インデックスに戻る(フレーム有り無し

▽レス始

「霊光波動拳継承者『横島』(改訂版)8話(GS+幽遊白書+?)」

柿の種 (2005-12-15 12:20/2005-12-15 23:34)
BACK< >NEXT

「あんたが戦ってもらう相手はこいつだよ。」

 幻海の呼び声に答え、おキヌの前によびだされたのは一羽の鷹だった。そして、おキヌはその姿に思わず見ほれた。美しい羽、気高さを感じさせる力強いフォルム。この式神を本当に自分が従えるなんて事ができるのかと一瞬不安になる。

「こいつの名はクマタカ。見ての通り鷹の式神だ。見事こいつを従えてみな。それじゃあ、あたしは横島の所にいくからね。しっかりやりな」

「はい!」

 だが、おキヌはそんな不安を振り払い力強く答えた。ここで怖気づいたらいままでと同じ、そう自分に言い聞かせ精神を強く持つ。そんな彼女を幻海は満足そうに見ると部屋から立ち去って行った。そして、残された一人と一羽はにらみ合う。そして先に仕掛けてきたのはクマタカだった。何と巨大化して飛び掛ってくる。鋭い嘴で彼女を突き刺そうとするそれをかわすおキヌ。

「っつ・・・・。」

 彼女の肩から血がにじむ。予想以上に速いスピードに彼女はかわしきる事ができなかったのだ。クマタカは空中に身を舞わせるとおキヌの方に再び狙いを定める。

「ま、負けません!!」

 おキヌが構えを取って迎え撃つ。突撃してくるクマタカをおキヌはその霊波を読み流す。以前鮫の式紙相手に偶発的にできたその技術をおキヌは修業によっていまや完璧に習得していた。

「クィィィィィィ!!」

 いなされてバランスを崩すもののすぐに体勢を立て直し再び宙に舞うクマタカ。そして再び突撃、おキヌが流す。戦いは膠着状態へともつれ込んでいった。


 雪之丞に技を教え、おキヌに式神と戦わせ、そして幻海は正当伝承者候補である横島と向き合っていた。

「覚悟はいいかい?」

「は、はいっす」

 幻海の言葉に横島は緊張しながら頷く。ここまで来て、怖気づく事など如何に彼とてできない。そして試合が始まる。

「はあああ!!!」

 先手必勝とばかりに横島は霊波刀を出すと間合いを詰めようとする。だが、ある程度まで近づいた瞬間、彼ははじかれた。

「なっ!?」

「真正面から突っ込んでもあたしには勝てないよ。」

 霊光波動拳、構えさえも取らずただ方向性とある程度の収束性をもった気を発することで幻海は横島を吹き飛ばしたのだ。

「くっ、なら、これで!!」

 横島は空中に20以上のサイキックソーサーを生み出す。そしてそれを操作し、幻海を囲むように配置した。それに対し幻海は無言で両手を広げた。

「喰らえ!!!!」

 20のサイキックソーサーを一斉に幻海目掛けて飛ばす。逃げ場のないほどに密集した攻撃。だが、幻海は欠片も慌てなかった。

「喝!!」

 掛け声と共に両手から霊波砲が放たれる。そしてそれが分裂し、全てのサイキックソーサーを撃墜した。

「たあ!!」
 
 だが、横島は既に次の行動に移していた。サイキックソーサーを放った瞬間、彼女の側部に周り、そこから攻め込もうとした。だが、しかし、その身体はまたもはじかれる。

「はあ、はあ、マジかよ・・・・。」

 その力の差に横島は愕然とする。横島とてもはや彼女に勝てると思っていた訳ではない。それでも、修業により力をつけ、ある程度渡り合える程度にはその差を埋める事ができていると思っていた。だが、現実は違った。霊波刀、サイキックソーサー、教えられた技巧、それらを駆使し、横島はいまだ、幻海の半径2メートル以内に踏み込む事すらできないでいるのだ。

「・・・・・制空圏って奴か?」

 横島は漫画か読んで知った言葉を思い出す。熟達させた武道家ならば自分の武器が届く、一定の間合いより内に入らせないという、だが、2メートルという長い距離は霊波動を極めた幻海ならではと言えた。

「なら、これで!!」

 そう言って横島は文珠をとりだす。そして“爆”と文字を刻みこませた文珠を霊波で加速でせて弾丸のように飛ばした。しかし、彼女に当たった文珠はそのまま何の効果も発動せず、彼女の掌に落ちた。彼女はそれを投げ返す。

「なっ!?」

「なかなかいいアイディアだけど、まだまだだね。もっと工夫おし」

「反則やー!!!いくらなんでも反則過ぎやー!!あのスピードでも対応できるなんて非常識やー!!」

 横島が叫び、そして一つの記憶を呼び起こす。それはまだ横島が記憶を取り戻す前で幻海が若返る前の事だった。


「横島、文珠の弱点、いや、“欠陥”をおしえてやる」

「欠陥?何かまずいことがあるんですか?」

 ある日の修業時、幻海はそう言い出してきた。文珠の利便性を知る横島としては欠陥というのが納得できないでいる。

「そうさねえ。実際に見せて見た方が早いだろ。試しに“止”とでも文字を入れてあたしに押し当てて発動させてみな」

「えっ、いいんですか?そんなことして」

「かまわないから早くおし」

 幻海の言葉に横島は戸惑いながら言われたとおりする。しかし、幻海に押し当てた文珠は横島が発動させようとしても発動しなかった。

「えっ!?どうして」

「その文珠を良く見直してみな」

 文珠が発動しなかった事に動揺する横島。言われるままに文珠を見ると入れた筈の文字が消えていた。

「それが文珠の欠陥さ。文珠は念をこめれば誰でも使えると言う利便性の代りにより強い念に影響されることで命令を“打ち消されたり”、“書き換えられたり”してしまうという危険性を持っている。今、さっきは打ち消して見せた。今度は書き換えて見せるからもう一度同じ事をやってみな」

「は、はい」

 言われた通り、再び文珠を押し付ける。すると、文珠がひかり、その光が消えた時、幻海の姿は若い女性へと変わっていた。

「今のは文字を“若”に書き換えたのさ。こういう風に下手をすれば自分の力が相手に逆に利用されてしまうことになる。もっと最悪な場合になれば、自分が放った攻撃で逆にやられるってことも・・・・・・・・あんた、ちゃんと聞いているかい?」

 説明の途中で横島の様子がおかしい事に幻海は気づく。すると横島はなにやらぶつぶつ言っていた。

「若い・・・・・。肌すべすべ・・・・・。意外にありそうな胸・・・・・。ずっと前から愛してましたー!!!!」

 そして次の瞬間、横島は野獣のように飛びかかり、幻海の8割出力霊光弾を喰らう事になった。ちなみに幻海はこの時はすぐにまた元の姿に戻り、横島の記憶も戻らなかった。幻海が本当に若返ってしまい、横島の記憶が戻ったのは修業中に起きた偶発的な事故によるもので、また、別の話である。


「さて、次はどうする?それとも、あきらめるかい?」

 立ち上がった横島を挑発する幻海。そして彼女は一つだけアドバイスをした。

「念の強さっていうのは霊力の強さとは違う。そうしたいと強く願う意思だ。それに関してはむしろ人間の方が神魔よりも強い位だ。必要なのは強い意志と、その念を効率よく込める制御力。もともと文珠があんたが作ったものである以上、念の強さが同じならあんたの意思を最優先で働かせてくれる、制御力もあんたはそれなりに備えてきている。後は強く念じさえすればあたしだって、神魔だって簡単には揺るがせない。誰よりも強く、そして自由な意思を持つ事、それが文珠を活かす方法であり、人間が人間以上の相手と渡り合うのに必要な事だよ」

 それだけ言うと、幻海は再び戦闘態勢に入る。

「さて、今のを聞いてどうする?念の強さで勝負するかい? それとも何か他の手段をかんがえてみるかい?」

 言葉を聞いて、横島は文珠一つに文字を込める。複数の文珠に意思を拡散せず、ただ一文字に集中、そしてそれを補助として、己の持てる全てをかけ、飛び込んだ。


 ちなみに、その頃雪之丞は一人黙々と石を叩いていた。

(後書き)
文珠に関してはずっと前から考えていた設定です。長所と短所は表裏一体。利便性が高い分こういう弱点があってもおかしくはないのではないかと思いました。

それから、このssでは記憶喪失の間も横島の性格はあまり変わっていないことになってます。あ、後、クマタカの元ネタは・・・・・・サムスピのナコルルの肩にとまってる奴です。(笑)実は結構原型なかったりするのでファンの方怒らないでくださいね。ところで、鷹って何て鳴くんですかね?

BACK< >NEXT

△記事頭

▲記事頭

yVoC[UNLIMIT1~] ECir|C Yahoo yV LINEf[^[z500~`I


z[y[W NWbgJ[h COiq O~yz COsI COze