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▽レス始

「GS横島!!極楽トンボ大作戦!! 第三話(GS)」

球道 (2005-12-11 13:47)
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コントローラーを握る手に汗がにじむ。

両手親指は小刻みに動き、それと同時に体もわずかに動く。

目は画面に釘付け、口は半開きである。

画面の中では操作されたキャラクターが軽快に動き、立ちはだかる敵を踏みつけていた。

一見ゲームに集中しているかのように見える、が、頭では別のことを考えていた。


あの小竜姫が弟子をとった。

自分の弟子がいきなり「私の弟子です」と語尾にハートを付けて紹介しに来たのでコントローラーを落としてしまった。

あの堅物の小竜姫が、弟子を、それに語尾にハートである。

おそらく奴を知っているものは全員同じような反応をするだろう。


そう、何度も言うが小竜姫が弟子をとったのだ。


自分には孫弟子にあたるわけだが、中々に素質がある、目に力のある少年だった。


正直、おもしろい、と思った。


小竜姫は気が付いているのだろうか?

そもそも、あの小年は人ではない。

どちらかと言うとこちら、神族よりではあるようだが……。

おそらく人だったが何かがあって転生したのだろう。

有り得る話だ、彼は霊基構造をごっそりと失うような怪我をしたのだ、

そして、神族か魔族が霊基構造を代用したのだろう、自らの命を投げだして。


彼を生かすために。


転生したならば環境は大切だ。

転生後の環境によってニュートラルな属性から神か魔に傾くのだから。


何故だろう、そんな考えが頭に浮かんできた。

そんなライトノベルや漫画のようなこと、聞いたことも無い筈だ。


「あの少年を育てよ、と、でも言うのか」


斉天大聖は、いつか聞いた話を思い出した。


[世界は時折語りかける、人を神を魔を、導くように。

時々考えもしなかった事が頭に浮かんでくることがあるでしょう?

そんな時は、世界が語りかけて来ているのですよ]


おそらく、こういう事なのだろう、そう感じた。


現実に戻る、画面ではピンク色のドレスを着たお姫様

と赤い配水管工が抱き合っていた。


「む、いつのまに……」


GS横島!!

極楽トンボ大作戦!!


  第三話


さて、妙神山に住まうことになって二日目。

俺は通学路を走っていた。

何故、学校に通えるかというと、学校に行くために妙神山からアパートまで空間を繋げて貰ったのだ。

正直、ずっと妙神山で修行しているほうが良いのだが、不登校で退学は拙い。

そもそも、前回、妙神山での修行の為に、学校を辞めており、おかんの手による折檻で地獄を見たのだ、流石にあれは二度と御免である。


「と、言うわけで走っている」

何故走るのか?もちろんこれも修行、体作りである。

実は遅刻寸前であるなんて事は、無い。まったく無い。本当だぞ?

何故、パンを咥えているのか?特に意味はない、デフォだ、登校時に走るのであれば、パンを咥える、これはデフォルトなのだ。

「パンにはチーズだろ、やっぱ。」

パンにチーズをはさむのもデフォだ。


「よし、スライスカーブ!!」

俺は、丁字路を素晴らしく凶悪なスピードで攻略しに行った。


今日から新しい学校での生活が始まる。

今日は職員室に行かなきゃだから、早めに出なきゃ!

そう、早めに出なきゃいけなかったのだ。


「うわ!もうこんな時間!ご飯食べてる余裕ないよ!!」

そんなこんなで、私はパンを咥えて走り出した。

「やっぱり、ピーナッツバターだね」


食べながら走ってもかなりのスピード、当たり前だ、毎日鍛えているのだから。


これからの戦いに備えて。


「よし!加速装置!!」

本気で急いでいた私は全力で道を駆け出した。


その結果。


「どわぁあ!!?」

「うひゃあ!!?」


どんがらがっしゃ〜〜〜〜ん


二人して盛大に吹っ飛んだ。


そして、空を舞う二つ折りのパンが二枚。


「「あ〜!!俺(私)のパン!!」」

痛みは感じないのか、二人ともムクリと起き上がり、

「とぅっ!」「たぁっ」

ジャンプ!!


はしっ!

パンをキャッチ。


「「あぐ」」

同時にほうばる。


「「????」」


そして、異変。


「「あ〜〜〜〜〜!!」」


絶叫!!


「俺のチーズパンがピーナッツバターパンになってる!!」

「私のピーナッツバターパンがチーズパンになってる!!」


「「…………」」


長い沈黙。


「こ、このパン君の?」

「こ、このパンあんたの?」


そう、彼等はパンを食べて走っていた、一方はチーズを挟んだチーズパン、もう一方はピーナッツバターを挟んだピーナッツバターパン。

そして、衝突。パンは衝撃に耐え切れず宙を舞う。

彼等は衝突の衝撃で舞い上がったパンを、ジャンプ一閃、空中で掴み、そのままほうばる。

結果、彼のチーズパンは彼女に、彼女のピーナッツバターパンは彼の口に入ったのだった。


そうなのだ!!これは!!


「「か、間接キス!?」」


ラブコメの王道。

パンを咥え登校時の出会い頭の衝突、そして間接キッス。


伊達雪乃、26の呪い、の一つ。

(横島限定)ラブコメ体質が発動した瞬間だった。


私、伊達雪乃は混乱していた。

人とぶつかった衝撃、宙に浮くパン、取って、ほうばった。

味が違う。

チーズ味だった。

つまり、ぶつかった、人の、パン。


間接キス。

カッと熱くなる頬を無視し、キッと容疑者を睨んだ。


「……横島?」


そこに居たのは間違いなく、横島忠夫だった。


俺、横島忠夫は混乱していた。

誰かとぶつかった衝撃、宙に舞うパン、取って、ほうばった。

味が違う。

バターピーナッツ味だった。

つまり、ぶつかった、人の、パン。


間接キス。

ああ、悲鳴をあげられて殴られるんだろうなあ……、諦めて、謝ろう、そう思った。


「……あ」


二の句が告げなかった、そこに居るのは天使だと思ったからだった。


これが、横島忠夫と伊達雪乃の出会いだった。


ぷちん。

何かが切れた音がする。


「よ、よこしまぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

咆哮と同時に完璧な踏み込み、盛大な音を立ててアスファルトが、陥没する。

腰を捻る、ぎゅるん、そんな音が聞こえた。

そして、肩から捻りこみ、否、抉りこむ様に。

足から腰へ、腰から肩、肩から肘、それは拳に集まる。

なんて芸術的な、運動エネルギーの譲渡、そして体捌き。


ぎゅおぉぉぉぉっ!


ありえない音がする。

まるで、工事用のドリルが孔を穿つ様な。

それは、空気を切り裂き、否、空気に孔を開け、全てを破砕し貫く、渾身の一撃。


ばぁぐぅぅぅぅぅぅん!

「うぎゃあああああああっ!!」

錐揉み、吹き飛ぶ横島。

流石、『伊達』である。

素晴らしい、コークスクリューパンチだ。


朦朧とする意識の中で、横島は。


「……いいパンチだったぜ、……雪之丞」


昔、親友を怒らせた時に貰ったプレゼント(パンチ)を思い出し、


べしゃ。

意識を手放した。


「……、あいつ、今、雪之丞って……」


後で書く、と書いて、後書き。

雪乃の口調、突っ込まれる前に言いますが、一人称や、その他バラバラですが仕様です。
男の自分と、女の自分を、両方意識してますから、そうなっています。
これからの話しによって、どちらかの言葉遣いに固定される予定です。
まあ、決まってますが、ね?

拓坊様、KS様、ゆん様、ジェミナス様、白銀様、法師陰陽師様、秋瑠様、ヒナユキ様、眞様。
皆様感想有り難うございます、これを糧とし、今後も精進致しますので、今後とも宜しくお願い致します。

さて、合い言葉になってしまった様なので・・・・・・。
バッチコーイ!!

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