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▽レス始

「願い〜第一話〜 中編 その九 (GS)」

水稀 (2005-12-25 16:53/2005-12-25 16:56)
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「 俺も使うのを躊躇っていた── 」


『 しん・・・・ 』と、静まり返る。
間に何も遮るものが無い二人の対峙は
そのままじっと、凄絶に睨み合う──


息を呑む令子達を視界から外し
横島が口火を切った。


凄絶な視線で此方を窺うように
見つめる華陽に向かって『ふふん』と鼻から息を漏らしつつ


「 ここに誓う。俺はお前を──してやることをっ! 」


あえてそこだけ『 ごにょごにょ 』と言葉を濁した横島に
『 ぴくり 』──と令子の肩が揺れるがツッコミは無い。
何故なら、ギャグは前回で終わりだからだ。


僅かな時間、静寂が場を占めた。


そんな不可思議で微妙な雰囲気の中
何も知らない華陽が泰然とした態度で呟く。


「 ─早くしたらどうだ? 」


その呟きに横島が『ゆらり』とほんの少し後ろへと
後退りするが──それは敗北のそれでは無く─


「 ──後悔するなよ? 」


と、それまで凄絶に睨んでいた横島の視線が
突如、その色合いを変化させた。


『 ごくり 』と我知らずの所で鳴らされる固唾を呑み込む音に
華陽は異様なプレッシャーを感じていた。


『 なんだ・・・?』そう考え、横島に隈無く視線を巡らせた。


無言の対峙が僅かに続く。
──が、横島の体が一度僅かに揺れた。


突如


「 煩・悩・全・開・!! 」


『 ぬぅおぉぉぉぉ 』と不思議な掛け声と共に
横島の手には何時の間にか光を放つ翡翠の玉が握られていた。


「 ──っ?! 」


瞬間、その雰囲気をねっとりと重圧のあるものに変えると
光を漏らし始めた横島の右手に僅かな驚愕を覚え
すぐさまその光の効果を思考した。


『 幻術でも無い─熱も感じられない・・・』


等と、光を媒体として使用する術の効果と現状を
華陽は迅速に比較し、答えを出す。


「 ─何をした・・・? 」


刹那

横島の鼻からその体積では
有り得ないほどの血液が吹き出て虹を作る。

『 ヘヴィや・・・ 』 そう呟かれた言葉と共に
その右手から翡翠の珠が転がり落ちてきた。


「 ──なッ!? 」


驚愕の声を上げ転がって此方へと向かい来る
翡翠の珠に呆然としながらも視線を巡らす。


僅かな間 『 コロコロコロ 』 と枯葉や枯れ木で
生めら尽くされている筈の大地を何故か整備されている
通路の様に、一直線に此方に来る珠を眺めていると・・・


コロコロコロ・・・─コン


と当然の様に足元に当たったその珠を
華陽は怪訝な表情をしながらも『 ひょいっ 』と拾い上げ
観察した。


『覗』

翡翠の珠にはそう描かれていた・・・。


          願い 〜第一話〜中編 その九


「 うげぎれどきがらあぐがぎがぁぁぁっ! 」

と──謎の悲鳴を上げると横島は


『堪忍やぁ・・・ギャグ無しじゃGSキャラとしてEnd of Run・・・
              ──連載の終わり際になるんやぁ・・・ 』


呟き、再び力無く地面に崩れ落ちた横島。
時折、『たん』と地面を叩く音─それと同時に瞳から零れる涙が
彼の哀愁を漂わせている。


──が、令子とおキヌが横島の傍へと歩み寄り
『 にっこり 』と笑顔で、横島の襟首を持ち上げ


「「 真面目にやんないと、後が怖いわよ(ですよ)・・・。 」」


そう短く呟かれた言葉に力強く
『 はいっ! 』と返事したのは生命の本能的防御行動だろう。

その返答に頷き、再び令子達は姐妃の元へと去っていく。


そんな令子の後姿を力無く眺めていた横島は素早く振り向くと
何故か未だに固まっている華陽へ語りかけた。


「 真面目にやるから── 」


その呟く様な言葉に素早く頷いてしまうのは華陽の・・・
そして『 ギャグキャラ 』に成りきれないキャラの
心情を深く物語っていた・・・。


                ・
                ・
                ・
                ・


再び僅かな時間、静寂が場を占めた。


そんな不可思議で微妙な雰囲気の中
何か嫌な世界を知ってしまった華陽が躊躇しながら呟く。


「 ─は、早くしたらどうだ? 」


律儀に先程の言葉を繰り返した華陽には
既に悪役としての威厳は無いのかも知れない。


─その華陽に言葉も無く頷いて見せた横島は
その手に再び文珠を表現させると


「 ちなみに─これも二度目だ・・・。 」


呟き、文珠に『模』の文字を浮かび表せたが
それと共に僅かに表情が悲哀に彩られたのは
未だ、仕方の無い事だろう。


──途端、横島から溢れ出す妖気に
華陽、そして姐妃が驚愕し僅かに身を揺らした。


「 ──っ!? 」


「 これで・・・互角だっ! 」


不敵な笑みを張り付かせて喋る横島に
幾許か思考をしながら華陽が視線を巡らせた。


( 人間が妾と同じ妖気を発し、尚且つそれが── )

『 互角だと・・・? 』と苦々しく呻いた後
瞬間その表情を一変させた。


先程の苦々しい表情を一変させ薄笑いまで浮かべ始めた華陽に
横島は身構えて先程の余裕に満ちた態度を抑え


「 ──何だ? 」

呟くが─華陽はその呟きに答えず
薄い笑みを浮かべたまま姐妃のいる方向を指差した。


そんな華陽の行動に僅かな間、迷い視線を巡らせていたが
華陽が『 ちょいちょい 』と何度も指差してくる。


「 ─・・・? 」


怪訝な表情を浮かべながら横島は其方に注意を向けると


『 ──で、相手の状態をシミュレートしてるから─ 』
『 そうなの? 』『 そうなんですか? 』

『 えぇ・・・。あれじゃ勝ち目ないわ・・ 』
『 どうする気かしら? 』 『 ほえぇ・・・ 』


等と、横島の状態を実況し
のんき語り合う美神達の声が届いてくる。


「 ・・・・・ 」

暫くの間、沈黙して横島は華陽を見据えたが
華陽はリラックスした状態で身構える事すらなく対峙している。


華陽が、ふと笑みを消し呟いた。

「 一瞬で妾を殺せるか? 」

「 何──り─の──ばらし──・・・・ 」

華陽の呟きに横島は聞き取れない程に小さく呟き返した。


「 ──? 」

華陽が、怪訝そうに眉をひそめた瞬間


「 何あっさり人の弱点
      ──ばらしとんのじゃーっ!? 」


横島が地を轟かす程の大音声で叫んだ。


──が、女性人はそんなことを気にするような人格じゃなく
未だに『 横島さんならどうにかしてくれますよ 』と
無責任な言葉を交わしている。


項垂れた横島に


『不憫な・・・』

そう思考してしまったのは華陽だけでは無い筈だ・・・。多分。


暫く、横島が立ち直るのを待っていたが
再び地面を『たん』と叩き始めるその姿に到頭、華陽はキレた。
─『真面目にやるんじゃないのか?』と─


横島を再び凄絶な眼差しで見つめ
その両方の腕に狐火を浮かせ


「 いい加減飽きたわ─道化ッ! 」


短く叫ぶと同時に怒りによって真火にまで昇華した
その狐火を放つ。


轟ッ!


             ・ ・ ・
轟音を響かせながらうねる様に辺りの水気を蒸発させ
小規模な蜃気楼を作り出しながらその狐火が横島を襲う。


──が、横島を貫くだろう瞬間その狐火は
すっ──と音も無く横島の体に吸い込まれるように消えた。


「 ─っ!しまっ── 」


舌打ちをするが──既に遅く横島の妖気が僅かに膨れ上がり
眼前に対峙する華陽と再び同じ状態に戻る。


「 なるほど──そういう事か・・・ 」


呟き、姐妃の語った


「 力の差が想像以上に有りすぎたわ・・・ 」
『 アナタ達が華陽を傷つける事ができれば或いは・・・ 
                 ──と思ってたんだけどね。 』


力の差がありながら
令子達と交じって交戦するわけでも無く
唯、幻術を防いでいた真意を理解しその一端を呟く。


「 元は一つ・・・自身の放った力は取り込む事ができる─ 」


そんな横島に苦々しく─だがどこか淡々と華陽は


「 その通り─だが、妾が何の考えも無いとは思ってくれるな?」


答えると同時に素早く──
狐火を牽制に接近戦へと持ち込もうとする──が
その牽制を読まれた様に同じタイミングで

                ・ ・
横島が牽制の狐火を同じ狐火で迎撃し
詰めた距離と同じだけバックステップで距離を開けた。


「 ──っ!? 思考まで読むとは─! 」


明らかに心を読んで対峙している横島に
華陽は驚愕し此方も距離を稼ぐ。


「 俺は今─お前の記憶や戦闘経験
            そして能力を全て手にしている 」 

「 ふん─だが妾を一撃で滅する事はできぬのじゃろう 」


華陽はつまらなそうに呟いた。


「 確かに俺には一撃で倒す術は無い・・・し、するつもりもない。
       けどお前の力を削ぐ事ぐらいなら──できるさっ! 」


「 ─っな?!最初からそれが狙いじゃったかっ!? 」


華陽が戸惑うのを見て─横島は駆け出した。
その腕に狐火を華陽と同じ様に纏わせ─
華陽の顎を振りぬくように上段から下方へと拳を振りかぶる。


「 ─っ! 」


その手首を華陽が同じ様に狐火を纏わせた腕で
払おうとする瞬間、横島は筋力を酷似して無理やり引いた。


空振りする事によって離れた華陽の左腕を視界に入れながら
その隙に華陽に超接近戦を挑む。


「 ─くっ 」


──が、無造作に放たれた妖気の波によって
退却を余儀なくされた。


再び先程と同じ距離を開けた双方。
互いが構えを解く事なく凄絶な視線で対峙していたが


「 さっきまでは本当に遊んでやがったな? 」


横島が軽い口調で話しかけた。


「 すぐに殺しても愉しくないからの 」


そんな華陽の答えに横島は唯
『このままじゃ─もたないか・・・ 』小さく呟いた。

再び『 しん・・・ 』と、静まり返る。


『 力の使い方は理解した─けど
  このままじゃ力を削ぐのも難しいな・・・。  』


思考しながら横島は華陽から視線を外さないように
冷静に・・・いや、平静に気を静めると構えを解いた。


「 ─もう終わりかえ? 」

突如─構えを解いた横島に華陽は怪訝ながらも問う。

「 いや、試したいことができた。もう少し付き合ってくれな 」

不敵に笑い再び軽い口調で喋る。


『 アイツの真似してダメなら・・・自分で覚えた事をすればいい!』

「 いくぞっ! 」


叫ぶように華陽へ声を掛けると同時に
その右腕に狐火に昇華した霊波刀・・・『妖波刀?』を具現させた。
以後、ややこしいので霊波刀とする。


「 ──!度々愉しませてくれるッ! 」


「 ─ふッ! 」


短く息を吐くと同時に横島は霊波刀を華陽の腹を突く様に
中段に構え鋭く撃つ。

その霊波刀の動きを読んでいたように華陽が
僅かに左にずれる瞬間

更に横島もその動きを読んでいたように
突いた霊波刀の勢いを殺す事なく右方へ薙いだ。


「 ──っ! 」

咄嗟に華陽は狐火を半身を覆う様に出現させる。

空気を裂いて迫り来る霊波刀を包む様に
出現させた狐火ごと右腕で覆うとその霊波刀の勢いに沿って
横島の後ろへと飛ぶように移動した。


「 喰らうがよい 」

未だ振り向く動作を完了させていない横島へと
半身に纏わせていた狐火を収束して放つ。


「 ─あぶねぇっ!? 」


『 ちらり 』と視界の右端に映った狐火に合わせて
狐火で出来た『 サイキック・ソーサー 』を出現させ防いだが
衝突に因って発露した衝撃で吹き飛ばされた。


行き成り与えられた浮遊感と僅かに遅れて背後に奔った衝撃に
肺の空気が押し出され、『ごほっ』と咳き込む。


「 アイツは何処だ・・・? 」

僅かに脳が振動されたのか
定まり難い視界に舌打ちを軽く打ちながら呟く。


瞬刻の間


「 此処じゃ── 」


短く掛けられた言葉と共に
凶悪なまでに鋭い狐火を纏った蹴りが放つ。


『 どごんっ 』と有り得ない程に鈍い音を立て
その蹴りは横島を再び吹き飛ばした。


「 終いか─?それではツマラヌぞ・・・ 」

常識では考えられない威力の蹴りを放った華陽は
何事も無かったかのように言葉を口にし


折れた大木と共に埋まった横島へと視線を向け
華陽は躊躇せずに巨大な狐火を放った。


──が、その狐火も又『 すっ・・・ 』 と音も無くその場に
吸い込まれていく。


「 あいたたた・・・。 」

そんな言葉と共に無傷で出てきた横島に
華陽は呆れたような視線を向け

「 ・・・丈夫過ぎるぞえ? 」

これまた呆れた様に呟く。


その呟きに横島は『 にっ 』と笑うと
『癒』と描かれた金色の文珠を見せ

「 骨が折れてたけどなっ! 」

『ガハハ』と莫迦らしく笑い、何故か少し誇らしげに喋った。



「 ・・・傷は治っても─力が随分と減ってるようじゃが─? 」

「 そりゃ、いっぱい文珠作ったからなっ! 」


『ほら』という言葉と共に
意識領域内に収めていた十数個の文珠を両手に表現させた。


「 文珠と言うのか・・・ 」

『その珠は・・・』と付け足し呟く華陽の言葉に


「 横島ー─!
    ──後でその文珠寄越しなさいよっ! 」


令子の脅迫が被さった。


そんな令子に向かって


「 今はシリアスな場面でしょうがー!? 」


叫んだ横島は作者の気持ちをも代弁していた
──が、


「 私の・ゆーことが・きけないって・ゆーの!? 」


凄絶な眼差しとそれに反してにこやかに笑みを浮かべ
一言一言区切るように喋る令子のプレッシャーに横島は


( 前もこんな事あったような・・・)

「 す・・・・すまん、ちょっとタイム!! 」


と、奇妙な既視感を覚えながら

眼前に佇み固まっている華陽へと言い放ちながら
令子の下へと駆け込んだ。


後に残ったのは小競り合いを始めた横島達を
唯、呆然と見守る事しか出来ずに『 ─ポツン 』と
一人取り残された華陽だけだった。


後書き


相変わらず暖房無しの生活の水稀です(挨拶

今回の話は長くなりすぎたので、次回に持ち越しですorz
上手く話が進めれないのは何故でしょう・・・
唯、書き手の腕が悪いだけなんでしょうけどねw


既にもう一話ストックがあるのですが
連続して投稿するのってマナー違反にあたりそうなので
少し時間を置いて投稿する事にしました。

宣言撤回ですみません orz


ちなみに

今回の話の続きは次回の話ではちょっと省略されるので
下記に令子との小競り合いを(省略される部分)を載せときます。


『ぐいっ』と音がするほどに持ち上げられた襟元に
横島は唯

「あうっ!! 」

と唸るしかできなかった。


横島の蒼白になった表情に気にも留めずに
令子はすざましい形相を浮かべ


「 ・・・私が問題にしたいのは・・・
    あんたが私のゆーことをきかないってことなのよっ!! 」


言い捨てると共に横島の首を力強く絞めた。


「 結局、本音はそこですか・・・っ!? 」


と、呟き赤色を通り抜けて紫へと変色しつつある
顔色になった横島を一瞥すると


「 勝手にしなさい!!」


『 ぷいっ 』と令子は外方を向き、横島を支えていた腕を離した。
そんな令子に横島は『ダグダグ』と滝の様に冷汗を流しながら
再び華陽の元へと立ち去っていった。


以上が省略される部分です。

これはGS試験の一場面を入れようとしたのですが・・・。
あそこで切ったほうが次話に続きやすかったので
今回はなくなく省略といった形をとりましたorz


『 拓坊様 』

誤字報告ありがとうございました。
じんつうこん で変換すると神痛恨となってしまって・・・orz

ちなみに女華姫召還は・・・出現と同時に
話の進行が遅れること間違いなしですw


『 帝様 』

デムパとメインの両立をがんばりたいです(ノ∀`゜)

裏技はやっぱり『模』の文殊ですかね!
相手の知識や戦闘能力・・・それに加えて横島自身の
能力を引き継ぐのは最強の裏技だと思いますw

それに・・・ダメージが与えずらい(自身に返ってくるタメ)のが
ネックだとしても、相手の力を削ぐことや疲労を促す戦略としては
最適だと思うんですよね。


まぁ・・・楽しんでもらえたなら幸いです!


今回はここでお終いです。
いつもレスを下さるお二方に感謝です。m(_ _)m


では次回もがんばりますので
今まで見てくれた方、そしてこれから見てやるよ って方も
どうかヨロシクお願いします!


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