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「GS横島!!極楽トンボ大作戦!! 第四話(GS)」

球道 (2005-12-12 17:52)
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「……、あいつ、今、雪之丞って……」


雪乃はそう呟き、自分の拳を見る。

血、血が出ていた。

自分の拳は霊力で守られていた、その筈だ。

何故、血が出る?

答えは簡単だった。

横島の顔面を捉える寸前の何かを貫くような感触、何かが拳を遮ったのだ。


「……サイキック・ソーサー」


間違いない、あいつは、横島忠夫だ。

そう、俺の知っている、横島忠夫だ。

雪之丞、否、雪乃は確信した。


GS横島!!

極楽トンボ大作戦!!


  第四話


正直、雪乃は悩んでいた。

おそらく、横島は、時間が戻った原因や、理由を知っている。

それを横島に聞くのは簡単だ。

私の事を話せばいい、私が誰なのかを。

自分が『伊達雪之丞』であることを証明するのは容易なことだからだ。


さて、何故悩む必要があるのか?


それは、現在、俺は『伊達雪之丞』ではなく、『伊達雪乃』、女なのだ。


確実に笑う、間違いない、腹を抱えて。

「ひ〜!腹痛ぇ!!お前ホントにユッキーか!?」こんな感じだろう。

顔が熱くなる、恥ずかしい。

正直この姿を一番見られたくなかったのが、横島だったのだ。

ああ、神様、私は何か悪い事をしたのでしょうか?

ママ、私、泣きそう。


「ん〜……」

そんなことを思っているうちに横島が目を覚ましそうだ。

はあ、と、一つ溜息をついた。

腹を括る時がきたようだ。

冷静に、そう冷静に。

びーくーる、落ち着け、俺。

い、いつも通りで良いんだ、いつもの伊達雪之丞で。


頬が痛い、ここまで痛いのは久しぶり、気絶したのも久しぶり、である。

何が起こったのか?正直考えるの億劫だった、頭が働かない。

たしか……。


「起きたか」


考えようと思ったとき、上から声がした。

鈴が踊るような、可愛らしい声だった、口調はぶっきらぼうだったが。


「大丈夫か?」


ドキリ、とした。

凄く、可愛い。

自分のボキャブラリーでは表現できない程に。

そんな少女が自分を見下ろしていた。


「あ、だ、大丈夫」


そんな言葉だけをどうにかこうにか、喉から捻り出した。

緊張している自分が可笑しかった。

これまで美少女、美女には中々に縁があり、正直、免疫が付いていると思っていた。

それなのに、彼女は大きく心を揺さぶる。


しかし、それと同時に疑問と、違和感が浮かんできた。

疑問は、先程の一撃。

覚えがあった、あの衝撃に、角度の入り方、そして、霊力の匂い。


違和感は、今、この瞬間。

俺は、彼女を、知っている?


ちら、と、凄い考えが脳裏を横切る。

違う、あいつは男で、仮に女装したところでこんなに美人にはなる訳が、無い。


しかし、

「ゆ、ゆきの、じょう??」

口に出さずには居られなかった。


「〜〜っ!!」

驚いたように目を見張る雪之丞(仮)

ああ、その反応だけで十分だ。


この女の子は『伊達雪之丞』だ。


「ゆ、ゆきの、じょう??」


横島が呟いた。


「〜〜っ!!」

正直驚いた、まさか此方から正体を明かす前に見破られるとは……。


……って、ば、ばれた〜!!

頬に血液が上がってくるのが分かる、おそらく俺の顔はりんごの様だろう。

ああ、神様なんて、いるんだけど、いないんだ……。


「本当に、雪之丞なのか?」

変な質問だった、女の子に君は男の子だね?と、言うような質問。

本当だったら、笑い飛ばされても可笑しくない。

はっきり言って、否定して欲しかった。

確信を打ち砕いて欲しかった。


しかし、彼女は。

「ああ、久しぶりだな、横島」

しっかりと肯定してしまった。


言葉が出なかった、目の前に共に何度も死線を潜り抜けた親友の変わり果てた姿。

それも、その姿が露見して物凄く恥ずかしいのだろうか、口元に手を当て、頬を紅く染めている。

こ、これは……、か、かわい……。

っ!ごほんごほん!

いかんいかん!!こ、こいつは雪之丞なんだ!雪之丞!!

男なんだ!否!漢だ!!


「よ、横島?」

横島は何かを振りほどくように頭をブンブンと振り始めた。

あ、そ、そんなことすると!

「ちょ!ちょっと!駄目!きゃ!」


「!?」

雪之丞の悲鳴で我に返る。

上から見下ろす雪之丞は此方を睨んでいる。

上から?雪之丞がどうやって?

そこで気が付く、後頭部が柔らかい。

そして雪之丞を見上げると。

「や、山」

どうして今まで目に入らなかったのか、自己主張の激しい二つの山、既に丘ではない。


「あ」

状況に気が付く、そう、この状態は。


「ひざまくら?」


そう、今、俺は雪之丞に膝枕されていたのだ。


「〜〜〜〜っ!!!」


雪乃は今にも、恥ずかしさで爆発しそうだった。

それを堪えたのは、確実に母の教育の賜物だった。

「女性は常に優しく、優雅であれ」

女として過ごした数年間がそれを押し留めた。

もちろん、この「ひざまくら」という状況も、彼女の無意識だったのだろう。

う〜ん、大和撫子はいいな!……元男だけど。


「き、気が付いたんだったら、さっさとどけよ」


「す、すまん!」

横島は飛びのいた。


「「…………」」

そして訪れる長い沈黙。

気まずい、穴があるなら入りたい、そんな空気だった。


それを破ったのは、


『き〜んこ〜んか〜んこ〜ん!き〜んこ〜んか〜んこ〜ん!』


遠くで聞こえる学校の予鈴の鐘の音であった。

ハッと我に返る。

「「や、やば!!」」


「「遅刻だぁ!!」」


二人は風になった。


そして……。


「親の仕事の都合で、中国からこっちに引っ越して来ました、伊達雪乃です、宜しくお願いします」


「「「「「うおおおおおおおおおお!!」」」」」

「「「「「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」」」」


教室は大歓声、拍手喝采、万歳三唱、と、物凄い大歓迎だった。


そして始まる、質問タイム。


「何処から来たの?」「北京に」

「中国語話せるんだ?」「住んでいたから当然話せるわ」

「趣味は?」「と、トレーニングかな?」

「うわぁ、髪の毛さらさら〜、シャンプーとリンスって何使ってるの?」「えと、知らない、ママが買って来たの使ってるだけだから」

「こ、恋人はいますか!」「い、いないけど」

「た、タイプの男は?」「そ、その、や、優しくて、守ってくれそうな人」

「す、スリーサイズは?」「上から……って、言えるか!」

「結婚を前提とした交際を!」「ご、ごめんなさい」


そして次の質問の瞬間、教室の空気は一変する。


「じゃあ、この教室の中で恋人にするなら誰?」


し〜〜〜〜〜ん


沈黙が世界を包み込む、まるで音がなくなった世界。

今まで騒がしかった皆が、雪乃の答えを待っている。


「へ?へ?」


雪乃は混乱していた。

質問の意味はもちろん理解していた、即答しようとしていた。

『初対面じゃわかりません』

そう言うつもりだった。


この沈黙が無ければ。


男共は目を血走らせ、女子は目をランランと輝かせる。

正直、これは怖い。

雪乃は助けを求めるように目をキョロキョロと彷徨わせた。


その時、一人の男子生徒と目が合った。

横島忠夫だ。

一人だけ席についてニヤニヤとこっちを見ている。

どうやら、あたふたする私をみて、笑っているようだった。


むかついた。


目が合ったので、目で会話を交わす。

同じ死線を潜り抜けた中だ、そんなことは造作も無かった。

『おい!助けろよ』

『無理だろ、答えてやれよ』

『てめぇ……』

『恋人にするなら、だろ?しなきゃいけないわけじゃないぜ?』

『人事だと思いやがって……!』

『人事だろうに』

『……オボエテロョ?』


「じゃ、じゃあ」

意を決して、こう答える。


「あそこの彼で」


横島を指差して。


「「「「「ええええええええええええええっ!?」」」」」


くくく、これで人事じゃないだろう?

ちら、と横島を見る。

横島は頭を抱えていた。

奴は頭を机につけたまま、手を頭の上で動かした。

ブロックサインだ。


馬鹿、墓穴を、掘りやがって。


それから先は分からなかった、何故か?

それは、

「彼だけはよすんだ!伊達さん!」

「危ないわ!彼は獰猛な狼なのよ!?」

「発言の撤回を!危険発言の撤回を!!」

「男はおーかみなのっよ〜♪気をつけなさっい〜♪」

「雪乃タソ、かむばぁぁぁっく!!」

等、口々に叫びだしたからだ。


結局、事態が収まったのは、二時間目が過ぎた頃だった。


「つ、疲れた」


全部、横島のせいだと思った、怨んでやる。


後書きという名の懺悔室。


はい、横島と雪之丞の再会でした。

前回は雪乃との出会い、と。


突っ込みどころがいっぱいのこの作品も四話目、除霊も入れたほうがいいとは思うのですが。

無理です。

まだもう少しどたばたラブコメディが続きます。

時には喧嘩もするけれど、最後は笑ってバイバイビー。

そんな感じです。


フェイカー様、Rays様、獅皇様、KS様、ジェミナス様、ゆん様、くま様、拓坊様、BLUE様。

感想ありがとうございました。

励みになります、がんばるぞー。


ちょっとだけ、ネタばれ。


二十六個の呪い……、いつかのマスクドライダーも二十と少しの秘密、と称して秘密を抱えていましたね。

全部公開されることはありませんでしたがね。


性転換キャラ、ですか。

もう出て来ません。

断言します。

出しません。

必要ないです。

一人で十分。

ホントダヨ?

正直、焦っているのです、私。

自分、以前に違うペンネームで違う作品のssを執筆しておりました。


二作品目を公開した翌日の事です。

「○○の書いたssって、性別転換キャラ多いよな〜、お前好きだなーこういうの」

衝撃でした。アルベルトです。

天地が開闢して乖離しそうでした。


読み返してみるとあら不思議、二作とも性別転換キャラヒロイン??

おかしなこともあるものです。

ちなみに今作三作目。

懲りてません。

ところで、この作品はリハビリで始めたので、少々梃子摺っています。

ネタ、ください。


おっと、後書きが長くなりすぎましたね。


では、性別転換バッチコ〜イ!!

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