〜ナレーター視点〜
今蒼河霊能相談所一行は、S県H山にやってきていた。H山は日本の中でも有数の霊山で、その山奥には由来も起源も知られていない古い社が建っている。
その社は、千年に一度鳥居に仕組まれた呪術的機構が働いて、この世とは別の世界――異界へと通路が開くのだ。
そして古代の叡智が蘇り、異界の奥に最初にたどり着いたものだけが神秘を授けられる…
そして今日がまさにその日なのだ!
「だからって年明けて直ぐに設定することないよな〜。折角の正月なのにさ」
横島が荷物を背負ったまま、ちょっとぼやきつつその鳥居目指して歩いていた。
そしていざ鳥居の前にたどり着いてみると、そこには人、人、人の大集団。しかも見たところ出身国も違えば人種も違う混合軍だ。
その数にちょっと圧倒されているところに、幾つかの影が三人に近づいてきた。
「きゃーん、キイ君に横島君、それにおキヌちゃん〜! 来ると思ってたわ〜」
やけにふさふさした暖かそうな服を着た冥子が小走りで三人に近づいてくる。そしてそれと同時に蠢く冥子の影に、キイはヒクリと頬を引きつらせた。そして案の定飛び出してくる十二神将−1がキイに飛び掛った。
「うぎゃあああぁぁぁぁ!!」
そしてお約束だとばかりにキイは悲鳴を上げながら式神に埋もれていく。横島はその様子を苦笑交じりに眺めていた。因みに頭の上にはハイラが乗っかっている。
「皆も久しぶりに横島君たちに会えて喜んでるわ〜」
「あ〜、キイ兄が会おうとしなかった訳が分かる気がするな〜」
今まさにバサラに飲み込まれそうになっているキイを見ながら、決して助けようとはしない横島。まあ、その気になれば軍隊だってやっつけてしまいそうな式神の群れにわざわざ突っ込むような危険なまねはしたくないだろう。
「どーやら業界中にこの話が知れ渡っちゃってるワケ」
そこに、ちょっと面倒くさそうな顔をしたエミがやってきた。その傍らにいるピートと腕を組んで…と言うか一方的に腕を絡めている。
「まあ、アレの所為じゃない?」
バサラの口から頭と手だけを出したキイが指差した先には、チビサングラスの商売人。厄珍が古文書の写しを売りさばいていた。エミはそれを見て成る程と納得する。
そんな話をしている間に、横島は目を据わらせてピートの胸倉を掴んでいた。
「おうおう、見せ付けてくれるじゃねぇかピートォォ!」
「こ、これはワナなんですー! 僕は唐巣先生と紅白見てる予定だったのにーー!」
横島は微妙に霊波を流して針で突っつくような刺激でピートに攻撃する。ピートのほうも必死にそれを否定して首をぶんぶんと横に振っていた。
「あ、カオスさんとマリアさん」
「むっ、確かお主はおキヌと言ったか」
「こんばんわ・ミス・おキヌ」
カオスとマリアにもぺこりと頭を下げるおキヌ。マリアのほうは礼儀正しく会釈して返した。
そして、頭を上げたマリアが目線を向けたのは、ピートにまだいちゃもんをつけている横島の背中…
「マリアさん、横島さんがどうかしましたか?」
「いえ・何でも・ありません」
おキヌがそんなマリアに首を傾げて尋ねるが、マリアは直ぐに横島から目線を外した。
「そういや、令子ちゃんは来てないのかな?」
バサラの口の中からやっと開放されて、今度はサンチラの体で簀巻きにされたキイが地面に転がったまま辺りを見渡す。
と、そこでキイの頭上にカツッとハイヒールが現れた。
「…なんだズボンなのか」
ぐしゃっと言う音と共にキイの顔がハイヒールで踏みつけられた。しかもヒールの部分が丁度額に突き刺さって、血をピューッと水芸のように飛ばしながらそこらじゅうを転がりまわった。
「何だ、結局あんたも来たワケね美神」
「勿論よ。何たって古代の叡智なのよ? こんな美味しい情報逃す手はないわ」
流石は美神、金儲けの匂いがしたらどんなところにでも現れる。
「!! ちょっと待ったあ!!」
そこで横島がピートを放して、腕時計を見る。その時刻は11時59分55秒を指していた。皆も横島の声に大人しくする。
そして、時計の針が全て丁度十二に揃った。
「明けましておめでとうございまーす」
「今年もよろしくお願いします」
「皆おめでとー」
横島とおキヌと冥子が新年の挨拶をした。マリアのほうは日本の正月特有の挨拶を知らないのか不思議顔だ。
「よし、忠っちとおキヌちゃんにお年玉だ〜」
キイがジャケットの懐からお年玉の袋を取り出した。
「おお! キイ兄太っ腹だな!」
「誰が太ってるってー!」
「待て! 意味が違うからその懐に入れた手を引き抜くな!!」
ちらりと見えた黒光りするグリップに横島が慌てて止める。キイは横島から説明を受けてから納得すると、それじゃあとお年玉袋を二人に渡した。
横島が袋を開けて中身を取り出した。
「……これは…銀貨?」
袋を引っ繰り返して横島の手に転がったのは『一円』と書かれた銀貨だった。
「古銭ショップで買ってきました!」
親指をぐっと立てて、サムズアップする。因みにオークションで売れば数万以上の値が付くのだが、横島はそんなことは知らずに、銀でも一円かよとがっくりと肩を落としていた。
「私のは……紙でしょうか?」
おキヌが取り出したのは、お札などではなく一枚の紙切れ。其処には『小切手』と書かれていて『0』が六つほど書かれている。おキヌもその価値が分からずに首を捻った。
これぞまさに猫に小判。横島に銀貨。おキヌに小切手だった。
まあ、そんなことをしている間に鳥居に異変が現れ、異界の扉が開いた。
「よし! 皆行くよ〜」
キイの言葉に、参加者一同が鳥居の異世界への入り口に殺到した。
瞬間に行き成り入り口が爆発した。
「な、何が起こったの?」
既に中には行っていた美神が入り口辺りを見て驚いている。
美神は冥子辺りが暴走して爆発したのかと思ったが、爆発音で振り向いたとき冥子は自分の後ろについてきていたので違う。
「おいキイ兄…その手に持っているスイッチ付きの四角い箱は何だ?」
「? 起爆スイッチだけど?」
横島の問いに、キイは見れば分かるでしょと言わんばかりに掲げてみせる。横島としてはそんなことを聞いたのではないのだが、此処で下手に突っ込むと懐の中の黒光りするものを抜かれそうな気がしたので止めておいた。
「で、なして爆破テロなんか?」
「だって〜、折角皆で来たんだからゆっくりと行きたいでしょ?」
にっこりと微笑むキイ。そんな理由で遠くの国からはるばる来た方々は行き成りリタイアになったのだ。横島は入り口付近でふっとんだ方々に手を合わせておいた。
そして、古代の叡智を手に入れられるのはたった一人なのだ。だからここでは『一人になるまで戦ってもらう』的なバトルロワイヤルが繰り広げられるのが普通なのだが…
「やった〜、それじゃあ令子ちゃん一緒に行きましょ〜」
「ああもうっ、抱きつかないっ!」
冥子は直ぐにそれに賛同、そして済し崩しで美神も撃沈。
「カオスさんとマリアさんもご一緒しませんか?」
「何を言う! 古代の叡智は「イエス・ミス・おキヌ・一緒に行く」ってマリアーー!!」
早々にマリアに裏切られたカオスががっくりとうな垂れる。まあ、その理由がカオスとマリアの二人だけでは勝てないと言うマリアの演算結果だったわけで、カオスもしぶしぶ納得した。
「で、ピートとエミさんは何処行ったんだろ?」
「そんなに先に行ったとは思えないけど…だいたいピートは無理矢理つれてこられたみたいだし、その辺で押し倒されてるんじゃない?」
と、そこで洞窟の奥から何かが高速で迫ってきた。普通進むことはあっても戻ってくることはないはず。
一同はそれを感じて警戒態勢に入った。
「横島さーーん! 助けてください!!」
洞窟の奥から現れたのはピートだった。しかも上半身の服は殆ど脱がされて腕に引っかかっているだけで、ズボンのほうもベルトが外されてずり落ちそうになっていた。
正直男を庇う気になどならない横島だったが、あまりにも切羽詰った顔で迫るものだからとりあえず背中に隠れることだけは許してやった。
「何があったのピート?」
ちょっと想像が付いている美神は呆れたような顔で、確認程度にたずねた。
ピートは横島の後ろに隠れながら、洞窟の奥を指す。そこには、ゆ〜っくりと優雅にこちらに向かってくるエミの姿があった。
そこで一同は成る程、もしくはやっぱりと納得した。
「ピートったら、途中で逃げ出すなんて酷いわね」
エミはそう不満を言いつつも、顔のほうはにやけている。何が途中だったのかは、誰もあえて聞かなかった。ただ横島は後ろで震えているピートを見て少し哀れに思いつつも、
「テメェ! あんな美人に誘われといてそれでも男かーー!」
「そんな無茶言わないでくださいよ!」
それ以上に嫉妬が勝った。そしてさらに口答えするなとピートの顔を往復ビンタしながら涙を流している。よっぽど羨ましくて悔しかったらしい。
どうやらピートにとってこの元旦は厄日のようだ。折角めでたい日なのに可哀想に…
「それじゃあ皆も揃ったところで出発しようか〜」
キイの掛け声と共に、一同は洞窟の奥へと進んでいった。
暫く進んで、一同は開けた場所に出た。
そこには沢山の岩が散乱している。一見散らばっているように見えるが、よく見れば円を描くように設置されている。所謂ストーンサークルだ。
「ここがゴールね…」
「下手な聖域より神聖な気が満ちてるね。どうやら古代の叡智って奴は期待できそうだよ」
と、そのとき神聖な気がストーンサークルの中央に集まり、暗闇に満ちた天井から一筋の光が降り注いだ。そして、そこから一つの人影が降りてきた。
「よく来た……わらわがお主らの求める者じゃ!」
その姿は、長い髪に均整の取れた顔、抜群のプロポーションで服装は下は袴のようなものを穿き、上はちょっと透けて見えてしまうような服。いくつもの勾玉を束ねた首飾り。そして体中に沢山の古代文字が彫られていた。
横島がその服装に煩悩回路が起動しそうになったが、キイに足を踏まれてその痛みのおかげでなんとか押しとどまった。
と、そこでその姿を見た美神・エミ・冥子・おキヌがちょっと驚いたような顔をした。
「えっと、ヒミコ様?」
「おや、なんじゃおぬしらか?」
美神の言葉に降臨した者、ヒミコがちょっと意外そうな顔をした。
「おキヌちゃん知り合いか?」
「えっと…ちょっと前に降霊会をやってその時呼んだ方です」
「そりゃあまた…そっちはそっちで凄い人呼んだんだな…」
ヒミコといえば古代日本のヤマタイ国の女王であり、同時に日本の歴史の中でも最強の力を持つ魔女だ。
その力は未来をも見通せると言うほどで、人間の中でもっとも神に近い存在だっただろう。
「そっちは歴代の魔女で、こっちは屈強の戦士か…」
キイと言い美神たちと言い、流石は日本を代表する一流GSたちだ。横島も改めて此処にいるメンバーの凄さを再確認した。
と、そこでまた上のほうから光の柱が降りてきた。まだ何かあるのかと一同はヒミコのほうを見るが、ヒミコのほうもちょっと怪訝な顔をしている。どうやら予定外のことらしい。
そして、その光からまた一つの人影が降りてきた。
「あっ、タケっちじゃん」
「おお、やはりキイ坊であったか。久しいな」
現れたのは、あのキイと横島のやった降霊会で呼び出されたヤマトタケルだった。
行き成りフレンドリーな会話をしだす二人に、ヤマトタケルとは知らない一同は不思議顔だ。横島のほうは思いっきりこけて岩肌に顔面をうずめていた。
「キイ坊よ、あの土産のことなのだがな…」
あの土産とは、キイがヤマトタケルと分かれるときに渡した激辛なお土産のことだ。
横島はそれを聞いてギクッと肩を大きく跳ねさせる。
「実はアレを同僚に差し入れしてな。見事激辛を引いて大変なことになっておったわ!!」
わっはっはと豪快に笑うヤマトタケルに、横島は再び壁に顔をめり込ませた。
ヤマトタケルが食べて怒りをかうなんてことにはならずに済んだのはいいが、ヤマトタケルがそんな悪戯的なことをしたという事実に拍子抜けしてしまったのだ。
「ヤマトタケル…お主何故こんなところに来ておるのじゃ。向こうで茶を啜っているのではなかったのか?」
「うむ、実はお前が開いた人間界へのゲートからこの者たちの気配を感じてなぁ」
はっはっはと笑うヤマトタケルに、ヒミコは依然訝しげな顔をしている。どうやら二人は知り合いらしい。
そんな酷く人間的な会話をしているヤマトタケルとヒミコを見て、横島とキイ以外はただただ呆然とその様子を見ているだけだった。やはり神聖化されて、遥か高位の存在の二人がこんな会話をしているのにはショックが大きかったらしい。
キイはそんなことは気にせずに何時ものようにニコニコと笑いながら二人に話しかける。
「それで、今回の景品はなんなの?」
「景品って…ゲームのおまけじゃないんだからさぁ」
キイの言葉に横島が苦笑しながら突っ込む。
「本当はわらわからの今年一年の運勢をお告げするはずだったのだが…」
「はっはっは、そんなけち臭い事はいわんよ。うむ、我からはコレをやろう」
そう言ってヤマトタケルが渡してきたのは一本の白い光を放つ剣だった。其処から放たれる神々しい光は見ただけでも圧倒されるほどだった。
「では、わらわはこれでもやろうかの…」
ヒミコはそう言って首飾りに付いている勾玉の一つを差し出した。それは生前からヒミコが身につけていて彼女の魔力が染み渡り、凝縮されている至高の一品だ。
二人から渡されたアイテムは、それぞれ人間界にある既存のオカルトアイテムの中でも最高位に位置する物だろう。はっきり言って神器に近いものなのだから当たり前だ。
「では、そろそろ我々は帰ろうかの」
「おおっ、それじゃあ今回も……はいこれ!」
そう言ってキイが渡したのは『世界の珍妙食材クッキー』と『劇甘度1000%! 和菓子の詰め合わせ』だった。
何処にそんなものが売っていたのか気になるところだ。というかキイ以外でそんなものを土産に買おうとする人がいるのか怪しいところである。
「うむ、ではコレでまたあいつらに一泡吹かせてやろうかの」
「ヤマトタケル…ほどほどにせぬとこの前のように屋敷を崩壊させることになるぞ」
どうやら前回引っ掛けた相手と死闘を繰り広げて大変なことになったらしい。それを聞いた横島は冷や汗を流しながら頬を引きつらせた。
こうして、二人は光を昇って帰っていった。キイは光が消えるまで手を振って、横島は大変なことにならないように祈っておいた。
あと、ヤマトタケルとヒミコから貰ったアイテムは美神たちが呆然としている間に、キイがちゃっかりと懐に収めていた。
せかいはまわるよどこまでも
〜〜雪と氷の舞踏会 前編〜〜
荒れ狂う雪、あたり一面を銀世界へと変えて尚も振り続ける吹雪は数メートル先も見えないほどに当たりに降り注ぐ。
そんな普通の人では耐えられそうにない雪山で、唐巣は息も絶え絶えで降り積もった雪に膝をついていた。体のあちこちに傷を負い、その大半が凍り付いていた。
「ぐぅ、まさか……とは…無念…」
そしてそのまま雪の中に倒れ付す。そんな唐巣を冷たい目線で見下げる着物姿の女性がいた。
吹き荒れる吹雪は彼女をかわす。その発する冷たい冷気は彼女が雪女であることを物語っていた。
「唐巣神父、人間は凍るものなのよ。血も肉も――そして心もね」
雪女はゆっくりと唐巣に近づいていき、その手を唐巣の手にかけた。
〜横島視点〜
皆さんお元気ですか? 横島忠夫です。北海道はとてもとてもとーーっても寒いところです。
けど料理は美味しかったです。とくに海産物が豊富で、キイ兄の奢りで食べたカニはもはや争奪戦となりました。七割方キイ兄が食べたけど、俺も一杯分は食べられたのでまあよしとしておこうと思います。
さて、俺達が北海道に来た理由なのだが今俺達がいる村ではここ数年、冬になると雪女が現れては、次々に凍死者や行方不明者が続出しているんだとか。
それで唐巣神父がそれを退治しようとして失敗して、体中傷&凍傷だらけで発見されて大変なことになってしまったらしい。
で、今その神父の部屋にいるのだが…神父の弟子のピートのほかに美神さんがいた。
ああ、そういや美神さんって神父が師匠だったんだよな。仕事におけるスタンスが正反対なもんだからすっかり忘れていたな。
「先生! 先生、私が分からないの?」
美神さんが神父に話しかけるけど、神父はずっとぼーっと何もない壁を見つめて『北○国から』を口ずさんでいる。いや、アレは名作だよな。っと、それは置いておいて…
「キイ兄、神父どうしちまったんだ?」
「うん。全部は分からないけど、何らかの霊的攻撃を受けて精神にダメージを受けたりしたんじゃないかな」
そうなのか。なんか神父の頭以外包帯でぐるぐる巻きになってるから内面のほうには目が行かなかったな。しかし熱血だけがとりえだった人なのに…
「キイの言う通りね。まあこれ以上此処にいてもしょうがないし、その雪女を退治することね」
美神さんはそう言ってコートを掴むと、そのまま出て行こうとした。
「手伝ってくれないんですか!? 先生はあなたの恩師でしょう?」
それをすかさずピートが止める。美神さんのほうは今年の目標はタダ働きなしだって行ってそれを断ろうとしてるけど…
美神さん、恩師なんだしもうちょっと情が湧いてもいいのではと思うのだが?
「金だ金だと口では言っても本当はいい人だと思ってたのに!!」
「や、やめてよ! まるで私が冷酷な守銭奴みたいじゃないのよ!」
美神さんがピートの言葉にちょっとたじろいでいる。つーか、自覚していないのか美神さん…
キイ兄の話を聞くにはお金のためには結構やばい仕事も引き受けてるって聞いてるんだけどな。
と、そこで今まで神父へのお見舞いのフルーツを貪っていたキイ兄が、バナナの皮を剥きながらこちらに振り返った。
「えっ、違うの!?」
美神さんに向けて放たれたその言葉は、純度100%本心の驚きに満ちた表情だった。
キイ兄にそんな真顔で言われて、ついでに俺達の視線を一身に浴びた美神さんが一歩後ろに下がる。
「わ、分かったわよ! 先生のためですものやるわよ!」
美神さんはそのプレッシャーにあっけなく折れた。流石に此処で断ったら完全に冷血女としての烙印押されちゃうもんな。というか既に其処に足は突っ込んでるか…
早速雪女を退治する準備を始めた俺達は、雪女が現れると言う夜になるまで待つことにした。
その間旅館を散策することにした俺に、おキヌちゃんもその話に乗ってきて一緒にいくことになった。
それで今はお土産コーナーに来ているわけなのだが、
「きゃ〜、横島さん。この熊の置物可愛いですね」
「あ、ああ…そうだね」
おキヌちゃんが目をきらきらとさせながら木彫りの熊を眺めている。なんんつーかそんなリアルに再現された熊を見てカッコいいとかじゃなくて可愛いとは、おキヌちゃんってちょっとずれてるよな。
それともコレが一般女性の反応なんだろうか? 比較対象がいなくて分からん…
…ぐぅ、自分で地雷踏んだ。ちきしょーー! 俺だって女の子と楽しく話したり遊んだり色々したいぞー!
そしてあわよくばナニまでやってしまいたいぞーー!
「横島さん何か言いましたか?」
「いえ、何にも」
考え事をしていた俺の顔をおキヌちゃんが首をかしげながら覗き込んできた。俺は思っていることなんか口は勿論顔にも出さずに、ナチュラルに反応を返す。これぞキイ兄に教わった感情&表情制御技能だ。戦闘において焦りなどを顔に出してはいけないということで習ったのだが、今こんなところで役に立つとは思わなかったな。
おキヌちゃんもそうですかとまたお土産を見て回っている。
と、そこで中年ぐらいの二人組みの男が土産屋に入って来て、カウンターの親父に話しかける。どうやら知り合いのようだな。
「おう、何だ今日も狩りに行ってたのか?」
「ああ、けど今日もやっぱり鹿どころかウサギの一匹もいやしなかったなよ」
どうやらこの辺の住人らしいな。この辺の山では狩りも出来るのか。
けどどうやらボーズのようだし、まあ狩りなんてそんなものなのかな。
「けど可笑しいよな。姿が見えないどころか、なんつーか生き物の気配も感じないって奴か?」
「何だ、ついに勘まで鈍ったか?」
「ちげぇよ。本当に生き物がいないみたいなんだよ」
「これも雪女の仕業なのかもな」
雪女…なんだか凍死者や行方不明者出すのの他にも、いろいろと被害だしてんな。こりゃ早めに退治しないとな。
「横島さん! これ買って行きましょ」
「ん? ああ、何かな?」
ちょっとあの三人の会話聞いてておキヌちゃんのこと忘れてたや。
俺が振り向くと、其処には笑顔を浮かべて白いパッケージの箱を胸の辺りで掲げて見せているおキヌちゃんがいた。
その銘柄はあの有名な『白○恋人』だ。こんな場所にまで売ってるんだな。
おキヌちゃんにはお土産は帰りに買うように言っておいた。おキヌちゃんは少し渋ったが、一緒に選んであげると言ったら直ぐに納得してくれた。何故そんなに喜ぶのかは分からないが、まあ悪い気はしないしいいだろう。
そして、太陽は沈んで辺りに暗闇が訪れた。
吹雪が吹き荒れる山に入って、俺達が向かったのは凍死体が良く発見される山の中腹辺り。
ここで罠を張って待つとことになり、俺とピートは白い厚手の布を張った簡易テントの中に隠れて様子を見る。美神さんも一緒に来たのだが、どうやら他の場所に隠れているらしい。
で、キイ兄とおキヌちゃんなんだが…キイ兄は昼の間に村の中を聞き込みしていて、何か調べごとがあるからと言ってどっかに行ってしまった。本当に自由奔放なんだから…
しかし、本当に雪女は来るんだろうか…だってワナに使っている餌なんだけど……
「カキ氷で本当に雪女が釣れるのか?」
「大丈夫です。あれは世界でも名だたる名水を使い最高の技術を使って作った氷に、添加物が一切入っていない厳選された材料と名人の腕で仕上げたシロップを使っているんです!」
そりゃあまた大層なものを準備したもんだな。しかしそんなものをどっから持ってきたんだ?……まさか…
「なあピート、その材料集めたのって誰だ?」
「ああ、キイさんですよ。このワナもキイさんが進めてくれました」
やけに準備がいいと思ったらやっぱりそうなのかよ。けど、あのキイ兄がただの親切でそんなもの準備してくれるか? 否! 断じて否だ!
キイ兄のことだ、きっと何か仕掛けがあるはずだ。
「雪女は必ず来ますよ! 雪と氷のプロならアレを見てじっとしていられないはずです!」
ピートは一人でテンションあげてるし。まあそんなことはいいからちゃんと聞いてみよう。
「なあピート。あのカキ氷何か不審な点はなかったか?」
「不審な点ですか? 手動のカキ氷器と容器に入った赤いシロップを頂いて……いえ特にはなかったですよ」
そうか…何かしてあると思ったんだが俺の思い違いか?
とりあえずその疑問はしまっておいて俺は見張りを続けることにした。
「おおっ! こ…このカキ氷はっ!!」
って、本当に釣れたよ雪女。マジで釣れるとは思わなかったからなぁ。近頃の妖怪は色んな意味でおかしな連中ばっかりだな。
「それでは早速…」
雪女がスプーンを取ってカキ氷を一口食べる。
「……っっっっ!!!??」
あれ? 何か様子がおかしいぞ…口元押さえて悶えているようだけど…まさか……
「か、辛い! 何なのこのカキ氷は!」
やっぱり、キイ兄は予想を裏切らずに要らぬ手を加えていたらしい。雪女がカキ氷をこっちのほうぬ放り投げてきた。
それと同時にピートが簡易テントから飛び出した。
「待っていたぞ雪女! よくも先生を!」
「人間? それも男か」
対峙するピートと雪女。その様子は一触即発の緊迫した状況だ。
で、そんな中俺は…
「…どれ、何を使ってたんだ」
落ちてるカキ氷のシロップが掛かった部分を舐めてみた。その瞬間口の中になんとも言えない刺激が襲ってくる。
ま、マジで辛いぞ…赤いシロップだって聞いたからイチゴだと思ってたけど、これまんまタバスコじゃねぇか。原材料は唐辛子ってか?
「先生の仇を取らせてもらうぞ!」
「いや、死んでないだろう」
神父を勝手に殺してやるなよ。神父が聞いたら激しく落ち込むぞ。
「私は今人間に構っている暇はない。さっさと立ち去れ!」
「カキ氷に構う暇はあるんだよな?」
口元を押さえた雪女に俺は突っ込む。多分舌が痺れて痛いんだろうな。かく言う俺もちょっと痛い。
ちょっと舐めた程度なのにこの痺れなんだから一口食べたあっちは凄いことになってるんだろな。
「ふざけるな! 貴様を倒す!」
「調子に乗るでない小童が!」
「で、二人とも俺は無視なのね」
折角突っ込んだのに置いてけぼりにされた。ちょっと物悲しいぞ。
俺はとりあえず二人の闘いを見ることにした。
「さっさと凍っておしまい!」
雪女の体が一瞬で冷気の固まりになってピートに襲い掛かる。見たところかなりの霊気を感じるし、あの雪女かなり強いな。
「主よ聖霊よ!! 冷酷なる悪魔を倒す力を我に与えたまえ!!」
ピートが祈りの言葉を唱えると、ピートの周りを覆っていた雪女の冷気が弾き飛ばされた。ピートも中々やるな。流石は真祖直系のバンパイア・ハーフだ。
「この程度でバンパイア・ハーフの僕を凍らせることは出来ないぞ!」
おおっ! ピートカッコいいぞ。今回ばかりは寒くて動きたくないから出番全部譲ってやる。さっさと片付けてくれ!
「もうお前は凍っているよ。私が凍らせるのは体だけではない。情熱も信仰心も、魂までも凍らせるのよ」
「なっ、うっ…!?」
雪女が言ったとおりだとそっちのほうも防御しないと触れた瞬間最後か?
おいピート! 行き成り膝を突いてるんじゃねー! 俺に戦わすなー。
「む、無念…」
ピートの目から光が消えたと思ったら、神父と同じく北の○からを歌いだした。まだ日本の生活短いのにピートも知ってんだな。流石は人気番組だ。
で、これは結局俺がやらないと駄目なのか? 俺、肉体守る術あるけど魂とかの方はからっきしだぞ? 勝ち目ないじゃん。
「さて、次はお主か」
「あっ、いや俺のほうは…」
どうにか話し合いに持って意向と思ったところで、行き成り雪女が炎に包まれた。その飛び散る火の粉が俺のほうにも飛んできて、頭に火が付いた。
「あちゃちゃちゃーーー!?」
俺はそのまま雪の中に頭を突っ込む。
ふぅ〜、助かった。ほてった顔に氷の冷たさが気持ちいいな〜。っと、今はそんな場合じゃなかったな。
俺は雪から首を引っこ抜いて、炎の飛んできたほうに視線を向けた。
「やっぱり火炎放射器くらいじゃ焼け石に…いえ、この場合は雪山に熱湯ってところかしら?」
美神さんが小さく火を噴いている火炎放射器を構えていた。
「美神さん! もうちょっと周りを見て使ってください!」
「ごめんごめん。でも無事みたいだしいいでしょ?」
良くない! と言いたいところだが今はこんなことを話している場合ではない。この話はまた後に取っとくとして今はこの目の前の奴をどうするか考えないとな。
「おまえ…いつから其処に…!」
そういや全然姿見えなかったし、一体何処にいたんだ美神さん?
「いや、ずっといたんだけど寒くってさ――石狩ナベ食べてたのよ」
そう言って美神さんが指したのは、さっきまでただの小さな丘のように見えていた雪の塊。よく見ると其処に入り口があって、中にコンロとナベが置いてあった。
美神さん、俺達以上になにやってるのさ。
「どうやらあんたは生命や物質のエネルギーを吸い取る妖怪のようね。力押しじゃ先生もピートも勝てなかったわけだわ」
確かに、そして俺も力押ししか出来ないから勝てないな〜……って、待てよ?
何だかナベ食べてた割にはきっちりこっちのこと見てたみたいだな…もしかして……
「美神さん、もしかして俺達を先に戦わして試金石代わりにしました?」
「なっ、そ、そんなことないわよ。オホホホホホ…」
めっちゃ動揺してるよ美神さん。
俺は美神さんをじと目で睨みつける。美神さんの額にたら〜っと冷や汗が流れた。
「さあ、雪女! どっからでもかかってきなさい!」
美神さんが雪女に向かって高らかに宣言する。逃げたな美神さん…後でキイ兄にちくっちゃうぞ?
…いや、やっぱり流石に可哀想だから止めておこう。美神さんの巻き添えで俺まで何されるか分かったもんじゃないからな。
「そう、それじゃあお前も仲間と同じように凍ってしまいなさい!」
「やってみる? 私はあんたの10倍冷たい女かもよ?」
ここで一桁少ないって言ったらどうなるかな? 殺される? やっぱりそうだよな。うん、止めておこう。
「ほざくな女!!」
雪女が体から冷気を放出させ、美神さんを襲う。それに対して美神さんは余裕の表情で手に持ったスイッチを押した。
すると雪の中から何か小さな砲台みたいなものが出てきた。そして其処から白っぽい液体が大量に放出される。
「なっ…!? あぁ、そ…そんな…バカ…な」
うおっ! 雪女が氷漬けになってる! 雪なのに凍ったりするんだな〜
俺はちょっと不謹慎ながらそのことに感心していた。
どうやら美神さんが使ったのは液体窒素らしい。マイナス200度近くになる液体だし、流石の雪女もこれには耐えられなかったみたいだな。
「う、ああ…まさか……こんなことで…私には……まだやることが…」
「人を何人も殺しておいて命乞い? 私はそんなに甘くないわよ」
うわっ、美神さんの顔に影が入ってる。怖ぇ〜…
けどあの雪女、ピートと戦う前も同じようなこと言ってたな。ちょっと気になるな。
「美神さん、ちょっと待ってください」
俺は神通棍を取り出していざトドメを刺そうとしている美神さんを止めた。
「何、横島君? 私、寒いから早く終わらせて帰りたいんだけど?」
「ちょっとこの雪女と話がしたくて…」
「横島君…自分が何言ってるか分かってるの?」
美神さんはちょっと真剣な顔になって俺の顔を見つめてくる。勿論その言いたいことだって分かっている。
GSたる者、除霊対象に情けをかけてはいけない。まあ場合にもよるけど人を殺したりしている妖怪なら会話するなんて愚の骨頂だ。けど、俺にはどうしても引っかかりを感じるんだよな。
「どうぞこの通りですのでこの雪女と話をさせてください」
俺は土下座とまでは行かないが、美神さんに向けて思いっきり頭を下げた。
「ああもう! 勝手にしなさい。どうなっても知らないからね」
美神さんはそう言って一歩引いてくれた。けどどうなっても知らないといいながらも神通棍はしまわずに雪女のほうに注意を向けている。何だかんだ言いつつ結構優しいとこあるじゃん美神さん。
「ありがとうございます、美神さん」
「…さっさと済ませなさいよ」
俺はちょっと頬をほころばせながら美神さんにお礼を言った。そしたら何故か顔を背けられてしまった。
何故だ? 俺の顔はそんなに直視できないほど駄目か? もしかして寒さでゾンビみたいに真っ青な顔してるとか? いやー! そんな俺を見ないでーー!!
…ふぅ、落ち着いた。実は今までずっとポーカーフェイスだったんだけど、本当に俺変なところでばっかりこれ使ってるな…けど練習になるからまあいいかな。
気を取り直した俺は氷漬けになって動けない雪女の前に立った。まあ、このままじゃあ喋りにくいだろうからまずは溶かそう。
俺はとりあえず雪女を呪縛ロープで縛ってからキイ兄からもらった『解凍』の霊符を張った。もしものとき用だったんだけど、まあ別にいいだろう。凍った雪女は数秒で解凍された。最後に『ちーん』って変な音がしたが…ただのキイ兄の何時もの悪い癖だろう。
「お前…私に何のようがあるって言うの?」
「まあまあ、そんな攻撃的にならずに。俺の名前は横島忠夫、アンタは?」
「ふんっ、人間に名乗る名などない」
あくまで高圧的な態度を取る雪女。こういう相手にはやり方があるってキイ兄が言ってたな。
確か…ああっ、そうだったな。
俺は持ってきたリュックから、ハンマーとノミを取り出した。
「名前教えてくれないと…彫るよ?」
何をとまでは言わない。これがさらに相手を焦らせる…とキイ兄が言っていた。因みに道具を入れたのもキイ兄だ。何を想定して入れたのかは知らないが、まあ役に立ってるんだしよしとしよう。
「くっ……雪祢(セツネ)よ」
「よし、雪祢さんだな? いい名前じゃん」
名前ないとか言われたらどうしようとか思ったけど、ちゃんとあって良かった。
「それで、質問は何?」
もはや全面降伏なのか雪祢さんは完全に諦めモードだ。まあ俺のほうもそのほうも楽で助かるからいいけどな。
「まあ、単刀直入に言うんだけど…お前人を殺しはしてないだろ? 少なくともここ数年は」
「……え、ええ…その通りよ」
雪祢さんはそんなことを聞かれるとは思わなかったようで心底びっくりしているようだ。そんな美女の顔もキュートでグッド…って今はそんな場合じゃないか。
しかし…うん、やっぱりそうだったんだな。俺は予感が的中していたみたいだな。
「ちょ、ちょっと横島君それどういう意味よ?」
美神さんのほうも驚いた様子で俺に尋ねてくる。そりゃ今までの事件の犯人が違うって言ったら驚くか。
「だって、この雪祢さんは生き物じゃなくても物、その辺の石とかからでもエネルギーを吸い取れるんですよ? この山は結構な霊脈通ってるみたいですし、それだけあれば人を襲わなくても事足りると思いません?」
「確かに…ちょっとおかしいわね」
美神さんも俺の言葉にちょっと考えをまとめようと口元に手を当てる。
「となると、この雪山には他の何かがいるってこと?」
「そうよ。私はそいつらに用があるの」
「その用って?」
雪祢さんはその問いには答えたくないのか口を噤んだ。まあ、其処まで話す必要はないしそれは構わないけどね。
「それで…その何者かってのは知ってるのか?」
「ええ……正確には奴らよ。あいつ等は…」
雪祢さんが口を開こうとした瞬間、俺の耳に何か獣のような声が届いた。
俺は咄嗟にそちらのほうを向く。今は姿が見える範囲にはいないようだが…確実に何かがこちらに向かってきているのを感じた。
「何この気配は…ちょっと雪女。一体その奴らって何なのよ?」
「……氷狼よ」
その瞬間、辺りの積もった雪の中から数体の白い毛皮の狼が飛び出してきた。
鋭い青色の瞳に、純白の毛並み、その牙はそんじょそこらの犬たちとは比べ物にならないくらい鋭利なものに見える。口からは白い息、いや冷気をそのまま吐いている。
右を見ても左を見ても、そこにはうなり声を上げる氷狼がいる。どうやら俺達は、完全に囲まれてしまったらしい。
「絶体絶命ってとこ?」
「そうみたいっすね」
ちょっと頬を引きつらせた美神さんに、俺も苦笑いで答えた。
『アオオォォーーン!』
遠くから聞こえた遠吠えと共に、氷狼たちが俺達に襲い掛かってきた。
〜おまけ〜
一方、そのころお留守番中の人外カルテットのほうはと言うと…
「みみ〜♪」
グレンのほうは新しい家に早くも慣れて元気に飛び回っている。そして早速マーキングと言う名の味見を始めて柱なんかを齧ってたりする。
【むむっ、そこじゃ!?】
シメサバ丸のほうは最近ちょっとだけ自力で動けるようになったらしく、試し斬りと言わんばかりに机やら椅子をぶった斬っていた。
で、ファスのほうは…
『ひゃっほ〜〜』
最新の掃除機に、キイに文字盤のディスプレイを付けて貰って、まだ片言だが簡単なコミュニケーションが取れるようになっていた。それで今は部屋という部屋を掃除しているのだが、ファスの特性で掃除をするたびにそこらじゅうから霊力を根こそぎ奪っていって、ファスの通った後は霊力が荒野状態になっていた。
『ああー! グレンさん其処かじっちゃ駄目です! シメサバ丸さんそれ斬っちゃ駄目! ファスさんこれ以上霊力を吸うのは止めてくださーーい!』
そして今回の一番の被害者、人工幽霊壱号が叫ぶ。人工幽霊壱号は屋敷の癖に微妙に屋敷に受けた攻撃を感じてしまっているようで、ちょっと半泣きな声で訴えていた。
特にファスの霊力吸引は命に関わるので早く止めて欲しいところである。
キイたちが留守をしている間に、屋敷の中が無事と言うことはまずありえないようだ。
新入りの人工幽霊壱号がこの暴走トリオを止められるわけも無く。人工幽霊壱号はともかく自分が消滅しないように大急ぎで地下を通る霊脈から霊力を吸い上げてキイたちの帰りを待つことにした。
そして、直ぐにこの三人に留守番の時のルールを作ってもらおうと心に決めておいた。
あとがき
今日バイト先で思いっきりこけて皆に笑われました。拓坊です。
ではレスを返させていただきますね。
>花翔様
彼らはそん所そこらの家族よりよっぽど仲がいいですよ。
まあ、今回みたいに横島君が苛められたり、遊ばれたり、酷い目に合ったりしますけどね(笑)
>紅様
誤字報告ありがとうございます。早速直させていただきました。
>なまけもの様
誤字のほう、報告ありがとうございます。
蒼河一家はこれからも人外の巣窟であり続けます<オイ
人工幽霊のほうは…まあその内おまけででもだします!
>whiteangel様
擬人化…使い古されてますがやってみたいですね〜
ブラックシルクのほうは…できるだけ降臨しない方向で頑張ります(汗)
>ジェミナス様
幽霊を押し倒した男、この称号はやはり横島君に持っていて欲しくてやりました。
これで人外誑し効果が二割り増しなのです!(嘘)
>無虚様
脱字報告ありがとうございます。うぅっ、頭では分かってたのに『倍』入ってませんでした。(泣)
此処で一言、皆さんごめんなさい。自分は今日を持って『誤字脱字バカ』の称号を拝命いたします。
チェックしてもかなりの間違いを見つけ、それなのに見逃しも沢山…間違い多すぎるわボケーー!(泣)
そして今回は原作で言うと『雪の女王!』なのですが…あれ? なんでここで分かれちゃうんだ? たった一話のお話なのに何故そんなに飛躍する自分?
はい、妄想が駄々漏れになって書いてみましたが、とりあえず頑張って書いてみます。
今回キイ兄の出番は少なめでギャグがない…けど次回はちゃんと出したいと思います。
氷狼は『フェンリル』とも呼びますが、アレのとはまた別物でかつややこしいので漢字表記です。
あと、今回はおまけ短いです(汗) 一瞬書かないでもいいかと思いましたが、此処まで来たらと思って書いちゃいました。でも…短い(泣)
次回は氷狼との対決でとりあえず解決させるつもりです。
楽しんでもらえると嬉しいです。
それではこの辺で失礼致します…