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!警告!壊れキャラ有り

「妙神山のただおくん38(GS)」

のりまさ (2005-12-23 16:19/2005-12-23 16:25)
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<横島>
 ぽかぽかと暖かい陽射しが眠気を誘うお昼休みの校舎の屋上、
 いつものようにお弁当を広げる俺とルシオラの中等部組と
 おキヌちゃんと冥子ちゃんと美神さんの高等部組。


「机妖怪? どうしてそんなものがここにあるんすか?」


「なんかね、どっかの高校で出たらしいのよ。
 普通ならプロのGSの依頼するのが一番いいんだけど、
 そんな金持ちの高校じゃないらしくてね。
 それでうちが引き取ったってわけよ。
 おばさまは大して強くない妖怪の除霊なら時々こうやって引き受けて、
 生徒たちの練習台にするのよ」


 もぐもぐしながらお弁当を平らげていく美神さん。
 手作りらしいその色とりどりなお弁当から、案外料理が上手なんだなと思う。


「で、それを美神さんと冥子ちゃんが担当するんすか?」


「そ〜よ〜。GS試験も近いから〜、
 こういう除霊もできるようにならなくちゃって〜
 お母様が言うんですもの〜」


相変わらずのんびりした動作で豪華なお弁当を食べていく冥子ちゃん。
皆が半分ぐらい食べているのに冥子ちゃんはまだ三口も食べていない。


「ふーん、大変っすね」


「本当に大変よ。おかげで学園祭の準備なんかやってる暇なんかないわ。
 そういえばここは中等部と高等部で同じ日に合同で学園祭やるのよね。
 あんたたちは出し物何やるの?」


「私たちはまだ決まってないんです。
 うちのクラスは唯一男子がいるクラスですから、
 それを生かした出し物にしようってことになったんですけど、
 いまいちこれだっていうものがなくて」


 ルシオラは砂糖水をちゅーちゅー吸いながら喋る。
 蛍の化身なだけあって甘いものが大好きだから、
 お昼も砂糖水がメインだ。


「陰念が何かいい案があるって言ってたけど、
 ま、今日のホームルーム次第っすね」


「おキヌちゃん、私たちのクラスは何やるか決まったの?
 私、その時おばさまに呼ばれてたからよく知らないのよね」


 美神さんが箸を止めておキヌちゃんの方を見る。


「皆さん、せっかく本物の幽霊がいるのだからって、
 お化け屋敷がしたいらしいですよ〜」


「お化け屋敷かぁ。あんまりお金になりそうにないわね」


「み、美神さん、別に学園祭は儲けるためにやるわけでは……」


「いいじゃない、お金が好きなんですもの」


 お弁当を食べ終わるとしばらくの間雑談が続く。
 冥子ちゃんはまだ食べているけれど。


「そういえば〜、机妖怪さんの除霊に〜、
 横島くんもどうかしら〜?」


「へ? 俺っすか?」


 それを聞いてじろりと冥子ちゃんを睨む美神さん。
 ちょっと怒ってる?


「何よ冥子。私と二人じゃ不満だって言うの?」


「そうじゃないわ〜、怒らないで〜、令子ちゃん〜。
 だってお母様が〜、そう言えって言ったんですもの〜」


 途端に泣き顔になる冥子ちゃんに、
 やれやれと美神さんが溜め息を洩らす。


「おばさまったら……、よほどあんたを取り込みたいようね」


「ふえ?」


 どういう意味だろ?


「ねえルシオラ、今のどういう……」


「ぶつぶつ……理事長ったら掟を無視してそんなことを……。
 こうなったら小竜姫さんに頼んで除名させてもらおうかしら?
 でも後数年はこの学校にお世話になるんだから、
 ある程度は親密な方がよいわよね……。
 ここは半年間のアクセス禁止ぐらいが妥当かしらね。
 いや、それは甘すぎるかしら?
 じゃあ今まで溜めたポイント全て取り消しとか?
 うん、それぐらいがいいわね」


「おーい、ルシオラ?」


妙神山のただおくん〜学園祭だよ 準備の日〜


 お昼休みも終わり、皆がそれぞれの教室に向かう中、
 俺は雪乃丞と勘九朗の姿を見つけて声をかける。
 次はホームルームだということもあって、
 自然に話題は学園祭の話になる。


「雪乃丞は何がいいと思う?」


「そりゃ格闘大会だろ。
 せっかく戦える奴が集まる霊能科なんだぜ?
 戦わないと損だろ」


「お前に聞いた俺が馬鹿だったよ……勘九朗は?」


「私ぃ? そうねえ……。
 せっかく男の子がいるんだし、
 ホストクラ「却下だ」あらそう、残念ね」

 超が付くほどのバトルマニアとガチ男色に聞いたのが、
 そもそもの間違いだったらしい。

 その後クラスに入って席に着くと、
 すぐに先生が入ってきて号令がかかる。


「今日は学園祭についてだ、先生は基本的に口を出さないので、
 出し物は各自で自由に決めること。以上」


 中年の男の担任はそういうとイスを運んで隅に行き、どっかと座った。
 うちの担任は結構放任主義だ。

 委員長が前に出ると前回までの流れを手短かに言いながら、
 皆の意見を聞く。


「それじゃあ、何かあるかしら?」


 一人の女性が颯爽と手を挙げる。


「クレープ屋!」


「男子を使うことと全然関係ないじゃない。却下」


 また次の女生徒が。


「じゃあ定番のお化け屋敷は?」


「無理よ、高等部のおキヌ先輩が同じことやるのよ?
 勝てるわけないじゃない」


「うーん、じゃあ何か劇とかは? 男役ができるのはうちだけだし」


「舞台でやるならともかく、教室じゃ無理よ。
 それに今から照明とかセットとか手配するのは難しいと思うし」


 わいわいがやがや。皆が好き勝手に、でも楽しそうに相談している。
 その輪の中に入れない俺たち男子は少し暇だ。


「ヨコシマは何かしたいことあるの?」


「ん〜、特にないなあ。楽しければなんでもいいけど」


「そうよね、それが一番いいわよね」


 ルシオラはそう言ってふわりと花のように笑った。

 ……少し心臓が高鳴ったのは秘密だ。


「ねえ、ヨコシマ。当日は二人で回らな「よし、分かった! 俺にいい案がある!」って、もう、タイミングの悪い」


 ぶーたれるルシオラの言葉を大声で遮った方を見ると……


 陰念が立っていた。


 皆が突然の大声に注目する中、委員長が恐る恐る尋ねる。


「あ、あのー、陰念君? 何かいい案が?」


「おう!」


 にかっと歯を光らせて応える陰念。


 ……似合わないぞ。


「昨日テレビを見てて気付いたのだ。今の流行は……


 メイド喫茶だ!


 沈黙。


 そして


「あほかぁぁぁぁぁぁぁ!」


「いやらしい! そんなことばっかり考えてるから、男子って!」


「メイド喫茶って、むしろ男子関係ないじゃん!」


「暗黒の世界へ帰れ! 陰念!」


「お前は生きていてはいけないんだ!」


 と、まあ周囲から雨あられの非難の言葉と、
 霊気をすんごい纏って鋼鉄をも貫くぐらいの強度になった
 ボールペンやらシャーペンやらが陰念に突き刺さる。


「たわば!」


 なんか指先一つで爆殺されたような悲鳴を上げながら、
 ばたっと倒れる陰念。
 だがすぐに立ち上がる。
 その生命力は素直にすごいと思うぞ。
 でももっといい方向にそれを生かそうな。


「さ、最後まで聞け!
 いいか、メイド喫茶といってもただのメイド喫茶ではない。
 なんと、


 男だけの喫茶、メイドガイ喫茶だ!


 やっぱり静寂。


 でもって、


「学園祭無茶苦茶にする気かぁぁぁぁぁぁぁ!」


「そんな気持ち悪いところに、誰が好んでいくのよ!」


「あら、それもちょっとそそるわね……」


「あんたは一体なんなんだぁぁぁぁぁぁぁ!」


 やっぱり大ブーイング。
 近くで少し聞いたことのある野太い声がぼそりと聞こえた気がしたけど、
 いつも通り聞かなかったことにしよう。


 だがここからが先ほどまで違った。


「静まらんかぁぁぁぁぁ!」


 またもや飛んできた文具という名の凶器を、
 気合で跳ね返す陰念。


「いいか、皆! 俺たちのクラスには誰がいるのか忘れたか!」


 皆がさっきまでとあまりに様子の違う陰念に戸惑ってる間に、
 陰念がまるでできの悪い子供に言い聞かせるように口を紡ぐ。


「貴様ら、目を瞑れ!」


「へ、いや、あの……」


「目を瞑らんかぁぁぁぁぁぁ!」


「は、はい!」


 委員長が精一杯の抵抗を試みるが、
 今の陰念のプレッシャーには敵わない。


「よし。皆を目を瞑ったな……。いいか、想像してみろ。


 メイド服で精一杯奉仕する横島を!


 ずっこん!


 こけた。


 な、何を言ってるんだ、お前は!?


「ちょ、陰念さん! ヨコシマに何をやらせようとしてるのよ!」


 怒ったのはルシオラだ。そうだ、言ってやれルシオラ!


「大体ヨコシマにそんなことをさせるなんて……」


「黙らんかこの小娘がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


 一喝。


「……うう、はい……」


 おい陰念、ルシオラは一応上級魔族なんだが?
 それを気合で黙らすってお前何者だよ!


「続けるぞ……妄想しろ!
 ドジって水を零してお客にひたすら謝る横島の姿を!」


 また俺!? つうか何勝手に人をドジっ子属性にしてるのさ!


「そして夢想しろ!
 お客、主に高等部のお姉様方に写真を迫られて困惑する横島の姿を!」


 そんなに客が来るわけないだろ! 何なんだその設定は!?


 その後数分に渡り陰念の演説が続いたが、やがて終わりを迎えた。


「よし全員、目を開け……。
 メイドガイ喫茶がいいと思う人!」


しゅばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばば!


 教室中を埋め尽くす手、手、手!


「ちょっと待てええええええ!」


「よし、四十三対一で、メイドガイ喫茶に決定!」


「「「「「「「「「うおっしゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」」」」」」」」」」


 歓声、いや咆哮を上げる馬鹿四十三人。


 四十三対一って、反対派俺だけ!?


「ゆ、雪乃丞はいいのか!?」


「……まあ、儲かりそうだしな。俺んち家計がやばいし」


「か、勘九朗!」


「いいじゃない。私、一度メイド服着てみたかったし」


「せ、先生! 
 少数派の意見を押しつぶす多数決なんて古いと思いませんか!?」


「横島……、
 先生は今の時代は生徒の自主性を大切にするのがよいと思うんだ。
 だから先生は生徒たちが決めたことなら口を出す気はない」


 言ってることは立派だけど、さっき先生、手挙げてたじゃん!


「ル、ルシオラ! さっき反対してくれたじゃないか!」


「……ごめんねヨコシマ。
 でも私は本能を誤魔化せないのよ」


 目を合わして話してよ!


「それじゃあ、うちのクラスはメイドガイ喫茶で決まりだ!
 いくぜ野郎ども!」


「「「「「「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」」」」」」」」」


 神様でも悪魔でもいい。誰かこの世界から俺を助けてください。


<神魔最高指導者達>


やだ。


 続く


あとがき
 学園祭編、スタートです。本当にメイドガイ喫茶はただのネタなのでやらない可能性もありますが。
 ちなみに陰念の演説のくだりはあるラノベを参考にしてたりしてます。
 ではレス返しです。

>拓坊様
 ありがとうございます。当分は六道学院編が続きますので。

>つく様
 色々と詳しくのご指摘ありがとうございます。
 参考にさせてもらいます。

>シヴァやん様
 ギャグの言い伝えでですね、30までで童貞だと魔法使いになれるという伝説があるのです。それでメラとか出たんです。
 分かりにくくて申し訳ございません。

>柳野雫様
 ありがとうございます。学園祭編はそれなりに続きますので。

>ゆん様
 いくら成長しても横島らしさを失っては、ルシオラとの誓いが嘘になっちゃいますからね。
 横島は横島なんです。

>ランスタッグ様
 ルシオラの壊れも考えたんですけどね。それをしたら横島くんがわざわざ過去へ戻って霊体を取りに言った意味がなくなりますから。

>てんむす様
 まあ、確かにその辺は結構楽しく書きましたからね(苦笑)

>54様
 いいお話と言ってくださって嬉しいです。
 ですが今回はそれをぶち壊す展開ですけど……

>神曲様
 確かに壊れた方が面白かったとは思いますが、それだと横島が可哀想かなと思ったので。
 記憶と人格を変えないように復活させるために過去に戻ったのですから。


 さてシリアスが続いた後はぶっ壊れ展開。
 次回は机妖怪が出るかな……?

 それではこの辺で。

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