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▽レス始

「GS横島!!極楽トンボ大作戦!! 第五話(GS)」

球道 (2005-12-13 20:38/2005-12-13 20:40)
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四時間目終了。

雪乃は横島と話をするべく席を立った。


「横島君、ちょっといい?」

完璧な『オーバーキャッツモード』だ、と横島は思った。

にこやかな微笑みの顔、こめかみに#が無ければ完璧である。


「ゆ、雪之丞、ど、どうした?」

横島は慄いた、彼女の体から霊力が立ち昇っている。

身体から、迸る霊力、霊圧は見事に横島だけを威圧する。


「その、横島君に話があるの、放課後、屋上に来てくれるかな?」

彼女はそう言った。


〜ここで予備知識だ〜


耳という器官には蓋が無い、音、つまり空気の振動を鼓膜が捉えれば、

聞きたくないものでも、否応無く聞こえてしまうという、厄介な器官だ。

空気の振動は鼓膜へ、そこで振動から電気信号へと変換され、神経を伝って脳に辿り着く。

脳はその電気信号を再構築し、記憶する。

そこで、我々人間が、と、言うより脳がこれ迄の記憶に従い情報を判断することによって、言葉として理解することが出来、意味を成す。

しかし、脳が必要無しだと判断した情報や、都合が悪い事柄などだと、脳は時折暴挙に出ることがある。

例えば、読者の方々にも覚えは無いだろうか?何事かに熱中、夢中に成っている、そんな時だ。

呼ばれても聞こえない、呼ばれたことに気が付いたら、相手が怒って、

「あぅ〜!何度話しかけたと思ってるのよぅ〜!」

と、こんな状態になっていた、とか。

相手のことを歪曲、つまり捻じ曲げて聞いてしまい、自分に都合良く、もしくは都合悪く曲解して受け取ってしまう場合がある。

その場合、

「えぅ〜!お姉ちゃんひどいですぅ!アイスを買ってくるって言ってました!」

と、言った、言わない等という恐ろしく無駄な論議をしてしまった、等。

前者は脳が必要無しだと判断した場合、後者は都合良く曲解した場合。

さて、ここで、彼の場合だ、彼は彼女に恐怖、という負の感情を抱いて、その振動を鼓膜で捉えた。


つまり、横島には、

「その、横島君に話があるの、放課後、屋上に来てくれるかな?」

『てめぇ、さっきの事でちょっと話がある、放課後、屋上にきやがれ』

と、聞こえる。


「わ、私、待ってるから」

『来なかったら、解るよな?』


「じゃ、じゃあ、放課後に」

『ブッチKILL!』

横島は、コクコクと、首を縦に振ることしかできなかった。


人体って不思議だね☆


GS横島!!

極楽トンボ大作戦!!


  第五話


放課後。

雪乃は屋上に来ていた。

用件はもちろん、何故、自分たちは此処にいるのか。

自分に何が起こったのか。

で、ある。


しかし、何故、目の前にいる横島はこうも脅えているのか。


「ねえ、なんで脅えてるの?」

『何びびってやがる?』(横島にはこう聞こえる)


「いや、べ、べつに?」

(ひぇ〜!堪忍や〜!!)

「まあ、いいか。」

「それで、呼び出した理由なんだけど」

「な、なんでしょうか!?」


「なんで私たちは此処にいるの?」

「?そりゃ、雪之丞が此処に呼び出したんだろ?」

雪乃は横島の惚けた返答に苛立った。

「違う!いいか、聞け。俺は気が付いたら時間を飛んでいた」

「!?」

「気が付いたら、ママが俺に覆いかぶさっていて、あの時、ママが死ぬはずだった時に居たんだ」

「だった?」

「そうだよ、ママは俺が助けた、自己紹介のときに言ったろ?親の仕事の都合でって」

「ああ、そういえば……」


「あと、気が付いたら男じゃなくなってた」

「なんだそりゃ!」

「知るかよ!お前はどうだ?なんで時間を戻ったんだ?お前なら知ってるんだろ?」

必死だった。


俺は疑問を口にする。

「雪之丞、お前、『世界』に説明を受けなかったのか?」

「『世界』?」

「そう、『世界』だよ」

「知らない、なんか変な奴にいきなり呼び出されて、むかついたから、ぼこってて、気が付いたら」

「おいおい!ぼこった?」

「あ、ああ、野郎二日ぶりにありついた米だったのに、一口も食う前に……」

ああ、なるほど。

合点がいった。


「そうか、じゃあ、説明をする前に飛ばしたんだな、『世界』は……」

「飛ばした?この時間にって事か?」

「いや、正確には、この世界だな」

「なに?如何いうことだ?」


〜説明中、暫くお待ちください〜


「……、成る程な。」

「お、お前、今の説明で解ったのか?」

正直、上手く説明できなかったと思うんだが。


「まあな、要約すると、俺たちの世界は消滅、俺たちは世界に選ばれて、時を、いや、世界を越えた。
俺たちは世界が消滅する原因となりそうな要因を改変させて、世界の消滅を防がなければならない、そういうことか」

「そうか、時を越えた先で歴史を変える、そうすれば以前進んだ世界とは枝が分かれる、確かに時間移動というよりは、世界移動と言う方がしっくりとくる」
「一つ一つが小さな動きでも世界は変わる、だったら要因は多いほうがいい。」
「これは俺たちのほかにもこっちに来ている奴がいると見ていいな」
「しかし……、俺の性別に変化がおきているのは如何いうことだ?実質は時間移動のようなものだから、雪之丞のままな筈、……雪之丞のままだったら都合が悪い?」
「まあ、精神だけの移動じゃなくて良かった、魂の移動だからそれなりに霊力が搾り出せた、それだけは感謝だな」


「ん?」

そこで雪乃は横島がおかしい事に気付く

横島は座り込み、コンクリートの床にのの字を書いていた。


「何やってんだ?」

雪乃は尋ねる。


「……雪之丞、お前、もしかして、結構頭良い?」

帰ってきたのは謎の質問だった。


「へ?そんなことないぞ?」

雪乃は否定する。

「……偏差値」

「偏差値?たしか、68くらい」


「うがぁ〜〜〜〜!!頭良いじゃねえか!!馬鹿にしとんのか!!」

「いや、頭が良いって言うのは勉強が出来るって意味じゃ」

「うわ!余裕だ!!余裕的発言!?けっ!俺は勉強も出来なくて頭も悪いんじゃ!!」

「そんなことないだろ!頭が良いって言うのは」

「何だって言うんだよ!」

「………!!」

「…………!!」

「……………!!」


〜中略〜


「なんでこんな高校来たんだよ!!六道の学園に入れば良かったじゃねえか!!」

「なっ!?」

「向こうには弓さんがいるじゃねえか!今のお前だったら大人気だぜ!!おねえさま〜ってな!!」

「…………っ!」

「わざわざ俺を馬鹿にしに来たのかよ!」


パァン!

乾いた音が夕日に赤く染まった屋上に響く。

平手打ちだった。


「なにすんだよっ!っ!?」

横島は言葉に詰まってしまった。

「……、横島の、馬鹿」


泣いている、あの、雪之丞が。


「……横島なんか」


違う、雪之丞じゃない、これじゃまるで女の子だ。


「横島なんか!」


〜妙神山〜


あれから、数時間、俺は妙神山にある露天風呂で、今日の事を考えていた。

凄い美少女にぶつかったと思えば、なんか凄い勢いで気絶させられて……。

目が覚めて、その美少女がなんと雪之丞で、膝枕されてて……。

雪之丞が転校してきて、クラスメート……。


それで、放課後……。


「泣いてたなぁ……」


雪之丞の涙。

放課後の屋上の情景が脳裏にフラッシュバックする、夕日に紅く染まった雪之丞の泣き顔。

どう見ても、女の子にしか見えなかった。


「だいっきらい、かぁ」


最後に雪之丞が叫んだ言葉が突き刺さっている。

体がどうもダルイ、厭な感じだ、嫌われたろうな、等と考える自分が可笑しくて笑えた。


雪之丞は、男のはずなのに。

あの雪之丞は、女の子だった。


「あぁ、あいつ、結構前にこっちに来たんだったか」


そう、雪之丞が世界を越えて、着いた先は、雪之丞が小学生の頃。

母親が殺される、否、殺される筈だった直前。

多分それから、ずっと女の子だったんだろう。

男である雪之丞にはおそらく屈辱だったに違いない、間違いなく。

でも、あいつは何かを切っ掛けに、女であることを認めたんだと思う。


ああ、やばい、あいつ、女の子じゃないか。

自分に腹が立った。

いくら、元々男だからって、親友だからって、あんなこといったら怒らすのは当たり前。

どうも、雪之丞相手だと童心に帰るというか、なんというか、精神年齢が下がってしまう。

25にもなって何やってんだ、小学生と変わらないじゃないか。


「謝らねぇと、な」


とにかく明日、謝ろう、そう決心した。


一方、雪乃は……。


自分の部屋、パジャマ姿でベッドに座り込む。窓を開けて、空を仰いだ。

「……はぁ」

溜息、家に帰ってから既に何度目だろうか、数えてはいないけれど、相当な数。


いつもみたいに、友達同士、親友同士の感覚でのじゃれあいだったのに。

前までだったら、直ぐに殴り合いの喧嘩みたいになって、疲れれば喧嘩も終わってた。

でも、今回は違った、多分、女の体だから、横島は殴りかかっては来なかった、私も昔みたいに直情的ではない……つもり。

あ、朝の、あれは、そ、その……、恥ずかしかったし……。

つ、つまり、いつもと違って、口論が長くなりすぎたんだろうと思う。

売り言葉に買い言葉、ああ、馬鹿みたい。


「でも、あれは酷いよ……」


泣いてしまいそうになるのをグッと堪える。


『なんでこんな高校来たんだよ!!』

別にいいじゃないか、私が横島と同じ高校だって。

ピートやタイガーが良くて、私は駄目なの?

いつも、高校の話をするたび、私は蚊帳の外だった。

除霊委員がどうだったとか、あの先生がこうだったとか……。

皆と、否、横島とそんな話がしたかっただけなのに。


「ばか……」


昨日はあんなに楽しみだった学校が、途端に嫌になってしまった。


「……学校、行きたくないなあ」


溜息のような呟きは誰の耳に入ることなく、星空に消えた。


あとがき。


喧嘩です。

雨降って、地、固まる。

そんな言葉があります。

喧嘩しないと、仲良くなんてなれる筈無いです。

友人関係ならまだしも、恋人関係にするならば、喧嘩は重要なファクター☆

如何でもいい人とは喧嘩にはなりませんしね、好きだから一寸したズレでも気になって口論になっちゃうものです。

心に愛がなければ、スーパーヒーローには……、違った。

心に愛がなければ、喧嘩にはならないよ。


桜川様、ゆん様、BD様、ふぁんぐ様、拓坊様、感想有り難うございます!
感想が有るから前を向いて走っていられるよ、まだまだ突っ走れそうです。
感想を心の活力に!萌やせ!己の乙女コスモ!!


次回、GS横島!!極楽トンボ大作戦!!第六話!

「雨降って、地、ダイヤモンド」(嘘)

来週(?)も、このチャンネル(?)に!

『バッチコ〜イ!!』


追伸 雪乃の絵、募集中!!

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