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▽レス始

「もし、あの時・・・・・・2(GS)」

柿の種 (2005-12-18 01:44/2005-12-18 17:28)
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<もし夏子の告白を聞いてしまったら>


「銀ちゃーん。引越し明日やろ!? 餞別に俺のペガサス・・・・・・」

「ごめん、気持ちは嬉しいけど、私――――横島が好きやねん」

 ガシャン、屋上に横島君の持っていたミニ四駆が地面に落ち音が鳴り響きました。その音で、銀一君と夏子ちゃんが振り向き、彼の方をみます。

「ぎ、銀ちゃん、夏子・・・」

 横島君、今の状況がわからない程、馬鹿ではありません。けど、どうしていいのかはわかりませんでした。横島君は夏子ちゃんの事が好きでした。けど、銀一君だって大切な友達です。その銀一君が告白して振られたのを目撃して素直に喜ぶ事はできません。そうでなくても、この状況は盗み聞きと同じなのです。

「ごめん!!」

 横島君、どうしていいのかわからず、後ろを振り返るとそのまま走り出して逃げてしまいました。そして、彼は顔を合わせづらく、銀一君にお別れを言う事もできませんでした。そして、夏子ちゃんとも互いに避けるようになってしまいました。二人とも何か言わなくてはいけない、そうは思っているのですが、どう切り出していいのか分からなかったのです。そうこうしている内に一年がすぎました。横島君は両親から重大な話を聞かされます。

「えっ、東京に引越しやて!?」

「そうよ。あんたも準備しとき」

 横島君のお父さんの仕事の都合で東京に転勤が決まったのです。横島君、小学生ですから当然、一人で残る事などできません。夏子ちゃんともお別れしなくてはならないのです。
 横島君、銀一君に対し別れも告げられなかった事を非常に後悔していました。だから、引っ越す前に夏子ちゃんとのぎくしゃくした関係をどうにかして、どうしてもお別れだけは言っておきたいと思いました。

「けど、何を言ったらいいんやろ・・・・」

 考えた末に選んだのは自分の気持ちを素直に伝える事でした。横島君、1年前に自分達の関係が壊れてしまった屋上をあえて選び、そこに夏子ちゃんを呼び出します。

「横っち、それで話って何?」

「まずは謝っとく。あの時は盗み聞きみたいな事してすまんかった。わざとやなかったけど、悪いとおもっとる」

「うん・・・・・」

 横島君の言葉に夏子ちゃんは寂しそうな表情を見せます。けれど、横島君にとって、これはあくまで前向き、本題はこれからです。

「それで、夏子は俺の事、好きって言っただろ。直接じゃないけど、告白されたら答えなあかん!! 遅くなったけど、俺、はっきり言うわ。俺、夏子の事、好きや!!」

「横っち!?」

 横島君の告白に夏子ちゃんは驚いた表情を浮かべます。その表情をみて元から不安だった横島君はますます不安になります。夏子ちゃんが自分を好きだと言ったのはもう1年も前。その間、ギクシャクした関係で自分はもう嫌われてしまっているかもしれない、そう横島君は思いました。けれど、夏子ちゃん、驚きの表情を笑顔に変え横島君に抱きつきます。

「嬉しい、私も横っちが好き!!」

 それを抱きとめる横島君。しかし、同時に困った顔になります。何故なら、自分はもう直ぐ引っ越すのです。それを伝えなければなりません。

「けどな、夏子、俺、もう直ぐ引っ越すんや。銀ちゃんと同じ東京へ」

「!!・・・・そんなの嫌や・・・。せっかく、せっかく、横っちに好きって言ってもらえたのに」

 夏子ちゃん涙を流して横島君を引きとめようとします。けれど、二人とも分かっているのです。どうしようもないと。けれど、横島君一生懸命考えていいました。

「こ、高校生になったらこっちに戻ってくる。夏休みや冬休みとかになったら遊びに来る!! だから、それまで待っててや!!」

 それは小学生の横島君にできる精一杯の告白でした。夏子ちゃんも泣き顔でうなずきました。


 横島君は東京に引越しました。そして、そこで、横島君は変わります。彼女ができたと言う事で自信を持ちそれまでのコンプレックスから解放されました。そして、夏子ちゃんと再会した時に嫌われないようにとセクハラ(スカートめくり)などはやめ、お洒落ににも気を使い、勉強やスポーツにも努力するようになりました。それでいて、生来の明るさは少しも失われなかったので、中学に入る頃には男子にも女子にも人気者になって告白される事も多くなりました。けれど、その全てを断り、夏子ちゃん一筋で中学3年間を過ごし、両親を説得して彼女と同じ高校に入学しました。


 夏子ちゃんの方も変わりました。もともと、可愛い少女だった彼女は中学になってどんどん美人になっていったのです。彼女も多くの男子生徒から告白されましたが、その全てを断りました。そして、夏休みや冬休みに二人が会う時、二人は成長したお互いに戸惑いもしましたが、本質的な所は変わっていない所に直ぐに気づき、とても仲の良いお似合いのカップルへと成長したのです。


 それから、横島君は東京で銀一君とも再会しました。お別れを言えなかった事や、盗み聞きをしてしまった事を後悔していた彼は銀一君からもらった年賀状を頼りに彼を訪ねたのです。そこで、横島君は銀一君に夏子ちゃんと付き合っている事を告げたのです。すると、銀一君は横島君を一発殴りました。そして、その後でこう言ったのです。

「これで全部チャラや。前、みたいに仲良くしようや」

 こうして、横島君と銀一君はまた親友になりました。後に、横島君を通して夏子ちゃんと銀一君も友達同士になりました。失恋のショックを振り切った銀一君はその後、役者を目指して芸能会デビューを果たし、そこで知り合った同期の子と付き合っているそうです。


 そして、横島君が夏子ちゃんの告白を聞いてしまってから12年後、横島君と夏子ちゃんは結婚しました。その客席には銀一君の姿もあります。それから、夏子ちゃんのお腹には既に二人の子供がいました。
 横島君、年は若いですが、両親の才能を受け継ぎ、既に大企業の重要ポストについています。将来は安心でしょう。こうして、彼らは人生の門出を迎えたのでした。


<おまけ:もし、横島君の両親が褒め上手だったら>

 横島君の両親は優秀です。けど、指導者や両親としては正直あまり優秀だとは言えないでしょう。それは、コミックス1巻の頃の横島君とその後才能を開花したところの彼を見比べれば明らかです。つーか、あのセクハラだけでも親としての教育仕方が駄目駄目です。
 彼らは褒めるのが下手で、また、自分の気持ちを素直に出すのも上手いとはいえません。加えて、横島君の周りの人間はそういう相手が多かったため、小竜姫様と出会うまで、彼は秀でた各種の才能を伸ばす事もなく、むしろ重度のコンプレックスまみれでした。
 もし、横島君の両親が褒め上手だったらどうなっていたでしょうか?


 横島君はぐんぐん才能を伸ばす事になったでしょう。基本的に彼は認められると力を発揮するタイプなのは原作を見ても明らかです。多分、周りの女の子の中にも自分の気持ちを伝える娘がでてきてもおかしくありません。横島君、自分に能力があることに気づいていますし、調子に乗りやすい性格でもあります。そして、調子に乗った横島君の行き着く先として、大樹がいます。横島君は多分、恋人を一人に絞らず、浮気をしまくるでしょう。
 問題は多くとも優秀なので、教師とかはなかなか怒れないかもしれません。ますます調子に乗りそうです。そして、優秀でモテモテの横島君は美神さんに対して、興味は持っても、媚びへつらってまで従わないと思われます。


 何故か、優秀になった筈なのに、本来より駄目な結果になってしまったような気がします。まったく、世の中、何が幸いするかわからないものです。


<おまけ2:横島君の両親が理想的親だったら>
 
 どうやら褒めすぎも良くないようです。そこで、褒めるのと叱るのバランスの良い理想的な親でしたらどうなるでしょうか?

 勉強もスポーツも万能で知恵が回り、明るく人当たりもよい、霊力の勉強も自分からしてどんどん強くなる・・・・・・完璧すぎて面白みがありません。多分、GS美神が3巻位で終わっていたでしょう。


(後書き)
おまけはちょっといまいちでしたね。けど、実際、横島君の両親が親としてもっと優秀だったらあるいはクラスメートの中に素直に彼を評価してくれる女の子とかいたら、横島君どんな風になってたでしょうかねえ?

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