<もし、おキヌの横島殺害が成功していたら>
「えいっ!!」
「ぐふぁ!!」
おキヌちゃんの体当たりを受けた横島君。そのまま運悪く頭を地面にぶつけ、お亡くなりにって幽霊になっちゃいました。
「やった。ついに成功!!」
「成功じゃないわー!!! 人を殺してくれて、この悪霊がー!!!」
「私、悪霊なんかじゃないですよー! それよりも、お願いしたい事があるんです」
目的を達成して喜ぶおキヌちゃん。それとは対照的に当然とはいえ殺されて怒る横島君。しかし、何だかんだで女性には優しい彼は彼女の事情を聞くことにしました。
「っと、いう訳で、私の代わりに地縛されてください!!」
「なるほど、って、納得できるかー!!!」
っと、説明を聞くまでは大人しくしていたものの、流石の彼も納得できる話ではありません。大層怒り狂います。
「そこを何とか!! どうせ、あなただってもう生き返れたりはしないんですし」
そこで、更に宥めるつもりで火に油を注ぐおキヌちゃん。横島君自棄になります。
「そんなー!! 俺は童貞のまま死ぬちゅーのかー!!! こうなったら責任取れやー!!!」
「きゃ、きゃああああああ!!!!!!」
いつもなら最後の最後でなんだかんだでなけなしの理性が働く彼ですが、この時は自分が死んだというショックもあって、歯止めが効きませんでした。こうして、彼は幽霊を押し倒した幽霊という伝説を作り、おキヌちゃんは若い?花を散らすのでした。
「どうも、すんまへん、すんまへん、すんまへん!!」
事が終わり、冷静になった横島君、おキヌちゃんに対して土下座して謝ります。普段、セクハラばかりしている彼ですが、本当に人を傷つける事はしない優しさも持っているのです。それに対し、おキヌちゃんは半泣きで衣服を正しながら、許します。
「いえ、もとはといえば私が悪いんですから。それより、許す代りに神様変わってもらえますか?」
「そりゃあ、もう!! それで罪が償えるなら」
こうして、横島君、神様になりました。っが、しかし、これで、念願かなって成仏できると喜ぶおキヌちゃん。ひとつ重大な問題があったのです。
「・・・・成仏ってどうやってやるんでしょう?」
「いや、俺に聞かれても・・・・・・」
地縛から解放されても長い事地脈に縛られ、その上実は生霊でもある彼女、安定しまくって自分では成仏できなかったのです。
「もしかして、俺、無駄死に?」
「・・・・・・すいません」
そして、そのままどうしようも無い二人。ワンダーホーゲル部員を強制的に成仏させて、仕事を終えた美神さんが通りかかったりもしましたが、金にならない仕事はやらないとさっさと帰ってしまいました。
「・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」
そういう訳で、仕方ないのでそのまま二人一緒に神様をやることになりました。当初はギクシャクした二人でしたが、そのうちおキヌちゃんが横島君の事を好きになり、横島君の方もおキヌちゃんを好きになって二人は夫婦のようになりました。
そして、神様になった上に毎日夫婦の営み(核爆)をこなして煩悩を爆発させた横島君は本来の歴史以上にその才能を発揮し、その後蘇った死津喪比女を圧殺、おキヌちゃんはその時蘇る事もできたのですが、横島君から離れたくないと幽霊として留まる事を決め、二人仲良く末永く幸せにくらしましたとさ。めでたし、めでたし・・・・・・なんでしょうか?
<もし、愛子が正直に名乗りでていたら>
「犯人はあなたね横島君!!」
バレンタインの日、横島君のロッカーに入れられていた本命のチョコレート、その差出人として美神さんは横島君の自作自演だと推理します。
「あなたが自分でやったとすれば、推理はつくわ。動機はみんなに見栄が張りたかったのよね?」
「いーかげんな事言わんでくださいよー!!」
しかし、濡れ衣ですから横島君は当然否定します。しかし、クラスメートのみんなは彼女の推理を信じたようです。
「よ、横島、おまえ・・・・・」
「そこまで、追い詰められていたんですか・・・・・?」
みんなが同情の生温かい視線を送ります。可愛そうな横島君。しかし、その光景に彼にチョコレートを送った本当の人物が罪の意識に耐え切れず、なのり上げました。
「違うわ。彼にチョコレートをあげたのは・・・・わたしなの」
それは机妖怪の愛子ちゃん。最後の一言は顔を真っ赤に染めて俯いて言います。その仕草はかなりの“萌え”でした。しかし、それだけに、その事実を認めたくないクラスメート達騒ぎ立てます。
「嘘だー!!」
「愛子ちゃん、横島君を庇ってるのよね」
「ち、違うの!! 私、本当に横島君が好きなのよ!!」
周りを信じさせるために、そして勢いもあって、愛子ちゃん大胆な告白。そして、これで、何のリアクションも起こさなかったら横島君じゃなありません。
「そうだったんかー!! 愛子、お前の気持ち、受け取ったぞ!!妖怪だとかそんなことどうでもいい。早速、愛のベーゼを!」
ルパンダイブを敢行します。当然、美神やクラスメートに撃墜されました。特に勇気を出しての告白にあまりにもムードの無い返され方をした愛子と自分の推理を外され、恥をかかされた八つ当たりのこもった美神さんは苛烈な攻撃を加えるのでした。
そして、それからしばらくして、何と横島君と愛子ちゃん、付き合うようになりました。
それは“妖怪だとかどうでもいい”はっきり口に出して言われたその言葉に今までどこか負い目を感じていた愛子ちゃんが横島君に積極的にアピールするようになり、まわりの女子がそれを応援したからです。横島君、いままでモテた事がありません(正確にはそれに気付いた事がないと言う事ですが)ので、そうストレートに感情をぶつけられたら嬉しく無い筈がありませんでした。その後、高校を卒業するまで二人は付き合い続け、その後もGSとして独立した横島君の助手として愛子ちゃんもそれについていき、二人は幸せに暮らしたそうです。めでたしめでたし(終わり方が同じですいません)
(後書き)
原作コミックを読み返していて思いつきで書いたネタです。今更な感じのネタですが、クスッっとでも笑っていただけたら嬉しいです。