対してはつい無意識に歯止めがかかってしまうのでした。
「そんな事言わないでください。横島さんは、私なんかよりもずっと凄い人なんですから。それに、私は横島さんが大好きなんです」
こうして胸の内を打ち明けた二人はその関係を少しずつ進展させていきました。そして彼等は何とかアシュタロスとの戦いを乗り切り、その数年後、結婚しました。
その結婚式の場で彼等の上司である美神さんがその師匠である唐巣さんにこう打ち明けたそうです。
『そうね。あの当時、私は横島君が好きだったかもしれないわ。けど、おキヌちゃんとの仲を引き裂こうとか、奪ってやろうだろうなんて思ってもいなかった。それは、多分、横島君を男として好きな以上に、横島君とおキヌちゃんを仲間として、家族として好きだったのよ』
そして、横島君とおキヌちゃん、そして美神さんが出会ってから10年の月日が流れました。横島君とおキヌちゃんが結婚したように、美神さんも別の男性と結婚しましたが、3人は今でも同じ事務所で働き、家族同然の付き合いをしているということです。めでたし、めでたし。
(後書き)
かゆうううううううううううううううう!!!!!おキヌの台詞が書いてて痒かったです。つーか、ちょっとキャラが違う?
前回頂いたリクエストのうち4つを書かせていただきましたが正直難しかったです。って、いうかかなりご都合主義になりました。少しでも満足頂けたでしょうか?義王さんのリクエストではメドーサは一体いつまで体内に留まって居たのかで話しが変わるのでかけませんでした。
他は単純に話しが思いつかなかったor書ききれなかったです。