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▽レス始

「せかいはまわるよどこまでも〜25〜(GS)」

拓坊 (2005-12-14 01:02/2005-12-14 10:41)
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〜ナレーター視点〜


絶体絶命のピンチに追い込まれた横島達。迫り来る氷狼たちの牙が今にも迫ろうとしている!


そしてそんな時我らがキイ兄は何をしているかというと!


「ふぅ〜、いいお湯だね〜。お風呂は命の選択だよ〜」


ゆったりと宿の温泉につかっていた。


「命の選択ですか? 何を選ぶんですか?」


其処におキヌちゃんがお盆にお猪口と徳利を乗せてやってきた。どうやら温泉に浸かって一杯やるつもりらしい。
今、リアルタイムで横島たちがピンチなのだが、そんなことにキイ達が気付けるはずがなかった。


「ああ、間違った。洗濯だよ洗濯」


漢字がちょっと違うだけで随分と意味が違う。風呂に入って命の行方を選択することになるなんて、どういう状況になったらそうなるのかちょっと興味があったり。


「けどキイさん。こんなことしている暇あるんですか? 横島さんたちはまだ帰って来ていませんでしたし…」


おキヌは宿に戻ってから部屋を確認したのだが、勿論のこと横島たちは帰って来ていなかった。
一流GSの美神も一緒に行ってるしそこまで心配はしていないのだが、虫の知らせというものか、おキヌはそわそわとしていて落ち着きが無かった。


「大丈夫だって、あの忠っちがそう簡単にどうにかなるわけないでしょ?」


キイはお猪口にお酒を注いでくいっと一杯呷る。そして良い酒だ〜と呟きつつ、昇っている月を見上げた。


「けど、何だか嫌な予感がして…」


「むぅ〜、じゃあちょっと待ってね……」


そう言ってキイは浸かっている湯船に手を差し込んで、なにやらごそごそと手を動かした。そして手を引き上げるとそこにはなにやら手のひらサイズの四角い箱。


「はい、この『忠っち見つけたー君』さえあれば直ぐに忠っちの居る場所が分かるよ」


どっからそんなものを取り出したのか。温泉に入る前に腰に巻いていたタオルは今は頭の上だ。湯舟の中には何も無いはずである。本当に不思議なこともあるものだ。


「わ〜、ありがとうございますキイさん」


おキヌはそれを何の疑いの欠片も持たずに喜んで受け取った。キイがスイッチを入れるとピコピコとディスプレイに左向きの矢印が点滅する。どうやらその方向に居るらしい。
だがよく考えればこの機械は何故横島を見つけられるのだろうか? やはり発信機でも付けているのか、それともそれ以外かなのか…それはキイしか知らないことだった。


「それじゃあ行ってきますね」


「うん、気をつけてね〜」


おキヌは『忠っち見つけたー君』を両手に持ってその光が点滅する方向へと飛んでいった。
キイはそれを見送って、もう一杯お酒をお猪口に注いだ。


「ふむ、何だかこの山…変な気配がするな」


おキヌが去ってからキイは目を細めて雪山を眺める。おキヌが居る間は特に気付いた気配は見せなかったが、キイは夜になってから急に雪山から流れ始めた異様な気配に眉をひそめた。


「山頂? …いや、其処は違うか……じゃあ、反対側の麓のほうかな?」


キイはお猪口からお酒をちびりと飲んで、湯舟から立ち上がった。


「よし、行ってみるかな」


キイは湯舟から上がると、その瞬間に脱衣所に脱いできたはずの服が虚空から浮かび上がる様にして現れ、そのまま服を着る。
流石は『世界の欠片』、この程度の芸当は朝飯前のようだ。


「うっ、はっくしゅ……体拭くの忘れてた」


キイは頭にタオルを乗せたままくしゃみをした。どうやらキイは例え『世界の欠片』だったとしても、その抜けてる部分は筋金入りらしい。


ともかく、キイはそのまま異常を感じた雪山の麓へと足を運んだ。


せかいはまわるよどこまでも
〜〜雪と氷の舞踏会 中編〜〜


時間は少し戻って…


〜横島視点〜


「あっちいけワンころー!」


遠くから聞こえた遠吠えと共に氷狼たちが一斉に襲い掛かってきた。
幸い皆一箇所に固まっていたので分断されると言うことにはならなかったが、如何せん数が多い。
というか、雪祢さんは呪縛ロープに縛られていて動けないし、ピートにいたってはアルプスの少女ハ○ジを歌い始めている。とてもじゃないがこの二人を庇って氷狼と闘うのは無謀もいいところだ。


「おい雪祢さんよ! ピートどうにかならないのか?」


「私は奪うことは出来るが返すことは出来ないわ。時間がたてば回復するけど最低一日はそのままよ。まあ、私を退治するのなら話は別だけど、どうする人間?」


こりゃあ参ったな。せめてピートが自分で動いてくれりゃどうにかなるんだが…流石に雪祢さんを退治するわけにもいかんし。どうしたものかな…


『オオンッ!』


「ちぃっ!?」


一匹の氷狼がその牙を剥いて俺に飛び掛ってきた。俺はそれを半身になってかわす。
だが、その瞬間背後から小さな唸り声がした。俺は咄嗟に身をかがめると、頭上を氷狼が過ぎ去る。どうやら首元を狙っていたらしい。

くそっ、流石狼だ…群れで狩りをするのにめちゃくちゃ慣れてやがる。今はどうやら様子見…いや、こっちが弱って隙を見せるのを待っているのか。こりゃヤバイな…

と、その瞬間目の前の氷狼が数匹首を天に向けて持ち上げ、視線だけをこちらに向ける。その口元からは、微弱ながら霊波を纏った冷気が漏れ出していた。
その瞬間、俺の体がアレはヤバイと告げてくる。俺は咄嗟に体全体を庇えるほどのサイキックソーサーを展開した。


『ガアァッ!!』


氷狼達が一斉に咆えると同時にその口から強烈な霊波を纏った冷気が放たれる。
『霊波砲』ならぬ『冷波咆』ってか? 洒落になってるけどこっちはシャレにならないっつーの!
氷狼の冷波咆は今だ振り続ける雪をさらに凍らせて飛礫に変える。その威力に俺のサイキックソーサーをじわじわと削っていく。雪祢さんみたいに精神攻撃の能力は無いみたいだから何とか堪えられるけど、正直このままじゃあ破られる。


『オオンッ!』


「っ!? しまった!!?」


正面に気を向けすぎていて後ろから近づいてくる氷狼に気付かなかった!
背後には二匹の氷狼がこちらに向かって飛び掛ってきていた。間に合わない!
俺がそう思った瞬間、横合いから数枚の破魔札が氷狼たちに張り付いた。その瞬間、破魔札は込められた霊力を爆発させて氷狼たちを吹き飛ばした。


「大丈夫、横島君?」


「あっ、はい! 助かりました」


助けてくれたのは美神さん。破魔札を投げたポーズでこちらの安否を確認してくる。
結構目の前で爆発したがその余波までは届かなかった。もし届いていたらサイキックソーサーの制御が乱れて今頃氷漬けだな。


「美神さん! 此処は一旦逃げましょう!」


今は防げるからいいが、このままじゃあジリ貧で押し切られてしまう。それにあの遠くから聞こえた遠吠えの主はまだ現れていない。これ以上数が増えたら一気にやられてしまうのは目に見えている。


「食らえ! サイキック猫騙し!!


手に霊波を集中させて素早く拍子を打つ。その瞬間俺の手から眩い閃光が迸り、辺り一面を光で包み込んだ。


「横島君こっちよ!」


「了解! よっしゃ逃げるぞ二人とも!」


俺は雪祢さんを肩に担いで、ピートのほうは襟首を掴んで引き摺って走った。


「ぶ、無礼者! 私は一人で走れるからこのロープを解けばいい!」


「残念ながらそのロープ解くのって時間が掛かるから無理だ!」


そうじゃなけりゃ氷狼たちに襲われたとき直ぐに解いて、倒すの手伝って貰ってるって。
雪祢さんは何とか大人しくなってくれた。ここで暴れられたりでもしたらヤバイから助かったよ。
で、ピートのほうなんだけど…


「は〜るがき〜た〜」


こっちはもっとヤバイな。完全に精神が逝っちまってるよ。
この極寒の寒さの中で春の到来を告げる歌を歌い始めたピートにちょっと冷や汗が流れるのを感じた。いや寒すぎてすぐ凍っちゃうけどな。

と、そこで後ろから雪を蹴る足音が聞こえた。首だけで後ろに回して確認すると、やはりというかなんというか氷狼たちが群れを成して追ってきていた。その数見た限り十匹強ってところだ。追いつかれたら一瞬で食い尽くされてしまうな。
俺は今雪祢さんとピートを運んでいるから、両手が塞がっていてどうしようもない。


「美神さんどうにかなりませんか!」


「まかせなさい、精霊石よ!」


美神さんが左耳のイヤリングを外して、氷狼たちに投げつけた。精霊石は激しい光と霊波の奔流となって氷狼たちを飲み込んでいく。


「もう! タダ働きだから使いたくなかったのに!」


「美神さん今は命あってのものだねですよ!」


美神さんこんなときでもお金のことが気になるんですかい! まあ、損得勘定で出し渋って窮地に追い込まれるような人じゃなくて良かった。
兎に角俺たちはその間に氷狼たちから逃げ出した。


「はあ、はあ…ここまでくれば…まずは大丈夫かしら?」


かなりの距離を逃げ続けて、ちょっと小高くなっている丘の上で俺と美神さんは休憩することにした。雪祢さんをゆっくりと降ろして、ピートのほうはちょっとうるさいので雪の中に頭を突っ込んでおいた。凍らないって言ってたし大丈夫だろ。


「ところで美神さん、あの氷狼ってこんなところにいるものなんですか?」


俺はちょっとした疑問を美神さんに訊いてみた。日本には人狼がいるってのは知ってるけど、あんな氷狼なんかがいるなんて聞いたことはない。


「まさか…そんなことあるはずないわ。もともと氷狼は魔獣の一種なのよ。人間界に生息しているはずがないわ」


「けど、思いっきりいましたね…」


「それがおかしいのよ。氷狼は常に氷に覆われた場所にしかいないの。ここは今冬だから雪で覆われてるけど、夏になったら雪も解けて氷狼が生きていくには不可能なはずなのよ」


それはつまり、毎年冬の時期にだけここに現れてるって言うのか? 
いったい何のために?
いや、別に理由なんてなくて何かに操られてたり? それともただの事故とかか?
ん〜、駄目だ分からん。こういう頭脳を使うのは俺の役目じゃないからな。


「なあ雪祢さんは何か知っているか?」


「私が知ってるのは、冬になると突然現れてここを荒らしていくってことだけよ」


どうやら雪祢さんはここ数年で現れだした氷狼たちとは、あまり関わらないようにしていたらしい。

今回は何かあって動いてたみたいだけど、まあこれは今考えることじゃないな。


「それで、この後どうしましょう美神さん?」


「どうもこうも、さっさとこんな山下りて宿で一休みしたら帰るわ!」


うっ、大層ご立腹だな。そんなにタダ働きで散財するのが嫌なのか…
やっぱりこの状況をどうにかしようってことは考えないよな…それじゃあ俺は……


「! まずいわね…」


と、そこで雪祢さんが吹雪の吹き荒れる白い空間の先に視線を移す。
相変わらずただ吹雪いている様にしか見えないんだが…何かあるのか?

俺もそっちに視線を向けていると、いきなり霊圧が高まるのを感じた。俺は咄嗟にサイキックソーサーを展開して、その異様な霊圧から全員を庇うように立つ。
その瞬間、その霊圧がそっくりそのままこちらに向かって高速で放たれ、サイキックソーサーと激突する。


「のわっ!?」


突然掛かった圧力に一瞬で吹き飛ばされそうになる。だが何とか踏ん張ってそれを抑えるが、ずぶずぶと足が雪の中に埋まって、少しずつ後退していく。
後数秒で駄目だと思った瞬間に、その圧力はふっと消え去った。
今の冷波咆か!? さっきのと段違いの威力じゃねぇか! 後数秒耐えるので…


『アオオオォォォン!!』


突然雪山に響く狼の遠吠え。先ほどとは違い、その声はすぐ目の前で放たれた。
その遠吠えを聞いた瞬間、俺の体が一気に震えだす。俺の生物としての本能が今の遠吠えで一気に警鐘を鳴らしだしたのだ。
こいつはマジでヤバイ! 今すぐ逃げろ!
だが、さらに放たれた凄まじい冷波咆を受け止めるだけで俺は精一杯だった。
姿も見えない相手にこれ以上どないせいっちゅーんじゃ!


と、その瞬間…吹雪が割れるようにして一匹の氷狼が現れた。
だが、その姿はさっき見た氷狼たちとは圧倒的に違う。でかさもさっきのやつらは普通の大型犬くらいだったのに、こいつはまるで熊ぐらいにデカイ。
毛並みも雪に混じって見えなくなってしまいそうな、白銀色でめちゃくちゃ綺麗だ。そしてその双眸は底が見えないほどの深い群青色…そして燃えるような怒りを宿していた。
多分だが、こいつが氷狼たちのボスなんだろう。そうだな、白銀狼とでも呼ぼうか。


『グルルルル!!』


白銀狼が牙を剥き、うなり声を上げる。それだけでも頭の中で緊急避難警報が鳴り響く。だが全く動けない。動いたりしたらその場でのど元を食いちぎられてしまいそうなほどの殺気を感じて動きようがない。
美神さんのほうも同じようで全くモーションがなかった。

白銀狼がじりじりと詰め寄ってくる。俺達はそれに合わせてゆっくりと後ろに下がっていく。雪祢さんは俺が、ピートは美神さんが引いている。


「! こりゃまずいな…」


後ろに下がろうとした瞬間、足元の雪がボロッと崩れるのを感じた。足で確認してみるが、足場がなくなっている。どうやら俺達は崖まで追い詰められてしまったようだ。


目の前には白銀狼、後ろには崖…まさに背水ならぬ背崖の陣って訳か…

俺は雪祢さんの前に立って、体全体の霊力を開放し、霊波を纏わせる。
けど目の前の白銀狼を視る限り、全然歯も立ちそうにない。
だが! ここで死ぬわけにはいかないからな! 最後まであがき続けて、たとえ石に齧り付いてでも生き残ってやる!!


「さあ、かかって来いや!」


俺はサイキックソーサー両手で展開して白銀狼に対峙した。


瞬間に、いきなりその間に一つの影が舞い降りてきた。それは白い襦袢に赤い袴を穿いた、手になにやら四角い箱を持った幽霊っ子…


「あっ、横島さん見つけました〜♪」


「おキヌちゃん!?」


それは気の抜けそうな声をだして、にこにことした笑顔をこちらに向けてくるおキヌちゃんだった。
一瞬サイキックソーサーを構えたままポカンと突っ立ってしまった。

で、当たり前のことかもしれないが、白銀狼はその隙を見逃さずに俺に向かって飛び掛ってきた。
ああー、おキヌちゃんなんちゅータイミングで現れるんやー!!


「どわっはーー!!??」


サイキックソーサーで受け止めるものの、その体重差は一目瞭然だ。勝てるわけがない。足を踏ん張れなかったのもあって、俺はそのまま勢いに押されて白銀狼ともつれる様に後ろに投げ出された。


「なっ! くぅっ!」


「ごべっ!?」


そしてそのまま後ろにいた雪祢さんにぶつかった。
で、ここで思い出したのがここは断崖絶壁の目の前だったってことだ。俺が飛ばされたのは後方、背後には雪祢さん、そしてさらに後ろは…


「崖だぁぁーー!!」


「くぅっ、このロープが邪魔で飛べない!」


俺と雪祢さんと白銀狼はそのままもつれ合う様にして、崖から投げ出された。


「「横島さん(君)!!」」


二人の声が俺の耳に届いたけど…


『グルワアァッ!!』


目の前にある大きなお口に気がいってそれどころではありませんでした。
落下中にもかかわらず大きな御口を開けた白銀狼が俺を食いちぎろうとしています。
やられてたまるかってんだコラーー!!

俺は白銀狼の腹を思いっきり蹴っ跳ばした。霊波を纏った蹴りなので白銀狼にも多少は効果があるはずだ。
蹴っ飛ばした慣性で白銀狼と俺との間には一気に距離が開く。雪祢さんは俺の背中のほうにいたので一緒に離れている。


『ガアッ!』


白銀狼は牙や爪が届かないと分かるとすぐさま冷波咆を放ってくる。俺もすぐさまサイキックソーサーで防ぐが、はっきり言って空中で防げるようなものではなかった。


「おわっはーー!?」


「危ないだろう人間! しっかりしろ!!」


「そんな〜! 無茶言わんといてー!」


雪祢さんに後ろから文句を言われつつ、俺達は冷波咆にすごい速度で押されて、どんどん白銀狼から遠ざかっていく。
そしてそのまま、互いに姿が見えなくなるまで吹き飛ばされたところで、いきなり目の前に崖から一本だけ生えている太めの木の枝が姿を現した。


「のべんっ!?」


俺は其処に腹から思いっきりぶつかった。胃の内容物が逆流しそうになったが、幸い今日は晩御飯はまだだったので何とか堪えることができた。
ああ、そういや腹減ったな〜。キイ兄が今日の夕食は温かいご馳走だよって言ってたな〜


「おい! しっかりしろ人間!」


俺の背中に座っている雪祢さんが声をかけてくる。


「あはは〜、このウニうめ〜。おっ、そっちの鍋も出来たんじゃないか?」


だが今俺の目の前にある、存在するはずもない所狭しと並んでいる豪華な食事に気がいって全く聞いていなかった。
これが全部脳内だけの幻覚だって分かってるのに…どうしようもないな〜


「ええい! 目を覚ませ!!」


雪祢さんがちょっと体を動かした瞬間、うまく動けずにそのまま俺の背中に思いっきり倒れこんできた。その瞬間、引っかかっている枝が倒れてきた雪祢さんと俺の重さに耐えれなくなって、ポキリと折れてしまった。


「また落ちるのかよ!!」


俺の叫びもむなしく、現実はいつも無常なものだった。さらに落下を始めて嫌な浮遊感が俺に襲い掛かる。
ああ、どこまでも落ちるんだな…と思った瞬間。


「ドムッ!?」


すぐに地面に到着…もとい不時着した。高さは十メートルもなかったらしい。吹雪いてて地面があるなんて全然分からなかったわ。
うつぶせの状態で落ちたもんだから体の半分が雪にずっぽりと埋まっている。きっとこのまま立ち上がったら、漫画みたいに人型のへこみになってるんだろうな。
体がひんやりと冷えてきたところで、なにやら背中の辺りに当たるやわらかい感触に気づいた。冷たいもんだから一瞬雪かと思ったのだが、雪の割にはなんといかこう、ふにゃっというか、ぷにっというか…こ、これはまさか!?


「人間、生きてるか?」


首だけ回して後ろを確認したら、すぐ目の前に雪祢さんの顔がドアップでありました。因みに柔らかいものの正体は、雪祢さんのたわわに実った二つの果実だった。
あ〜、雪女だからそりゃ冷たいよな〜。うんうん、その肌蹴た着物も中々に…


「生きてるよ。けど今天国にいる!」


「? 頭でも打ったか?」


大丈夫、今は正常に機能してるから。ふふっ、何だか気持ちよすぎて周りの景色が霞んできたぞ。って、吹雪なんだから景色なんて見えないけどな!
あはは〜、極寒の寒さの雪山の中で雪に埋もれている俺……何だか結構やばい状況な気がしてきました俺!!


「あっ、意識が…遠く……な…」


「あっ! 人間しっかりしなさい! 寝たら死ぬわよ!」


「はっ!? 危ない危ない…まだ見ぬ俺を待つ全国一千万の女性ファンのためにも死ぬわけにはいかない!!」


「まだ居ぬ…ではないのか?」


ぐはっ!? て、的確な突っ込みをありがとう雪祢さん…だけど……お願いだからそんな哀れんだ目で俺を見ないでー!


と、とりあえず俺と雪祢さんは、どこか休めそうな場所を探すことにした。


〜キイ視点〜


ん〜、やっぱり雪山って寒いね。吹き付ける風は痛いし、雪は服に染み込んで体温奪うし、忠っちのボケはすべりまくるし…
おっと、最後のは関係なかったか。失礼失礼…


さて、妙な気配を感じる山の麓に来てみたんだけど、目の前には村の人に聞いた通りに廃工場が不気味に建っていた。
けど…まあ、なんと言うか…調べた結果、廃工場のくせに電気は通ってるし、ところどころにゴロツキ見たいな奴らがうろついている。けどゴロツキと言っても、懐に物騒なもの仕舞い込んでるみたいだけどさ。


「ふむふむ、これは…事件の匂いだ!」


というか怪しすぎるもんね。それに近づいてきてみて分かったけど、いろんな気配があの廃工場から感じられるし、絶対何かあるね、うん。


とりあえず自分は廃工場に向かうために、


「ショートカット〜」


崖を飛び降りた(推定高さ100メートルほど)


白銀の世界を心地よい浮遊感で落下中〜


あっ、一人こっちに気づいたみたいだな。
自分は懐からスナイパーライフル(全長1メートル弱)を取り出して、こっちに気づいたゴロツキ君の眉間をピンポイント射撃した。
おっ、倒れたってことはちゃんと効いたみたいだな『ないとめあ〜禁断の○○〜』は初使用だからちょっと心配だったんだよね。
え? その効果が何だって? ふっふっふ、これは一言で言うと<検閲削除>…むむっ、『自分』が発言を規制してきちゃったな。さすがにまずいか〜


と、そうしている間に自分は雪の積もった地面に着地した。


瞬間に、積もっていた雪に体がずぶずぶと沈んでいった。積もっていた雪はどうやらかなりの高さがあったみたい。


「これは…考えてなかったな〜」


あたり一面銀世界…というより白い雪しか見えない。体がすっぽり嵌っちゃって身動き取れないし…


「あらあら大変でも安心! だってあるものキイ印の火炎放射器〜♪」


僅かに動く手を使って懐から火炎放射器を取り出した。燃料も満タン! 最高出力にすれば鉄でさえ溶かしちゃう超高性能火炎放射器だー!
けど最高出力で放射すると、空気を伝わってくる熱だけで大火傷確実だからできないけどね〜

自分は火炎放射器の放射口を目の前の雪に向けてトリガーを引いた。


「ファイヤーー!」


放たれた炎がどんどん雪は溶かしていく。それであっという間に目の前がなだらかな坂のような形になった。


「よし! これでオッケ…ぶおぅっ!?


いざ進もうと思った瞬間、後ろに積もっていた雪が雪崩の如く自分に襲い掛かってきた。
そういえば後ろには気を回してなかったよ。失敗失敗。
雪の中から頭を出して、プルプルと頭を振る。それから腕を引っこ抜いて、雪の上に這い出るようにして脱出した。
いや〜、せっかく雪溶かしたのに無駄になっちゃったな。まいったまいった。
自分は頭を掻いて、乗っかっている雪を払った。


「おい、其処の坊主。動くなよ」


と、いきなり後ろから声をかけられた。振り向いてみると崖の上で見かけたゴロツキ君たちが数人集まって来ている。手には勿論のこと物騒なおもちゃが握られていた。
けど、ここ日本なのに良くそんな堂々とそれ持ってられるね。ちょっと調べられたら一発で検挙されるんじゃない此処?
どうやらこのゴロツキ君たちは、今の火炎放射の光景は見ちゃったみたいだな。


「よし、ゴメンネ皆」


「何を言って…」


目の前に居たゴロツキ君はいきなり崩れ落ちるようにして倒れこんだ。その額には『忘』と書かれたシールが貼られている。
これで目覚めたときには此処一時間の記憶が消えていることだろう。ちょっと副作用で暫らく頭がパーになるかもしれないけど、謝ったし許してね。


自分はゆらりと体を揺らし、他のゴロツキ君たちと対峙する。


「自分は世界、劇場を巣とする芸人」


自分はそう言って、懐に手を入れた。


「ようこそ、この素晴らしき喜劇空間へ…」


そして右手にハリセン、左手にピコピコハンマーを持って、今戦場へと駆ける!

あっ、あと説明するの面倒だから…


〜ここからはダイジェスト(?)でどうぞ〜


「笑わせるな!!」


「芸人に笑わせるなとは無理な相談だー!!」


キイはゴロツキBの攻撃を回避して、その頭にハリセンを放った。ゴロツキBは行き成り眠るようにして倒れこんだ。
ゴロツキB…リタイア


「くそっ! ガキ一匹に舐められてたまるか!」


「舐めたら汚いから舐めないよ!」


キイはゴロツキCがナイフを構えた瞬間、ハリセンを一閃。ナイフは根元からポッキリと折れた。
うろたえるゴロツキCにキイのピコピコハンマーが唸りを上げる。


「ブレイジングハンマー!」


霊波を纏って白く発光するピコピコハンマーがゴロツキCのお腹を打ち抜く。ゴロツキCは数メートル吹っ飛んで雪に丘に頭から突っ込んだ。
ゴロツキC…リタイア


「「こんにゃろ! 」」


ゴロツキD&Eがキイに飛び掛る。だがキイはそれを察知しても微動だにせず、にやりと頬を吊り上げた。


「神鬼!」


そういった瞬間、キイの体から霊気が溢れたと思ったら、いきなりキイとそっくりの分身体がゴロツキD&Eの目の前に現れた。そしてそれに驚いた二人の頭をピコピコハンマーで殴りつけ、怯んだろところで胸倉を掴むと、思いっきり上に放り投げた。


「一刀!!」


そして無防備になった二人に向けて、キイはハリセン思いっきり振りぬく。迷いのない一閃により、ハリセンから真空波…では死んでしまうので特異な霊波が放たれる。
その霊波は触れた途端に、


「「うひゃ、うひゃはやはやはやはははっ!?」」


意味もなく笑い出してしまうというものだった。霊符『抱腹絶倒』よりは持続期間は短いが、その分は威力のほうに回ったらしい。ゴロツキD&Eは早速呼吸困難になって白目を剥いている。
ゴロツキD&E…リタイア


「な、何なんだお前は!」


最後に残ったゴロツキFが目の前で理不尽なまでに倒された仲間たちを見て、震える体を誤魔化すように叫んだ。


悪に果敢に立ち向かい、名も知らぬ者達のためにその身を削り尚も戦い続ける者…


人それを『正義の味方』という!!


雪の丘に立ったキイが腕を組んだポーズのままビシィとゴロツキFに宣言した。


「そうじゃなくて名前とか聞いてるんだよ!」


「キサマに名乗る名前は無い!!」


「これだけ引っ張って名乗らないのかよ!?」


キイは問答無用とばかりにハリセンとピコピコハンマーを振り上げた。


「運命両断奥義 ツインツッコミ!!」


突っ込みにおける二つの神器を一体にして、強烈な一撃がゴロツキFの脳天に直撃した。
ゴロツキFはこれまでの運命を両断…されては可哀想なので、とりあえず悪い心だけ一刀両断された。突っ込む用のハリセンとピコピコハンマーで両断できるのかと聞いてはいけない。


「要は気合と根性だよ」


…だそうだ。


〜以上、ダイジェスト(?)終了〜


ゴロツキ君達は縛り上げてから『忘』のシールを貼ってから近くにあった詰め所っぽいところに放り込んでおいた。凍死なんてされたら後味悪いからね。


「さってと、それじゃあ廃工場の中を見学させてもらおうかな〜」


自分は見張りの居なくなった廃工場の入り口から堂々と中に入っていった。


〜五分後〜


当たり一帯でけたたましく警報が鳴り響いている。正直言ってうるさいので通路通って見つけるたびにスピーカーを壊して歩いている。


「侵入者発見! 侵入しゃっ!?……あ、あはははひゃひゃあはは!」


無線で連絡しようとした警備らしき男は、とりあえずハリセンで叩いて笑わせておいた。
因みに今は顔がばれないように目の部分以外が隠れるヘルメットを被っている。


それにしても…此処って廃工場じゃなかったのかな? 思いっきり電気ついてるし、色んな機械が動いてるし、人一杯居るし…
それにこの変な気配はなんなんだろう? いろいろな気配が一緒に居るっていうか混合してるっていうか…


「ここかな?」


その中でも一番変で嫌な気配がする場所にやってきた『LEVEL−5』と書かれている扉。
何だか鍵が掛かってるみたいなので、自分は扉に付いているセキュリティ装置に手のひらを置いた。霊波を電気信号に変換してセキュリティを内部から破壊する。

ガチャンと言う音共に、扉がゆっくりと開いた。


「………嫌な予感って…当たるもんだな〜」


目の前には心の隅でちょっとは考えていた光景が広がっていた。
そこには何匹もの妖怪や聖獣、魔獣達が薄緑色の液体の入った円柱型の水槽の中に浮かんでいた。
けど、それはどう見てもおかしい。だって…


「ばらばら……だね。忠っち達には見せられないや」


水槽に入っている皆は、腕が無かったり、逆に体だけ、首だけととても常人が直視できるようなものじゃなかった。
自分はゆっくりと、その水槽の間を歩いて進む。そしてその部屋の中央に立った。


「……さて、皆…どうして欲しい?」


皆に語りかける。そこにはもう魂すらも存在しない子も居る。けど、その強い意志だけが残っていた。
そして、皆の声は苦しみと悲愴、そして憤怒に塗れたものばかりだったけど…二つだけ見事に全員で一致していることがあった。


一つは…己の身を自由へと解放してくれということ……


自分はそのために部屋の四隅に特殊な霊符を設置した。これさえ使えばどんな存在でも綺麗に逝ける筈だ。


そしてもう一つは…


「了解…みんな『また』ね」


自分はそれだけ言って、この部屋を出た。
頭の中に、皆の声が聞こえてくる。それは皆、感謝の言葉だった。


「さて、頼まれたからには…やりとげますか〜」


自分は皆が教えてくれた場所に向かって足早に通路を進んでいった。


〜横島視点〜


「ふぅ〜、何とか休める場所見つかってよかった」


俺と雪祢さんは崖の近くで見つけた洞穴で休憩しているところだった。


「それにしても人間。お前…中々酷いことをするな」


雪祢さんが俺の後ろを見てポツリと漏らした。俺の後ろには…


「ぐ、ぐるぅぅぅ…」


呪縛ロープでぐるぐる巻きにした熊が転がっていた。この熊、この洞穴の住人だったらしく行き成り襲い掛かってきたので、サイキック猫騙しで怯ました後、呪縛ロープで縛り上げたのだ。
因みにこのロープは雪祢さんを縛っていたものだ。休む場所を探す前に動き難いという事で外して、そのまま捨てるのは勿体無いので持っていたのだが、こんなに早く役に立つのは思わなかった。あのまま外に居たら体力持ちそうも無いし、これも不可抗力だ。許せ熊!


だがしかし、ロープで縛られた緊縛美女…もうちょっとしっかり見ておけばよかった…!


その瞬間、後ろのほうから俺の顔を掠めるように冷たい何かが通り過ぎた。頬からつーっと血が流れているのを感じる。目の前にはナイフのように尖ったツララが洞穴の岩肌に突き刺さっていた。
で、後ろを向いたら言葉どおりの冷酷な笑みを浮かべた雪祢さんが、片手で霊波を含んだ冷気を玩んでいた。


「今、変なこと考えなかったかしら?」


「イエ、メッソウモゴザイマセン」


折角寒さを凌げると思ったのに、此処で凍死させられたら溜まったものではない。
それにしても俺の周りの女性たちは何でこうも感が良いんだ。顔にも出してないはずなのに、何故こうも感ずかれてしまうんだ?


「くきゅーん」


と、そこで洞窟の奥から小さな鳴き声がした。そっちを確認しようと近づいた瞬間、


「ガアアァァ!!」


「うわぁっ!? お、驚かすなよ!」


呪縛ロープに縛られた熊が行き成り暴れだした。呪縛ロープは普通の力じゃ千切れないけど、その巨体がぶつかれば痛いじゃすまない。俺は咄嗟に飛び退いて熊から距離をとった。
俺が離れたのと確認したからか、洞窟の奥から小さな小熊がとことこと歩いてきた。成る程、こいつが居たからそんなに警戒していたのか。親熊は依然こちらに向かって警戒してくる。まあ、縛り付けたの俺だし当たり前だろう。

俺は熊の親子から出来るだけ距離をとった壁際で腰を下ろして背を壁に預けた。
俺はふと雪祢さんのほうを見た。雪祢さんはさっきまでと同じで冷たい表情をしているのに、今は何だか優しげに微笑んでいるように見えた。


そして数分休んだところで、雪祢さんの表情が一気に曇った。俺もその理由に気付いて、腰を上げてズボンの汚れを軽く払った。


「ゴメンな熊〜、もう出て行くからよ」


俺は熊を縛っていた呪縛ロープを解いてやる。今回はゆるく縛ったから簡単に解けた。熊はまだ警戒しているようだが、危害を与えるつもりが無いのが分かったのか襲い掛かってきたりはしなかった。小熊のほうは親熊にじゃれ付いていて、親熊の腕に払われてはころころと転がっている。


「んじゃ、行きますかね」


俺は霊力を開放して、体全体に霊波を纏わせてから洞穴の外へと出て行った。


「こりゃまた沢山集まったな〜」


俺の目の前には白銀の世界にあわせて、白い毛並みの氷狼達が数十匹単位で洞穴の入り口を取り囲んでいた。
しかも全員殺気立っていて、今にも飛び掛ってきそうな気配である。


「こりゃ…流石にキツイな〜」


その圧倒的な物量、しかも狩りのプロで実力もその辺の妖怪たちとは段違いの魔獣だ。俺の背中に雪山の寒さ以外で寒気が襲った。


「人間、動けないのなら洞穴に隠れていなさい」


雪祢さんの霊圧が爆発的に増えていくのを感じる。やっぱりさっき俺達と戦ったときは手加減してくれていたのだろう。其の正体はこの山に住む雪女なのだ。自分のフィールドに居る以上、その力は本来の実力以上に発揮できるのだろう。


「へっ、ここで尻尾丸めて逃げたら…キイ兄に殺されちまうよ!」


正確には、『死んだほうがマシ級のお仕置きをされる』なのだが、直接的か間接的かの違いだろう。どちらにせよ、俺には美女を残して逃げ出すようなチキンハートは持ち合わせていないんでな!


『アオオオォォォォォン!!』


あの白銀狼の遠吠えが辺り一面に木魂する。それと同時に氷狼達が襲い掛かってくる。


「蒼河霊能相談所助手一号にしてキイ兄の一番弟子! 横島忠夫!!


推して参るぞ、コラァ!!


俺は右手にサイキックソーサー、左手には限界まで霊波を集中させて、氷狼たちを迎えうった。


〜おまけ〜


そのころ、蒼河霊能相談所内では何故か人工幽霊壱号と人外トリオの戦いが行われていた。その戦いは苛烈を極めていて、どちらも拮抗している。


「みっ!? みみーー!!」


【ぬぅっ! 中々やるな壱殿! 拙者を此処まで楽しませるとは!】


グレンとシメサバ丸の方は、あの甲冑と剣を交えていた。人工幽霊壱号の甲冑は、今まで調べ上げてきた知識と、冷静沈着な人工幽霊壱号の知恵による応用でもはや一流の騎士と同程度の実力を持っている。
それに対してグレンはその小柄な体格を活かして人工幽霊壱号を翻弄するように空を飛びまわる。それにシメサバ丸がこれまでに溜め込んだ記憶と己の経験を駆使して甲冑に襲い掛かっている。


『ぬぬぬぬーー〜〜!?』


そしてファスのほうは、あの強烈な霊波を放つ水晶球を相手に放射と吸収の一進一退の攻防をしていた。水晶球のほうはキイによって直された為いろいろと本来は要らない機能がてんこ盛りで、今水晶球が部屋を縦横無尽に飛び回っているのもその機能の一つである。


『そこです!』


【させはせん!!】


甲冑が剣を横薙ぎにしてグレンを捉える。だが、シメサバ丸はその攻撃を読んで、まるで風の流れのように甲冑の剣を軸にしてグレンの体を移動させる。
それと同時に、グレンは甲冑に突貫。その脇をすり抜けざまにシメサバ丸が甲冑を斬り付けた。


【むっ! 手ごたえが無いな…】


シメサバ丸の言うとおり、甲冑には小さな切り傷は出来たが鎧を貫通とまではいっていなかった。手加減しているとはいえシメサバ丸は今、鉄を切り裂くくらいの威力を持っている。それを受けてもかすり傷一つということは、甲冑はそれ以上の強度を誇っているということになる。


『キイオーナーに霊術的コーティングをして頂きましたから。そう簡単には私を切り裂くことは出来ませんよ?』


どうやらキイはこの甲冑にも手を加えていたらしい。


【面白い…久しぶりに血が疼く……行くぞグレン!】


「みみーー!!」


シメサバ丸から放たれる妖気が格段に上がり、それと同時にグレンも飛行速度が増した。


『負けるわけには行きませんよ! こればかりは譲る訳にはいかないのです!!』


人工幽霊壱号の声と共に、甲冑の動きが俊敏になる。どうやら甲冑にさらに擬似神経を繋いで操りやすくしたらしい。

何故此処までして四人は争うのか? それには絶対に譲れない一つの訳があった…その訳とは……


【「『『テレビの主導権は渡さん(しません)(さないよ)(みみみーー)!!』』」】


人外カルテットの争う中、安全地帯のテーブルの上にはテレビのリモコンがポツンと置かれていた。

毎回恒例になりつつあるチャンネル争い。そしてそれにより勃発した戦闘は、今回はシメサバ丸&グレンコンビが勝利を収めた。ファスは霊力の吸い過ぎによる満腹で睡眠に入ってしまい、ファスに霊力を吸われ過ぎた人工幽霊壱号は甲冑の操作が鈍ってそこを付かれて敗北したのだった。


蒼河霊能相談所、今日も今日で平和(?)なようだ。




あとがき


どうも、拓坊です。
登校中に靴の紐が切れてしまいました。古い靴だったけど縁起が…


ではレス返しです…


>HAPPYEND至上主義者様
雪女編は何故かこんな感じでさらに膨らむことに…
バトルのほうは次回に持ち越しですし(汗)
雪祢さんの真の目的は…もうお分かりになったかな?


>whiteangel様
>常識考えてよキイさん・・・・・イヤ ムリか。
はい、無理です(爆)
キイ君はもはやそれが売りですから〜


>レイジ様
オリジナル展開って難しいけど考えていると楽しいんですよね。
バトルのほうは…まあちょびっとだけ(汗)
次回はちゃんと書きます! 頑張りますので見てやってください。


>黒覆面(赤)様
>意表を突かれました。
嬉しい限りですね。これからもちょくちょくオリジナル展開を広げていきたいと思います。
人工幽霊壱号は、まあだんだんと毒されていってます(笑)


>花翔様
誤字報告、ありがとうございます。そしてすみません(泣)
雪祢さんの処遇は次回明らかに!


>meo様
指摘のほうありがとうございます。修正させていただきました。
令子たちが景品に気付いていないのは、まあキイ君が…(汗)


>ジェミナス様
ブービートラップはキイ君の得意技(?)ですから。
雪祢さんはもちろん土着ですよ。氷狼たちは…次回をお楽しみに!


>なまけもの様
毎回誤字報告ありがとうございます。本当にもう頭が上がりません。
雪祢さんは…次回をお待ちください! このまま使い捨てにはなりませんから!


さらに長くなる…何故こんなに膨らませているんだ自分の妄想よ?
さて、中編をお送りしましたが横島君とキイ君はそれぞれ別行動。次回合流予定です。

キイ君が使った技ですが、あるゲームの技です。分かる人いるのかな?
そしてその後のネタは…横島君に『キイ兄、キイ兄』って呼ばせてるから何時かやってみたかったんですよね(爆)

次回は『雪と氷の舞踏会』完結編です。恐らくですけど(汗)


それではこの辺で失礼致します…

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